針供養とは?意味や行う日、神社・自宅での供養方法をわかりやすく解説
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- 【 供養の基礎知識 】

「針供養とは何をする行事なの?」と疑問に思われる方は多いものです。針供養は、折れたり古くなった針に感謝を込めて供養する日本の伝統行事で、神社・寺院だけでなくご自宅でも行えます。
この記事では、針供養の意味、行われる日、供養の方法や注意点をわかりやすく解説します。神社・寺院だけでなく、自宅でできる針供養の具体的なやり方も紹介していますので、ぜひ参考にしてください。
【もくじ】
1.針供養とは

裁縫で使ってきた針が折れたり錆びたりしたとき、その働きに感謝して供養する行事を「針供養」といいます。
ここでは、針供養の目的や行われる日、由来についてご紹介します。
針供養の目的
針供養の目的は、日頃から裁縫を支えてくれる針へ感謝を示し、裁縫の上達や針仕事の無事を祈ることにあります。
普段は固い生地に向き合ってきた針を、供養の際には豆腐やこんにゃくといった柔らかいものに刺し、「お疲れさま」と労います。
針供養はいつ行うものなの
針供養を行う日はいつなのか、地域の違いや、どのような考え方で決まるのか、についてご紹介します。
針供養を行う日はいつ?地域で違う?
針供養は毎年、2月8日もしくは、12月8日に行われますが、この両日のことを古くから「事八日(ことようか)」と呼んでいます。
また、東日本は2月8日、西日本は12月8日に針供養を行うケースが多いようですが、神社や寺院によって方針が異なり、両日行うところもあるようです。
事八日(ことようか)とは?
事八日とは、12月8日と2月8日の総称で、これらの2つの日のうちどちらかの日を「事始め(ことはじめ)」、もう一方の日を「事納め(ことおさめ)」とし一年間の区切りをつけ、お世話になった道具に感謝するという風習があります。
地域によって、この2日間のどちらを「事始め」「事納め」とするかは異なり、12月8日を「正月行事の準備を始める日」とみて事始めとする地域もあれば、2月8日を「農作業や人々の仕事が始まる日」とみて事始めとする地域もあります。
いずれにしても、一年間お世話になった道具に感謝する日とされており、針供養もその一つとして受け継がれてきました。
針供養の由来
針供養の由来は諸説ありますが、一つには、中国古来の農耕祭礼「社日(しゃにち)」において、針仕事を休み、土地の神に感謝を捧げる習慣があったとされ、この風習が9世紀頃に中国から日本に伝わったといわれています。9世紀、日本の平安時代に、当時の清和天皇によって、京都西京区の法輪寺に針を納める堂が建立されたことが、日本での針供養の起源であるようです。
針供養は、裁縫道具に感謝を示す「道具供養」文化の一つとして全国に広がり、江戸時代には一般庶民にも広く定着しました。古くから針仕事は女性の貴重な仕事であり、針は大切な道具とされてきました。その仕事を支え、役目を果たした針に感謝の気持ちをもって供養するようになったのです。
現在は、裁縫を人々に伝えたといわれる少彦名命(すくなひこなのみこと/淡島神)が祀られている淡嶋神社や、淡島堂がある神社をはじめとする各地の神社・寺院などで、針供養が行われています。
2.針供養の方法1/神社・寺院に納める

針供養の方法は、いくつかあります。ここでは針供養の方法の一つ、「神社・寺院に納める」場合についてご紹介します。
神社・寺院に針を持って行く
針供養を行っている神社・寺院では、畳業者や裁縫関係の会社など「裁縫の針を専門に扱う人」以外に、一般の方も自由に参拝し針の供養をしてもらうことができます。
供養の方法は神社・寺院によって異なりますが、一般的な針供養では、豆腐やこんにゃくなどの柔らかいものに針を刺し、感謝の気持ちを込めて奉納します。寺院で行われる場合には、針を針供養塔や納針箱に収め、僧侶による読経とともに供養が進められることもあります。
当日は、供養をしてもらう針を持参しますが、神社、または寺院ごとに針に刺す本数が決められていることがあるため、事前に確認しておくとよいでしょう。また、所定の場所に納めるだけの方法がとられることもあるので、供養のやり方はその神社・寺院の方針に従います。
本殿で祈祷を受ける
神社や寺院に用意された豆腐、またはこんにゃくに針を刺して自由に参拝する方法の他に、初穂料を納めて、神社や寺院の本殿で祈祷を受ける方法があります。個別に祈祷することで、より丁重な供養になることでしょう。
なお、針供養の開催日以外でも、個別に祈祷してもらえることもあります。
郵送で受け付けるところもある
寺社によっては、針供養の日程にあわせて古針を郵送し、供養してもらえるところもあります。
初穂料の送金が必要となることや、針供養の日程(2月8日なのか、12月8日なのか)により、郵送期限が決まっていることもあるため、必ず事前に正確な情報を調べてから郵送することをおすすめします。
3.針供養の方法2/自分で自宅にて行う

