高齢の親を葬儀に参列させて後悔しないために|5つの体験談と事前準備
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- 【 葬儀・葬式の基礎知識 】

高齢者を葬儀に参列させるべきか──足腰が弱くなった親御様や持病のある祖父母様を前に、そんな不安を抱えている方は少なくありません。「途中で体調を崩したらどうしよう」「そもそも連れていけるのだろうか」──こうした不安は、葬儀の現場でも非常に多く寄せられるご相談のひとつです。
本記事では、高齢のご家族を葬儀に参列させた5組のご家族の体験談をもとに、実際にどんな困りごとが起きたのか、そしてそれをどう防げるのかを、葬儀社スタッフの視点からお伝えします。「参列させるべきかどうか」の判断基準から、当日までの準備、参列が難しい場合にできることまでまとめていますので、漠然とした不安を整理するきっかけになさってください。
1.高齢の親を参列させて実際に起きたこと|ご家族5組の体験談

高齢のご家族を葬儀に参列させる際、当日になって困ってしまうケースは意外と多いものです。
ここでは、よくある困りごとを5つの体験談にまとめました。
1.式の途中で体調を崩したが、奥の席から動けなかった
知人の葬儀に、80代後半の母が参列しました。式が始まってしばらくは問題なく座っていたのですが、読経が続くうちに母が「気分が悪い」と訴えてきました。まさか座っているだけでここまで消耗するとは思いませんでした。席は前方の奥側。通路に出るには他の参列者の前を横切る必要があり、結局、式が終わるまで耐え続けることになりました。
高齢の方は、葬儀のように長時間同じ姿勢で座り続ける場面で、想像以上に体力を消耗します。持病や加齢による体調の不安定さに加え、慣れない環境での緊張や気疲れが重なり、体調を崩してしまうことがあるのです。席の位置によってはすぐに退席できず、無理をしてしまうケースも少なくありません。
2.「杖で歩けるから大丈夫」と思っていたのに、式場に着いて初めて車いすが必要だと気づいた
父の葬儀に、高齢の母を連れて行きました。自宅では杖で歩けていたので、式場でも大丈夫だろうと思っていたんです。ところが式場に着くと入口に段差があり、館内も想像以上に広くて、母は数歩歩いただけで「もう無理」と。急いで車いすを借りましたが、その時はとても慌ててしまいました。
自宅での「歩ける」と、式場での「歩ける」は、必ずしも同じとは限りません。床の素材、通路の長さ、段差の有無など、普段の生活とは異なる環境が重なることで、想像以上に体に負担がかかります。
3.焼香台の前で立ち往生してしまい、周りの目が痛かった
母の葬儀に、足の悪い80代の父を連れて行きました。普段は杖で歩けているので、特に準備はしませんでした。ところが焼香の順番が来て立ち上がろうとしたとき、父は体に力が入らず、その場で動けなくなってしまいました。後ろには次の参列者が並び始めていて、父の表情は強張っていました。あとで聞くと、「みんなの前で立てなくなったのが情けなかった」と言っていました。
普段は杖で歩けていても、立ち上がる動作には別の筋力が必要です。緊張や疲労が重なる葬儀の場では、思うように体が動かないことがあります。
4.トイレが近い祖父が「迷惑をかけたくない」と我慢していた
親戚の葬儀に、90代の祖父を連れて参列しました。祖父は普段からトイレが近く、式場に着いてすぐトイレの場所を確認しましたが、席からかなり距離がありました。式の最中も「トイレに行きたい」と何度も小声で言われ、そのたびに付き添いました。途中からはしんどそうな様子だったので、こちらもはらはらしてしまいました。
普段はすぐにトイレに行ける環境でも、葬儀では席を離れにくい雰囲気やトイレまでの距離が重なり、大きな不安につながります。無理な我慢は体調の悪化やご本人の尊厳にも関わる問題です。
5.空調の冷気が直接当たる席で、震えが止まらなくなった
