2023年版「新盆(にいぼん)」って何?いつから?お盆とどう違うの?

新盆について

「お正月」とともに日本の年中行事のなかでも有名な「お盆」。正式な名前は「盂蘭盆会(うらぼんえ)」で、倒懸(とうけん)を意味するインドのサンスクリッド語「Ullambana(うらんばな)」に由来すると言われています。故人様が一年に一度、家族のもとに帰ってくる日として、先祖の霊をお迎えして供養する大切な行事です。とくに四十九日が終わってから初めて迎えるお盆は「新盆(にいぼん)」または「初盆(はつぼん)」と呼ばれ、普段迎えるお盆以上にきちんとした法要を上げられる家族が多くなっています。今回は2023年現在の「新盆(にいぼん)」に関する知識や時期、事前準備や当日執り行う内容について、ご説明します。

新盆(にいぼん)の呼び方

新盆の呼び方

一般的な読み方は「新盆:にいぼん、あらぼん、しんぼん」「初盆:はつぼん」ですが、中部地方では「あらぼん」、東海道筋では「しょぼん、おしょぼん」と呼ばれるなど、地域によって多少の差があります。西日本では「はつぼん」を用いるところが多く、奄美大島では、「新考祖:あらほーす、あらこーす」という少し特殊な呼び方をするところもあります。

新盆の時期

先にお話ししたとおり、仏教ではいわゆる「忌明け」と呼ばれる四十九日法要が終わった後に、初めて迎えるお盆が新盆です。なお、神道の場合は「50日祭」と呼ばれる、亡くなってから50日後に行われる儀礼の後に初めて迎えるお盆が新盆となります。
新暦、月遅れ、旧暦など、地域によってお盆の考え方はさまざまです。全国的には新暦の8月15日を中心とした前後の期間で行われていますが、主に東京都や南関東など、一部地域では旧暦の7月15日を中心として13日~15日(または16日)を「お盆」としているところもあります。

●2023年に亡くなられた方の新盆の時期早見表

< 仏式の場合(四十九日) >
7月のお盆(旧暦)
2023年5月25日以前に亡くなられた場合
※四十九日(忌明け日)を7/12までに迎えた場合
2023年7月13日~16日
2023年5月26日以降に亡くなられた場合 2024年7月13日~16日
8月のお盆(新暦)
2023年6月25日以前に亡くなられた場合
※四十九日(忌明け日)を8/12までに迎えた場合
2023年8月13日~16日
2023年6月26日以降に亡くなられた場合 2024年8月13日~16日

※忌明けとは「忌服(故人様のご冥福を祈ってご遺族が喪に服すこと)」の期間を終えることで、
 仏教では四十九日を忌明けとしています。
※四十九日は、ご逝去日を含めて49日目にあたる日のことです(「命日+48日」)。

< 神式の場合(五十日) >
7月のお盆(旧暦)
2023年5月24日以前に亡くなられた場合 2023年7月13日~16日
2023年5月25日以降に亡くなられた場合 2024年7月13日~16日
8月のお盆(新暦)
2023年6月24日以前に亡くなられた場合 2023年8月13日~16日
2023年6月25日以降に亡くなられた場合 2024年8月13日~16日

※神式においては、五十日(ご逝去日を含めて50日目)が仏教の四十九日にあたります。

新盆は故人様が仏様になったあと、初めてこの世(家)に帰ってくる時期です。そのため、死者の霊を慰めるために、その期間は長く設けられ、ていねいにまつられるのが一般的です。新仏のある家では盆月(お盆が設定されている月)の1日や7日に高灯籠と呼ばれる背の高い灯籠を庭先に立て、これを20日過ぎ、あるいは月末まで立てておきます。なお、なかには「最初の3年間は新盆として扱う」とする地域もありますが、その場合は毎年、この高灯籠を立てることになります。

新盆の準備

新盆を迎えるご家庭では、故人様の霊が初めて戻ってくることを迎えられるようしつらいを行います。そして親戚や近隣をお招きし、菩提寺(ご家庭とお付き合いのあるお寺)の僧侶に棚経(たなぎょう)をお願いします。

新盆の準備について

家のしつらい【屋外】

お盆の風習となっている「迎え火」や「送り火」は、ご先祖様の霊が道に迷わないようにするために行うものです。一般には玄関先や門口で行いますが、墓前で行う地域もあります。
「迎え火」は帰ってくるご先祖様の目印となり、「送り火」はご先祖様の霊があの世へ戻っていくのを見送ることが目的です。

< 2023年度版 迎え火と送り火を行う日にち >
  迎え火 送り火
旧暦 2023年7月13日(夕方) 2023年7月16日(夕方)
新暦 2023年8月13日(夕方) 2023年8月16日(夕方)

