エンバーミングで後悔しないために|具体事例や判断のポイントを解説|葬儀・家族葬・お葬式なら「花葬儀」

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エンバーミングで後悔しないために|具体事例や判断のポイントを解説

エンバーミングで後悔しないために|具体事例や判断のポイントを解説

エンバーミングは、故人様とのお別れの時間をより良いものにするための選択肢です。しかし情報が不足していると、思わぬ後悔につながる可能性も否定できません。

近年、ご遺族の悲しみに寄り添う「グリーフケア」のひとつとしても認識されつつあるエンバーミング。「本当に必要なのだろうか」「後悔しないだろうか」といった迷いを抱えず、大切な人と納得のいくお別れをするためには、どのようなことに気を付けたらよいのでしょうか。

この記事では、エンバーミングを検討する前に押さえておきたいポイントを詳しく解説します。ぜひ最後までお付き合いください。

1.エンバーミングとは何か

エンバーミングとは何か

まずは、エンバーミングについての基本を押さえましょう。
こちらで詳しくご紹介します。

エンバーミングの定義と目的

エンバーミング(遺体衛生保全)とは、ご遺体の防腐を目的に行う、以下の特殊技術を指します。

・消毒・殺菌
感染症を防ぐために、ご遺体の消毒・殺菌を行う

・腐敗の防止
全身に防腐剤を注入するなど、ご遺体の腐敗を防ぐ

・見た目の再現
事故による傷や治療痕などを整え、生前の姿に近い状態を再現する

日本でエンバーミングを行うのは、一般社団法人日本遺体衛生保全協会(IFSA)認定の資格を取得した「エンバーマー」です。国家資格ではないものの、高い専門知識や技術が求められます。

日本における現状と普及率

エンバーミングの歴史は古く、紀元前3200年ごろの古代エジプトで始まったとされています。その後ヨーロッパの医学に取り入れられ、1861年から始まったアメリカの南北戦争で戦死者を長期搬送するための方法として採用されると、欧米で広く普及するようになりました。現在アメリカでは、ほとんどのご遺体にエンバーミング処置が施されています。

日本に初めてエンバーミング施設が誕生したのは1988年です。ただし、火葬が法律で定められており、ご遺体の長期保存の必要性が低かったため、すぐには広まりませんでした。

しかし、1995年の阪神・淡路大震災をきっかけに関心が高まり、2000年度には年間実施件数が1万件を超えました。さらに、コロナ禍となった2020年度には、ご遺族へのウイルス感染を防ぐ手段としても注目され、2024年度には過去最多となる8万件以上に達しました。エンバーミングが行える専用の国内施設数も、10年前と比べると倍近くに増えています。

エンゼルケア・湯かんとの違い

エンバーミングと混同されやすいものとして「エンゼルケア」や「湯かん」などがあります。それぞれの違いは以下の通りです。

【エンバーミング、エンゼルケア、湯かんの違い】
処置名 主な内容 主な目的
エンバーミング 防腐剤の注入、傷の修復、ご遺体の殺菌・消毒 など ご遺体の長期的な保全を目的とした処置。損傷した箇所の修復も行う
エンゼルケア 目や口を閉じる、髪型を整える、化粧(ラストメイク)を施す、医療器具を外す など 外見を整え、故人様の尊厳を守ること
湯かん ご遺体をぬるま湯、またはアルコールできれいにする 日本古来の水で清める風習と、仏教儀式が融合した葬送儀礼。故人様を清らかな姿で送る意味合いもある

詳しくは「エンバーミングとは?」の記事をご覧ください。

2.エンバーミングで「後悔」が生じるケースとは?

