家族葬には参列しないほうがよい?参列しない場合にやるべきこと
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- 【 葬儀・葬式のマナー 】
近年、「家族葬」と呼ばれる形式の葬儀が増えています。その呼び名から、「故人様の家族でないと参列できないのか」「家族以外の人が弔意を伝えるにはどうすればよいのか」など、思うこともあるのではないでしょうか。今回は、家族葬の簡単な説明と、参列するにあたっての判断基準、弔意の伝え方などをご案内いたします。
1.家族葬とは
故人様のご家族を中心に、とくに関係の深い方々だけが参列する小規模の葬儀のことを、「家族葬」と呼びます。しかし、家族葬にハッキリとした定義があるわけではないため、故人様ととくに親しかったご友人など、ご家族以外の方が家族葬に参列することもあります。
また、家族葬には次のようなメリットがあります。
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・参列者が少ない分、食事代や返礼品などの変動費を抑えられる
・参列者を知り合いのみに絞れるため、リラックスした雰囲気で葬儀を営める
近年は新型コロナウィルスの感染拡大防止の観点上、大人数で集まることが難しいという事情も、家族葬が選ばれる大きな理由になっています。
2.家族葬には参列しても大丈夫?
参列者数を絞り、小さい規模で営む家族葬の場合、家族ではない方が参列してもよいのか迷うこともあるでしょう。ここでは、家族葬に参列する判断基準や、参列に迷ったときの対応についてご案内します。
参列するかどうかの判断基準
訃報を受けたとき、参列するかの基本的な判断基準は、「訃報の連絡時、葬儀を執り行う日時や会場の案内があるか」です。
日程や会場など、詳しい内容を教えてくれるのは、「参列してほしい」というご家族の気持ちのあらわれです。この場合は、参列しても問題ないでしょう。
一方、「家族葬で執り行うという内容だけ」「参列を控えてほしいという文言がある」などの場合、参列は遠慮すべきです。
家族葬は、わからずに参列すると失礼になることがあります。「家族葬を営む」ことがどういう意味なのか、理解することが大切です。
参列するかどうか迷ったら
さきほどお話ししたように、家族葬は、家族以外の人が参列してはいけないわけではありません。ですが、家族葬で執り行うということは、「少人数で故人様を見送りたい」または「このご時世、多くの人を呼ぶわけにいかない」という意思表示ともいえます。その意思をくみ取ることも一種のマナーです。
家族葬にどうしても参列したい場合は、ご家族に連絡をとり、参列してもよいか確認をとりましょう。断られた場合、無理な参列は禁物です。後日の弔問など別の方法で弔意を伝えることを考えましょう。
3.家族葬に参列しない場合にやるべきことは?
家族葬には参列できなくても、故人様に対する弔意は伝えたいと思うこともあるでしょう。その伝達方法はいろいろありますが、今回は「お香典」「供花、お供え物、弔電」「弔問」の3種類についてお話しします。
お香典について
訃報の連絡を受けたときに、家族葬を営むとともにお香典を辞退する旨を知らされた場合は、送らないようにしましょう。
大切にすべきことは、「ご自身の弔意を伝えること」とともに「ご家族の意向に寄り添うこと」です。ご自身の思いを優先し、無理を押し通すことは避けましょう。
なお、辞退の意思をとくに聞いていない場合は、基本的に送ってもかまいません。ただし、その場合でも、お香典を送ることについて事前の確認をとると、ご家族にとってもありがたいでしょう。
供花、お供え物、弔電について
お香典の辞退の意向を知らされた場合でも、供花やお供え物、弔電は受け取ってもらえるかもしれません。お送りする場合は、お通夜が始まる前に葬儀会場に届くように手配しましょう。
なお、お香典を辞退している場合、ご家族側は「お礼の商品選びや発送作業を省略したい」と考えていることもあります。このため、供花やお供え物を送るときは、『お返しは不要ですので、お気遣いなさらないでください』などと併せて伝えるとよいでしょう。
また、家族葬の場合、お香典だけでなく供花、お供え物、弔電も辞退されることがあります。その場合は、無理に送らないようにしましょう。
後日弔問する場合
葬儀に参列できなかったものの、弔意を伝えたい場合、後日ご自宅に弔問に伺うことを考えるかもしれません。ただし、アポイントなしでいきなり訪問するのはマナー違反です。
葬儀後、ご家族はいろいろな手続きに対応する必要があり、お忙しくされています。後日弔問する際は事前に連絡をとり、都合をかならず確認してからお伺いしましょう。
弔問のタイミングは「四十九日法要までに」といわれることもありますが、まず優先するのはご家族の都合です。そのご意向に沿っていれば、四十九日法要で線引きをする必要はないでしょう。
また、弔問のさい、故人様の思い出話が溢れてくるかもしれませんが、長居するとご家族の迷惑になってしまいます。ご家族への挨拶も含め、あまり多くの言葉を発する必要はありません。時間をかけすぎないように注意しましょう。
4.家族葬に参列しないケースに関するQ&A
A.葬儀の案内が来ている場合は、参列して問題ありません。
家族葬と聞くと、「近しい間柄の身内だけで行うもの」という印象を持つ方がいらっしゃるかもしれませんが、参列者の範囲に明確な定義はありません。誰をお呼びするかは、ご遺族の意向や故人様の生前の希望によって柔軟に決められます。
そのため、たとえ日頃あまり交流がなかったとしても案内が届いた場合は、「来てほしい」というお気持ちのあらわれと受け取り、遠慮せず参列してよいでしょう。
A.日持ちのするお菓子や飲み物、花などがおすすめです。
お供え物としてふさわしいものはいくつかありますが、宗教によっては合わないものもあるため注意が必要です。例えばロウソクや線香は仏教では一般的ですが、神道では使われないため、お供え物としては避けるべきとされています。
迷ったときは、宗教に関係なく贈ることのできる、お菓子や飲み物、お花などを選ぶとよいでしょう。
詳しくは「家族葬のお供え」でご紹介しておりますのでご覧ください。
A.やむを得ない理由で参列できない場合は、辞退しても失礼にはあたりません。
人の死は突然訪れることも多く、参列したい気持ちがあっても、仕事や家庭の事情などでどうしても都合がつかないことがあります。そんなときは、参列を辞退しても失礼にはあたりません。その際は、葬儀を欠席することと、参列できないことへのお詫びをなるべく早くご遺族に伝えましょう。
また、葬儀後は弔問にうかがう、お香典やお悔やみの手紙を送る、お墓参りをするなど、ご自身のできる形で丁寧に弔意を表すことも大切です。
5.まとめ
家族葬という小規模の葬儀を選ぶことには、それ相応の理由があります。そこからご家族の意向をくみ取り、どのように弔意を伝えるかが、なによりも大切です。
社会の変化で、大人数が集まることも難しくなってきた昨今、家族葬を選ぶ方はさらに増えることでしょう。だからこそ、訃報を受けた側も参列へのマナーを抑え、ご家族に寄り添う気持ちが必要です。それこそが、故人様やご家族に対する、最大の弔意になるのではないでしょうか。