花葬儀を選んだ理由
母との突然の別れに「これ以上後悔したくない」と迷いなく花葬儀を選択しました
母の家系はみな長命で、母のお母さん、つまり私の祖母も百歳まで長生きし最期は大往生でした。母も98歳になり「このままおだやかに百歳の誕生日を迎えるのだろうな」と思っていた矢先、月に一度利用していたショートステイ先で、母が食事中に誤嚥し、それが原因で亡くなってしまったのです。足腰は弱っていたものの頭ははっきりして、同居していた長女の私や、同じ敷地内の隣家に住んでいた私の兄や兄嫁ともいつも冗談を言い合っていた母でしたので、突然の別れに家族一同、呆然自失でした。
10年前に父が他界した際に頼んだ葬儀会社は、打ち合わせもたった1回数時間のみで、淡々とした事務的な対応にとても不満が残りました。「母の時はこうはしたくない」と思っていた矢先、花葬儀さんのことを折込チラシで知り、たまたま大森にある店舗の前を通りかかったので思い切って入ってみたのです。飛び込みで訪れたにも関わらず親切に接客して下さり、その対応の良さや花であふれる祭壇にも心惹かれました。当時、母はまだまだ元気でしたので、その日は入会し簡易な見積りをいただいただけで、その後5年ほどが経過しました。しかし、誤嚥をきっかけに急に容態が悪化し、慌てて再度お問い合わせをして見積りを待っている数日の内に、母が亡くなってしまったのです。大好きな母と最期にゆっくり話をすることも叶わなかったため、「せめて葬儀だけは最高の形で挙げてやりたい、私自身がこれ以上後悔をしたくない」という気持ちでいっぱいでしたね。
花葬儀を体験して良かったこと
手作り感あふれる、母らしい葬儀で見送ってあげられたことに安堵
父の時とは違い、花葬儀さんの打ち合わせはとても心がこもっていて、何度もヒアリングの機会を設けてくれたことが嬉しかったです。生前の母について丁寧に聞いてくださり、毎年春には自宅の藤の木の前で写真を撮るのを楽しみにしていたことを伝えると、プランナーさんから「テーマカラーは藤の花のような淡い紫色にしましょう」とすてきな提案が。イメージスケッチ通り、パープルやピンク系の愛らしいお花であふれた華やかな祭壇に仕上げてくださいました。
また焼香台のすぐそばにバラを活けてくださり、良い香りに包まれながらご焼香してもらえるという、細やかな心遣いにも感動しました。祭壇の周りには母のお気に入りの着物や、手編みのショール、寺社巡りに用いた御朱印帳などが飾られ、「これよく着ていたね」「なつかしい」などと参列してくださった方々の会話も弾んでいたようでした。こうしたアイデアは私たち家族では思いつかなかったので、さすがプロフェッショナルだと感心しきり。さまざまな思い出の品に囲まれて、母も喜んでくれていたのではないでしょうか。通り一遍ではない、母のためだけの手作り感ある演出で、父の葬儀から抱えていた胸のつかえのようなものが、やっとおろせた気がしました。
お母様はどんな方でしたか?
歌舞伎や宝塚鑑賞、銀座でのティータイムが好きだったハイカラな女性

麻布で生まれ、当時の女性としては珍しいワーキングウーマンだった母。役所勤めでそろばんが得意だったそうで、遺品の整理をしたら検定書や表彰状がたくさん見つかりました。父との結婚前はお給料で歌舞伎や宝塚を観に行ったり、銀座でお茶したり、書道を習ったりと独身ライフを満喫したようです。娘の私も、よく銀座や日本橋に連れて行ってもらいました。おしゃれで着物もたくさん持っており、観劇の際はいつもきちんと着付けしてお出かけしていましたね。ちなみに、思い出のそろばんは棺に納めて一緒に焚き上げていただきました。
「猫は年金もらってない」明るいジョークでいつも家族を笑わせていた母

ユーモアがあり楽しい性格の母は、晩年になり食事や排せつなどで家族の介助が必要になっても、湿っぽくならずいつもジョークを言っていました。我が家には猫が3匹いるのですが、母をトイレに連れて行く際に「猫だって自分でトイレするのにねぇ」と私が冗談を言うと、「だって猫は年金もらってないもん。お相子でしょ」と(笑)。家族の介護中はとかく暗い雰囲気になってしまいがちですが、こんな母の性格のおかげで我が家はずっと明るかったです。
隣家に住む兄嫁ともとても仲が良く、「私が選んだ甲斐があるわ」といつも自慢げに周囲に話しているほどでした。本当は兄が自分で決めた結婚だったのですが、そんな風に言いたくなるくらい自慢のお嫁さんだったのでしょう。
御朱印帳は母と娘の旅の記録!今も形見として大切に保管しています

母とは何度も一緒に旅行に行きましたが、とくに御朱印帳を持って京都の寺社巡りをするのが定番でした。お寺を訪れて御朱印を押していただくたびに、旅の思い出が一つまたひとつと増えていく感覚が好きで、母との大事な記録であり記憶でもあります。御朱印帳は棺に収めようと思っていたのですが、生前の母が「あなたとの大切な思い出だからできれば取っておいて」と言ったこともあり、棺の周りに飾った後は手元に保管しておくことにしました。落ち着いたら、この御朱印帳を携えて母と巡ったお寺を再訪し、楽しかった思い出に浸りたいです。
こんなご葬儀でした


お式への要望
お花が好きだった母を、寂しくなく賑やかに送ってあげたい
〇母が好きだった花をたくさん飾りたい
〇少人数の家族葬
〇おしゃれな母らしいデザインに
〇寂しい葬儀にしたくない
実際のご葬儀
〇藤の花を連想させる紫やピンクをベースカラーに
〇お着物、御朱印帳、手編みのショールなどゆかりの品を展示しました
〇焼香台のすぐそばにバラを活け、香りを楽しんでもらいました
〇家族写真をレイアウトしてA3サイズのパネルを作成しました
葬儀を終えての感想はいかがですか?
イメージ通りのやさしい色合いの祭壇に、感謝の気持ちでいっぱい

打ち合わせの際にデザイナーさんが描いてくださったイメージスケッチ通りの、やさしい色合いの美しい祭壇でした。華やかなムードの中で母を送ってあげることができ、感謝の言葉しかありません。
鎌倉の腰越に菩提寺があり、位牌は父と連名にすることも生前から決めていたので「これ以上何もせず簡素な葬儀でいい」と母は言っていたのですが、やはりこだわってよかったです。最高の母を私たち家族全員が納得できる、後悔しない形で見送れたのは花葬儀さんのおかげです。心に残る葬儀をありがとうございました。
母が愛した自宅の藤の木は、兄が引き継いで手入れしてくれることになっています。若い頃は全然やらなかったのに、いつの間にか庭いじりが好きだった父親そっくりになってきた兄。毎年桜が散った1週間ほど後、4月の中旬くらいに満開の花を咲かせてくれる藤を見上げながら、母を偲びたいと思います。
エピソードとお写真、映像は、ご家族様のご許可をいただいて掲載しております。