自死された故人様の葬儀・家族葬について

自殺者の葬儀・家族葬

大切な方を自死で亡くしたご遺族は、突然のことで何も考えることが出来ないというのが正直な気持ちでしょう。しかしながら、短い期間の中で、葬儀・家族葬などで弔う方法について検討しなくてはならないというのも現実です。

そこで、今回はご家族を自死で亡くした場合、どのような葬儀を行えばよいのか、どんな点に気を付けるべきか、についてご紹介いたします。

1.自死された故人様の葬儀について

自死された方の葬儀

自死された故人様の葬儀は、ご状況によりイレギュラーな段取りで行うことが多く、気遣いが必要となります。

たとえば、ご遺族が自死であったことを公にしたくないと考えた場合、事情を知っている身内だけで「密葬のみで済ませる」あるいは「家族葬を行う」という選択をされる方が多いのですが、多くの方に故人様との最期のお別れに立ち会ってほしいという思いから、自死であることを明言せずに一般葬を選択されるご遺族もいます。このような場合は、ご遺族に対してだけでなく、参列者に対しても細かい配慮が必要となります。

また、ご遺体の検視や司法解剖を行うことになり、故人様が戻るのに何週間もの時間を要する場合には、ご遺体がない状態で「仮葬儀」を行い、ご遺体が戻ってから改めて「本葬儀」を行うというケースもあります。

自死であるから葬儀はこうしなくてはならない、ということはありませんが、悲しみの渦中で葬儀の準備を進めなければならないご遺族の状況を考えると、通常の葬儀・家族葬とは異なる気遣いが必要になるのも事実です。だからこそ、ご遺族の気持ちに寄り添いながら状況に合わせた臨機応変なご提案やサポートができる、自死された方の葬儀・家族葬の経験のある葬儀社にサポートしてもらうことをおすすめします。

2.自死された故人様の葬儀・家族葬の流れ

自殺者の葬儀の流れ

葬儀・家族葬の流れは、自死で亡くなった故人様を見送る場合と、病気や老衰で亡くなった人を見送る場合とでは異なります。前者の場合、ご遺族は心の整理がつかない状態でありながら、一般的な葬儀とは異なる流れに対応しなければならないため、心身ともに大きな負担となってしまうことでしょう。

万が一にでも、そのような状況に向き合わなくてはならなくなったときに少しでも参考になるように、ここでは自死の場合の葬儀・家族葬の流れについてご説明いたします。

ご臨終/警察等への連絡

自死されたご遺体を発見した場合、蘇生の可能性を考え、まずは救急車を呼ぶことが最優先の行動です。しかし、死後硬直が始まっているなど死後時間が経過している場合には、警察に連絡します。病死や自然死ではなく死因が分からない場合、警察は犯罪性がないかどうかを調べる「検視」をする必要があるからです。そのため、ご遺体やお亡くなりになった場所はそのままの状態にし、その場のものを動かしてはいけません。

この「検視」は、ご遺族であっても原則的に拒むことはできません。また、ご遺族は気持ちが整理されていない状況の中、この検視の一環として事情聴取を受けることになるので、何か疑われているようにも思えて精神的な負担になるかもしれません。しかし、この事情聴取は通常行われるもので疑いを向けられているわけではないので、出来るだけ気持ちを落ち着かせて、正確に事実を伝えましょう。

ご安置/打ち合わせ

自死されたご遺体の検視が行われる場合には、ご遺体は警察署の霊安室に安置されます。検視が行われている間は、ご遺族はご遺体を引き取ることが出来ません。期間は早くて半日、死因究明のために解剖を行う場合には1日~数日程度かかります。

万が一、犯罪性が疑われるようなときは司法解剖を行うため、もっと何週間も時間がかかることが予想されます。その間は、ご家族は葬儀・家族葬の打合せを始めたり、故人様のお部屋を片付けたりして過ごすことになるでしょう。

気持ちの切り替えが難しい状況にあると思いますが、ご遺体が戻ったらすぐに家族葬などの葬儀を行なう必要があるため、なるべく早い時点で葬儀のプロの力を借りて段取りを進めていくことをおすすめします。

