昔ながらの祭壇の特徴は?祭壇選びで大切な視点や表現方法も解説
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- 【 花祭壇 】
葬儀の祭壇を選ぶ際、「昔ながらの祭壇にするべきか」「現代的なデザインでも問題ないか」と迷う方は少なくありません。特に、ご遺族や喪主様として初めて葬儀の準備をされる方にとっては、祭壇の選択に悩まれる方も多いでしょう。
今回は、昔ながらの祭壇の代表である白木祭壇の特徴や、今も選ばれる理由、白木祭壇に花祭壇の要素を取り入れる方法などを解説します。祭壇選びで迷ったときのポイントもご紹介しますので、葬儀を控えている方、祭壇選びに悩まれている方は、ぜひ、参考になさってください。
1.昔ながらの祭壇の代表「白木祭壇」とは
日本の伝統的な葬儀に用いられ、昔ながらの祭壇の代表的な形式として知られているのが白木祭壇です。その歴史的背景と構造の特徴について解説します。
白木祭壇の意味と使われてきた背景
白木祭壇とは、塗装や漆塗りを施していない白木を用いて作られる祭壇です。仏式葬儀で最も一般的に用いられる祭壇ですが、神式葬儀でも白木を素材とした祭壇が伝統的に使われてきました。
起源については諸説ありますが、有力な説の一つとして、土葬が一般的であった時代の「野辺送り」との関連が挙げられます。当時は、故人様の棺を白木製の輿(こし)に納め、葬列を組んで埋葬地まで運ぶ習慣がありました。その輿の形状が白木祭壇に受け継がれ、象徴的な装飾として残されたというものです。
また、白木の持つ清浄さや神聖さが、古くから宗教的な儀式や神事において特別な意味を持つと考えられていたことも、白木が葬送の場にふさわしいとされてきた理由の一つと考えられます。
白木祭壇の構造の特徴
白木祭壇は、複数の要素が組み合わさることで格式ある美しい姿を形作っています。代表的な構造は、以下のとおりです。
階段状の「段(だん)」
階段状に棚が組み上げられており、遺影や位牌、供物などを安置するためのスペースとなっています。段を重ねることで、視覚的な高さが生まれ、祭壇全体の格式を高める役割を果たします。
伝統の象徴である「輿(こし)」の装飾
最上部には、かつて故人様を運んだ「輿(こし)」を模した飾りが設置されています。古くからの葬送文化の名残であり、亡くなった方を丁重に送り出すという意味が込められています。
付属の装飾品
祭壇の周囲には、白木製の燭台や高坏(たかつき)、六灯(りくとう)といった装飾品が一般的に配置されます。
高坏は、供物を載せる脚付きの器で、供物を高く掲げることで故人様への敬意を表します。六灯は、祭壇の左右に置かれる灯りです。故人様の魂が迷わないよう導く意味が込められており、仏教の「六道」(天道・人間道・修羅道・畜生道・餓鬼道・地獄道)に由来するとの説もあります。
附属の装飾品により、祭壇は荘厳な趣を増し、厳粛な空間が整います。
2.昔ながらの祭壇が今も選ばれる理由
最近は、花で飾る祭壇が人気を集めていますが、昔ながらの白木祭壇を選ぶご家族も多くいらっしゃいます。昔ながらの祭壇が、今でも選ばれる理由を解説します。
格式と厳粛さを感じさせる
白木祭壇は、格式のある佇まいが特徴です。華美さを避け、控えめでありながらも荘厳さを感じられるため、格式や厳粛さを重視する方々に支持されています。
年配の方やご親族に安心感を与えられる
長年にわたって葬儀の場で使用されており、特に年配のご親族や地域の方々にとっては馴染み深い祭壇であるため、多くの方々が安心や親しみを感じることができます。伝統やしきたりを重んじる世代への配慮として、白木祭壇を選ぶご家族も少なくありません。
地域や宗派の慣習に柔軟に対応できる
白木祭壇は、地域や宗教的な作法を守りたい方々にとって有効な選択肢です。日本各地の地域性や宗派により、葬儀の形式や祭壇の飾りつけが異なる場合もありますが、白木祭壇はそれらのほとんどに柔軟に対応が可能です。
3.祭壇選びで迷ったときに大切な3つの視点
葬儀の祭壇を選ぶ際に、昔ながらの祭壇でよいか迷ったときに大切にすべき3つの視点をご紹介します。以下の視点を総合的に考慮して、最適な選択をしましょう。
故人様の人柄や価値観を反映できているか
祭壇選びでは、故人様の人柄や価値観を反映することが大切です。たとえば、故人様が静かな性格であれば、落ち着いた雰囲気の祭壇がよいでしょう。故人様が生前に華やかなものを好んでいた場合は、彩り豊かな祭壇がふさわしいかもしれません。
伝統的な白木祭壇も選択肢の一つではありますが、大切なのは形式にとらわれることではありません。祭壇が故人様らしいものであれば、故人様の人となりや生前の思い出が自然とよみがえり、参列者もより深く故人様をしのぶことができるはずです。
ご家族が「この祭壇でよかった」と思えるか
