無宗教で送ってもいい?葬儀の形に迷った家族たちが「自分たちなりの答え」を出すまで
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- 【 葬儀・葬式の基礎知識 】

「大切な家族を、無宗教という形で送ってもよいのだろうか」
葬儀の詳細を決めるにあたり、お見送りの形を悩まれるご遺族は少なくありません。
無宗教葬は、特定の宗教・宗派の作法にとらわれない葬儀の形です。まだ広く行われている形式ではないため、「実際にはどんな流れで進むのだろう」「宗教的な儀式をしないことで、あとから困ることはないのか」と、疑問に思う方も多くいらっしゃいます。
この記事では、無宗教葬を検討した3組のご家族が、迷いながらも自分たちらしいお見送りにたどり着くまでの歩みをたどります。現場に立つ葬儀スタッフの視点もあわせてお伝えしますので、皆さまが納得のいく答えを見つける手がかりにしていただければ幸いです。
1.【ケース1】無宗教葬でも故人をきちんと見送れるのか不安だった

宗教にこだわらない、シンプルな葬儀を希望していたK様ご夫婦。しかしいざ葬儀の準備を始めると、思いがけない迷いが生じたといいます。
「お坊さんを呼ばなくても、”きちんと送った”と思えるのか」が不安だった
K様ご夫婦はもともと特定の宗教を信仰しておらず、「宗教色のない、少人数でかしこまらない式にしたい」と話し合われていました。
そのような折、体調を崩し施設に入所していた奥様が、肺炎を発症し急逝されます。喪失感のなか、ご主人であるK様(70代)は、ご夫婦の希望に沿った葬儀社を探し始めました。
しかし、「シンプルな葬儀」を掲げる数社からパンフレットを取り寄せてみても、内容を見ると結局は僧侶が来られる従来通りの形式であることが多く、がっかりすることが続いたといいます。ご親族にも相談しましたが、「読経がないと葬儀の間、間が持たないのではないか」と言われ、K様は「やはり葬儀とはそんなものなのだろうか」と、一時は諦めかけたそうです。
そんな中、娘様が見つけられたのが、花葬儀のホームページでした。宗教色のない葬儀に対応していることや、生花をふんだんに使った祭壇の写真をご覧になり、「ここなら、自分たちが思い描く式ができるかもしれない」と考えたK様。すぐに問い合わせを行い、詳しい話を聞くため事前相談を申し込まれました。
事前相談で「形式に頼らなくても”きちんとしたお別れ”は作れる」と気づく
事前相談で葬儀スタッフから伝えられたのは、「式で何を大切にしたいかというテーマが決まれば、宗教儀式がなくても、しっかりとお別れの形を作れる」ということでした。
スタッフは「お二人がこれまで大切にされてきたことを教えていただけますか」とヒアリングを進め、K様はご夫婦で趣味だった海外旅行や、奥様がお好きだったクラシック音楽にまつわる思い出を話されました。
毎年のように長期休暇を取り、アメリカ、カナダ、ヨーロッパなど、世界各国を二人で旅したこと。奥様が体調を崩されてからは、その旅も途絶えてしまっていたこと。
「もっと一緒に旅行したかった」
そうしみじみとおっしゃったK様の想いを汲み、スタッフから提案がありました。
「それなら、もう一度皆様で旅行に出かけるような式にしてみてはいかがでしょうか」
式全体を“ご夫婦の旅の続き”として捉え直すこの提案に、K様は深く感銘を受けたそうです。そこから、奥様がお好きだった音楽を式中に流すことや、お花を手向ける時間を設けることなど、”夫婦で歩んできた旅”を軸にしたプログラムが組み立てられていきました。
お花が大好きだった故人様らしい、心に残るお別れ
そうして迎えた式当日。シックな装いを好んだ奥様に合わせ、祭壇はシンプルながらも上品になるようデザインされました。花や植物がお好きだったという奥様のために、遺影写真の周りには生花がたっぷりと添えられます。
式中は奥様が特にお好きだったというベルギーゆかりの音楽を流し、ご夫婦で旅した思い出の写真をスライドショーで上映しました。
参列者に自由に語らってお別れしていただくため、あえて司会者を立てない形式を採用。参列者が無宗教形式であることに戸惑うことがないよう、スタッフが参列者を細やかに誘導します。
参列者にはそれぞれ奥様に宛てたメッセージを書いていただき、順番に棺に納めていただきました。式の締めくくりには、奥様が好まれたバラの花束をK様が棺に手向け、お別れを惜しまれました。
