明るい葬儀とは?前向きな見送りを叶えるアイデアや実例、注意点を解説
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- 【 葬儀・葬式の基礎知識 】
葬儀といえば「厳粛」「静寂」「悲しみ」というイメージが根強くありますが、近年ではそうした型にはまらない「明るい葬儀」が注目を集めています。故人様との思い出を大切にしつつも、ご家族や参列者が前向きな気持ちで見送れるような葬儀を希望する人が増えているのです。
本記事では、明るい葬儀が選ばれる理由や演出の工夫、後悔しないための注意点を詳しく解説します。明るいお見送りを希望している方は、ぜひ参考になさってください。
【もくじ】
1.明るい葬儀とは?特徴と選ばれる理由
まずは、「明るい葬儀」の特徴や、広がりつつある理由を見ていきましょう。
故人様らしさを大切にする新しい葬儀の形
明るい葬儀とは、厳粛さにとらわれず、故人様の人柄や生き方、ご家族の想いなどを尊重した、温かく前向きな雰囲気の葬儀スタイルを指します。
従来の葬儀は儀礼重視で厳粛な雰囲気が多く、悲しみに寄り添う形でした。一方、明るい葬儀では、故人様の趣味、好きな音楽、色などを取り入れ、その人らしい空間を演出します。
明るい葬儀は、単に笑顔を強制するわけではありません。悲しみに寄り添いつつ、会場全体に癒しや温もりを取り入れることで、「その人らしさ」を感じながら見送る時間を作ります。
明るい葬儀が増えてきた背景
明るい葬儀の広がりには、社会の変化や世代の移り変わりといった外的な要因が大きく関係しています。
とくに以下のような社会的背景がその後押しとなっています。
・高齢化社会の進行により、天寿を全うした方の見送りが増え、長寿をねぎらう温かい雰囲気が求められるようになった。
・終活やエンディングノートの普及によって、生前に自分の葬儀スタイルを決める人が増え、「明るく送ってほしい」という故人様の意向が伝わりやすくなった。
・少人数で行う葬儀が増加した結果、葬儀の空間づくりに自由度が生まれた。
故人様とご家族の想いを形に
「明るく前向きな見送り」という考え方の広がりには、ご家族や参列者の心理的な癒しや、感情の整理が重視され始めたことも深く関係しています。
「故人が明るい葬儀を望んでいた」「重苦しい葬儀は故人らしくない」という声は、弊社のお客様の中でも増えています。また、高齢のご親族や小さなお子様に配慮し、「重すぎない雰囲気にしたい」と希望するケースも多く見られます。悲しみの中にあっても、希望や前向きな気持ちを持てることから、明るい見送り方に共感が集まっているのです。
2.明るい葬儀にするための具体的な演出アイデア5選
では、実際に明るい葬儀にするために、どのような演出方法があるのでしょうか。ここでは、具体的な演出アイデアを5つご紹介します。
明るい色の花祭壇で空間に彩りを添える
明るい葬儀を印象づけるものとして、白木祭壇ではなく花祭壇を選ぶご家族が増えています。白木祭壇は仏式の伝統に沿った格式あるスタイルで、厳かな印象を与えるのが特徴です。一方、花祭壇は色とりどりの生花で構成され、やわらかな雰囲気を演出できる点が魅力です。
季節の旬の花や、故人様のイメージに合った花を使った花祭壇は、季節感とともに穏やかさを与えてくれます。花祭壇は、悲しみの中にあっても前向きさを具体的に表現できる演出方法の一つといえるでしょう。
故人が好きだった音楽を流して雰囲気を演出
会場の空気感に大きく影響するのが音楽です。BGMとして、故人様が好きだった曲やご家族との思い出の曲を流すことで、場がなごやかになります。流すタイミングを工夫すれば、思い出を振り返るきっかけにもなるでしょう。音楽は、心に寄り添う雰囲気づくりの重要な要素です。
写真や動画のスライドショーで思い出を共有する
葬儀の場で故人様の人生を振り返る手段として、スライドショーの上映があります。スライドショーで、故人様の笑顔やご家族との楽しい思い出の写真や動画を上映することにより、「悲しみ」よりも故人様への「感謝」や「敬意」を伝えられる明るい葬儀に近づきます。