夏場に、80代の父を連れて葬儀に参列しました。父の席はちょうど冷房の風が直接当たる位置で、式が進むにつれて「寒い」と言い始め、途中からは体が震えて止まらなくなってしまいました。上着を掛けてあげることしかできず、もう少し早く気づいてあげればよかったと思っています。
高齢の方は体温調節の機能が低下しているため、周囲の人が快適に感じる冷房でも、強い冷えとして体に負担がかかることがあります。特に、冷房の風が直接当たる席では、長時間座っているうちに体調を崩してしまうかもしれません。
2.参列させるか迷ったときに、家族で確認したい2つのポイント
体験談を読んで、「うちの場合も何か起きるのでは」と不安が増した方もいらっしゃるかもしれません。ただ、こうした困りごとの多くは、事前にご家族の間で2つのポイントを確認しておくことで、対策を考えることができます。
1.体に無理はないか
高齢のご家族を葬儀に参列させるかどうかを考えるとき、最初に確認すべきは身体面の状況です。以下のポイントを、ご家族で一つずつ確認してみてください。
・式のあいだ、1時間ほど座っていられるか
・自宅から式場まで、移動にどのくらいの時間がかかるか
・服薬の時間と式の時間が重ならないか
・介助者なしで移動できるか。難しい場合、介助者は確保できるか
・当日の気温や天候はどうか(猛暑・厳寒は体への負担が大きい)
1つ目の体験談のように、自宅では問題なく歩けていても、式場の広さや段差で想像以上に体力を消耗するケースがあります。「普段の状態」ではなく、「慣れない場所で数時間過ごす場合にどうか」という視点で確認することが大切です。
2.心に無理はないか
身体面の確認と同じくらい大切なのが、ご本人とご家族の「気持ち」の確認です。体が動けるからといって、心の準備が整っているとは限りません。以下のポイントを、ご家族の間で話し合ってみてください。
・ご本人が「参列したい」と思っているか。周囲の期待に応えようとして無理をしていないか
・ご家族の間で「参列させるかどうか」の意見は統一されているか
・「参列する・しない」の二択ではなく、「お顔を見るだけ」といった選択肢があることも踏まえて話し合えているか
大切な方の葬儀の場での困りごとは、体だけでなく心にも深く残ります。だからこそ、ご本人の気持ちを確認したうえで、無理のない参列方法を考えておくことが大切です。
3.高齢者の葬儀参列は、事前の相談で調整できる──花葬儀スタッフからのアドバイス

体や心に無理はないと判断したうえで参列を決めたなら、会場の情報も必要になります。会場の環境は、葬儀社に相談すると、より具体的に把握できるでしょう。
ここでは、花葬儀のスタッフが大切にしている視点や、現場でできる対応をお伝えします。
「ご本人が歩けるか」だけではなく、導線全体も確認
「自宅では歩けている」というだけでは、無理なく参列できるかどうかは判断できません。駐車場から入口までの距離、入口の段差、フロア間の移動手段、トイレまでの経路──こうした導線全体を確認しないと、当日になって困ったことが起こるかもしれません。
事前に「高齢の家族が参列します」と伝えておくと、葬儀社スタッフが導線を含めて確認・調整することができます。車いすが必要な場合も、座席の間隔や車いすの手配までまとめて動いてもらえます。「何を伝えればいいかわからない」という場合も、状況を話せば葬儀社側から確認してくれますので、まずは一言連絡しておきましょう。
席の位置・環境も調整を
導線だけでなく、式の最中の環境も、高齢の方にとっては大きな不安材料です。しかし実は、席の位置ひとつで当日の安心感は大きく変わります。
・途中退席するかもしれない
→通路側の席を確保し、退席ルートを確認しておく
・体温調節を自分でするのが難しい
→空調の風が直接当たらない席を選ぶ
・真夏・真冬など気温差が大きい時期
→ 式の前後に使える待機場所を別に確保
「冷房に弱い」などのご心配ごとがあれば、そのまま葬儀社に伝えてみてください。
ご本人の尊厳を守る配慮も大切
ご高齢の参列者にとって特に難しいのが、焼香の場面です。「歩けないから焼香は諦めるしかない」と思っている方も多いのですが、そんなことはありません。