式に先立ち奥様の生前の意向を丁寧に伝えていたことで、仏教葬でないことへの異論もなく、皆様が理解を示してくださったといいます。ご参列くださった奥様のご友人からは、「奥様らしい、美しい式ですね」と温かい言葉が寄せられたそうです。
「無宗教葬がどんな式になるのか最初は想像もつきませんでしたが、深く心に残る式になりました。娘も『お母さんらしい式だった』と喜んでくれましたし、妻もきっと満足してくれているはずです」
K様は式後、そのように語ってくださいました。
2.【ケース2】親族間で宗教観が異なる中、無宗教葬にしていいか悩んだ
ご家族の中で宗教観が異なることから、無宗教葬を検討されたご家族もいらっしゃいます。
間を取って無宗教葬に傾くも、家族みんなが納得できる形なのか迷った
N様(50代)のお父様は、ご病気で入院中に容態が急変し、そのままお亡くなりになりました。葬儀を行うにあたって内容を決める必要がありましたが、ご家族の宗教観が異なっており、なかなか方針がまとまらなかったといいます。
故人であるお父様は無宗教、N様のお母様はキリスト教、そしてお父様のご親族は仏教に馴染みがありました。全員が参列しやすい形を模索する中で、N様が思いついたのが、無宗教葬でした。
「母は、仏式の葬儀を行うのは気が進まない様子でした。かといって、父は母とは違い、クリスチャンではありません。だから、いっそ宗教色のない無宗教葬にしたら、皆が気兼ねなく参列できるのではないかとは思ったのですが、それで本当に皆が納得してくれるのかは、自信がありませんでした」
さらにN様を悩ませたのが、お父様を納骨する予定のお墓が、寺院運営の墓地だったことです。
「寺院運営のお墓に納骨するなら、やはり仏式の葬儀を行わなければいけないんじゃないか。お経を読んだり戒名をもらったりしないと、納骨できないのではないか」
判断がつかなかったN様は、菩提寺に連絡を取る前に、打ち合わせで花葬儀にご相談くださいました。
葬儀社に相談し、家族それぞれの宗教観を尊重できる形を考えた
打ち合わせに伺った葬儀スタッフが着目したのは、N様が気にされていたお墓のことでした。
「寺院が運営する墓地でも、宗派を問わず受け入れている可能性があります。一度、利用条件を確認されてみてはいかがでしょうか」
スタッフの言葉に背中を押され電話で確認すると、「仏式の葬儀を行わなくとも納骨できる」と無事に確認が取れたそうです。
懸念していたお墓の問題が解消され、打ち合わせの話題は、葬儀そのものへ戻ります。
スタッフを交えてご家族であらためて希望を確認したところ、N様のお母様はキリスト教を信仰されていたものの、キリスト教式にはこだわらないとのことでした。またお父様のご親族も、強く仏式を望まれているわけではないことがわかります。
「スタッフの方に状況を整理していただくうちに、特定の宗教にのっとって葬儀を行う必要はない、と思うようになりました。母も親族も、それぞれ宗教を大切にしていますが、私や父は特定の宗教を信仰していなかったので、『だったらみんながそれぞれ父を悼みやすいように、無宗教葬にしてはどうか』と思ったんです。花葬儀さんは無宗教葬も多く行っていらっしゃるとのことで、安心してお願いしようと思いました。母も仏式の葬儀には抵抗があったようなので、ほっとしていました」
無宗教葬は宗教による決まりがないため、「故人様をどのように送り出したいか」をもとに、式の内容を考えていきます。スタッフからお父様の趣味や嗜好品などをヒアリングされるうち、N様はお父様の好きだったことを次々と思い出したといいます。
人をもてなすのが好きで、よく家に人を招いていたこと。紅茶に凝っており、紅茶教室に通って淹れ方や食器選びまで学ぶほどだったこと。そうして見えてきたのは、「家族みんなで父を囲んで話をする、ホームパーティーのような明るい式にしたい」という想いでした。
「無宗教葬は『何かが省略された寂しい式』というイメージがあったのですが、スタッフの方に『決まった式次第がないからこそ、ご家族それぞれの想いを尊重した内容にできますよ』と言われて、なるほどと思いました。特定の宗教の作法を求めない式なら、母も親戚も気兼ねなく参列でき、家族みんなが納得できる式にできると思いました」
N様は当時をそのように振り返りました。
故人様を囲み無宗教形式で行った”ホームパーティー”のようなお別れ会
式当日はご親族を中心に、ご友人たちも参加される30人ほどの式となりました。N様ご家族の「明るく送りたい」とのご要望をもとに、ダリア、バラ、トルコキキョウといった洋花をふんだんに使った生花祭壇が用意されました。