針供養の方法は、「神社・寺院に納める」方法だけでなく、自宅で行うことも可能です。詳細についてご紹介しましょう。
「事八日」に行う
自宅で針供養を行う場合も、「事八日」の事始めとする12月8日もしくは、2月8日に行います。
必要なものはこんにゃくや豆腐
自宅で針供養を行う場合にも豆腐、またはこんにゃくを用意しましょう。
地域によっては、豆腐やこんにゃくではなく、餅に針を刺して供養する、というところもあります。
これら以外には、使い古した針、白い紙(半紙など)を用意します。
具体的なやり方は?
針供養の具体的なやり方をご紹介します。
- 1.用意した豆腐、またはこんにゃくをお皿に乗せます。
- 2.使い古しの針を、これまで生地に何度も糸を通してきたことに感謝の気持ちをもって、豆腐、またはこんにゃくに刺します。
- 3.自宅に神棚、または仏壇がある場合には、針を刺した豆腐、またはこんにゃくを置いて手を合わせます。
針と豆腐(こんにゃく)の処分方法
一通りの供養を済ませたら、針を刺した豆腐、またはこんにゃくを処分します。ここではその処分方法を詳しくご説明します。
自宅の庭などに埋める
自宅の庭など、他者に迷惑がかからない場所がある場合には、針を豆腐、またはこんにゃくに深く刺し込んでから土に埋めます。針は長い時間をかけて錆び、土に還りますが、人が掘り返したり歩いたりしない、危険がない場所を選んで埋めましょう。
自治体の方法にのっとって処分する
供養後の針をごみとして処分したい場合には、自治体の規定に従って処理しましょう。ほとんどの自治体では、不燃ごみとして分別し、新聞紙などに包んでから「針 危険」などと表示して捨てるルールとなっていますが、詳細は自治体により異なります。
必ずお住まいの自治体に確認してから針を処分することをおすすめします。
神社に納める
処分の仕方がよく分からない、場合などには、針供養を行っている神社に持ち込むとよいでしょう。自宅で丁寧に供養をした後に、針供養を行っている神社や寺院に白い紙(半紙など)に包んで持っていくと、改めて供養してもらえます。
川や海に流す風習もあったが、現在はNG
昔、地域によっては、供養した針を川に流したり、紙に包んで海に流したりすることが一般的な処分方法とされていました。しかし、現在では環境への負荷や水中生物への危険性が指摘されており、この方法は行われていません。川や海へ流す方法は避け、必ず神社へ納めるか、自治体のルールに沿って処分しましょう。
手芸や裁縫に親しむ方にとって、針は日々の暮らしを支えてくれる大切な道具です。感謝の気持ちを込めることができれば、自宅での針供養でも十分に供養としての意味を持つでしょう。
4.針供養の方法3/裁縫道具店に依頼する

裁縫道具を取り扱うお店によっては、時期に関係なく、使い古した針の回収箱を設置しているところがあります。回収された針は、「針供養を行う神社、または寺院に送り供養してもらっている」という店舗もあるので、裁縫道具店に依頼するのも一つの方法です。
5.針供養の方法4/裁縫などを学ぶ専門学校などの行事に参加する

裁縫を学ぶ専門学校などでは、本格的に針供養を恒例行事として催しているところがあります。団体により日程や供養方法は異なりますが、一般の人も自由に参加できることが多いようです。インターネットで検索すると、針供養の参加を受け付けているところを見つけやすいので、針供養をお考えの際には調べてみるとよいでしょう。
例えば、「織田きもの専門学校(東京都中野区)」では、校内ホールに祭壇を設け、大きな豆腐を用意し、神主を招いて本格的な供養を行っているようです。
6.針供養を行う有名な神社・寺院

