花葬儀を選んだ理由
慣習にとらわれず、母らしさを形にできる花葬儀に惹かれました。
父の葬儀を経験したとき、「これは本当に父らしい送り方だったのだろうか」と、心に引っかかるものが残りました。死に装束や戒名、祭壇の形式など、慣習に倣うことが優先され、家族の気持ちや本人の想いが置き去りにされたまま進んでいく様子に寂しさを感じたのです。その時の後悔から、母のときは、もっと母の想いに沿った“母らしいお見送り”がしたいと考えていました。
そんな気持ちが強くなる一方で、どこに頼めばいいか分からず、いくつかの会社に資料請求し、比較検討を重ねていました。そんなときに出会ったのが花葬儀さんです。ホームページで見た、奥さまを送ったご主人の「庭のようにお花で囲んであげたい」という事例に心を打たれ、こんなお見送りができるのだと希望を感じました。
問い合わせた際の対応も丁寧で、細かな質問にも真摯に答えてくださり、価格ではなく「気持に寄り添う姿勢に「ここなら任せられる」と直感的に思いました。金額ありきのご提案ではなく、こちらからあれこれ言えなくても、問いかけのなかで私たち家族の希望や母の喜びそうな形をどんどん引き出してくださる、心に寄り添ったヒアリングにも感動し、ここにお願いしようと決めました。
花葬儀を体験して良かったこと
花に囲まれた空間で、母らしい旅立ちを叶えることができました。
葬儀のイメージは、「思い出の散歩道」というテーマでご提案いただきました。母が生前好んでいた紫やブルーを基調に、チューリップやスイートピーなど春の花々を差し色としてあしらった花祭壇を見たとき、目線をどこに向けても花が目に入り、まるで母と一緒に歩いた散歩道そのものがそこに広がっているようで、涙がこぼれました。ユーカリの枝には、母の思い出の地・京都産のものを使ってくださるなど、私たち家族の言葉に耳を傾け、記憶や好みに寄り添ったご提案をしてくださったことにも感激しました。決まった形に当てはめるのではなく、自由な発想と柔軟な対応で「その人らしさ」を花で表現してくださる姿勢に、心から安心できました。さらに、見た目の美しさだけではなく、母が気持ちよく旅立てるように、メイクや装いの細部まで整えてくださいました。顔を見たとき「母が母らしく、きれいなままでいてくれた」と感じられたことが、私にとって非常に大きな救いになりました。
式が終わったあとも、空間に満ちていた明るい花の色や香り、あたたかな空気感を今でも鮮明に思い出すことができ、大変感謝しています。
お母様はどんな方でしたか?
どんなときも人を思いやる優しさにあふれた人でした。
母はどんなときも、他人を思いやる気持ちを忘れない人でした。自分の体調がすぐれない日でも、見舞いに来てくれた人にはにこやかに挨拶をし、「寒いから気をつけて帰ってね」と、相手の体を気遣う言葉をかけていました。
晩年入所していた施設の介護士さんたちにもいつもねぎらいの言葉を忘れず、母のまわりには自然とあたたかな空気が流れていたように思います。どんな状況でも相手を思いやる母は、施設でも人気が高く、みなさんから愛されていました。
晩年は、人を和ませ笑顔にする柔らかさがにじみ出ていました。
その場にいる人を自然と和ませる、不思議な力を持った人でした。葬儀のとき、従姉から初めて聞いた話があります。「優しい笑顔ときれいな声で、私の母の介護を助けてくれたの。だから仕事を続けることができた。本当にありがたかった」。その言葉に、なんとも母らしさがにじんでいて、胸が熱くなりました。
若い頃は子どもに礼儀や言葉遣いをしっかり教える厳しいところもあったようですが、年齢を重ねるにつれて、ユーモアや和やかさが勝るようになりました。
晩年は、まわりの人を自然と笑顔にさせる存在になっていて、施設でも「今日はどんな冗談を言ってくれるのだろう」と、スタッフの方が楽しみにしていたそうです。介護士さんから「いつも笑わせてくださるので、元気をいただいています」と言われたことも、深く心に残っています。
戦中・戦後も家族を守り通した、強くたくましい女性でした。
戦中・戦後の混乱期を生き抜いてきた世代で、食べる物にも事欠くような時代を経験しながら、子どもたちのために必死に働いてくれました。自分のことは後回しにして家族のために尽くす姿は、まさに“縁の下の力持ち”。もともとお嬢様だったのに、父親が借金の保証人になって、経済的に厳しい暮らしを強いられたそうです。
お金には厳しく、無駄を嫌う一方で、人のために使うことにはまったく躊躇がありませんでした。常に堅実に、地に足のついた暮らしを大切にしていました。
こんなご葬儀でした

お式への要望
母のお気に入りの洋服を着せてお花一杯で見送ってあげたい。
〇死に装束ではなく、お気に入りの洋服で旅立たせてあげたい
〇棺をお花でいっぱいにして送りたい
〇紫や青など、好きだったお花を入れてほしい
〇口元や手の位置など、見た目にも美しく整えてほしい
実際のご葬儀
〇祭壇は「思い出の散歩道」。お母さまのお好きな花や、出身地の京都にちなんだお花をセレクトしました。
〇花祭壇の両サイドにグリーンを配置して森のようなイメージにしました。
〇メイクや衣装も細かくご要望をお伺いし、ご納得いただける仕上がりに務めました。
〇棺にはたくさんの花を入れ、最後は花束としてお持ち帰りいただきました。
葬儀を終えての感想はいかがですか?
母を送るという一度きりの時間を、悔いなく、そして美しく終えることができたことに心から感謝します。
花葬儀さんのおかげで、母を心から納得のいく形で見送ることができました。「死に装束を着せたくない」ということと、「棺を花でいっぱいにしてあげたい」という家族の願いを見事に叶えていただきました。葬儀を終えて思い出すのはいつも、一番きれいな棺の中の母の姿です。形式やお金の話ばかりではなく、こちらの気持ちを何より大切にしてくれる花葬儀さんのスタイルに、本当に救われました。式が終わった後、「私の時も、こんなふうにお花で送ってほしい」と思ったほどです。
誰かの人生の最後を彩るのは簡単なことではないと思いますが、花葬儀さんは、私たちの拙い言葉の中から想いをくみ取り、それを見事に形にしてくださいました。
私たちは普通の人生かもしれませんが、そんな普通の方々が参考になる情報を提供できればと思ってインタビューを受けました。だから真似してね! 参考にしてね! と思っています。葬儀を一つひとつ進めるのは、真っ黒の中を手探りで進んでゆくようなものですが、私たちの経験がどなたかのお役に少しでも立てるなら、母もきっと喜んでくれると思います。
本当に、ありがとうございました。
エピソードとお写真、映像は、ご家族様のご許可をいただいて掲載しております。