故人の趣味や愛用品を祭壇まわりに飾る
故人様の趣味や思い出の品を祭壇まわりに飾ることで、ほのぼのとした空間になります。たとえば、故人様の愛用していた帽子、愛読書、手作りの作品などがあると、ご家族の故人様への温かな想いが伝わります。
自由な服装や会場レイアウトで堅苦しくない空間に
明るい雰囲気をつくるために、服装や会場のしつらえに少し自由さを取り入れるのもひとつの方法です。喪服ではなく「平服でお越しください」と案内することで、参列者が緊張せずに参加しやすくなります。また、式場の一角に思い出の品を飾ったメモリアルコーナーを設けるなど、堅苦しさを和らげる工夫も効果的です。
なお、宗教・宗派によっては、使用できる花の種類や飾り方、音楽演出、服装、式中の歓談などに制限があることがあります。そのような場合の演出の工夫については、「宗教・宗派のしきたりを踏まえた調整」にてご紹介します。
3.明るい葬儀で後悔しないために知っておきたい注意点
明るい葬儀を行うにあたって、後悔をしないために確認しておくべきポイントをご紹介します。
親族や年配者の理解を事前に得る
明るい葬儀を希望する場合、まず配慮したいのがご親族や年配の方々の考え方です。葬儀に対して伝統的な価値観を持つ方にとっては、花の色使いや音楽演出が戸惑いの原因になる可能性があります。
とくに年配の方は、「葬儀は厳粛に行うもの」という意識を根強く持っていることがあるため、あらかじめ葬儀のコンセプトや演出の意図について「故人様やご家族の想いを形にすることが目的」であることを説明し、理解を得ることが重要です。
宗教・宗派のしきたりを踏まえた調整
宗教儀式を伴う葬儀では、しきたりや進行があらかじめ決まっている場合があるため、希望する演出をする際には事前の確認と調整が欠かせません。
まずは僧侶や葬儀社スタッフに「故人の遺志で温かい雰囲気にしたい」と相談し、可能な範囲を確認しましょう。あらかじめ「こうした雰囲気にしたい」と伝えることで、無理のない範囲で調整してもらえる場合があります。
このほか、以下のような方法もあります。
●儀式とは別にカジュアルなお別れの場を設ける
例えば仏式や神式のような宗教葬であっても、宗教儀式をしっかりと執り行った後に、故人様の写真スライドを流す方法があります。
●「さりげなく」演出を取り入れる
淡い色合いの明るい花祭壇であれば、伝統的な葬儀であっても違和感なく受け入れられる場合が多くあります。音楽についても、読経や焼香といった宗教儀式の終わった後に故人様の好きだった音楽を流すことで、儀式の妨げにならず、場の緊張感を和らげることが可能です。
宗教葬を行うにあたっては、儀式の持つ意味合いを軽視せず、丁寧に向き合う姿勢が、関係者全員の納得感につながるでしょう。
明るさと品位のバランスを取るための葬儀社選び
明るい雰囲気を重視するあまり、演出のトーンが軽く見えてしまうのは避けたいところです。参列者の中には、「故人様への敬意が十分に感じられなかった」と受け取る人がいるかもしれません。
たとえば、故人様の個性を表現するために選んだBGMや装飾、あるいは親しみやすい司会進行であっても、その意図や背景が十分に伝わらない場合には、軽い葬儀に感じられてしまう場合もあります。
そのため、信頼できる葬儀社やプランナーに相談しながら進めることが、大切なポイントになります。経験豊富な葬儀社であれば、ご家族や故人様の想いをしっかりと理解し、豊富な経験から的確な提案をしてくれるでしょう。
4.実例紹介|明るい葬儀の事例と演出アイデア
ここまで、明るい葬儀についてご紹介してきましたが、実際にどのように行われているのでしょうか。ここでは、花葬儀でお手伝いした明るい葬儀の事例をもとに、演出アイデアをご紹介します。イメージづくりの参考にしてみてください。
明るく華やかな「ひまわり」で彩られたお別れ
ご家族の「暗い雰囲気にしたくない」という強い想いから、故人様のイメージである「ひまわり」をテーマに、黄色とオレンジを基調とした花祭壇がデザインされました。