お父様のお気に入りだったティーカップや、ご家族・ご友人との旅行の写真も会場に飾られ、思い出話が弾みます。紅茶好きだったお父様にちなみ、メモリアルコーナーでは葬儀スタッフが紅茶をお淹れしました。
「父が亡くなり悲しい気持ちはありますが、こんなに素敵な式で父を送ることができ、前向きな気持ちになりました。親戚たちもみんな『お父さんらしい葬儀だね』と、すごく感動してくれました。父は人が集まって賑やかにしていることが好きでしたから、明るく元気に送り出せたことが一番うれしかったです」
式を終えたN様ご一家は、後日、ご先祖様の眠る墓地への納骨も行いました。仏式の納骨法要は行わなかったものの、ご親族の皆さまで花を供え、手を合わせたそうです。
「無宗教での葬儀と納骨となりましたが、今も皆それぞれの方法で父を偲んでいます。母はキリスト教式のお祈りをしていますが、親族はお線香をあげているそうです。私は父を思い出して、紅茶を淹れて遺影に供えています。みんなにとって無理のない、自分たちに合った供養ができて、本当によかったと思います」
3.【ケース3】菩提寺のお墓がある中で、無宗教葬で送ってよいのか迷った

代々お世話になっている寺院(菩提寺/ぼだいじ)があるご家庭では、「故人の意向を尊重したい」という気持ちと「これまでの寺院とのご縁」の間で、どのように折り合いをつけるべきか思い悩まれるケースもあります。
お世話になっているお寺があるのに、無宗教葬でいいのだろうか
T様(50代)のご実家は地方にあり、そこには菩提寺と、ご先祖様から受け継がれてきたお墓がありました。
T様のご両親は地方から上京されていましたが、数年前に他界されたお父様の葬儀では、ご住職にわざわざ東京までお越しいただき、葬儀を仏式で執り行ったうえで、故郷のお墓へ納骨された経緯がありました。
しかしT様のお母様は、ご自分の葬儀については仏式を望んでおらず、「お坊さんは呼ばなくていい。大げさなことはしないでほしい」とよく話しておられたそうです。宗教に反発していたわけではなく、飾り気のないシンプルな生き方を好まれていたお母様らしい希望でした。
そんなお母様(80代)を看取られたT様は、お母様の意向を叶えてあげたいと思う一方、大きな葛藤に直面されたといいます。
「母の願い通りに送ってあげたいけれど、お世話になってきたお寺があるのに無宗教葬にするのは失礼にならないだろうか、と悩みました。父は仏式で送ったのに、母だけ違う形にして、お寺との関係が悪くなってしまわないかと、不安になりました」
菩提寺とのご縁を大切にしたいと考えていたT様は、このように打ち合わせでスタッフにご相談されました。
無宗教葬にしたら、菩提寺のお墓に納骨できないのではと心配になった
菩提寺との関係に加え、T様にはもうひとつ懸念がありました。「無宗教葬をしても、お父様が眠る菩提寺のお墓にお母様を納骨できるだろうか」ということです。
事情を聞いた葬儀スタッフからは、次のようなアドバイスがあったといいます。
「菩提寺があって無宗教葬を行いたい場合は、必ず事前にご住職へご相談されることをおすすめします。無宗教で葬儀を行うことができるかは、寺院の考えによるためです。寺院によっては『すべての儀式を宗派の作法で行うこと』を納骨の条件としている場合があり、事前の相談なしに無宗教葬を行うと、寺院のお墓に納骨できなくなることもあります。ご遺族のご事情を丁寧にお伝えすれば、柔軟に対応していただけることもありますよ」
スタッフの言葉に背中を押されたT様は、「ひとまずお寺へ相談してみよう」と考え直し、菩提寺のご住職にお電話をかけられました。
お母様の生前の言葉や、当日はご親族で静かに見送りたいこと、そして後日改めてお寺で納骨と法要をお願いしたい旨を丁寧にお伝えしたところ、ご住職も事情を汲んでくださり、「当日の式はご家族の希望通りに行い、納骨の際に改めて手厚く供養しましょう」とお許しをいただくことができたそうです。
菩提寺の理解のもと行った、無宗教形式のお別れ
菩提寺の理解のもと、T様はご親族や親しい方々をお迎えし、2日間にわたって無宗教形式でのお見送りを執り行われました。
紫色が好きだったお母様のために、紫のバラやトルコキキョウをあしらった上品な生花祭壇をご用意。ラベンダーのアロマが優しく香る室内には、お母様のご趣味であった書道の作品や、大切にされていたお着物を飾るメモリアルコーナーも設けられました。
1日目はお母様のお友達やご近所の方々をお招きし、お菓子を振る舞い、思い出話に花を咲かせたそうです。
