花葬儀を選んだ理由
「とてもいい葬儀屋さんがある」と家族に紹介してもらったのがきっかけです。
主人は病気で約2年間闘病していました。娘が生まれてまだ1ヶ月しか経っていなかった頃に病気が発覚し、すぐに入院することに…。また、当時はコロナ禍で外に出られず、面会や一時退院ができませんでした。
そのときの主人がかわいそうだったので、亡くなったときには家に帰してあげたいと思っていたのですが、病院から紹介された葬儀屋さんからは「このご時世、ご自宅に安置される方は少ない」「ご自宅のある4階までお運びできるかわからない」と言われてしまいました。でも、これまで私と主人は二人三脚でずっと一緒に戦ってきたので、どうしても納得できなくて…。
最後までしっかりやってあげたいという気持ちが強くあったので家族に相談したところ、妹の夫が「とてもいい葬儀屋さんがあるから連絡を取ってあげる」と花葬儀さんを紹介してくれました。すると、プランナーの水野さんから「今から伺います」とすぐに電話がきて、主人を家に連れて帰る話をスムーズに進めてくれたのです。ここなら主人や私の願いを叶えてくれると思い、花葬儀さんに決めました。
花葬儀を体験して良かったこと
葬儀まで自宅で一緒に過ごし、火葬前に思い出の場所に回ることもできました。
葬儀までの間、主人と自宅で過ごすことができたのは、水野さんのおかげです。困ったときに連絡するとすぐに返事をくださり、対応も毎回丁寧でいろんなことがスムーズにパッパパッパと決まっていきましたね。15回目の結婚記念日にお通夜を執り行えるように調整していただいたことにも、感謝しています。1歳半になった娘を連れていて、細かいことを考える余裕がなかった私に、最後まで親身になって寄り添ってくださり、とても助かりました。
また、フラワーデザイナーの中村さんは主人の人柄を尊重してくださいました。私の話から、主人が大好きだったハワイをイメージした祭壇をデザインしたり、主人と出会った場所である東京ドームのジャイアンツカラーの花を斎場入口に飾ったり…。思い出にあふれた会場になりました。
その他にも感動したことがあります。火葬場へ向かう霊柩車の中で「どこか、寄りたい場所はありますか」と聞かれたので、東京ドームと答えると、わざわざ回ってくださいました。なんてすばらしい気遣いだろうと思い、それにもすごく感動しました。
ご主人様はどんな方でしたか?
すごく理解があって、やりたいことを応援してくれる優しい人でした。

10年くらい前の話ですが、私は結婚後、京都に単身赴任していたことがあります。勤務先の新店舗の立ち上げに携わりたいという思いがあり「一人で行ってきていいかな」と主人に聞いたら、「行ってきていいよ」と言ってくれたのです。
個人を尊重してくれて理解があり、やりたいことを応援してくれる人でしたね。家族がやろうとしていることに対して、「ダメ」という考え方はなく、「なんでもやってみたらいいよ」といつも応援してくれました。
単身赴任している間、毎月京都に会いに来てくれて…。東京に戻ってからも、仕事上がりに会社まで迎えに来てくれることもあり、人に対して何かをしてあげたい、という気持ちをたくさん持っている人でしたね。とにかく優しくて、男気があって本当に人思い。主人に怒られたことは結婚してから1回しかありません。
何かにハマると夢中になるタイプ。家にボルダリングの道具を設置していました。

右:奥様と飲む予定だったウイスキー
私の単身赴任中、会社の人に誘われたのをきっかけにボルダリングにハマり、仲間とあちこちの山に登っていました。そのうち、天然の崖にロッククライミングに行くまでになっていましたね。手の指も曲がるほどのめりこんで、自宅の部屋にクライミングの練習道具を設置するほど熱心でした(笑)。
また、夫婦そろって旅行に行ったり飲み歩いたりすることも多かったのですが、主人はお酒の銘柄にも凝っていました。退院したら私と一緒に飲もうと買ってくれていたウィスキーがあるのですが、これは、娘が20歳になったときに、2人で飲もうと思っています。それまで16年ありますが、大事に保管しておきます。
いろんなことを記録する几帳面な人で、手帳には私や娘へのメッセージも…。

「仕事の予定」や「日記」など、普段からいろんなことを記録していました。入院してからも、今日どんな処置をしたのかをびっくりするくらい細かく書いていました。あまり書いていないときは、治療がつらかったのだろうと思います。「退院したらやることリスト」も作っていて、一時退院したときには、リストに書いてあることをひとつずつ実行していましたね。本当にすごいですよね。
その手帳には私と娘への手書きのメッセージも残っていました。病院と自宅をつないで一緒にテレビを観たその日に書いたようなんです。あのとき、主人が「俺はまだ生きてる」と言っていたことが忘れられません。その一カ月後に亡くなったのですが、無念だったと思います。この手帳は、病院から荷物を持って帰る際に見つけて、涙しながら読みました。お酒と一緒に大切にしまっておきます。
こんなご葬儀でした

お式への要望
とにかく家に帰してあげたい。その気持ちが一番でした。
〇安置所ではなく、一度家に帰してあげたい。
〇大好きなハワイをイメージさせる祭壇にしたい。
実際のご葬儀
〇ご主人様のお体を、ご自宅に安置しました。
〇ご夫婦が毎年訪れていたハワイを彷彿とさせる、南国の雰囲気が漂う空間をデザインしました。
〇アイロン素材の祭壇に、色水を入れた花立、キャンドル、クリア素材の焼香台など、従来のお葬式とは異なる演出を行いました。
〇イリナのロールケーキタワーをご用意しました。
〇斎場入口には、ご夫婦の出会いのきっかけでもあるジャイアンツカラーのお花を飾りました。
〇ご主人様とご家族とのお写真も、入口に飾りました。
葬儀を終えての感想はいかがですか?
「一緒に、良い葬儀にしましょう」と私たちの希望することを全て実現してくださいました。

私たちの「こうしたい」を、花葬儀の皆さんが一丸となってやってくださいました。話をたくさん聞いて寄り添った提案をしてもらい、いろんなことがスムーズに決まってすごくありがたかったです。
葬儀後はお墓、位牌、仏壇のことや相続など必要な手続きの連絡をいただくこともあり、葬儀が終わったらおしまいではなく、「まだまだここから」ということも教えてくださいました。一緒に最後まで良いものにしていきましょう、という気持ちを感じましたね。家族葬を予定していましたが、「会社の方々も参列したいという思いがあるのでは?」という水野さんの提案で一般葬にしたのもよかったです。
葬儀後に真言宗智山派のお寺も紹介していただいたのですが、なんとそのお寺が私の小学校の時の同級生のご実家で!もしかしたら縁を大切にしていた主人が引き合わせてくれたのかもしれません。
また、洋花を使ってハワイのイメージでデザインした現代的な空間は、変な言い方かもしれませんが、楽しめる葬儀だったのではないかなと思います。参列してくれた友人たちは「佐藤(仮名)らしい」と言っていましたし、写真を見て思い出を懐かしんでもらえて嬉しかったです。
正直、祭壇の実物を見たときは「こんなに現代的なテイストで大丈夫かな」と少し不安だったのですが、親族も友人も喜んでくれたので、よかったなと改めて思います。
そして、なにより思い出のハワイを連想させる空間で主人を見送れたことが嬉しかったですね。「大好きな場所で第二の結婚式を挙げて、花に囲まれながらゆっくりと過ごせているんじゃないかな…」そんな風に主人のことを思いながら素敵な空間に浸ることができました。ありがとうございました。
エピソードとお写真、映像は、ご家族様のご許可をいただいて掲載しております。