ご遺体の状態を清潔にし、長く保存できるようにするエンバーミングですが、選んだ結果、後悔してしまうことも少なくないようです。
こちらでは、よくある後悔の理由を3つに整理してご紹介します。

ケース1:冷静に判断できず、不要な契約をしてしまった

大切な方を亡くした直後は、深い悲しみと混乱の中にあり、気持ちの整理がつかないことがほとんどです。そのため、葬儀や関連するサービスについて冷静に情報を精査する余裕がなく、案内されるままに契約を進めてしまうケースも少なくありません。

特にエンバーミングでは、防腐処置の一環として故人様のお身体にメスを入れることがあり、後になって「意味のない傷をつけてしまった」と後悔の念を抱く方もいらっしゃいます。

ケース2:実際にかかった費用が見込みと違った

次に多い後悔が「費用面」です。エンバーミングの基本料金は15〜25万円とされますが、状況に応じて以下のような費用が別途発生するケースもあります。

・損傷に対する追加の処置費用
・遠距離搬送に伴う費用
・安置施設の延泊費 など

事前に基本料金と追加で発生する費用を確認しなかった結果、想定よりも高い金額を請求され、後悔が残ることもあります。

ケース3:意向が伝わっていなかった(衣装・表情・修復など)

エンバーミングの大きな目的のひとつに、「故人様らしい姿でお別れをすること」があります。しかし、その「らしさ」をどう再現するか、また、どこまで再現できるのかは、ご家族と施術者(エンバーマー)との認識のズレが生じやすい領域です。

認識に相違があるままエンバーミングを施してしまうと、思っていた通りのお姿にはならず、後悔や悲しみが残ってしまうでしょう。

3.エンバーミングのメリット・デメリット

エンバーミングは高度な処置であるからこそ、「やるべきかどうか」に迷う方も多くいらっしゃいます。

こちらでは、エンバーミングのメリットとリスクを詳しくご紹介します。正しく理解し、後悔のない選択へとつなげましょう。

エンバーミングのメリット

まずは、エンバーミングのメリットをご紹介します。

葬儀までの日数が空いても安心

「遠方で亡くなったためにご遺体の移送に時間がかかる」「火葬場の予約がすぐに取れず、葬儀まで日数があいてしまう」といった状況が起こることもあります。そのような場合でも、エンバーミングを施すことで、ご遺体の状態を長期間にわたり安定して保つことができます。

時間的な制約に追われることなく、葬儀の日程を落ち着いて調整したり、遠方に住むご家族やご親族が集まるのを待ったりすることが可能となるでしょう。

故人様と安心して対面できる

感染症が原因で亡くなられた場合、ご遺族や周囲の方々への二次感染を防ぐために、故人様との面会が制限されることがあります。本来であれば最後に顔を見てお別れをしたいのに、それが叶わないという状況は、ご遺族にとって大きな悲しみや心残りとなるものです。

こうした場合にエンバーミングを施すことで、感染リスクを減らすことができ、故人様のお顔に触れたり、安心してお体に近づいたりすることが可能になります。

生前に近いお姿でお別れができる

ご遺体が事故や闘病によって大きな変化を受け、面影を失ってしまうことがあります。エンバーミングによって生前に近いお姿へと修復することで、ご遺族の精神的なショックを和らげることができるでしょう。このようなご遺族の心のケアは「グリーフケア」のひとつであり、悲しみを乗り越える大きな役割を果たします。

エンバーミングのデメリット

次に、エンバーミングを行ううえで考えられるデメリットをご紹介します。

お身体の切開が必要となる

エンバーミングでは、専用の器具を用いて血管に薬剤を注入するため、お身体の一部を切開する工程が必要になることがあります。鎖骨または胸部、そして腹部の2箇所にそれぞれ1~1.5cm程度の切開となり、傷口がご遺族の目に入りにくくなるよう配慮されています。

しかし「身体に手を加えることに抵抗がある」「自然のまま見送りたい」というご遺族にとっては、心理的に受け入れづらいこともあるでしょう。

処置が長引く可能性

エンバーミングは専用の施設で行うため、ご遺体のある場所によっては、長時間の移動が必要になります。エンバーミングの処置そのものも平均して3~4時間かかるため、故人様と長く離れなければならないケースもあるでしょう。また、処置までの時間がかかるほど、安置のための費用もかかります。

やり直しができない

エンバーミングは、基本的にやり直しができません。「表情の作り方」「肌の色味」「衣装の整え方」などが希望通りになるよう、あらかじめどのような仕上がりを望むのかをできるだけ具体的に伝えることが大切です。

