妊婦が葬儀に参列していいのか迷った日|不安と向き合いながら選んだ答え
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- 【 葬儀・葬式の基礎知識 】

妊娠中に訃報を受け、「葬儀に参列しても大丈夫だろうか」と迷われた経験はありませんか。大切な方を見送りたい気持ちと、お腹の赤ちゃんへの影響や体調への不安。そのどちらも大切だからこそ、簡単には答えを出せないものです。
今回は、妊娠7か月のときに祖母の葬儀に参列されたAさん(30代女性)の体験をご紹介します。参列するかどうか迷ったとき、どのように考え、誰に相談し、どのような判断をされたのか。さらに、実際に参列した当日の過ごし方や感じたことについてもお話を伺いました。
同じように迷われている方が、ご自身にとって無理のない選択を見つけるための参考になれば幸いです。
1.妊娠7か月で祖母の葬儀に参列したAさん(30代女性)の体験

ある日、スマートフォンに届いた「祖母の訃報」の連絡。画面を見た瞬間、胸の奥が少しざわついたとAさんはいいます。
「行かなきゃ」という気持ちと同時に、ふとよぎったのは別の不安でした。
「今の私、葬儀に行っても大丈夫なんだろうか」
当時、Aさんは妊娠7か月。体調は落ち着いてきたものの、無理をするとすぐに疲れてしまう時期でした。葬儀会場は自宅から電車で1時間ほどの場所にあり、参列するとなれば、移動や長時間の滞在も避けられません。
行きたい気持ちはある。でも、お腹の子のことを考えると迷ってしまう——。そんな揺れる気持ちの中で、Aさんは「参列するかどうか」を考え始めました。
妊婦が葬儀へ参列するかどうかは、ご本人やそのご家族の多くが抱える悩みのひとつです。体調面だけでなく、「周りが本当はどう思っているのか」が分かりづらいからこそ、判断に迷うことも少なくありません。
もしものとき、自分ならどうするか、ぜひ一緒に考えてみましょう。
2.訃報を受けた瞬間に浮かんだ、さまざまな不安
訃報に触れた瞬間、まず湧き上がるのは深い悲しみです。しかしその後に直面するのは、体調への影響、お腹の子の安全、周囲への配慮、さらには移動の負担といった、現実的な不安ではないでしょうか。
ここでは、Aさんが実際に感じた「妊娠中という特別な時期だからこその不安」をひとつずつ見てみましょう。
体調への不安が大きくなった
Aさんがまず気になったのは、自分の体調でした。
妊娠中は、お腹の張り、貧血、立ちくらみ、息切れ、動悸、吐き気など、体調の変化が起こりやすい時期です。Aさんも「少し無理をすると一気に疲れてしまう」と感じることがあったそうです。
葬儀は告別式までは一般的に1~2時間、ご親族として火葬や会食まで参加する場合は、半日近くに及ぶこともあります。式場では一定時間座ったまま過ごすことが多く、葬儀後に火葬場へ向かう場合は、車やマイクロバスなどで移動することもあります。
移動や待機まで含めると、妊娠中の体には想像以上の負担となるのではないか——。そう考えると、「途中で具合が悪くなったらどうしよう」「最後まで無理なくいられるだろうか」と不安が大きくなってしまったといいます。
赤ちゃんへの影響が頭をよぎった
Aさんが、体調と同じくらい、あるいはそれ以上に気になったのが、お腹の赤ちゃんへの影響でした。
妊娠中は、医師や助産師から「お腹が張らないように気をつけてください」とよく言われます。そのため、移動を伴う長時間の外出や、慣れない環境で過ごすことを考えると、緊張や疲れも重なり、「本当に大丈夫なのだろうか」という不安が強くなっていったそうです。
もちろん、葬儀に参列したことが直接赤ちゃんに影響するとは限りません。しかし、もし後から体調に変化があった場合、「あのとき無理をしなければ」と後悔してしまうこともあるでしょう。
「お腹の子を今守れるのは自分だけ」そう感じるからこそ、参列するか控えるかという判断そのものが、重くのしかかります。
周囲の目が気になった
もう一つの大きな不安は、「周囲の受け止め方」だったそうです。
参列すれば、「妊婦なのに無理をして大丈夫なのか」と心配されるかもしれない――。
一方で、参列を控えた場合には、「どうして来なかったのか」と思われるのではないか――。
