喪中の正月飾りはNG?門松、しめ縄、鏡餅を飾っていい場合も解説

喪中の正月飾りはNG?門松、しめ縄、鏡餅を飾っていい場合も解説

「喪中に正月飾りを飾ってもよいの?」という疑問の声は、年末が近づくにつれ聞こえてきます。正月飾りはお正月の伝統行事の一つですが、喪中の際にはマナーに則した対応をしたいものです。

そこで今回は、喪中の正月飾りは問題ないのか、さらに具体的に門松、しめ縄、鏡餅を飾ってもよいケースはあるのか?などについてお答えします。

毎年の癖で正月飾りを買ってしまった人や、「大切な人を亡くし、少しでも明るい気持ちになりたい」という思いから購入を考えている人などは特に、喪中の正月飾りが問題ないかどうか、気になっているのではないでしょうか。

お悩みの方はぜひ最後までご一読ください。

1.正月飾りとは?

正月飾りとは?

正月飾りとは、年神様(その年を司る神様)をお迎えするために、年末年始にかけて飾るものを指します。

この正月飾りの中で代表的なものが、「門松」「しめ飾り(しめ縄)」「鏡餅」の3点です。年末の大掃除の後にこれらを飾ることによって年神様を自宅に招き、新しい年の無病息災や幸福を願います。現在は住宅事情や生活環境の多様化によって、飾る家が少なくなっていますが、正月飾りは、古くから日本で親しまれてきた大切な風習です。

また、正月飾りは、大掃除を終えた12月28日を目安に飾り、片付けるのは関東では1月7日、関西では1月15日と、地域によって異なります。12月29日と12月31日は正月飾りを飾ってはいけないといわれており、これは、29という数字が「二重苦」を連想させてしまうこと、31日(大晦日)に飾ると「一夜飾り」になってしまうことからきています。

一夜飾りが忌避される理由としては、「通夜から葬儀までの時間と似ていて縁起が悪い」「神様をお迎えする準備を慌てて行ったようで神様に失礼」などの説があるようです。

2.正月飾りの種類と意味は?

正月飾りには「門松」「しめ飾り」「鏡餅」の3種類があります。ここでは、それぞれの意味について詳しく解説します。

門松の意味

門松には、「年神様を家に迎えるときの目印」「家に邪気を入れない」という役割があります。

門松に使われるのは主に松と竹です。松は「祀(まつ)る」の言葉に似ていて、神様を祀る木としてふさわしいこと、また、1年中、葉が生い茂ることから生命力の象徴とされています。

竹は、成長が早くまっすぐ伸びることから健康と長寿の象徴とされており、どちらもお正月にふさわしい縁起のよい植物です。

門松は外玄関の脇に左右一対となるように飾るのが一般的ですが、集合住宅が玄関の外に物を置くことを禁止していたり、玄関の外に十分なスペースを確保できなかったりした場合は、玄関の内側に飾っても問題ありません。

しめ飾り(しめ縄)の意味

「しめ飾り(しめ縄)」は、年神様を迎え入れる家を清浄にし、さらに家が清浄な場所であることを示すために玄関の扉の上や、裏口の高いところなどに飾られます。神様は清らかな場所を好むため、家の中が不浄のままでは入ることができません。そのため、しめ飾りが聖域と現世と境界である結界の役目を果たし、家の内側を清浄な場所にすると考えられているのです。

また、神様が家の中に入る際に、しめ飾りの下をくぐることによって、厄災をはらう効果があるともいわれています。

しめ飾りには用途や地域ごとにさまざまな形がありますが、一般的にはしめ縄に、紙垂(しで)という白い紙や、裏白(うらじろ:シダの別名)、ゆずり葉をはじめとした縁起物がついているのが特徴です。

鏡餅の意味

「鏡餅」は、神様に捧げるためのお供え物です。半紙を敷いた三方(さんぽう)と呼ばれる台に、大小異なる2つの餅を重ね、その上にみかんや橙(だいだい)を置くのが一般的なスタイルです。