なお、自死の場合の葬儀では、必ずしも参列者に自死であることを報告する必要はありません。自死であることを伏せて葬儀を行なうことも可能ですし、実際そのようにする方が多くいます。ご参列者に公表するかどうかはご遺族でご相談し、葬儀社との打ち合わせの際にその旨を伝えると、ご事情に合わせたサポートをしてくれるでしょう。

死化粧/エンバーミング

自死であるかどうかの検視が終わった後は、警察署からご自宅、または葬儀場などご遺体を安置する場所への搬送が必要になります。葬儀社に相談しておくと、このときの搬送車の手配や、必要に応じた処置を段取りしてくれるので安心でしょう。検視後のご遺体の状態によっては、安置所までの移動時に納棺が必要になる場合もあります。

また、ご遺体に何らかの損壊がある場合、死化粧だけでなく、エンバーミングというご遺体の修復を施すことも可能です。このエンバーミングは20万円前後の費用が掛かるものではありますが、家族葬などの葬儀の参列者がご遺体と対面したときに、死因を特定できないようにすることもできます。

また、何よりも故人様と最後に対面したお姿は参列者の記憶に残るものなので、生前のご本人に近い姿にすることで、ご遺族の心理的ストレスを緩和する、という効果もあるのです。エンバーミングを施すと、衛生的な問題はなくなるので、故人様に触れることも可能となります。

通夜、葬儀・告別式

自死された方の通夜や葬儀・告別式は、一般の葬儀と同じく打ち合わせした通り行われます。自死された方の葬儀・家族葬の場合、ポイントになるのは、「参列者に死因を報告するかどうか」という部分でしょう。一般葬で多くの方を葬儀にお招きする場合、完全に伏せたままにするのは難しいことですが、あえて口には出さずに葬儀を行なうというケースも多く見られます。

また、近親者のみで行う家族葬で行う場合には、外部の人に知られずに葬儀を行なうことも可能です。ご遺族のご要望に合わせて、手短に済ませることも、故人様との最後の時間をゆっくりと過ごすことも可能ですので、葬儀社に相談されるとよいでしょう。

なお、自死された方の葬儀・家族葬は、まだまだ心の整理が出来ていない状態でのお通夜、葬儀・告別式になるので、喪主様1人では荷が重すぎるかもしれません。可能であれば、葬儀社との打ち合わせはご遺族複数名で立ち会い、冷静に物事を判断しながら進めていくことをおすすめします。

葬儀後

家族葬などの葬儀後は、自死などの死因に関係なく各種保険や年金、銀行、住居等々に関する手続きが必要となります。心労が重なり気力のない時期で大変だとは思いますが、各種手続きには期限が設定されているものも多いので、いつまでにどのような手続きをしなくてはならないのかを把握しておくことをおすすめします。

花葬儀のホームページ内に諸手続きについてまとめております。
花葬儀/葬儀後の諸手続き
https://www.hana-sougi.com/first/protocol.html

また、貸家や集合住宅、その他交通機関等での自死だった場合、その場所や状況によっては損害賠償が発生することがあります。この場合には、ご遺族がその額を負担することになるため注意が必要です。場合によっては高額な損害賠償金を請求されることもあるため、ご遺族の支払い能力を超えるような値段を請求された場合には、速やかに警察や弁護士に相談しましょう。

そしてご遺族にとって、一番大切なことは気持ちを整理することです。ご家族の突然の自死は、心に影を落とし、気持ちの整理に時間が必要だといわれています。次項で詳しくご説明しますが、自分1人だけで抱え込まずに、他者に対して自分の気持ちを口に出してみるのも有効な方法です。遠慮せずに周りのサポートを受けながら、少しずつでも気持ちを整えていきましょう。

3.大切な人を亡くされた方に必要なグリーフケアとは

ご遺族のグリーフケア

突然大切な人を亡くしてしまうと、喪失感をはじめとする様々な感情から情緒が不安定な状態となるケースがほとんどです。さらにこの状態は、長期に渡って精神状態が変化していくプロセスを経て、精神面だけでなく、身体的な反応や行動、認知機能にも反応が出ることもあります。ご家族が自死された場合は、なおさらこのような状態に陥りやすくなります。

これらの状態、反応を英語で「Grief(グリーフ)」といい、「悲しみ」を意味します。このグリーフは、大切な人を亡くした場合、誰にでも起こり得る正常な反応で、心に大きな怪我を負ったような状態になります。目には見えませんが、傷ついた心の治癒には長い時間がかかるでしょう。