4.エンバーミングが適しているケースと不要なケース

エンバーミングが適しているケースと不要なケース

エンバーミングは全てのご家庭にとって必須の処置ではありません。お身体の状態や故人様の意思、費用感などに応じて「やるべきかどうか」を見極める必要があります。
ここでは、処置を行うべきケースと、必要のないケースをご紹介します。

エンバーミングが適しているケース

エンバーミングを行った方がよいケースは、主に以下の通りです。

・諸事情で火葬までの日程が大きく空いてしまう場合
・故人様が感染症を患っていたなど、衛生面への配慮が求められる場合
・亡くなった原因(病気、事故)によって、元気だったころの姿と大きく変わってしまった場合
・海外で亡くなり、搬送が必要となった場合

これらの状況では、エンバーミングによってご家族の安全、ならびに精神的な負担の軽減が期待されます。

エンバーミングが不要なケース

エンバーミングが不要とされるケースは以下の通りです。

・火葬までの日程が一般的な日数の範囲内である場合
・予算に限りがあり、他の葬儀サービスに重点を置きたい場合
・自然なかたちでの見送りを望んでおり、処置を加えたくないと感じている場合

エンバーミングを行うかの最終的な判断は、ご家族や葬儀社と相談の上決めましょう。

5.エンバーミングで後悔しないためのポイント

エンバーミングは、技術的にも金銭的にも負担が大きい選択肢であるため、実施するかどうかは慎重な判断が求められます。
こちらでは、後悔を防ぐためのポイントを丁寧にご紹介します。

内容や金額を細かく確認

ご紹介したように、エンバーミングによる後悔は、施術内容や金額に対する理解不足が原因のひとつとされています。依頼する前に、内容を細かく確認しましょう。具体的には以下の通りです。

・基本料金に含まれる処置の内容
・追加費用発生の条件
・仕上がりに満足できなかった場合の対応
・エンバーミングに必要な書類

確認した内容は書面や口頭で記録しておくと安心です。また、希望をより具体的に伝えるために、故人様の生前のご様子が伝わる写真を用意するとよいでしょう。

信頼できる葬儀社に依頼する

エンバーミングで後悔しないためには、依頼する葬儀社の質も重要なポイントです。ご遺族の不安をあおり、本来不要な契約を結ばせようとする葬儀社も中にはいるため、以下のポイントに注目することをおすすめします。

・具体的な説明もないままに、エンバーミングを強く勧めていないか
・施術の内容、費用、デメリットなど、包み隠さず説明してくれているか
・見積書や同意書は明確か。また、書かれている内容について説明してくれているか
・エンバーミングの実績は豊富か
・エンバーミング以外の提案も柔軟に行ってくれるか

質のよい葬儀社は、葬儀の満足度にも大きく影響します。「信頼できる葬儀社の選び方」の記事もぜひ参考になさってください。

家族間で意思を共有しておく

ご遺体の扱いについては、さまざまな考え方があります。エンバーミングを行うかは、必ずご家族とよく話し合ってから決めましょう。

また、故人様の意思を尊重することも大切です。エンディングノートや遺言書、生前の会話にヒントがないかを振り返り、希望する衣装やメイクのスタイル、自然なお別れを望んでいたかなどを確認しましょう。全員が納得したうえで選択することが、後悔のないお見送りにつながります。

6.エンバーミングに関するQ&A


A. 約2週間とされています。

日本での一般的なエンバーミングによって防腐処理が施されたご遺体は、2週間程度保存が可能とされています。しかしその間にも、ご遺体の状態は少しずつ変化する点に留意しましょう。

なお、一般社団法人日本遺体衛生保全協会では、「海外移送をする場合を除いて、死亡と判定された日から50日を超えて保全しない」と定めています。

引用:一般社団法人 日本遺体衛生保全協会 エンバーミングの法的解釈
URL:https://www.embalming.jp/embalming/interpretation/