鏡餅の丸い形は、神様が宿ると伝えられている三種の神器の一つ「八咫鏡(やたのかがみ)」を見立てたもので、お正月に鏡餅を飾っておくと鏡餅の中に年神様が宿ると考えられています。複数置くことができるため、神棚、床の間、家族の集まるリビングなど、神様に来てほしいところに飾るのがよいでしょう。

正月明けの1月11日ごろに鏡開きをして餅を割り、年神様を見送ってから食すことで、中に残っている神様の力を分けていただこうとする風習は今も広く残っています。

3.喪中の正月飾りは基本的に控える

喪中の正月飾りは基本的に控える

年神様を迎え入れるために飾るのが正月飾りだとご説明しました。では、喪中に正月飾りを飾ってもよいのでしょうか?

答えは、「基本的に控えたほうがよい」です。

門松、しめ飾り、鏡餅といった正月飾りは、神道の習慣からきています。神道では、死を穢(けが)れと捉え、家族を亡くして間もないご遺族にはこの穢れがついていると考えられています。穢れがついている間は神様の元を訪れたり、神様を家に招いたりするのはタブーとされているのです。

穢れの強さは期間で異なり、忌明け(仏教では故人様の命日から49日目、神道では50日目の供養を終えたタイミング)であれば、喪中でも正月飾りを飾ってもよいという考えもあります。しかし、喪中の間はお祝い事を控え静かに過ごすのが一般的ですから、新しい年をお祝いするお正月に、正月飾りを飾ることは控えたほうが無難でしょう。

※喪中や忌中期間中のお正月の過ごし方については、こちらの記事が参考になります。

4.喪中に正月飾りを飾るケースは?

喪中に正月飾りを飾るケースは?

前述のように、一般的に、喪中の間に正月飾りを飾ることは控えた方がよいとされています。ただし、地域や各家庭の考え方によっては、忌中でなければ飾っても差し支えないとするケースもあります。

ここでは、喪中であっても正月飾りを飾る具体的なケースについてご紹介します。

営んでいる会社(事務所)に飾るケース

自宅ではなく、経営している会社の事務所やお店に正月飾りを飾ることは問題ありません。これは、喪中であるという個人的な事情と、経営者としての立場を切り離して考えているからです。

一方で、家族経営の小規模な事業では、公私を分けて考えるのが難しいことから、自宅と事業所どちらにも正月飾りを置かないということもあります。ケースバイケースで考えるとよいでしょう。

ご家族で話し合って決めたケース

ご家族内で話し合って意見がまとまるのであれば、喪中でも自宅に正月飾りを飾ることはできます。「故人様がおめでたいことが好きだった」など特別な理由や事情がある場合には、各家庭で判断しても差し支えないでしょう。

ただし、近所の人がこちらの喪中を知っている場合は注意が必要です。喪中に正月飾りは絶対NGではないと説明しましたが、控えたほうがよいというのが通説です。そのため、「喪中なのに正月飾りを飾るなんて非常識だ」と思われる可能性も考慮し、外に向けては飾らないなどの工夫をすることをおすすめします。

忌明け後は問題ないと判断した場合

先述したように、「死による穢れの強さ」は忌中と喪中で異なります。穢れが最も強いとされる忌中を終え、忌明けを迎えている喪中であれば問題ないと考える人もいます。

忌明け後に正月飾りを飾りたいときは、周りの意見をよく確認してから判断しましょう。

2親等以内でも故人様との関係性が深くない場合

喪中の範囲は、故人様から見て2親等までです。しかし、故人様との関係が深くない場合は、2親等以内であっても新年をお祝いするために、年賀状を出したりおせちを食べたりすることがあります。

