お供物料とお供え物|法事に持って行くのはどっち?

お供物料とお供え物|法事に持って行くのはどっち?

「お供物料」と「お供え物」、法事に持って行くのはどちらなのでしょうか。

故人様が亡くなったあとには、節目ごとに法事が行われるのが一般的で、故人様の冥福を祈るための儀式(法要)が行われ、法要のあとには会食の席が設けられます。

故人様がご親族や親しい関係の方であった場合には、法事や法要の席に招かれることもあるでしょう。法事・法要に招かれたときには、お供物料とお供え物のどちらを持参すべきか悩まれる方も多いと思います。

そこで今回は、法事・法要で持って行くのは、お供物料なのか、お供え物なのか、また、お供物料の相場や不祝儀袋の選び方、お供物料やお供え物に関するマナーについても解説します。

1.お供物料とは?

お供物料(おくもつりょう)とは、何を意味するのでしょうか。お香典と同じようにも思われますが、似て非なるものです。

お供え物の代わりに渡すお金

お供物料とは、お線香やお花、お菓子などのお供え物の代わりに、お供えとしてお渡しする「お金」のことです。

お香典とお供物料の違いは?

お供物料は、お供え物に代わるお金という意味で、お香典に似ていますが、お渡しする場面が違います。

お香典は、主に通夜や葬儀・告別式で線香やお花などの品物の代わりとして包むお金をいいます。それに対してお供物料は、法事や法要の際にお包みするお金を指します。

2.お供え物(供物)とは?

お供え物(供物)とは?

お供え物とは、亡くなった方への供養の気持ちを込めて、故人様の祭壇や仏前に捧げる品物を指します。

お供え物と「供物」(くもつ)との違いに戸惑う方もいるかもしれませんが、諸説あるものの、基本的にお供え物は、供物と同じものを意味する言葉であると考えてよいでしょう。

3.「お供物料」と「お供え物」法事にはどっち?

「お供物料」と「お供え物」について解説しましたが、法事では、どちらを持って行けばよいのでしょうか。

お供物料が一般的

昔は、法事・法要でお供えする捧げものとしてお贈りするのは、通常、お金ではなく、品物でした。

しかし、現代では、お墓のルールや地域のマナー、住宅事情などにより、品物ではなく、現金を包むお供物料を用意することが一般的になっています。

お供物料とお供え物の両方の用意は不要?

前述したように、お供え物に代わって、現代では、現金をお贈りするお供物料を用意することが一般的になっています。

お供物料は、お供え物の代わりとしてお渡しするものなので、基本的には両方の用意は不要だといえるでしょう。

しかし、特に故人様がご親族など近しい関係の場合では、訪問時にお供物料だけでなく、菓子折りやお花などを持参するケースも少なくありません。地域によっては、お供物料に加えてお供え物も持参するのがマナーだとしているところもあります。決して、両方を用意していけないわけではありません。

お供物料とお供え物の両方を用意する場合には、お供物料をお渡しする分、お供え物は気持ち程度にするなど、バランスを取るとよいでしょう。

4.お供物料の金額の相場は?

お供物料の金額の相場は?

法要・法事でお供物料を持参するときに、いくらくらい包めばよいのか、悩む場合もあるでしょう。
ここでは、法要別にお供物料の金額相場についてご紹介します。

新盆の場合

お盆は、1年に1度、先祖の魂を自宅にお迎えして供養する期間であり、故人様が亡くなってから初めて迎えるお盆を新盆(にいぼん・あらぼん・しんぼん)といいます。

新盆でお供物料を持参する場合、故人様との関係によっても包む金額が異なりますが、3,000~5,000円程度が相場のようです。

ただし、会食がある場合には5,000~10,000円程度を多く包むことをおすすめします。また、ご自身の年齢や立場、会食に出席するご家族が多い場合は、さらに多めに包むケースもあります。

通常のお盆の場合

通常のお盆では、菓子折りや果物などのお供え物を持参する方も多く見受けられますが、現代ではお供物料として現金を用意する方が増えているようです。

通常のお盆でのお供物料の相場は、新盆と変わらず、3,000〜5,000円程度とされています。

四十九日・一周忌・三回忌の場合

一般的に、法要で包む金額は、葬儀で包んだお香典の金額の半分から7割程度が妥当であると考えられています。

ただし、四十九日や一周忌、三回忌は故人様の大切な節目の法要であるため、いつもより多めの金額を包む場合もあるようです。ご自身の立場やご親族の習わしなどもあるので、事前に近いご親族に確認しておきましょう。