※地域によって日にちが異なることがあります。

住宅事情の関係上、玄関先で火を使うことが難しい場合は、代わりに盆提灯を置いて故人様の道標をつくります。

< 迎え火・送り火の際に用意するもの、購入先など >
用意するもの 使用目的 購入場所 代替品
オガラ 燃やして出た煙に乗ってご先祖様の霊が帰ってくる スーパー、花屋など 松明や藁、ろうそくなど
素焼きの焙烙(ほうろく) オガラを入れて燃やす容器 仏壇店 耐熱性のある平皿

※地域によって異なることがあります。

新盆のときは、故人様の霊が戻ってくる目印として、白い提灯を家の軒先に灯します。通常のお盆では秋草色などの色が入った提灯が使われますが、新盆では白い専用の提灯が使われます。
白提灯は、お盆が明けたら菩提寺に納めます。近年は住宅事情もあり、室内の畳や床の上に直接置くタイプも見られます。

家のしつらい【屋内】

新仏のまつり方は、「ほかのご先祖様とともにまつる」、「特別な盆棚を設けてほかのご先祖様とは別にまつる」など、地域や宗派によってさまざまです。盆棚は「精霊棚(しょうりょうだな)」とも言われ、位牌の安置やお供え物などを置いてご先祖様をお祀りします。

●盆棚(精霊棚)の設置
全国各地で広く見られるのは、新仏のための棚を特に設けず、すでにある仏壇に特別ていねいな装飾を施して新仏の好物を供える風習です。地域や宗派によって異なりますが、具体的には

  • ・盆棚には蓮の葉の上に閼伽(あか)水と呼ばれる少量の水をたらす
  • ・水の子とも呼ばれる刻んだナスと洗米を混ぜたものを蓮の葉に盛って左右に供える
  • ・十三仏にちなんで13個の迎え団子を飾る
  • ・ナスやキュウリでつくった馬(精霊馬)や牛(精霊牛)を供えてご先祖様の霊を迎える

などが有名です。
ただ、最近は仏壇をきれいに掃除する程度で、とくに盆棚などは設けないという方も増えているようです。
また、近畿地方では、ご先祖様は座敷の盆棚(精霊棚)へ、新仏は縁側や軒下などに「新棚(あらたな)」と呼ばれる新仏のための棚を設けておまつりする風習が見られます。これに対し、兵庫県但馬地方や徳島県那賀郡、岡山県、愛知県、静岡県などでは、ご先祖様も新仏も区別なく屋外の軒下や庭先に作られた棚におまつりすることもあるようです。

●精霊馬(しょうりょうま、しょうりょううま)、精霊牛(しょうりょううし)
盆棚(精霊棚)の項目でもお話ししましたが、お供えのひとつに、ナスやキュウリに割り箸や楊枝などを刺して作る馬や牛があります。これは「精霊馬(しょうりょうま、しょうりょううま)」「精霊牛(しょうりょううし)」と呼ばれ、ご先祖様が乗る乗り物に見立てられています。地域によって意味が異なることもありますが、「足の速い馬(精霊馬)に乗って家に戻ってくる」「名残惜しい気持ちをこめ、牛(精霊牛)に乗ってゆっくり帰る」という意味が広く知られています。

◎【浄土真宗の迎え火・送り火と盆棚】
浄土真宗や真宗では、念仏を喜んでとなえる者となることにお盆の意義があります。生きている者が亡き人に対する追善回向は行わないという考え方から、盆棚や迎え火・送り火などの風習はありません。しかし、お盆は阿弥陀仏への報恩感謝の大事な法要の場であり、なかでも新盆は故人様をご縁としていただいた大事な仏縁と考えられています。

新盆の費用

新盆には菩提寺(お付き合いのあるお寺)の僧侶に来ていただくため、お布施がおもな費用になります。一般的な相場のほか、必要となるものをあらかじめ把握しておきましょう。なお、お盆はほかの檀家参りもあるため、僧侶も忙しくしています。日程を確実に抑えるには、早めにお願いしておくとよいでしょう(目安は3ヶ月ほど前)。

お布施、僧侶の費用

お布施などの費用について

お経(棚経)がすんだら、お布施を渡します。その金額の目安は3~5万円ほどと、普通のお盆よりも少し高めのことが多いようです。
これとは別に、お車代として5000円~1万円ほど、さらに法要後の会食に参加されない場合は、御膳料(5000円~2万円ほど)を用意しておきましょう。

< お布施額の目安 >
  お布施 お斎(おとき)
参加の場合
お斎(おとき)
不参加の場合
お車代
新盆 3~5万円 不要 5000円~2万円 5000円~1万円
通常のお盆 5000円~2万円 不要 5000円~2万円 5000円~1万円

※地域によって考え方が異なることがあります。

< お布施額の目安 >

  新盆 通常のお盆
お布施 3~5万円 5000円~2万円
お斎(おとき:食事のこと)参加の場合 不要 不要
お斎(おとき)不参加の場合 5000円~2万円 5000円~2万円
お車代 5000円~1万円 5000円~1万円