故人様との関係を考え家族内で話し合った結果、新年をお祝いしたい気持ちがあるのであれば、正月飾りを飾ってもよいでしょう。

5.喪中は1年間とは限らない

「喪中期間は必ずしも1年間ではない」ということをご存じでしょうか?
正月飾りを飾るかどうかを決める前に、本当に自分が喪中期間内なのかを確認することから始めましょう。

喪中の期間は故人様との関係性によって決まる

喪中を1年間と考えている人も多いかもしれませんが、故人様との関係性によって、喪中期間は異なります。正確な喪中期間は、故人様から見た「親等」と「続柄」から知ることができるため、次項の「喪中の範囲と期間の早見表」で確認しましょう。

なお、親等とは、法律上の親族関係の近さを表す単位のことで、喪中に該当するのは「0親等」「1親等」「2親等」です。例えば0親等は故人様の配偶者(続柄)、1親等は故人様の両親などが該当します。

「喪中の範囲と期間の早見表」で新年が喪中かどうかの確認を

自分の喪中期間がいつまでなのかが分からないという方は、こちらの「喪中の範囲と期間の早見表」から確認し、参考になさってください。

【故人様を基準とした喪中の範囲と期間の早見表】

親等 続柄 期間
0親等 夫・妻 12~13ヵ月
1親等 父母・義父母 12~13ヵ月
1親等 子ども 3~12ヵ月
2親等 祖父母 3~6ヵ月
2親等 兄弟・姉妹 1~6ヵ月
2親等 1~6ヵ月
3親等 曾祖父母・伯叔父母 喪中ではない

上記はあくまで目安であり、法的な決まりではありません。喪明けを迎えていても、新年を祝う気持ちになれない場合は無理に正月飾りを飾る必要はなく、逆に、喪中期間内であっても故人様との関係性が薄い場合は、正月飾りを飾るという選択肢もあるでしょう。

6.喪中の正月飾りに関するQ&A

A.「正月花」でなければ問題ありません。

正月花とは、松、マム(菊)、南天、梅などのことをいいます。正月花はお正月に飾ると縁起がよいとされますが、一般的に喪中にはふさわしくない花といわれています。

また、仏壇にお花をあげる目的は、お祝いではなく供養ですから、その他の花を供えるのは差し支えありません。喪中のお正月でも普段通りにお花を供えることができます。

A.交換するかどうかは、ケースバイケースで判断しましょう
神棚のしめ縄は、年末に神棚の掃除をした後に新しいものと交換します。しかし、忌中は神様に穢れを見せないように神棚封じをしているため、しめ縄の交換は行えない、という考え方が一般的です。

ただし、忌明けを迎えた喪中であればお正月にしめ縄を新調してもよいという考え方もあります。

正解がないため、喪中のお正月に神棚のしめ縄を交換するかどうかは、お世話になっている神社や地域、家族と相談した上で決めましょう。

ちなみに、神棚の「しめ縄」は、神様が宿る清浄・神聖な場所であることを示すものですから、玄関や裏口などにさげる正月飾りのしめ飾り(しめ縄飾り)とは意味が異なります。

A.通常と同じ方法で処分するのがベストです

正月飾りを、その年に使った・使わなかったに関わらず、翌年も使いまわすのは神様に失礼であるため処分しましょう。正月飾りを買った後に喪中となってしまった場合も通常と同じ方法で処分します。

近隣の神社などで開かれる、使い終わった正月飾りを焼くための「どんど焼き」に持っていくか、自治体のルールに従ってゴミとして処分しましょう。

7.喪中は正月飾りではなく故人様にお供えをしましょう

喪中のお正月では、基本的に正月飾りを飾るのを控えます。

「正月飾りがなくて寂しい気持ちになる」という場合は、故人様に思いを馳せる時間を、いつも以上に多くとってみてはいかがでしょうか。ご仏前に、故人様がお好きだった食事や思い出の品、お花などをたくさんお供えし、故人様の思い出話に花を咲かせることで、きっと穏やかなお正月を過ごすことができるでしょう。

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