2日目の告別式は、ご親族を中心とした温かなお別れのひとときとなりました。故人様のお写真をスライドショーにして上映し、参列された方々は展示された思い出の品々を眺め、名残を惜しまれたといいます。
式を終えた後、T様は故郷の菩提寺を訪れ、ご住職のもとで四十九日法要と納骨を執り行われました。
「無事に父と同じお墓へ納骨を終えることができ、ほっとしました。命日やお盆にはお寺で法要をお願いし、今まで通りの関係を続けていくつもりです。スタッフの方にアドバイスいただいたおかげで、お寺との関係を保ちながら、母の望むとおりの供養ができ、本当によかったです」
T様は、このように振り返っていらっしゃいました。
4.無宗教葬にするか迷ったときの考え方
ここからは、今回ご紹介したご家族のケースを参考にしながら、無宗教葬にしようか迷ったときの考え方や進め方を見ていきましょう。
迷いの元になっていることを、言葉にしてみる
一口に「無宗教葬にするか迷う」と言っても、悩みの原因は一つとは限りません。
ケース3のT様は、「母の意向を叶えたい」という思いと、「菩提寺との関係を大切にしたい」という気持ちの間で葛藤されていました。さらに「無宗教葬にすると、菩提寺のお墓に納骨できなくなるのではないか」という手続き上の不安も重なり、悲しみの中で混乱が深まっていたのです。
まずは、ご家族のなかで「どんなことが不安か、何がわからないか」といったことを、紙に書き出すなどして、見える形にしてみましょう。できればご家族で迷いを共有すると、「その点は心配いらない」「こうしてみてはどうか」といった解決の糸口が見えてくるはずです。
どんなお別れなら「これでよかった」と思えるかを考える
「どんな見送り方なら、後で振り返ったときに『これでよかった』と心から思えるだろうか」と、理想のお別れを思い描いてみるのも一つの方法です。
そのようなときは「無宗教にするか、宗教葬にするか」といった形式は一旦脇に置き、「誰と、どこで、どんな時間を共有したいか」をイメージしてみてください。そうして描いた理想に、宗教儀式がしっくり合うかどうかを確かめていくのです。
例えばケース2のN様の場合、「親族間で宗教観が違うからこそ、みんなが気持ちよく集まれる式にしたい」という想いが根底にありました。そのうえで葬儀スタッフと対話を重ね、「父を囲み、明るく送り出したい」という願いが見えてきたことで、ご家族の記憶に残るあたたかなお別れを形作ることができました。
どのような形が「これでよかった」と思えるかは、ご家族の数だけ存在します。まずはご自身や大切な方々にとっての理想の形に思いを馳せてみてはいかがでしょうか。
家族だけで判断できないところは、葬儀社に相談する
ここまで、無宗教葬を行う上でのご不安や、想いを言葉にすることをおすすめしましたが、ご家族だけの話し合いではなかなか判断がつかないこともあるはずです。葬儀や納骨、地域ごとの慣習については、私たちプロの専門領域ですので、ご家族だけで抱え込まず、無宗教葬の経験豊富な葬儀社に相談してみてください。
ケース1のK様も、当初は「僧侶を呼ばずに、きちんとしたお別れの場をつくれるだろうか」と不安を抱えていらっしゃいましたが、花葬儀の葬儀スタッフへ相談することで、想いを込めた式をつくることができました。
他にも、葬儀スタッフと相談し、葬儀の一部を仏式にするなどして進めたケースもあります。詳しくは、以下からご覧いただくことができます。
<お客様インタビュー>お葬式の概念を根底から覆すようなお見送り
https://www.hana-sougi.com/interview/43/
プロの視点を入れることで選択肢が広がり、ご家族の意見を整理する手助けにもなるはずです。
5.無宗教で葬儀を行うか、迷ったらご相談ください

「無宗教葬を行うかどうか」は、決まった正解のある問いではありません。故人様の生前の意向やご家族の宗教観、菩提寺との関係など、それぞれのご家族の事情があり、そのなかで「自分たちなりの答え」を組み立てていくことになります。
迷ったときは、ご自身だけで抱え込まず、書き出したり、誰かに話してみると、考えが整理されることもあります。あわせて、無宗教葬に詳しい葬儀社に話を聞くのもおすすめです。
花葬儀では年間約2000件の葬儀相談をお受けしており、無宗教葬に関してもこれまで数多くご相談や施行を行ってきました。「無宗教葬という形が自分たちに合っているかわからない」「そもそも何から考えればよいのだろう」といった段階でも大丈夫です。ご事情をうかがいながら、一緒にご家族にふさわしい葬儀の形を考えていきますので、お気軽にご相談ください。