たとえば、立ち座りが難しい方には以下のような対応が可能です。
・相談の上、焼香のお盆を席まで持っていく形式にする
・該当する方が複数いらっしゃる場合は、回し焼香にする
ご高齢の方ご本人に伺うと、体を動かしづらくても焼香台まで歩いていきたい方もいれば、席まで焼香盆を持ってきてほしい方もいらっしゃいます。大切なのは、ご本人が「どうしたいか」を事前に確認しておくことです。
あらかじめ意向を葬儀社に伝えておくと、当日、本人に気を遣わせない自然な流れをつくってもらえるはずです。
「参列させる・させない」以外の選択肢も検討
よくお見かけするのが、ご家族が「参列させるべきか」「無理させるべきではないか」の二択で悩んでいるケースです。しかし葬儀社スタッフから見ると、実はほかにもいくつか選択肢があります。
ご高齢のご家族がいらっしゃる場合、たとえば、次のような形が実際に取られています。
・式の前に5~10分程度の面会時間を設け、故人様とお会いいただく
・途中まで参列し、頃合いを見て退席していただく
・当日来ていただくことが難しそうな場合は、前日に面会時間を設ける
実際に最も多いのは「式の前にお顔を見るだけ」というパターンです。どのような形で参列するかの方針をあらかじめ決めておけば、当日、余裕を持って行動できるでしょう。
4.葬儀に高齢者が参列されることが決まったら──当日までにやっておくべきこと
「高齢のご家族を参列させる」と決めたあとに大切なのは、当日までの準備です。体験談で紹介したような困りごとの多くは、事前に当日の環境を確認し、葬儀社に伝えておくだけで防げることが少なくありません。ここでは、ご家族側でできる準備を3つに分けてお伝えします。
会場のバリアフリー状況を確認する
式場のホームページには「バリアフリー対応」と書かれていても、実際に行ってみると通路が狭かったり、トイレが遠かったりすることは珍しくありません。以下のポイントを、できれば葬儀の前に確認しておきましょう。
・エレベーターはあるか、バリアフリートイレはあるか
・式場からトイレまでの距離と導線
高齢の方はトイレの回数が多くなることもあるため、「近くにあるか」「段差なく行けるか」は重要
・フロアが分かれている場合、階段以外の移動手段があるか
エレベーターの有無が事前に伝わっておらず、当日になって1階から2階に移動できないというトラブルもある
・会場の広さ
広すぎる会場は、それだけで高齢の方の体力を消耗させる
・駐車場から入口までの距離や勾配
会館によっては駐車台数が限られるため、近隣のコインパーキングの情報も事前に調べておくと安心
バリアフリー情報は式場のHPだけではわからないことが多いです。事前にお電話で「車いすで参列したい」と伝えていただければ、導線や席の配置を先に調整できます。
移動・介助の準備
当日、式場までどうやって連れていくか、会場内で誰が付き添うかは、事前に決めておかないと慌てる原因になります。
・介護タクシーが必要な場合は、早めに手配しておく
・車いすは式場側で用意してもらえることもあるので、事前に確認する
・ご高齢者に誰が付き添うのか、あらかじめ決めておく
車いすから椅子に座り替えるか、車いすのまま参列するかは、ご本人の意向を確認したうえで決めていただいています。ご家族のどなたが車いすを押すのかなども、あらかじめ話し合っておくことをおすすめします。
葬儀社への事前相談
ここまで見てきたように、席の配置や焼香の形式、途中退席の導線などは、葬儀社側で事前に調整できることがほとんどです。ただし、こうしたことは普段の生活では考える機会がなく、当日になって初めて「こうしておけばよかった」と気づくものがほとんどです。
だからこそ、葬儀社に「高齢の家族が参列します」と一言伝えておくことが大切です。それだけで、葬儀社の側から必要な確認や提案ができるようになります。
ご高齢の方が参列されると伺えば、「おひとりで歩けますか?」「お食事で配慮することはありますか?」といったことを、こちらからお聞きしています。何を伝えればいいか迷う方も多いのですが、こちらから確認させていただきますので、まずは遠慮なく一言お知らせください。