このように、どちらを選択しても、誰かに気を遣わせてしまうのではないかと感じていたそうです。
また、妊婦が葬儀に参列することについて、昔からの迷信や言い伝えを耳にすることもあります。「妊婦が葬儀に出ると、お腹の赤ちゃんに故人様の魂が宿る」「不吉をはらうために鏡を持って行った方がよい」といった話を聞くと、たとえ自分では信じていなくても、周囲の誰がそうした考えを持っているか分からないという不安が残ります。
葬儀は、故人様を偲び、ご家族やご親族が静かに別れと向き合う場です。だからこそ、自分の参列が余計な気遣いや誤解につながらないかと考えてしまうことも、妊娠中ならではの迷いのひとつといえるでしょう。
葬儀会場までの移動に不安を感じた
Aさんの場合、自宅から斎場まで電車で1時間ほど。移動時間としては長すぎるわけではありませんが、普段以上に不安を感じたそうです。
妊娠中は、移動による腰や足の負担、乗り物の混雑による緊張、トイレに行きづらい不安などが重なりやすくなります。行き帰りの移動まで含めて考えると、「葬儀に参列できるかどうか」は、式の時間だけでは判断しきれない問題といえるでしょう。
3.妊婦として「行くか・行かないか」を決めるまでのリアルな思考と行動

妊婦として葬儀に参列するかどうかは、いくつかの確認や行動を重ねながら、少しずつ判断に近づいていくケースが一般的です。ここでは、Aさんの実際の判断を踏まえつつ、多くの方がたどる思考と行動の流れを整理していきます。
自分の体調と妊娠の経過を確認する
参列を考える際、まず見つめたいのは、ご自身の体調と妊娠の経過です。一般的に「安定期」と呼ばれるのは、妊娠5か月ごろから7か月ごろ、妊娠週数でいうと16〜27週ごろを指すことが多いとされています。
この時期になると、つわりが落ち着き、体調が比較的安定してくる方もいます。葬儀への参列を考えるうえでも、安定期に入っているかどうかは、ひとつの目安になるでしょう。
ただし、安定期だからといって、何をしても負担がないわけではありません。Aさんも、「安定しているとはいえ、無理をしても大丈夫とは言い切れない」と感じていたそうです。
決断の際には、「今の体調で最後まで無理なく参列できるのか」「途中で休める場所はあるのか」「体調が変わったときに、すぐ退席できるのか」など具体的な場面までを想像しましょう。
なお、次のような場合は、参列を控える判断をされる方が多いので、参考になさってください。
・強い体の不調がある
・切迫早産の兆候がある
・出血やお腹の強い張りが続いている
・インフルエンザなど、流行り病が身近に増えている
最終的には医師やご家族と相談しながら判断することが大切です。
葬儀の詳細や、葬儀が行われる時期を確認する
次に確認したいのは、葬儀がどこで行われるのか、そして当日の移動の有無や所要時間です。会場の場所や開始時間、喪主様のお名前などは、訃報の連絡や葬儀の案内状で確認できます。まずはその情報をもとに、自宅から会場までの距離、移動手段、所要時間を具体的に見ておくとよいでしょう。
Aさんも、いろいろ調べていくうちに、「思っていたよりも移動や待ち時間が長くなりそうだ」と感じたといいます。
また、真夏や真冬、雨天や雪の日などは、移動だけでも体に負担がかかりやすくなります。行き帰りの移動、火葬、待機まで含めた一日の流れを想像しておくことで、妊娠中の体に無理がないか、より現実的に判断しやすくなるでしょう。
故人様との関係から、自分の正直な気持ちを見つめる
故人様との関係を振り返りながら、ご自身の気持ちを見つめる時間も大切です。「どうしても直接お別れをしたい」という気持ちがあっても、「今は無理をしないほうがよいかもしれない」という状態の場合、気持ちは揺れてしまうでしょう。その受け止め方は、故人様との距離や思い出の深さによっても変わります。
Aさんも悩んだそうですが、「祖母ならどう思うだろう」と考えたといいます。「きっと無理はしなくていいと言ってくれるはず」——そう思えたことで、少しずつ気持ちの整理がついていったとのこと。
自分の気持ちだけでなく、故人様ならどう思われるかを考えてみることも、判断の手がかりになるでしょう。
