妊婦が葬儀に参列した当日のリアル|正直きつかったこと・助かったこと
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前回の記事「妊婦が葬儀に参列していいのか迷った日|不安と向き合いながら選んだ答え」では、妊娠7か月のときに祖母を亡くされたAさん(30代女性)が、参列するかどうかを迷いながらも、「告別式のみ参列する」という選択に至るまでの経緯をご紹介しました。
では、実際に参列した当日は、どのような一日だったのでしょうか。
この記事では、Aさんが妊婦として行くべきか悩みながらも参列を決めたリアルな一日をご紹介します。これから参列を予定されている方は、当日の過ごし方や体調との向き合い方をイメージしながら、ご自身にとって無理のない動き方をぜひ考えてみてください。
1.葬儀当日の朝|準備の時点で感じた“いつもと違う負担

葬儀当日の朝は、静かな緊張感の中で始まりました。告別式のみとはいえ、「本当に最後までいられるだろうか」という不安は、支度の段階から消えなかったといいます。Aさんの準備から参列までの流れを見てみましょう。
妊婦に適した喪服を選んでいても感じた違和感
以下の基準すべてを満たしたAさんは、お腹を締めつけないよう、ゆとりのある黒のワンピースを選ばれました。また、長時間の外出でお腹や腰、足への負担を少しでも軽くするために、マタニティベルトを装着し、クッションがしっかりときいた、ヒールの低い靴も履きました。
座っている時間が長くなることを想定し、できるだけ楽に過ごせる装いを意識したといいます。 それでも、実際に着替えてみると「少し座るだけでも、お腹への負担がありそう」と感じたそうです。
「普段は気にならないのに、この日は服のちょっとした圧迫も意識してしまいました」
Aさんのように“少し座るだけで違和感がある状態”であれば、見た目の礼節を保ちながらも、体に負担のない服装を選ぶことが、当日を穏やかに過ごすためにも大切です。
体調の変化に備えて、持ち物もいつも以上に慎重に準備
Aさんは葬儀当日の朝、「長時間外にいることになるかもしれない」と考えながら、普段の外出以上に慎重に持ち物を準備したといいます。
数珠やハンカチ、お香典といった基本的な持ち物に加え、体調の変化に備えたものもバッグに入れていくうちに、「準備の段階ですでに少し疲れてしまった」と感じる場面もあったそうです。
結果的には、「使ったもの」と「使わなかったもの」があったため、参考程度にご紹介します。
| 名前 | 実際にどうだったか |
|---|---|
| 飲み物 | こまめに水分補給ができ、気持ち的にも落ち着けた |
| マスク | 感染対策だけでなく、においが気になる場面でも安心材料になった |
| 扇子 | 人が集まる場面で少し暑さを感じた際、軽くあおぐだけでも楽になった |
| 日傘 | 移動中の日差しや暑さを和らげるのに役立った |
| 鏡 | 妊婦の葬儀参列に関する言い伝えを気にする方への配慮として持参し、気持ち的に落ち着けた |
| 名前 | 実際にどうだったか |
|---|---|
| 母子手帳・マイナンバーカード・診察券 | 使用はしなかったものの、「万が一のときでもすぐ対応できる」と思えて安心感があった |
| 羽織 | 会場内の温度が安定していたため、使わずに済んだ |
| ビニール袋 | 実際には使わなかったが、「もしものとき」に備えがあることで安心できた |
| カイロ | 当日は寒さを感じず、使用する場面はなかった |
妊娠中の参列では、万が一への備えと、移動時の負担とのバランスを考えながら、無理のない範囲で準備することが大切なのかもしれません。
実際には使わなかったものもありましたが、万が一のときにないと困るものもあり、また「持っているだけで安心できた」と感じる場面もあったそうです。必要な持ち物は、体調や季節、参列する環境によっても変わるため、Aさんのケースも一つの参考として、自分に合った準備を考えてみてください。
