ラストメイクとは？費用から流れ、ご遺族ができることまで解説
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- 【 葬儀・葬式の基礎知識 】
大切な方とのお別れの前に「ラストメイク」という言葉を耳にし、「具体的にどのようなものなのか」「本当に必要なのか」と、疑問を感じていらっしゃいませんか。ラストメイクは、故人様をその人らしいお姿に整え、ご遺族が心穏やかに最期の時間を過ごすための身支度です。
この記事では、ラストメイクの具体的な内容や流れ、費用相場など、お別れの前に知っておきたい情報を丁寧に解説します。悔いのない、心温まるお別れをするために、ぜひお役立てください。
1.ラストメイクとは？
「ラストメイク（死化粧）」とは、故人様のお顔やお身体を、メイクなどによって生前のような安らかで美しい状態に整えることを言います。この章では、ラストメイクの目的や、混同されがちな他の処置との違いについて、詳しく見ていきましょう。
ラストメイクの目的は「故人様の尊厳」と「ご遺族の心のケア」
ラストメイクの主な目的は、大きく分けて2つあります。一つは「故人様の尊厳を守ること」、そしてもう一つは「ご遺族の心理的な負担を軽くすること」です。
故人様を生前の穏やかなお姿に近づけることで、死の悲壮感を和らげ、ご遺族が安心して最期の時間をお過ごしいただけるようになります。
ラストメイクを検討する主なケース
葬儀を行う上で、ラストメイクは必ずしも必要ではありません。しかし、特に以下のような状況において、故人様とご遺族のために大きな意味を持つことがあります。
・長い闘病生活などで、お顔の印象が変わってしまった
・不慮の事故により傷を負ってしまった
・ご逝去からお通夜まで日数が空いてしまう
ラストメイクによって「ご遺族の記憶にある故人様の姿」に近づけることで、心残りなくお別れができる助けとなるでしょう。
エンゼルケア・湯かん・エンバーミングとの違い
故人様のお身体に行う処置には、ラストメイクの他にもいくつか種類があります。
●ラストメイク
・主な目的：外見を美しく整え、生前の穏やかさや個性を取り戻すこと。見た目を整える「仕上げ」としての意味合いが強い。
・内容：顔そり、お顔の補正、メイク、整髪など。
●エンゼルケア
・主な目的：病院などで行う基本的な死後処置・衛生措置。
・内容：医療器具の取り外しや体の清拭。依頼先によって、ラストメイクまでを行うこともある。
●湯かん
・主な目的：旅立ちの準備として体を洗い清めること。儀式的な役割が強い。
・内容：お身体やお顔の清拭、洗浄、洗髪など。
●エンバーミング
・主な目的：故人様のお身体の長期保存。
・内容：体内への薬剤注入による、防腐・殺菌・修復処置。
このように、それぞれの処置には目的や内容に違いがあります。具体的な費用については、「ラストメイクの費用相場」で詳しく解説します。
2.花葬儀がラストメイクをおすすめる理由
一般的にラストメイクは、葬儀プランのオプションとして扱われるため「省いても良いのでは」と迷われる方も少なくありません。
しかし弊社「花葬儀」は、数多くのお見送りに立ち会ってきた経験から、「ラストメイクは、費用をかけてでも行う価値がある」と強く確信しています。なぜなら、葬儀が終わった後、ご遺族の記憶に最も強く残るのは、「最後に声をかけた時の姿」だからです。「苦しそうだった」「痛そうだった」という記憶は、ご家族の心を長く締め付けかねません。
実際に弊社「花葬儀」には、「ラストメイクによって心残りなくお別れできた」との声が数多く寄せられています。
・小さなお孫様がおじい様とのお別れを怖がらないようにラストメイクを行い、お元気だった頃の姿で見送ることができた。
・闘病で表情が変わってしまったお母様に、愛用されていた口紅を使い、生前の美しい姿を取り戻した。
ラストメイクで安らかなお姿を取り戻すことは、ご遺族の悲しみを癒すグリーフケアにもなると私たちは考えています。プロのラストメイクを行ったご遺族の体験談は、以下もあわせてご覧ください。
【お客様インタビュー】孫たちにそばで見送ってもらい、父も喜んでいるでしょう。