A. 「亡くなられてからすぐ」が理想です。

亡くなられた方のお身体は、時間の経過と共に様子が少しずつ変わります。特に夏場や室温が高い場所では変化が早まりやすく、処置の可否にも関わるため、希望する場合はなるべく早めに葬儀社へ連絡しましょう。

依頼の際は、専用の依頼書の他に「死亡診断書のコピー」が必要ですので、用意しておくと手続きがスムーズに進みます。原本の取得には費用がかかりますので「死亡診断書の料金はいくら?」も併せて確認しておきましょう。


A. 基本的に、やり直すことはできません。

エンバーミングは、体内への薬剤注入や血液の除去など、不可逆的な処置を伴うため、一度開始されたら途中で中断したり、取りやめたりすることはできません。

そのため、施術に入る前に「本当に必要か」「処置内容や費用に納得できているか」を十分に確認する必要があります。また、ご家族全員の合意を得たうえで進めることが、トラブル防止にもつながります。

7.エンバーミングについて知り、後悔のないお別れを選びましょう

エンバーミングについて知り、後悔のないお別れを選びましょう

エンバーミングは、ご遺体を衛生的に保ち、ご家族が安心してお別れの時間を過ごせるように整える重要な選択肢のひとつです。しかし、「必要なかった」「希望と仕上がりが違った」といった後悔が生じることもあります。後悔のない選択のためには、エンバーミングについての基本を知った上で、周囲とよく相談することが大切です。

いざという時のご相談は、花葬儀にお任せください。経験豊富なスタッフが、納得のいくお別れをサポートいたします。「エンバーミングが必要かわからない」といった状態でも、中立の立場でご提案いたしますのでどうぞご安心ください。

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故人様の趣味を反映した葬儀とは?心に残る演出アイデアと準備で大切にしたいこと