パートナーと相談し、現実的な判断材料を整理する
妊娠中に葬儀へ参列するかどうかは、ご本人だけで抱え込まず、必ずパートナーにも相談しましょう。体調への不安や移動の負担について客観的に見てもらうことで、「無理がないか」を冷静に判断しやすくなります。また、移動方法や滞在時間の調整など、具体的な対策を一緒に考えることもできます。
Aさんの場合、体調や移動の負担について客観的な意見をもらうことで、「やはり無理はしないほうがいいのではないか」と感じる場面もあったといいます。
パートナーにとっても、妊婦の体調や赤ちゃんへの影響は大きな心配事です。参列する場合も、控える場合も、二人で話し合ったうえで選んだことであれば、その後の気持ちも受け止めやすくなるでしょう。
喪主様やご家族に事情を説明し相談する
パートナーと話し合っても判断がつかない場合は、喪主様や近しいご家族に事情を伝え、意向を確認する方法もあります。
Aさんの場合は、喪主様やご家族にかえって気を遣わせてしまうのではないかと思い、連絡することは控えたそうですが、迷っている場合は相談してみてはいかがでしょうか。
妊娠中であることを事前に伝えておくことで、出入りしやすい席に案内してもらえるなど、結果として負担を抑えやすくなる場合もあります。また、ご親族の中に妊婦の参列をどのように受け止める方がいるのか、事前に雰囲気を知るきっかけにもなります。
伝える際は、「ぜひ参列したいと思っておりますが、現在妊娠〇週目です。それでもご迷惑ではないでしょうか」など、参列したい気持ちと妊娠中である事情の両方が伝わる言葉を選ぶとよいでしょう。
医師の意見を参考にする
現在の体調で「長時間の外出や移動が可能か」「どのような過ごし方であれば体への負担を抑えられるか」を医師に確認しておくと、安心につながります。また、「こういう症状が出たら病院に連絡する」といった目安を聞いておくことで、参列する場合も、控える場合も、より納得して判断しやすくなるでしょう。
Aさんは、医師の意見を聞くことも頭をよぎったそうですが、体調は比較的安定していたこともあり、まずは自分たちで判断したいと考え、今回は相談せずに決めることにしたそうです。
さまざまな要素を踏まえて最終的に判断する
こうした確認や話し合いを重ねたうえで、Aさんは最終的に「告別式のみ参列する」という選択をされました。通夜や火葬への同行、会食への参加は控え、体への負担が少ない範囲でのお別れを選ばれたといいます。
このように、決断に至るまでには、何度も迷い、考え直す時間があるはずです。いったん決めたあとは、心を落ち着かせ、ご自身の体とお腹の子をいたわって過ごすことも忘れないようにしてください。
4.妊婦として参列を控えると決めたあと|返事のマナーと弔意の届け方
さまざまな不安や状況を踏まえ、参列を控えると決めたあとも、「どのように返事をすればよいのか」「参列できない代わりにできることはないか」と迷う方は少なくありません。ここでは、参列を見送る場合の伝え方と、別の形で弔意を届ける方法についてご紹介します。
参列辞退の返事をする
喪主様やご遺族は、参列者の人数や対応を把握しながら準備を進める必要があるため、参列辞退の返事は、なるべく早く行いましょう。
返事の方法は、訃報や葬儀案内を受け取った手段に合わせるのが基本です。電話やメールで連絡を受けた場合は同じ方法で、手紙やはがきで案内を受けた場合は、同じく書面で返信するのが丁寧とされています。返信ではお悔やみの言葉、参列できない旨、事情へのお詫びを簡潔に伝えましょう。
故人様が自分の配偶者と血縁関係の近い方である場合には、配偶者から連絡してもらう方法もあります。無理に一人で抱え込まず、関係性や状況に合わせて、失礼のない伝え方を選ぶことが大切です。
参列以外で弔意を伝える方法を検討する
直接葬儀に足を運ぶことが難しい場合でも、想いを伝える方法はいくつかあります。これらは一つだけを選ぶものではなく、状況に応じて組み合わせることもできます。
1点目は、お香典をお送りする方法です。ただし、配偶者が参列する場合には、お香典は家として包むことが一般的なため、別途用意する必要はありません。夫婦連名で用意する場合の金額目安は「夫婦で香典を出す場合の相場・書き方・マナー」を参考になさってください。