https://www.hana-sougi.com/interview/48/
【お客様インタビュー】「最後までお母様らしい人生を」というご家族の願いを叶えるお見送り
https://www.hana-sougi.com/interview/68/
3.ラストメイクは誰が何をするの？具体的な内容と流れ
前章でお伝えしたような「ご遺族の心を癒やすお姿」を実現するためには、ご遺体の変化に対応する確かな技術が欠かせません。では、具体的にどのような人が、どのような処置を行うのでしょうか。ここでは、ラストメイクを担当する専門家や、ラストメイクで行う内容について解説します。
ラストメイクを担当するのは「納棺師」などの専門スタッフ
ラストメイクは、主に「納棺師」や、専門の研修を受けた葬儀社のスタッフが担当します。納棺師とは名前の通り、故人様を棺に納める「納棺の儀」を取り仕切る専門家です。ラストメイクは、この納棺の儀における重要な工程でもあります。
納棺師になるために資格は必須ではありませんが、多くの納棺師は厳しい研修を受け、高度な専門知識と技術を習得しています。故人様のお身体は時間の経過と共に状態が変化するため、その時々の状態に的確に対応できる専門家の知識と技術が、質の高いラストメイクに欠かせません。
ラストメイクの一般的な流れ
生前のお姿をできる限り再現するため、ラストメイクはご遺族のお話を伺いながら丁寧に進められます。ラストメイクを行う一般的な流れは、以下の通りです。
1.ヒアリング
ご遺族に、ラストメイクに関する希望を伺います。可能であれば、生前のお写真を準備いただくことをおすすめします。愛用していた化粧品があれば、この時に伝えるとよいでしょう。
2.お顔やお身体の清拭・保湿
お顔やお身体をきれいに拭き清め、乾燥を防ぐためにクリームなどで保湿します。
3.メイク
亡くなった方専用の化粧品を使い、自然な血色になるように肌の色を整えます。くぼんでしまった目元や痩せた頬をふっくらと見せるため、専門処置を行うこともあります。ご希望があれば、故人様が愛用されていた化粧品を使い、より生前の雰囲気に近づけることも可能です。
4.ヘアセット
その方らしい髪型にセットします。
5.着付け
一般的には死装束に着替えさせますが、故人が生前に愛用していた服を着せることも可能です。お身体が硬直している場合があるため、専門の技術で丁寧に着付けを行います。
6.最終確認
ご遺族に仕上がりを確認してもらい、完了となります。
4.ラストメイクの費用相場
ここでは、ラストメイクを依頼する際に多くの方が気になる費用について、詳しく見ていきましょう。
ラストメイクの費用は、依頼先によって、大きく異なります。病院で行われる簡易的なラストメイクの相場は、3千円から1万5千円です。内容は最低限の簡単な整容のみであることも多いため、注意が必要になります。
一方、葬儀社に依頼する本格的なラストメイクの費用相場は、おおむね5万円から9万円です。
一口にラストメイクと言っても、葬儀社によってメイクのみであったり、着付けや湯かんまで含まれたりなど、内容が異なります。また特別な修復処置が必要な際には、追加費用がかかることもあります。
後悔のないお別れのためにも、見積もりの段階で「どこまでのサービスが含まれるのか」をしっかり確認しましょう。
5.ラストメイクは家族でもできる？
「自分たちの手で、故人様の最期の身支度をしてあげたい」と考える方もいらっしゃるでしょう。ここでは、ご遺族がラストメイクを行うことは可能なのか、そして専門家に依頼する場合との違いは何かを解説します。
ご遺族がラストメイクに参加することは可能
ラストメイクに特別な資格は必要ないため、ご遺族がラストメイクの工程に参加することは可能です。実際に、「亡くなったお母さまに、生前使っていた化粧道具でメイクをしてあげたい」といったご要望も時折いただきます。
たとえば、以下のような形でご参加いただけます。
・故人様が愛用していた口紅をひいてあげる
・髪をとかしてあげる
・お気に入りだった靴下を履かせてあげる
・服のボタンを留めてあげる
感謝を伝えながらお世話をすることで、悲しみと向き合い、気持ちの整理をつけるかけがえのない時間となるでしょう。
専門家だからこそできることがある