故人様の趣味を反映した葬儀とは?心に残る演出アイデアと準備で大切にしたいこと

故人様の趣味を取り入れた葬儀が、ご遺族や参列者の記憶にも深く残る演出として注目されています。故人様の人柄や生前の姿が目に浮かぶような時間は、深い悲しみの中にいるご遺族や参列者の心を、少しだけ和らげてくれます。 本記事では、故人様の趣味を生かした葬儀の演出アイデアや、準備のポイントを詳しくご紹介します。故人様らしさあふれる、温かいお見送りを考えている方は、ぜひ参考になさってください。 【もくじ】 1.葬儀に趣味を取り入れる演出アイデア 2.準備の際に大切にしたいこと 3.趣味を取り入れた葬儀の実例 4.これからの時代に「趣味を反映した葬儀」が選ばれる意味 5.趣味を生かした葬儀に関するQ&A 6.故人様の趣味を生かした葬儀で、心に残るお別れを 1.葬儀に趣味を取り入れる演出アイデア 趣味を葬儀に取り入れる方法は多岐にわたります。ここでは、代表的な演出手法をご紹介します。 音楽や映像で思い出を共有する 音楽や映像を通して、故人様の人生や趣味を感じてもらうことができます。たとえば、「生前に好んで聴いていた曲をBGMに流す」「趣味に打ち込む姿や思い出の写真をまとめた映像を上映する」「趣味にちなんだナレーションを挿入する」などです。 故人様が音楽そのものを趣味にされていた場合は、ご本人が生前に演奏されていた音源データを流す演出も素敵です。故人様が好きだった曲が流れることで、会場全体に感動的な雰囲気が広がるでしょう。 思い出の品々で故人様の世界観を伝える 葬儀会場の一角に「メモリアルコーナー」を設け、故人様が愛用した道具や手掛けた作品、生前に撮影した写真などを展示する方法もあります。 たとえば、絵画が趣味だった方であれば、自作の絵やスケッチブックを展示。アウトドア好きの方なら登山道具やキャンプの写真、登頂記録などが喜ばれます。説明書きを添えたり、思い出のエピソードを一緒に展示したりすると、より深い理解と共感が得られるでしょう。 祭壇や空間装飾に趣味を反映させる メモリアルコーナーだけでなく、祭壇や葬儀会場全体の雰囲気を趣味のテーマに沿って演出する方法もあります。花の色合いや装飾アイテムなどを通して、趣味の世界を表現することが可能です。 たとえば、バイクが好きだった故人様であれば、愛車の写真を祭壇に飾ったり、バイクをモチーフにした飾りつけを行ったりすることもできます。園芸が趣味だった方の場合は、生前に育てていた花を用いて季節感を取り入れるなど、演出の幅はさまざまです。 2.準備の際に大切にしたいこと 故人様の趣味をテーマにしたお見送りを形にするには、葬儀社のプランナーとの対話が鍵となります。ここでは、葬儀の準備を進める上で大切にしたい2つの視点についてご紹介します。 趣味にまつわる思い出を、想いのままに話す 趣味は、愛用品や作品といった「品物」に限りません。旅行の記憶、スポーツ観戦で熱狂した時間など、形のない思い出が趣味であることもあるでしょう。 まずは、故人様がどのような趣味を持っていたか、どのような想いで取り組んでいたかを、プランナーに話してみましょう。思い出に残っているエピソードや日常の中で大切にしていたことなども共有することで、「その人らしい」演出のヒントが自然と見えてきます。 葬儀のテーマをプランナーと一緒に見つける たくさんの思い出の中から、何を今回のテーマとするか、プランナーと一緒に考えます。 故人様らしさを感じられる趣味に関連した品がひとつあるだけでも、会場の雰囲気が大きく変わります。経験豊富なプランナーであれば、何を葬儀のテーマにすると最も故人様らしさが伝わるか、客観的な視点も交えてご提案することが可能です。飾りつけや表現のアイデアなど、ぜひプロからの提案を聞いてみましょう。 3.