ご家族が「この祭壇でよかった」と感じることは、心残りのない葬儀を行うために大切なポイントです。伝統的な白木祭壇から華やかな花祭壇まで、さまざまなスタイルがありますが、ご家族の想いが反映された祭壇であることが重要です。
ご家族が納得できる形で送り出せる祭壇を選ぶことで、参列者の心に残る葬儀となるでしょう。
ご親族・参列者への配慮も忘れずに
葬儀は故人様とのお別れの場であると同時に、ご親族、そして縁のあった方々が集う場でもあります。祭壇を選ぶ際には、故人様らしさを大切にするとともに、参列される方々が心穏やかに故人を偲べる雰囲気であるか、という点も少し考えると良いかもしれません。
昔ながらの祭壇に慣れている世代の方は、慣れ親しんだ形式に安心感を覚えることもあります。もし、周囲の反応が少し気になるという場合は、なぜその祭壇を選んだのか、故人様がどのようなお気持ちだったのかをご親族などに事前に丁寧にお伝えすることも一つの方法です。
4.昔ながらの良さと現代性を融合させる祭壇のアイデア
「故人らしい祭壇にしたいけれど、あまり奇抜すぎるのは避けたい」「伝統的な雰囲気も大切にしたい」といったご希望もあるかと思います。現代の祭壇では、様々な工夫でこうした想いを形にできます。
生花祭壇でも落ち着いた表現は可能
誤解されがちですが、「現代的な祭壇 = 華やかすぎる」とは限りません。
・白やグリーンを基調とした、清らかで厳かな雰囲気
・野の花のような素朴さで、ナチュラルで落ち着いた雰囲気
・故人様が好きだった花を使った上品な雰囲気
など、色合いや花の種類、ボリュームを調整することで、非常に落ち着いた印象や厳粛な雰囲気もお作りできます。「華美すぎるのは故人らしくない」というご要望にも、しっかりお応えできますのでご安心ください。
昔ながらの祭壇と花祭壇を折衷した祭壇もできる
伝統的な白木祭壇に花祭壇のデザインの要素を取り入れることで、両者の良さを兼ね備えた祭壇をつくることもできます。いくつか具体的な例をご紹介します。
・少量の花を添えてシンプルに飾る
ポイント的に少量の花を添えることで、控えめながらも温かみのある印象になります。
・段を活用して立体感を出す
祭壇の段差を利用して花を配置すると、視覚的に洗練された印象にできます。
・白木祭壇を花で囲んで控えめな華やかさを演出
白木祭壇の周囲を花で囲むことで、落ち着いた印象を保ちながら、空間全体を明るく彩ることができます。
このように、ご希望に応じて、伝統的な形式に現代的な要素を組み合わせることも、選択肢の一つです。
5.花葬儀で昔ながらの祭壇をおつくりした事例
弊社「花葬儀」では、故人様らしさを大切にした、オーダーメイドの祭壇づくりをお手伝いしております。特に生花祭壇を得意としていますが、お客様のご要望に合わせ、伝統的なスタイルにも対応可能です。ここでは、実際にお手伝いした事例を紹介いたしましょう。
先日、花葬儀に葬儀を依頼してくださったご家族から、こんな質問をいただきました。「父は華やかな人ではなく、田舎の親族が多いので、あまり凝ったデザインだと驚かれるかもしれません。伝統的な祭壇にすることは可能でしょうか?」。
最初は、ホームページに掲載されていた花祭壇に興味を持って葬儀を依頼していただいたのですが、故人様の人柄やご親族の反応を考慮し、最終的には落ち着いた白木祭壇を基調としたスタイルの祭壇をご希望されたのです。
私たちは、ご家族のご意向に沿う形で、控えめな色合いの生花の使用や、供花を祭壇に充当できる「エクステンション方式」をご提案いたしました。エクステンション方式の場合、お名札は芳名板でのご案内になりますが、祭壇の花の上にお名前を掲げられるため、供花をくださった方のお名前もはっきりとご紹介することができます。
「派手なものは父らしくない」というご家族の想いに寄り添いながら、格式を保ちつつも、柔らかで温かみのある祭壇をおつくりすることができ、満足していただけるお別れの場となったと感じています。
花葬儀は、故人様やご家族の想いに応じて、供花や付け花を用いた昔ながらの祭壇にも対応することができます。ご不安な点や細かなご希望があれば、どうぞ遠慮なくご相談ください。
6.昔も今も祭壇で大切すべきなのは故人様らしさです
祭壇のスタイルは時代とともに変化していますが、「大切な人を、その人らしく送りたい」という想いは、昔も今も変わりません。
葬儀の祭壇を選ぶときに重要なのは、「どんな形式にするか」ではなく、「その方らしい祭壇になっているかどうか」です。故人様の人柄やご家族の想いを大切にすることで、心から納得できるお見送りが実現できるでしょう。
昔ながらの祭壇にするべきか迷っている方、ご親族との意見の違いに不安を感じている方は、一人で悩まず、花葬儀の事前相談までご連絡ください。花葬儀では、ご家族の希望に応じて柔軟な祭壇のご提案をいたします。「どんな選択が、故人様らしさを表現できるのか」――その答えを一緒に探させてください。