2.会場までの移動|すでに余裕がなくなっていた理由
斎場までは電車で約1時間、駅からは徒歩5分未満です。距離としては特別遠いわけではありませんが、Aさんにとっては「思っていた以上に気を張る時間」になりました。式そのものよりも、まず“そこにたどり着くまで”に体力を使っている感覚があったといいます。
「朝の時間帯ということもあり、車内はある程度の混雑がありました。優先席の近くに立っていたものの、必ずしもすぐに座れるとは限りません。立っているだけでも、お腹に意識がいってしまって……。揺れに合わせて踏ん張るのが、想像以上にしんどかったです」
さらに、妊娠中は頻尿になりやすく、「あとどれくらいで着くのか」を何度も確認してしまったそうです。途中で降りるほどではないものの、「いつでもトイレに行ける状態ではない」という状況そのものが、心理的な負担につながっていました。
こうした移動中の緊張や疲れは、目に見えにくいものですが、確実に体への負担になっていたようです。到着した時点で、すでに少し疲れている感覚があったと、Aさんは振り返りました。
3.受付で妊婦であることを伝えたら、不安が軽くなった
葬儀会場に到着したAさんは、受付で待っていた葬儀スタッフに、少し迷いながらも「妊娠中のため、途中で席を外すかもしれません」と伝えました。
葬儀の場で自分の体調のことを申し出るのは、少し気が引けるものです。それでも、式の途中で急に立ち上がらなければならなくなった場合を考えると、先に伝えておいたほうが安心だと考えてのことでした。
すると葬儀スタッフからは、「喪主様からうかがっております。後ほど出入りしやすいお席にご案内いたしますのでご安心ください」と言われました。Aさんはその一言で、張りつめていた気持ちが少しやわらいだといいます。
ご親族の席には、故人様との関係性に応じた座る順番がありますが、体調面に不安がある場合は、状況に応じて出入りしやすい席へ調整してもらえることもあります。
妊娠中は、トイレに行きたくなったり、お腹の張りを感じたりと、当日になってみなければ分からない変化が起こりやすい時期です。事前に「途中で席を外すかもしれない」と伝えておくことで、席の位置や動線について相談しやすくなり、不安を軽減できるかもしれません。
4.親族控室で感じたこと|疲労やにおい、迷信に対して
受付を済ませたあと、Aさんは親族控室へ案内されました。
控室の近くにはすぐ使えそうなトイレが見当たらず、「途中で行きたくなったらどうしよう」という不安もあったため、式が始まる前に場所を確認しておいたそうです。「いつでも席を外せる」と思えるだけでも、少し気持ちに余裕ができたといいます。
一方で、控室では妊娠中ならではの疲れや、周囲への気遣いを感じる場面もありました。
控室で感じた体と気持ちの負担
親族控室は、長机と椅子が規則的に並んだ、20畳前後の部屋でした。周りに挨拶をしてから席についたものの、椅子の座り心地は決して楽とは言えず、背もたれに体を預けながら、できるだけお腹に負担がかからない姿勢を探すようにして過ごしていたそうです。
「座っているだけなのに、じわじわ疲れていく感じがありました」
また、同じ空間に多くのご親族が集まるため、妊娠中で五感が敏感になっていたAさんは、においや話し声にも自然と意識が向いてしまったといいます。
特に、近くにいた方のタバコのにおいが気になり、少し気分が悪くなりかけました。パートナーに一言伝えて、控室の外にある共用スペースで過ごす時間を作ることで、なんとか乗り越えたそうです。
Aさんは、「ずっとその場にいなければと思っていましたが、少し離れるだけでもかなり楽になりました」と振り返りました。
妊婦と葬儀に関する迷信への向き合い方(鏡の話)