5.花葬儀|車いすのご高齢者にも「故人様のお顔が見える」空間づくり
ここまで、導線や席の配置、焼香の形式など、高齢の方が無理なく参列するための調整についてお伝えしてきました。しかし、花葬儀が大切にしているのは、「式に参列できるかどうか」だけではありません。「最後のお別れの瞬間に、故人様のお顔をきちんと見ることができるか」──その視点まで含めて、空間をつくっています。
車いすの方の目線に合わせて、棺の高さを調整
あるご葬儀では、車いすのお祖母様やお子様にも故人様のお顔が見えるよう、棺を通常より低めに設置しました。車いすに座った状態では、通常の高さの棺では故人様のお顔を見上げる形になり、十分にお顔を見ることができません。棺の高さをあらかじめ調整することで、車いすの方にも無理のない姿勢で、穏やかにお別れの時間を過ごしていただくことができました。
<お客様インタビュー>事故で急逝した母へ、感謝を伝える花祭壇
https://www.hana-sougi.com/interview/84/

祭壇そのものを低くデザインすることもできる
別のご葬儀では、お母様が車いす生活であることを事前に伺い、祭壇自体も低めに作成しました。祭壇の高さは通常、立った状態での見え方を基準に設計されますが、車いすの方の目線に合わせてデザインすることで、祭壇に飾られたお花や故人様のお写真が自然に目に入る空間になりました。会場での食事が難しいことを考慮し、お食事をご自宅にお届けする対応も行っています。
<お客様インタビュー>納棺の儀がとてもよかったです
https://www.hana-sougi.com/interview/05/

棺や祭壇の高さは、事前に「車いすで参列する方がいる」などと伝えていただければ調整が可能です。導線や焼香の形式だけでなく、「故人様のお顔がきちんと見える」空間そのものを整えること。それが、ご家族皆さまにとって心残りのないお別れにつながると、花葬儀は考えています。
6.参列が難しい場合にできること
体調や身体の状態から、どれだけ準備をしても「当日の参列は難しい」と判断せざるを得ないこともあります。しかし、式に最初から最後まで参列できなくても、悔いのないお別れを考えることはできます。
花葬儀ではまず、ご紹介したような短時間だけの参列など、無理のない形で故人様にお会いいただく方法を模索します。それでも難しい場合は、葬儀後にお式の写真をお送りしたこともあり、「様子がわかって安心した」「きれいなお花で送ってもらえたんだね」と喜んでいただけたこともありました。
たとえ式の場にいられなくても、葬儀の様子を知り、故人様を送る時間に少しでも関われたと感じられることが、心の負担を軽くしてくれるはずです。
※会場の設備やサポート体制は式場ごとに異なるため、事前に確認しておくと安心です。気になることがございましたら、お気軽に花葬儀の葬儀相談窓口までお問い合わせください。
0120-878-339
https://www.hana-sougi.com/estimate_form/
7.高齢者の葬儀参列は「準備」と「相談」で不安を減らせる

高齢のご家族を葬儀に参列させるかどうか──その判断に、たったひとつの正解はありません。大切なのは、ご本人の体の状態と気持ちを確認し、無理のない参列方法を選ぶことです。
前日の面会や短時間のみの参列など、お別れの形はひとつではありません。「何を準備すればいいかわからない」「家族の間で意見がまとまらない」──そんなときは、まず葬儀社に相談してみてください。ご高齢の方が参列されると伝えるだけで、葬儀社の側から必要な確認や提案ができるようになります。
何から聞けばいいかわからない場合は、花葬儀までご相談ください。ご家族の状況をお聞きしたうえで、参列方法や当日の過ごし方について、一緒に考えてまいります。高齢のご家族が安心して参列できるようお手伝いいたしますので、お気軽にお問い合わせください。