趣味を取り入れた葬儀の実例 ご家族の想いを十分に共有いただくことで、故人様の趣味がどのように形になるのでしょうか。 こちらでは、弊社「花葬儀」がお手伝いした中から、故人様の趣味を生かした葬儀の実例をご紹介します。葬儀に趣味を取り入れるための参考にしてください。 パッチワーク作品を飾りアトリエのような空間に 故人様のパッチワーク作品を主役にした、あたたかみあふれる空間デザインです。祭壇中央には代表作を掛け、両側にも大型の作品を展示しました。色とりどりの布の模様が会場全体を包み込み、まるで故人様のアトリエのような雰囲気に仕上げました。 アフタヌーンティーのような優しいお別れの時間 こちらの葬儀では、生前、故人様がよく作っていたお菓子やお料理の写真を置いた、メモリアルコーナーを設けました。 チュールを使ってテーブル全体をふんわりと包み込むことで、まるでアフタヌーンティーのひとときを再現したような空間になっています。お菓子作りがご趣味だった故人様のためにデザイナーがフラワーケーキを作り、大変喜んでいただきました。 故人様が愛したプールサイドの風景をイメージ 故人様の趣味の水泳をテーマに、祭壇の周囲にはライトグリーンのドウダンツツジをあしらい、プールサイドに揺れる木々のような演出をしました。ご家族とともに、故人様が愛された水の世界に包まれながら、穏やかなひとときをお過ごしいただきました。 ここまでご紹介した事例のように、趣味や人柄という「形のない想い」を表現するには、ご家族の心に寄り添うヒアリング力と、デザイン力が不可欠です。ほかにも、趣味を葬儀に取り入れた実例を花祭壇ギャラリーでご紹介していますので、ぜひ、訪れてみてください。 4.これからの時代に「趣味を反映した葬儀」が選ばれる意味 ここまで、趣味を取り入れた葬儀の実例や注意点をご紹介してきました。さまざまな、その人らしい温かなお別れの形があることを感じていただけたのではないでしょうか。 では、なぜ今、このように故人様の個性を尊重したお見送りが選ばれているのでしょうか。こちらでは、その背景と、趣味をテーマとしたお見送りが持つ意味を解説します。 形式よりも「その方らしさ」を重視する時代へ かつては「葬儀=仏式、定型的、格式重視」といった印象が一般的でしたが、現在はその価値観が大きく変化し、「個人らしさ」や「人生を感じられるお別れ」が重視されるようになってきました。 背景には、少子高齢化や核家族化、地域との関係性の希薄化などがあります。地域や宗教に縛られず、「送る人」も「送られる人」も納得できる形が求められており、そこに「趣味を取り入れた葬儀」という柔軟なスタイルが合致しているのです。 さらに、終活やエンディングノートが一般化し、「自分の好きなことを大切にしてほしい」と望む方が増えています。こうした想いを受け取ったご家族が、その意向を形にしようと考えるようになったことも、趣味を反映した葬儀の広がりを後押ししています。 このような個人の想いを尊重する流れは今後さらに加速し、形式にとらわれない「その人だけの葬儀」が、より一般的な選択肢として定着していくでしょう。 残された方々にとっての「グリーフケア」としての意義も 「その人らしさ」を感じる葬儀の時間は、深い悲しみの中でも自然と心が和らぎ、グリーフケア(悲嘆の癒し)にもつながるといわれています。 たとえば、釣りが趣味だった故人様の葬儀で、愛用の釣竿や釣果の写真が並んでいたら、参列者はその人の人生をありありと思い出せるでしょう。また、ご家族が「生前の楽しそうな姿を思い出せてよかった」と感じるなど、感情の整理にも役立つケースが多くあります。 「故人様らしいね」と、悲しみの中にも温かさが生まれるお別れは、きっとこれからの葬儀の基本となっていくはずです。 5.趣味を生かした葬儀に関するQ&A Q1. 葬儀会場に、趣味の作品やコレクションも展示できますか? A. […]