ご親族への挨拶をしている最中、祖母のいとこであるという高齢の女性から「鏡は持ってきたの?」と声をかけられました。
「妊婦が葬儀に出ると、お腹の赤ちゃんに故人様の魂が宿る」
「不吉をはらうために鏡を持って行った方がよい」
この迷信や言い伝えのことを意味しているのだと、Aさんはすぐに気づいたそうです。
Aさん自身はあまり信じていなかったのですが、「安心してもらえるなら」と思い、持ってきた鏡を見せました。すると、その方はほっとしたように頷き、それ以上その話題に触れることはなかったそうです。
この出来事を通してAさんは、「正しいかどうかだけでなく、相手がどう感じるかにも目を向けることの大切さを感じた」といいます。
5.妊婦として式の最中に起きた“リアルなきつさ”
式が始まると、会場全体に静けさが広がり、読経の声がゆっくりと響いていきます。その厳かな空気の中で、Aさんは「できるだけ静かに過ごしたい」と思いながら席に座っていました。しかし、時間が経つにつれて、体の違和感が少しずつ気になり始めたといいます。
読経中にトイレに行きたくなったとき
「しばらく座っているうちに、ふと強い尿意を感じました。式前にきちんとトイレに行っていたにもかかわらずです。しかし、読経が続く静かな空間の中では、立ち上がるタイミングがわかりにくく、周りの方の視線を引いてしまうのではないかと、気が気ではありませんでした」
そんなAさんの様子に気づいた葬儀スタッフが、さりげなく近づき、他の参列者の妨げにならないよう配慮しながら、静かに誘導してくれました。
戻る際も同様にタイミングを見て案内してもらえたことで、注目を集めずに、落ち着いて席に戻ることができたそうです。葬儀の場では、途中で席を外すことにためらいを感じる方も多いものですが、無理をせず、体調に合わせて動くことも大切です。 Aさんは、「葬儀スタッフに頼ってもいいんだと思えたことで、とても安心しました」と振り返りました。
途中でお腹の張りを感じたときの不安
読経が進む中で、Aさんはもう一つの変化にも気づきました。お腹のあたりに、じわりとした張りを感じたのです。
「このまま続くと張りが強くなってしまうかも」
Aさんはこれまでの経験から、そう感じました。
強い痛みではないものの、姿勢を変えたくなるような違和感。Aさんは、背もたれに少し体を預け、足の位置を調整するなど、できる範囲で姿勢を変えました。「無理をせず、小さく調整する」ことを意識したそうです。
やがて、焼香の順番が回ってきたとき、葬儀スタッフがAさんのところに来て、静かにこう聞きました。
「焼香台をお席までお運びすることもできますが、いかがしますか?」
少しずつ張りは収まってきているとはいえ、立ち上がるとまたお腹に負担がかかると考えたAさんは、お言葉に甘えてお願いしたそうです。「絶対に前まで行かなくてもいいんだと分かって、少し気持ちが楽になりました」と、振り返ります。
6.花入れと出棺の見送り|帰ることへの迷いと、心がほどけた一言
告別式の終盤、棺に花を手向ける時間が訪れました。 故人様の近くに立ち、改めてお顔を見たとき、「本当にここで帰っていいのだろうか」という迷いがふと頭をよぎったAさん。
今回、Aさんは体調を考えて、火葬場への同行やその後の会食には参加せず、告別式のみで帰ると決めていました。それでも、いざお別れの場面に立つと、「最後まで見送らなくていいのか」「やっぱり火葬まで付き添うべきでは」と思ったのです。
出棺の準備が滞りなく進む中、もやもやと考えていると、喪主である叔母から声をかけられました。
「大変なときに来てくれてありがとうね。おばあちゃんもきっと、来てもらって喜んでいると思う」
その言葉を聞いたとき、Aさんの中にあった迷いが、ふっとほどけていったように感じたそうです。それまで感じていた「最後まで付き添えないことへの申し訳なさ」も、その言葉によって少し軽くなったといいます。