※地域によって考え方が異なることがあります。

花葬儀でも、お寺様とお付き合いがない方でも宗派に応じて、寺院を持ち、その後の法要でも安心してお付き合いできる僧侶をご紹介しています。
お気軽にご相談ください。

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https://www.hana-sougi.com/first/ofuse.html

飾りつけ

新盆に限り、親戚や近隣の方をお招きして法要を執り行うことが多いようです。自宅以外で行う、仕出し弁当などを頼むなどの場合、早めに会場と料理の手配をしておきましょう。
新盆の飾りつけは、すでにお話ししたとおり、白提灯以外は通常のお盆と同じ盆棚(精霊棚)を準備します。ただし、地域や宗派によって違うこともありますので、事前の確認を忘れないようにしましょう。

返礼品

以前は、親戚や近隣の方が素麺・砂糖などの供物を持って新盆見舞いに訪れる、盆提灯を贈るなどの風習がありましたが、近年では現金を包んで渡すことが多くなっています。こうした「提灯代」へのお返しは不要ですが、「志」として、不祝儀のときによく使われるお茶やコーヒー、タオルセットなどの日用消耗品などを引き出物としてお渡しする場合もあります。

参列するときのお香典、マナー、服装

新盆のマナーなど

参列する場合のお香典の目安

金額は地域や故人との関係などによって異なりますが、3000円~1万円くらいが目安です。法要の後に会食もご馳走になる場合は、5000円ほど多く包むとよいでしょう。夫婦で出席する場合は2倍にするなど、人数による配慮は忘れないようにしましょう。

< 故人様との関係とお香典の目安 早見表 >
祖父母・
おじおば
両親 兄弟 子、孫 その他親族 職場関係 友人・知人
5000円~3万円 1万円~10万円 1万円~5万円 1万円~ 3000円~1万円 3000円~5000円 3000円~

<故人様との関係とお香典の目安 早見表>

関係 金額
祖父母・おじおば 5000円~3万円
両親 1万円~10万円
兄弟 1万円~5万円
子、孫 1万円~
その他親族 3000円~1万円
職場関係 3000円~5000円
友人・知人 3000円~

参列する場合の服装

新盆に参加するときは、葬儀と同様に喪服を着用するのが無難です。ただし、暑い時季なので、体調と天候を見て、略式礼装ですませても問題ありません。
お子様の場合には、学校の制服、または地味な洋服や黒っぽい服装を選びましょう。

参列する場合の持ち物

新盆(初盆)の法要に招かれた場合、かつては素麺や砂糖、お菓子や果物などの供物を持参するのが慣例となっていましたが、最近では「御提灯代」あるいは香典を包んで持って行くことが多いようです。封筒の表書きは、

  • ・仏式の場合:御仏前、御佛前など
  • ・神式の場合:御玉串料、御神前など
  • ・宗教、宗派がわからない場合:御供物料など

とすることが多いようです。

招待を断る場合

新盆(初盆)は一度だけなので、お招きされた場合はなるべく参加するのがマナーとされています。ただ、都合が悪く参加できない場合は、失礼のないようにお伝えしましょう。不参加を手紙で伝える場合は、新盆までに届くよう投函日に注意が必要です。また、手紙と一緒に供物代や供養代、またはお供物を送るのもよいでしょう。

供物、供物料

地域や故人様との関係により異なりますが、一般的には3000円~5000円ほどのお線香やお花、お菓子などをお供物として送ります。また、お供物の代わりに、御仏前とは別に「御供物料」として現金をお渡しする場合もあります。
現金を渡す場合の相場は3000円~5000円ほどです。封筒の表書きには「御供物」と記入しましょう。

●お供物を送る場合
【表書き】「御供」または「御供物」
【水引】藍銀(蓮絵入り・なし)、黄銀(5本または7本、奇数で)
【結び】結切り、あわじ結び

●お供物に現金を送る場合
【表書き】「御佛前」「御仏前」または「御供物料」「御提灯代」
【水引】黒白、黒白銀、黄白(5本または7本)・双銀の7本(または10本)
【結び】結切り、あわじ結び

まとめ

新盆の準備の仕方は地域や宗派により異なり、普通のお盆よりも念入りな準備が必要です。とくにお盆の時期はお寺も忙しいため、呼びたい僧侶が決まっている場合は、その日時を早めに連絡しておきましょう。弊社「花葬儀」では、信用できる僧侶をご紹介いたします。僧侶をお探しであれば、ぜひご相談ください。

◎花葬儀は「100人いれば100通りのお葬式」をコンセプトに、完全オーダーメイドの花祭壇をお作りする葬儀社です。フラワーデザイナーが故人様の生前のお人柄を「花」で表現し、葬儀コーディネーターと共に唯一無二のお別れの時間をご提案いたします。大切な方へのこれまでの感謝の思いを花祭壇で届けませんか?ぜひお気軽にお問合せください。

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