式場には故人様が好きだった栗が飾られ、BGMには故人様がカラオケでよく歌っていた高橋真梨子さんの曲が選曲されるなど、オンリーワンの空間が創出されています。湯かんの際の「末期の水」も、故人様の大好物だったレモンサワーで行われ、細部にわたる故人様への愛情と個性が表現されました。
<お客様インタビュー>
お母様の思い出がたくさん詰まったお見送り
コーヒーと笑顔に包まれた、パーティーのようなお見送り
「人が集まるのが好きだった父を、パーティーのように明るく見送りたい」。そんなご家族の想いから実現した、無宗教葬の事例です。
空間デザイナーが故人様の人柄を丁寧にヒアリングし、「緑の中でコーヒーを楽しむお父様」をテーマに、木々も使った温かい花祭壇をデザイン。ほかにも、お気に入りの写真とコスモス畑の背景を合わせて作った遺影や、故人様のお好きだった「ローマの休日」のポスターを飾るなど、随所にその人柄が感じられる工夫を凝らしました。
葬儀を終えたご家族からは「明るく、華やかに父を送り出すことができ、その思い出は家族の財産になった」とのお言葉をいただいています。
<お客様インタビュー>
無宗教での家族葬は、まるでパーティーのようでした。
5.明るい葬儀に関するQ&A
A.どのようなお葬式にも言えることですが、準備や調整が不足していると、結果として「期待と違った」「失敗だった」と感じる場合があります。
たとえば、以下のような状況が考えられます。
・ご親族への説明が不十分で、「軽率な葬儀に見えた」と反発を受けた
・宗教儀式の進行との調整がうまくいかず、式の流れが乱れた
・想定していた雰囲気と実際の演出が合致せず、かえって違和感が残った
これらのケースでは、演出そのものが原因というよりも、事前の情報共有や調整の不足による誤解やズレが後悔につながっています。安心して希望を形にするためにも、経験豊富な葬儀社との連携が何より重要になるでしょう。
A.最も大切なのは、「故人様を大切に想う気持ちが参列者に伝わるかどうか」です。
たとえ一見、型破りに思える演出であっても、なぜそれを選んだのかという「理由」や「背景」を丁寧に説明する工夫があれば、それは故人様をしのぶ感動的な時間へと変わります。演出の内容が不安なときは、経験豊富な葬儀社に相談し、他の事例や参列者の受け止め方なども含めてアドバイスを受けるようにしましょう。
A.明るく温かい雰囲気のお見送りは、家族葬や一日葬はもちろん、他の様々な葬儀形式で取り入れることが可能です。
家族葬は、故人様との距離が近いご家族や親しい方々のみで行うため、形式よりも気持ちを重視した柔軟な演出が可能です。
また一日葬は、お通夜を行わず告別式から火葬までを一日で執り行う形式です。時間に限りはありますが、その中で故人様らしさを表現する演出を取り入れることもできます。
どのような葬儀形式であっても、「その人らしさ」を感じられる葬儀を行うことで、参列者にとっても心に温まる時間となるでしょう。
6.明るい葬儀で心に残る前向きなお見送りをしましょう
葬儀の形は、かつてのような「厳粛で悲しみに満ちた場」だけではなくなりつつあります。今では、故人様らしさやご家族の想いを反映させた、温かく前向きな見送り方として「明るい葬儀」を選ぶ方が増えています。
ただし、明るくしたいという想いがあっても、演出の加減や宗教との調和、ご親族の理解など、迷いや不安が生まれるのも自然なことです。そんなときこそ、実績のある葬儀社とじっくり相談しながら、自分たちに合った送り方を整えていくことが大切です。
花葬儀では、ご家族の想いを丁寧に伺いながら、花祭壇や演出のスタイルを含めて、さまざまな選択肢をご提案しています。費用や形式に関するご相談も承っておりますので、明るい葬儀にご興味のある方は、葬儀プランや費用の詳細ページもあわせてご覧ください。
大切な方を送り出す時間が、ご家族にとっても優しく穏やかな記憶となりますように──そんな想いを込めて、花葬儀はお手伝いしています。