実際には、周囲から声をかけてもらえるとは限りません。それでも、体調を優先して参列の範囲を決めることは、決して間違いではありません。
Aさんは、「自分なりにお別れができたと思えました」と静かに振り返りました。
7.無理を避けた帰り道
告別式を終えるころには、Aさんの体には、思っていた以上の疲れが溜まっていました。式のあいだは気を張っていたせいか、その場ではあまり気づかなかったものの、会場を出る支度を始めた途端、足元の重さや体のだるさがはっきりと感じられたといいます。
行きと同じように電車で帰る予定でしたが、そのときのAさんには、駅まで歩き、人混みの中で揺られながら帰る余裕はありませんでした。そこで、斎場からタクシーに乗って帰宅することにしました。
自宅に着いてからは、着替えを済ませ、しばらく横になって安静に過ごしました。静かな部屋で体を休めながら、祖母の表情や、花を手向けたときのこと、叔母からかけられた言葉を思い返します。
その場に長く残ることだけが、故人様を偲ぶ時間ではありません。無理のない形で参列し、帰宅後に静かに故人様を思い返す時間も、Aさんにとって大切なお別れの時間になったようです。
8.参列してわかったこと|「無理をしない」という選択
一日を終えたあと、Aさんの中に残ったのは「行ってよかった」という気持ちと同時に、「無理をしなくてよかった」という安堵でした。参列する前は、“どこまでできるか”を考えていたものの、実際に過ごしてみて、「無理をしないことも大切なんだ」と感じたそうです。
全部参加しなくても、お別れはできる
Aさんは今回、告別式のみ参列し、火葬や長時間の滞在は控えるという選択をされました。
当初は「それで十分なのだろうか」という思いもありましたが、実際にその場で故人様と向き合い、手を合わせたことで、「自分なりのお別れはきちんとできた」と感じられたといいます。
周囲は思っている以上に理解してくれている
参列前、Aさんが特に気にしていたのは「途中で席を外したらどう思われるか」「すべて参加しないことで失礼にあたらないか」という点でした。
しかし実際には、周囲のご家族やご親族は、Aさんの体調を気遣う言葉をかけてくれることが多く、妊婦の参列も自然に受け止めてくれていたそうです。
無理しないことも大切な配慮
Aさんは今回の経験を通して、「無理をしないこと自体が、周囲への配慮でもある」と感じたといいます。
体調を優先して行動を調整したことで、結果的に落ち着いて祖母と向き合う時間を持つことができたそうです。
9.妊婦の葬儀参列は「できる範囲で整える」ことが大切
妊婦として葬儀に参列する一日は、想像以上に体力も気力も使います。服装や持ち物を準備していても、移動中の疲れ、頻尿やお腹の張り、控室での過ごしづらさなど、当日になって初めて気づく負担もあるでしょう。
Aさんも、すべてを無理なくこなせたわけではありませんでした。それでも、体調に合わせて行動を変えながら、故人様と静かに向き合う時間を持つことができました。
このように、妊娠中の葬儀参列で何より大切なのは、ご自身と赤ちゃんを守りながら、できる範囲で弔意を届けることです。無理をしない選択も、途中で調整する選択も、大切なことだといえるでしょう。
なお、妊娠中の参列では、「移動しやすいか」「休める場所があるか」といった事前確認も安心材料のひとつになります。また、葬儀には一定の流れがありますが、体調によっては動き方を調整できる場合もあります。不安なことがある場合は、事前に葬儀スタッフへ相談しておくことで、当日も無理なく過ごしやすくなるでしょう。
花葬儀では、関東圏内の斎場について、設備や控室の広さ、アクセス方法などをご紹介しております。事前に斎場の様子や移動のしやすさを把握しておくことで、当日の動き方を具体的にイメージしやすくなり、無理のない参列につなげることができるでしょう。これから参列を予定されている方は、花葬儀の斎場詳細ページをぜひご活用ください。