日本全国各地には、針供養を行う有名な神社・寺院が複数あります。代表的な神社・寺院をご紹介しましょう。
東日本で針供養ができる神社・寺院
東日本における針供養を行う有名な神社・寺院は以下のとおりです。
浅草寺 / せんそうじ(東京都台東区)
東京で針供養といえば、浅草寺淡島堂が有名です。淡島神を祀る淡島堂が建立されており、江戸時代、女性の守り神である淡島明神の功徳を伝えて歩いた「淡島願人(あわしまがんにん)」と呼ばれる人々の影響を受け、針供養の習慣が盛んになったと伝えられています。
浅草寺では、毎年2月8日、大東京和服裁縫教師会の会員の針を中心に供養が営まれますが、近隣の裁縫仕事をする人や一般のご信徒も、折れたり錆びたりした針を持ち寄り、針供養をすることができます。また、魂針供養之塔前での法要や金龍講による御詠歌の奉詠などで賑わいを見せることでも有名です。
2月8日針供養当日は、「淡島堂の香炉前」と「魂針供養之塔の前」の2箇所に、大きな豆腐が置かれており、持参した古針や折れた針を自分で刺します。裁縫用の針に限り、ひとり2〜3本まで持ち寄ることができます。
荏柄天神社 / えがらてんじんじゃ(神奈川県鎌倉市)
荏柄天神社でも毎年2月8日に針供養が行われます。賽銭箱前に、三方に乗せられた特注の豆腐が置かれます。古い針を持参し、ご自身で自由に刺して供養することができ、この場合、初穂料は志納(志に見合った額)とされています。また、初穂料3,000円を納めることで、特別祈祷をしてもらうことも可能です。
また、針供養の針の種類や本数に制限はありませんが、当日ご自身で豆腐に指すのは一人1本と定められています。
正受院 / しょうじゅいん(東京都新宿区)
新宿2丁目にある正受院は、正式には明了山正受院願光寺といい、浄土宗のお寺で境内に奪衣婆像があることで広く知られています。昭和32年に東京和装裁縫協同組合が境内に建立されたことを起源に、毎年2月8日に盛大に針供養祭が行われます。
針供養では、まずは本堂で物故者法要を行い、本堂や針塚、奪衣婆像に甘酒をお供えし、本堂前の斎場で「納針の義」が行われます。納針の儀を終えると、奪衣婆尊を小さくした像をお厨子に祀り、装束をきた女性がそれを担ぎ、僧侶とともにお寺を一周します(花御堂行列)。
和裁を習う女性もお供えを持って行列に加わり、針塚にお供えし、本堂で大法要を行うという段取りで行われます。
西日本で針供養ができる神社・寺院
西日本における針供養を行う有名な神社や寺院は以下です。
淡嶋神社 / あわしまじんじゃ(和歌山県和歌山市)
淡嶋神社は、淡島神社・粟島神社・淡路神社の総本社であり、その系統の神社は日本国内に約1,000社余りあるとされています。
前述しましたが、淡嶋神社には裁縫を人に伝えたとされる少彦名命(すくなひこなのみこと)が祀られており、針供養を行う神社としても有名です。境内には針塚が建てられています。
淡嶋神社の針供養は、西日本ではありますが、毎年2月8日に行われます。
法輪寺 / ほうりんじ (京都市西京区)
法輪寺は、「嵯峨の虚空像(こくぞう)さん」という愛称をもち、芸事や手芸の上達にご利益があるとされる仏教寺院です。
法輪寺の針供養は、毎年2月8日と12月8日に行われます。1100年以上昔に天皇の命により皇室で使用された針を供養したことが起源とされ、現在でも毎年12月の針供養では皇室から預かった針の供養をしています。
法輪寺の針供養の流れは、まずは本堂で僧侶による読経が行われ、その後、日本舞踊「織姫の舞」が奉納されます。舞踊の奉納後は、僧侶の読経する中、訪れたご信徒が糸のついた30cm程の大きな針を、厚さ20cmもある大きなこんにゃくに刺して供養をします。
本堂の前には、古い針を納める箱が設置されるため、一般の方の使えなくなった針の供養も可能です。
幡枝八幡宮 / はたえだはちまんぐう(京都市左京区)
幡枝八幡宮は894年に建祀されたとされ、当時は「王子山八幡宮(おうじやまはちまんぐう)と呼ばれていました。境内には末社として針神社があり、金属技工や刀剣、針の守護神として金山彦神が祀られています。
幡枝八幡宮の針供養は、毎年12月8日に行われます。針を供養する法要が行われた後、参列者は針神社前に用意されたこんにゃくに使い古した針を刺し、感謝と技芸上達を祈願します。
7.針供養を行う際に注意すること