樹木葬を選んだ後の法要の行い方|選択肢から段取り・マナーまで解説

樹木葬を選んだ後の法要の行い方|選択肢から段取り・マナーまで解説

「お墓を樹木葬にしたいけれど、法要はどうすればいいのだろう?」「樹木葬なら法要の負担も軽くなるだろうか?」新しい供養の形として注目される樹木葬ですが、法要の準備やマナーについて、従来のお墓との違いがわからず、戸惑う方も少なくありません。 この記事では、樹木葬における法要の選択肢や、法要を行う時期、準備に至るまで、皆さまが抱える疑問にお答えします。 【もくじ】 1.樹木葬の基本~永代供養との関係~ 2.樹木葬では法要は必要ない? 3.樹木葬で法要を行う時期と種類 4.法要の準備と流れ、マナー 5.樹木葬の法要に関するQ&A 6.樹木葬の法要の特徴を知り、ご家族らしい供養の形を見つけましょう 1.樹木葬の基本~永代供養との関係~ まず、樹木葬における法要を理解するために、基本的な特徴を知っておきましょう。 樹木葬とは、墓石の代わりに樹木をシンボルとするお墓です。埋葬の方法はさまざまで、一人ひとり個別に眠るタイプもあれば、複数の方を同じ場所に合祀(ごうし)する場合もあります。 多くの場合、樹木葬は「永代供養」とセットになっています。永代供養とは、ご遺骨の管理や供養を霊園や寺院が永代に渡って引き受けてくれる仕組みのことです。お子様やお孫様といった継承者がいなくても安心して任せることができるのが、大きな特徴です。 2.樹木葬では法要は必要ない? 樹木葬を検討する際、多くの方が抱く疑問が「法要を行う必要があるのか」という点です。ここでは、樹木葬に納骨した場合の、供養の方法や選択肢について解説します。 法要を行うかどうかは自由に選べる 結論をお伝えすると、法要を行うかどうかは、樹木葬に限らず、どの埋葬方法を選んだとしても、ご家族の自由です。 法要は法律で定められた義務ではなく、あくまで「故人様をしのびたい」「節目に手を合わせたい」というお気持ちから行うもの。法要という形をとらなくても、故人様を想う気持ちがあれば、それが何よりのご供養になります。 なお、樹木葬には、仏教徒ではない方や、特定の宗教を信仰しない方も多く埋葬されるため、法要という儀式を重視されないご家族も多くいらっしゃいます。 供養の3つの選択肢 樹木葬を選んだ場合、供養の方法には主に3つの選択肢があります。 個別法要 従来のお墓と同じように、四十九日や一周忌などの節目に、ご家族や親しい方々だけで集まり、僧侶に読経をお願いする形です。 合同法要 多くの樹木葬霊園では、お盆やお彼岸の時期に他のご家族と一緒に供養を行う「合同法要」を開いています。ご自身で手配する手間がなく、費用面の負担も軽いのが魅力です。 ただし、合同法要が実施されるかどうかや、開催される時期は、霊園によって異なります。四十九日や納骨など、ご家族のご都合に合わせて法要を行いたい法要は、個別に法要を開く必要があります。 法要はせず、お参りのみ行う 近年では、法要を簡略化するご家族もいらっしゃいます。あえて特定の法要は行わず、好きなときにお墓を訪れて静かに手を合わせる、という選択も可能です。 どちらの形式が正解ということはありません。ご家族が遠方にお住まいの場合や、日程の調整が難しいときは、霊園の合同法要に任せるのも自然な選択と言えるでしょう。 3.樹木葬で法要を行う時期と種類 樹木葬における法要は、一般的なお墓に納骨した場合と同様に、故人様をしのぶ節目にあわせて行うことが一般的です。 こちらでは、主な法要の時期と種類について解説します。 忌日法要 忌日法要とは、故人様が亡くなられてから七日ごとに行われる法要です。特に仏教において四十九日は「忌明け」の節目として大切にされており、この日に納骨式をあわせて行う方も多くいらっしゃいます。 年忌法要 年忌法要は一周忌・三回忌・七回忌など、年単位で行う供養のことを指します。樹木葬の場合、合同法要が実施される時期に合わせて参加するなど、柔軟に対応しやすいのが利点です。 納骨式 納骨式は、ご遺骨を新しい場所へ迎える儀式です。初めてそのお墓にご遺骨を納める場合は、「開眼供養(かいげんくよう)」もあわせて行うことが一般的です。開眼供養とは、 新しく建てたお墓(石)に魂を迎え入れる儀式です。ご家族にとっては、故人様が安らかな眠りにつかれたことを実感する節目の日となるでしょう。 4.法要の準備と流れ、マナー こちらでは、実際に樹木葬で法要を行う際の準備から当日の流れ、マナーについて解説します。個別法要と合同法要、それぞれのケースについて説明しますので、ご自身の状況と照らし合わせながらお読みください。 法要の準備とお布施の目安 法要の準備や費用は、個別法要と合同法要で大きく異なるため、まずはどちらの形式を選ぶのかを決めましょう。 個別法要の場合 まずは、僧侶や会場の手配が必要です。多くの霊園では提携している僧侶を紹介してくれますが、ご自身でお付き合いのあるお寺の僧侶に依頼することも可能です。依頼する際は、希望の日時、参列者の人数、お布施の金額などを事前に確認・相談しておきましょう。 お布施の相場は法要の種類によって変わりますが、樹木葬だからといって特別な金額になるわけではありません。納骨式であれば1万円~5万円、一周忌法要は3万円~5万円が一つの目安です。必要に応じて、法要後の会食(お斎)や返礼品も手配しましょう。 主な法要の種類とお布施の相場は「法要のお布施を解説」で解説しておりますので、あわせてご覧ください。 合同法要の場合 合同法要の場合は特別な準備や僧侶の手配は不要です。 多くの霊園ではお盆やお彼岸の時期に開催日が決まっています。ご家族は、霊園のホームページやはがきなどで日時を確認し、当日その時間に合わせて参加するだけで構いません。また多くの場合、法要のお布施は、初期費用に含まれており、法要当日に準備する必要はありません。 当日の流れ 当日の進行も、個別法要と合同法要とでは雰囲気が異なります。 個別法要の場合 個別法要の場合、当日の流れは、樹木葬以外の一般的な法要と大きくは変わりません。法要の主な流れは以下の通りです。 1.開式の挨拶 […]

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