ご遺族によるメイクが、故人様を想う「心のケア」であるのに対し、納棺師を始めとした専門家は、ご遺族だけでは困難なレベルの処置を行います。亡くなった方のお身体に起こる変化に対応し、生前の穏やかなお姿を復元するのが専門家の役割です。
特に、以下のような高度な処置はプロならではの処置と言えます。
●お顔の変化への対応
亡くなった方は時間の経過と共に、お口が開いてしまったり、頬がこけてしまったりすることがあります。専門家は、口に綿を含ませて頬をふっくらさせるなど、故人様の状態に合わせた処置で、自然な表情を復元します。
●肌の補正
亡くなった方の肌には、乾燥や変色が起こります。また、闘病の跡や不慮の事故による傷が残っていることも少なくありません。専門家は、まず保湿処置を施した上で、ご遺体専用のファンデーションやコンシーラーを使って肌の色を補正し、傷などを自然にカバーします。
過去には、ラストメイクで故人様のトレードマークだったあごひげを再現し、ご家族が明るくお別れされた事例もございます。
【お客様インタビュー】永遠にカッコいいパパに明るくお別れをしてあげたい。
https://www.hana-sougi.com/interview/88/
故人様のお身体の状態に心を奪われることなく、穏やかな姿と向き合えること。これが専門家に依頼する最大のメリットだと言えるでしょう。
6.ラストメイクを行うかどうかの判断基準
ここまで様々な情報をお伝えしましたが、最終的にラストメイクを行うかどうかは、ご遺族の想いによって決まります。判断に迷った際は、以下の2つの点を基準に考えてみてください。
「どのようなお姿で、故人様とお別れをしたいか」
「ご家族やご親族が、心穏やかに過ごせるか」
お顔が安らかであることは、お別れに集う方々の心の負担を軽くします。生前の元気だった頃のお顔で見送りたい、というお気持ちが少しでもあるなら、ラストメイクは大きな意味を持ちます。悩まれる場合は、一度葬儀社に相談してみるとよいでしょう。
7.ラストメイクに関するQ&A
A.はい、お化粧以外のことも、ラストメイクに含みます。
ラストメイクは、顔色を整えるメイクだけでなく、髪・爪のケア、そして着せ替えなどの身だしなみの整えまでを含む広いものです。お顔そり（男性の場合）や傷跡のカバーを行うこともあります。
ラストメイクは単なるお化粧ではなく、故人様らしいお姿に整えるための身支度全般とお考えください。ただし、どこまでの処置が含まれるかは依頼先によって異なりますので、事前に確認しましょう。
A.いいえ、そのようなことはありません。ラストメイクは性別を問わず、男性の故人様にも行っていただけます。
確かにラストメイクは、女性の故人様に行う割合が高い傾向にあります。ご遺族から「きれいな姿で送ってあげたい」というご要望が多いためです。しかし男性の故人様に対しても、髭剃りや整髪、保湿などの身だしなみケアは喜ばれます。
ラストメイクでは、痩せてしまったお顔をふっくらと見せたり、口を閉じたりといった、専門的な処置も行います。故人様らしさを大切にするために、性別に関わらず検討されることをおすすめします。
A.最も大きな違いは、湯かんが「お清めの儀式」であるのに対し、ラストメイクは「お姿を整える仕上げ」であるという点です。
湯かんは、専用の浴槽などを用いて全身を洗い清める、儀式的な処置です。ご生前お風呂が好きだった方や、長く入院されていた方のために選ばれることが多くあります。
一方、ラストメイクはお肌の色を整えたり、髪をセットしたりと、お顔や身なりの「仕上げ」に特化しています。湯かんを行う場合は、その後にラストメイクでお顔を整えるのが一般的な流れです。そのため、洗髪や顔そりなど、両方の工程で重なる処置もあります。
8.ラストメイクが叶える、ご遺族の心を癒やすお見送り
ラストメイクは、故人様の尊厳を守るだけでなく、ご遺族の悲しみを癒すことにもつながります。心温まるお見送りは、残されたご方々の支えとなるでしょう。
もし、心のこもったお別れの形を模索されているなら、私たち「花葬儀」がご提供するおくりびとの演出について、ぜひ一度ご覧ください。熟練の納棺師が、世界に一つだけのお別れのお手伝いをいたします。