針供養を行う際は、下記について注意しましょう。
- ・神社や寺院に針供養を依頼する際には、2月8日、12月8日のどちらに行われるのか、事前に日程を確認しておきます。
- ・寺社により、豆腐、またはこんにゃくに針を刺し、自由に参拝できるところもありますが、納める針の本数に制限がある、用意された回収箱に納めるだけのこともあるため、作法についても事前に下調べしておきます。
- ・針供養で供養できるのは、基本的に裁縫用の針のみで、釣り針や注射針は対象外です。
- ・自宅で針供養を行う際には、針の処分方法に気を付けましょう。自宅以外の場所に埋めると、不法投棄となる場合があります。
8.針供養はやったほうがいいの?

針供養は、前述の通り、今まで幾度となく生地を縫ってきてくれた針への感謝の気持ちと、自分自身の針仕事の上達を願う意味で行います。
人間や動物の供養とは異なりますが、「物を大切にする気持ちを思い出させてくれる行い」であり、使い古した針があれば針供養を選ぶことには十分な意味があります。
使い捨てのものも多い現代ですが、SDGs(持続可能な開発目標)の浸透によって「物を長く大切に使う」という考え方が見直されつつあります。針供養はSDGsと直接的な関連があるわけではありませんが、道具への感謝や資源を大切にする姿勢を育む点で、現代的にも価値のある行いといえるでしょう。
9.針供養以外の「物」の供養

日本では、針供養以外にもさまざまな「物」の供養が行われています。代表的なものとしては、遺品供養、眼鏡供養、刃物供養、人形供養、靴供養などがあります。
いずれも物への感謝を形にするための行事で、供養の方法や日程は神社や寺院によって異なります。詳しい内容は、各寺社へ事前に確認すると安心です。
10.針供養に関するQ&A
A.針供養では、基本的に裁縫用の針を供養対象とし、注射針や医療用器具、釣り針などは衛生上・安全上の理由から受け付けていない神社・寺院がほとんどです。
これらは針供養とは別の扱いとなるため、自治体の廃棄ルールに従う必要があります。
また、裁縫関連の道具であっても、ハサミやリッパーなどの大きな器具は対象外の場合が多いため、供養を希望する際は事前に各神社・寺院へ確認しましょう。
A.自宅で針供養を行う場合は、豆腐やこんにゃくを用意するだけでなく、供養に使った針の処分方法に特に注意が必要です。
供養後の針を誤って可燃ごみに入れてしまうと事故につながる可能性があります。自治体のルールに従い、不燃ごみとして新聞紙などに包んで明記して出すか、供養を受け付けている神社・寺院に納めると安心です。
A.作業は必ず大人が主導し、豆腐やこんにゃくに針を刺す瞬間はお子さまの手を針から離して見守りましょう。
また、針供養とは感謝の気持ちを形にする行為であることを一緒に話しながら進めると、より深い学びになります。供養後の針の処分も、大人が責任をもって安全に行うことが大切です。
11.針供養などの伝統行事を通じて「物への感謝の思い」を考えよう

針供養とは、古くから続く日本の伝統行事であり、折れた針や使えなくなった針に感謝をささげる大切な習わしです。特に事八日(2月8日・12月8日)は多くの地域で針供養の日とされ、神社や寺院、ご家庭において、それぞれの方法で供養が行われます。
必要なものは簡単に手に入り、必要以上の物が溢れかえる現代ですが、昔から続いている日本の美しい文化や風習がこの先も継承され続けることにより、自分達の生活を見直し、資源や環境を守る人が増えることにもつながるかもしれません。
これをきっかけに、家族や身近な友人と、「物に感謝する」「物を大切にする」という考え方について、話し合ってみてはいかがでしょうか。
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