【故人様の続柄・関係別四十九日・一周忌・三回忌のお供物料の金額相場】

  • ・親・兄弟姉妹・子供: 10,000〜50,000円
  • ・兄弟姉妹: 10,000~30,000円
  • ・祖父母・孫: 5,000〜20,000円
  • ・その他のご親族: 5,000〜10,000円
  • ・知人・友人: 3,000~10,000円

*上記は、あくまで目安として参考になさってください。

会食の席が設けられていた場合には、5,000~10,000円程度上乗せして渡すのが一般的です。

いずれの法要でも、あまりに高額のお供物料だと、受け取ったご家族はお返しに困惑してしまうこともあるので、ご家族やご親族の前例や慣習を確認しておくとよいでしょう。

5.お供物料の不祝儀袋の選び方は?

お供物料を用意する場合、現金を不祝儀袋に包みます。不祝儀袋には種類があり、宗教や宗派、持参する場面によって使い分ける必要があります。
ここでは、不祝儀袋の選び方や表書きについて解説します。

水引きは用途によって選ぶ

不祝儀袋には、水引がついたもの、ついていないものがあります。さらに水引きは、色や結び方が違い、宗教や宗派、使用する場面によって選ぶべき水引が異なるため注意が必要です。

仏式の場合

「黒白の結び切り」を使うのが一般的です。関西地方から西では、「黄白の結び切り」の水引がかけられた不祝儀袋を使っているところもあります。

また、三回忌以降は、「双銀(銀銀)の結び切り」の不祝儀袋が使われる場合もあります。

神式の場合

神式の場合は、「双銀の結び切り」の水引きが使われるのが一般的ですが、「双白(白白)の結び切り」が使われる場合もあります。「黒白の結び切り」を使っても問題ありません。

キリスト教式の場合

キリスト教式では、水引のない無地の封筒、または、十字架、もしくは百合の花が描かれた不祝儀袋を選びます。

表書きも用途に合わせて使い分ける

不祝儀袋の表書きも、宗教や宗派、地域によって異なリます。

仏式の場合

お供物料の表書きは、四十九日より前の法要では、「御霊前」など、四十九日を過ぎてからは、「お供物料」もしくは「御仏前」とするのが一般的です。

ただし、浄土真宗においては、亡くなるとすぐに極楽浄土に行けると考えられているため、四十九日前でも「御仏前」の表書きを用います。

神式の場合

神道においては、「御榊料(おさかきりょう)」「御玉串料(おたまぐしりょう)」といった表書きが使われます。

キリスト教式の場合

キリスト教では、現金を包んで持参する習慣はありませんが、日本国内では他の宗教にならってお金を渡すケースも見られます。

用意する袋の表書きは、「御花料」「献花料」などにしましょう。

不祝儀袋は、宗教・宗派のほかに、地域やご親族によっても慣習が異なるため、できれば周囲に相談しながら用意するとよいでしょう。

6.お供物料のマナーは?

お供物料を包むにあたっては、他にも知っておくべきマナーがあります。

せっかく供養の気持ちを込めてお供物料を渡したにもかかわらず、マナーに欠けていたために、ご遺族を不快にさせてしまわないよう、マナーには気をつけてお供物料を用意しましょう。

お札は旧札か新札か?

通夜や葬儀・告別式で包むお香典では、新札を包むのはマナーに欠ける行為であり、旧札を使用します。

四十九日以降のお供物料においては、新札を包んでも問題ないとする考え方もあるようですが、地域やご親族内の慣習もあるため、まずは旧札を選ぶのが無難でしょう。

名前を書くときの墨の濃さは?

四十九日より前の法要では、不祝儀袋の名前は薄墨で書くのがマナーですが、四十九日以降は普通の濃さの墨で書きましょう。

薄墨を使うのは、悲しみの涙で墨が薄れてしまったことを表しているとされていますが、四十九日以降は、静かに偲ぶ段階に入っているため、普通の濃さの墨を使います。

ただし、地域によっては時期にかかわらず、仏事は全て薄墨を使う場合もあるので、身近なご親族に確認しておくことをおすすめします。

お供物料の渡し方は?

お供物料は、個人個人で個別に渡すのが基本です。

通夜や葬儀・告別式においては急なことでもあり、会社や団体、連名でお香典を包むケースも多いのですが、法事は事前に予定されるものですから、できるだけ個別でお供物料を包むようにしましょう。

ただし、家族単位、夫婦が連名で渡すことは、問題ありません。

お供物料は誰に渡せばいいの?