このようなご遺族の心を癒し、グリーフを乗り越える手助けや、見守るなどの行動の総称を「Grief Care(グリーフケア)」といいます。

大切な人との死別というのは、昔から人々が経験し、どうにか乗り越えてきたことではありますが、現代では、平均寿命の延伸、核家族化、個人主義の住環境などにより、昔と比べて社会からのサポートが受けづらい状況にあります。だからこそ近年は、グリーフケアの必要性が認識され始め、専門家も増えています。各自治体でも、誰もがグリーフケアのサポートが受けられるように、内容を充実させる動きが見られます。

もし、あなたが大切な方を自死などで亡くし、情緒不安定な状況を1人で抱え込んでいるならば、グリーフケアのサポートを受けることをおすすめします。ご自身に起こっている状況は、多くの方が経験する普通のことです。

他者に自分の感情を話すことで、楽になることもありますし、ご自身の心の状況が異常ではないことを知ることで回復を早めることができるかもしれません。たとえあなたの周りに話せる人がいなくても、自治体のグリーフケアや、似た経験を持つ人々が集まる自助グループの存在を利用して「人に話す」をしてみることをおすすめします。

4.参列するときのマナー・注意点は?

自死葬儀の参列マナー

急な訃報で詳しい事情が分からず、自死の可能性が想定される葬儀に参列するときのマナーや注意点をご紹介します。

ご遺族からの連絡があれば葬儀に参列する

自死で亡くなったことが想定される場合は、ご遺族からの連絡があるまでは、弔問やこちらからの連絡、質問は控えたほうがよいでしょう。死因が自死である場合、近親者のみで家族葬や密葬を選択するケースが多く見られるからです。

死因に関わるような質問や詮索は控える

家族葬などの葬儀に招かれた場合でも、ご遺族からの説明がない限りは死因に関わるような質問や詮索はしてはいけません。葬儀場でご友人等と顔を合わせても、想像の域を出ない噂話はやめましょう。差し出がましい行動は慎み、一般の葬儀・家族葬と同じようにご遺族への思いやりをもって弔問するのがマナーです。

ご遺族の気持ちに配慮する

お通夜の際には、故人様と対面する機会を持つことがあります。ご遺族から「顔を見てやってほしい」と促される場合は良いですが、そうでない場合、故人様との対面を希望することは控えなければなりません。

自死が死因であると、ご遺体に損傷がある可能性も考えられます。ご遺族が参列者に故人様の姿を見てもらいたくないという考えで、対面をすすめていないこともあるので、もし、どうしても最期に一目会いたいという場合には、葬儀社の担当者に尋ねてみることをおすすめします。

自死された場合、家族葬などの葬儀は、ご遺族だけでなく、故人様と親しくしていた方にとっても悲しくつらい時間になることと思います。しかし、弔問時はご遺族の気持ちに寄り添うことが優先です。大声で泣いたり、取り乱したりとご遺族の心の負担を大きくするような行動はできる限り控えたほうがよいでしょう。

5.まとめ

今回は自死された故人様の葬儀・家族葬をテーマに葬儀の流れや気を付けるべきポイント等をご紹介しました。

大切な方の自死は、予測できるようなものでもなく、だからこそ突然の事態にご遺族はパニックにも近い状態になられることもあるでしょう。そのような中で冷静に葬儀の準備をするということは簡単にはできることではありません。だからこそ、自死の葬儀経験のある葬儀社のサポートを受けることが大切です。

葬儀までの段取りや、その時にすべきことも、ご状況やご遺族のお考えにより異なります。葬儀経験が豊富な葬儀社であれば、故人様やご遺族のご状況に合わせて導いてくれることでしょう。

花葬儀では自死された故人様の葬儀・家族葬の経験もありますので、ご遺族の気持ちを察しながら、しっかりとサポートさせていただきます。自死という選択をした故人様であっても、悲しみ一色の葬儀ではなく、できるだけ故人様の生前お元気な頃の姿にフォーカスを当てて、故人様の笑顔を思い浮かべながらお別れの時間を過ごしていただけるようにサポートさせていただきます。

突然のことでどうすればよいのかわからない、とお困りでしたら、まずは花葬儀へご連絡ください。

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