2点目は、供花や弔電を手配する方法です。葬儀に参列できなくても、故人様への想いやご家族へのお悔やみの気持ちを形にして届けることができます。
3点目は、妊娠や出産が落ち着いたあとに、お墓参りやご自宅への弔問という形で、改めてお別れの機会を持つことです。無事に過ごしたことや、赤ちゃんが生まれたことを報告することも、ひとつの弔いの形になるのではないでしょうか。
なお、お香典や弔電などで想いをお伝えしたうえで、後日あらためてお参りに伺うという形を選ばれる方もいらっしゃいます。ご自身の体調や気持ちと向き合いながら、無理のない形でできることを選んでみてください。
5.妊婦として葬儀に参列した日|当日の動き方と気を付けたいこと

妊娠中に葬儀へ参列する場合、事前に想像している以上に体への負担や気遣いが必要になることがあります。無理なく過ごすためには、当日の動き方をあらかじめ考えておくことが大切です。
特に、次のような点を意識しておくとよいでしょう。
・できるだけ負担の少ない移動手段を選ぶ
・会場に着いたらトイレの場所を確認しておく
・受付時に妊娠中であることを伝えておく
・体調に不安を感じたら無理をせず席を外す
・火葬や会食などは無理に参加せず、途中で帰る選択もする
葬儀は移動や待ち時間に加え、精神的な負担も大きい場です。実際に参列した方の中には、「想像以上に疲れを感じた」という声もあります。そのため、最後まで無理なく過ごすことを最優先に考え、ご自身の体調に合わせて参加の仕方を調整することが大切です。
また、妊娠中であることを伝えておくと、葬儀スタッフや会場の案内係が席の案内などを配慮してくれます。遠慮せずに、葬儀プランナーやスタッフのサポートに頼りましょう。
6.参列の判断をするうえで大切にしたい考え方
妊婦として葬儀に参列する場合も、参列を控える場合も、そこにはそれぞれの理由と想いがあります。ここでは、最終的な判断に迷ったときに大切にしたい考え方をお伝えします。
自分と赤ちゃんを守ることを優先していい
妊娠中は、ご自身の体調だけでなく、お腹の赤ちゃんの状態にも配慮が必要な時期です。そのため、参列するかどうかにかかわらず、「無理をしないこと」を何よりも優先しましょう。
Aさんも、参列するかどうかについて何度も迷い、考え直しながら、ご自身にとって無理のない形を選ばれました。
また、葬儀に参列すると決めた場合でも、式の間ずっと無理をして過ごす必要はありません。途中で体調に不安を感じたら席を外す、火葬場への同行や会食は控える、早めに帰る。そうした選択をしてもよいのです。
故人様への愛情や感謝、弔意は抱きつつ、自分と赤ちゃんを守るためにはどうしたらよいのかを考えてみてください。
正解ではなく「納得できる選択」をする
妊娠中の参列については、「こうするべき」といった明確な正解はありません。そのため、参列する・しないを決める際は「自分たちが納得できるか」という視点が大切です。
周囲のご家族やお世話になっている医療者、一般的な考え方などを参考にしながら、ご自身とパートナーでよく話し合い、判断しましょう。そうして選んだ答えは、後になって振り返ったときにも、受け止めやすいものになるはずです。
7.妊婦の葬儀参列は「無理しない」が鉄則

妊婦が葬儀へ参列するかどうかは、多くの方が一度は迷うテーマです。体調や環境、周囲への配慮など、考えるべきことが多いからこそ、簡単に答えを出せないこともあるでしょう。
しかし、どの選択にも間違いはありません。大切なのは、「自分にとって無理がないか」「納得できるかどうか」を軸に選ぶことです。参列する場合でも、すべてに参加する必要はなく、ご自身の体調に合わせて参加の範囲を調整することが大切です。反対に、参列を控えるという選択も、決して間違いではありません。
もし判断に迷う場合は、一人で抱え込まずに、身近な方や花葬儀の窓口に相談してみるのも一つの方法です。
また、葬儀に参列できない場合のマナーや、弔意の伝え方については、「親族のお葬式に行けないときはどうする?対応法と必要なマナーも解説」の記事でも詳しくご紹介しています。あわせて参考になさってください。