法事や法要では、普通、受付は設けられません。そこで、お供物料は、弔事用の袱紗に包んで持参し、法事が始まる前に施主様へ直接、渡しましょう。

袱紗から取り出したら、不祝儀袋を施主様から見て正面になるようにして、両手で渡すのがマナーです。

7.お供え物の選び方は?

お供え物の選び方は?

地域によっては、お供え物を持って行くのを基本としているところもありますし、お供物料と一緒にお供え物を持って行きたいと考える方もいらっしゃるでしょう。
そこで、ここでは、お供え物の選び方を解説します。

五供(ごくう・ごく)が基本

仏教においては、お供え物の基本は「五供」です。まずは、お供え物の基本となる知識をご紹介しておきましょう。

1.香
お線香やお香のことをいいます。仏様は香りを召し上がるとされているため、香り高いお線香は供養につながると考えられています。

2.花
仏様は花の香りや彩りを楽しむとされています。ただし、バラなど棘があり、血を流すことを連想させる花は、お供え物として適さないとする考え方もあります。

3.灯燭(とうしょく)
ロウソクのことを指します。仏様の心を照らし、ロウソクの前で手を合わせる人の心の迷いをなくすといわれています。

4.飲食(おんじき)
炊き立てのご飯や、お菓子や果物など、私たちが普段口にするものを、自分たちが食べる前にお供えするのが基本的作法です。

5.浄水(じょうすい)
お水、またはお茶のことを指します。仏様の喉を潤し、お参りする人の心を洗うものだとされています。故人様が生前好んで飲んでいたお酒やコーヒーを供えてもよいでしょう。

おすすめの品物

お供え物は、故人様が生前好んで口にしていた、お菓子や飲み物で、日持ちのするものを選ぶことをおすすめします。故人様への手土産を選ぶように、故人様に喜んでもらえそうなものを選んで持参するとよいでしょう。

また、お供え物は、供えたあとに、皆でいただく行為も供養につながるとされています。そこで、皆で分け合えるような小分け包装のお菓子や、果物もおすすめです。

一方で、お供え物には、避けるべきものもあります。あまりにも香りの強いお花や、ニンニクなどが使われた匂いの強い食べ物は、刺激が強すぎるためにお供物としては避けたほうがよいとされています。また、肉や魚なども殺生を連想させるため避けましょう。

8.お供え物のマナーは?

お供え物の「のし紙」(かけ紙)については、いくつかのマナーがあります。
ここでは、仏式における、お供え物の「のし紙」の選び方、表書きの書き方、かけ方などのマナーについてご説明します。

お供え物の「のし紙」の選び方は?

お供え物の、のし紙には、結び切りの水引が印刷されているものを選びます。

また、のし紙の水引の色は、基本的に四十九日より前の法要では、全国的に黒白の水引が使用されます。四十九日以降の法要では、関東地方では一周忌までは黒白の水引で、関西地方では黄白の水引を使用するところもあります。

お供え物の、のし紙について悩んだときには、地域の慣習に詳しい方やご親族に相談するとよいでしょう。

お供え物の「のし紙」の表書きは?

のし紙の上部に書く表書きは、四十九日より前の法要では、「御霊前」「御供物」「御供」などが使用されます。

四十九日以降の法要では、「御仏前」、お盆の際は「御供物」「御供」などが使われます。

お供え物の「のし紙」の名前を書くときの墨の濃さは?

お供物料のときと同様に、四十九日より前の法事では、名前は薄墨で書くようにしますが、四十九日以降は普通の濃さの墨で書きます。

お供え物の「のし紙」のかけ方は?

お供え物の、のし紙のかけ方には、「外のし」と「内のし」の2種類があります。外のしは、品物の包装紙の外側に、内のしは、直接、品物の箱に、のし紙をかける方法です。ちなみに内のしの場合は、のし紙をかけた上から包装紙で包みます。

お供え物を祭壇や仏前に並べる法事・法要では、一般的には、誰からのお供え物かわかるよう「外のし」が選ばれます。ただし、内のしでもマナー違反ではありません。

9.法事のお供物料やお供え物は礼儀を心得て渡しましょう

ご遺族にとっては、何年経っても、故人様を思う気持ちは変わりません。だからこそ、法事・法要で故人様の冥福を祈り、偲ぶ行為を節目ごとに行うことを大切にしているのです。そこで、法事・法要の席に招かれた際には、しっかりとマナーを守り、心を込めて、お供物料、もしくは、お供え物を準備するようにしましょう。

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