お仏壇の向き(方角)に決まりはある?宗派別・家相・風水から解説
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- 【 供養の基礎知識 】

お仏壇を自宅に置く際、「向き(方角)に決まりはあるのか」「宗派や家相、風水はどこまで気にすべきか」と悩まれる方は少なくありません。
住環境が変化した現代では、仏間を設けることが難しいケースも増え、判断に迷いやすくなっています。マンションなどの共同住宅や単身世帯が増える中で、従来の置き方がそのまま当てはまらないご家庭も多くなっています。
結論からお伝えすると、お仏壇の向き(方角)に絶対的な決まりはありません。
本記事では、お仏壇の向きに関する基本的な考え方をはじめ、宗派別の違いや家相・風水の視点を整理し、ご家庭に合った置き方を考えるための目安をわかりやすくご紹介します。
【もくじ】
1.お仏壇の向き(方角)に決まりはある?基本的な考え方

日本では古来より、吉兆を願う手段のひとつとして縁起がよいとされる方角を取り入れてきましたが、お仏壇を置く際にも向きを気にされる方が多いようです。
ここでは、お仏壇を置く際に、一般的に最適といわれる向き(方角)について解説します。
お仏壇の向きに絶対的な決まりはない
お仏壇を置く際の向き(方角)に、絶対的な決まりはありません。仏教には十方浄土(じっぽうじょうど)と呼ばれる「あらゆる方角に仏さまの世界(浄土)がある」という考え方があるからです。「十方」とは、四方(東西南北)と四隅(東南、西南、東北、西北)と上下を指します。
また、四季を方角に当てはめた「春夏秋冬説(しゅんかしゅうとうせつ)」においても、春夏秋冬はそれぞれ平等に恵みをもたらしてくれることから、どの方角も大切であり差異はないとしています。
十方浄土だけでなく春夏秋冬説からも、お仏壇を置く向きを自由に決めてよいと考えることができます。
ただし、長い歴史の中で「この向きがよい」とされてきた考え方もあり、迷ったときの目安として参考にすることができます。
次項からは、一般的によく知られている代表的な考え方についてご紹介します。
お仏壇を南向きに置く(南面北座説)
南面北座説(なんめんほくざせつ)は、お仏壇の正面を南向き、背面を北向きに置く考え方で、古くからよいとされてきました。座って手を合わせる人の顔が北、背が南を向くようにお仏壇を配置します。
中国の皇帝は南を向いて座り家来は北を向いて座るという、古代中国の慣習に由来しています。
南向きに配置することによって直射日光が当たらず、お仏壇が傷みにくくなるというメリットもあります。
お仏壇を東向きに置く(西方浄土説)
西方浄土説(さいほうじょうどせつ)は、極楽浄土があるとされる西の方角に向かって手を合わせるため、お仏壇を東向きに置く考え方です。
このお仏壇の配置は、日が昇る東が「立身出世」の方角であり、東向きに主人が座ることがよいとされる古代インドの習慣からきているともいわれています。
宗派によってお仏壇の向きが異なる(本山中心説)
本山中心説(ほんざんちゅうしんせつ)は、お仏壇に向かって手を合わせた先が、宗派の本山になるようにお仏壇を置く考え方です。
本山中心説に従ってお仏壇を置く場合は、宗派とお住まいの場所によって向きが異なります。
2.各宗派が推奨するお仏壇の向きは?
お仏壇の向きは基本的に自由ですが、仏教においては宗派ごとに推奨している向きがあります。
真言宗のお仏壇の向き(本山中心説)
真言宗は複数の宗派に分かれており、宗派ごとに総本山や大本山があります。お仏壇の向きは本山中心説を推奨しており、自分の宗派の総本山が、お仏壇の前で拝む延長線上にくるようにお仏壇を置くのが一般的です。そのため、住んでいる場所によってお仏壇を置く向きが変わってくるので注意しましょう。
また、真言宗最大の総本山である「和歌山県の高野山金剛峯寺」に向かってお仏壇を置くケースなどもあるため、詳細は菩提寺に確認することをおすすめします。
曹洞宗・臨済宗のお仏壇の向き(南向き)
曹洞宗や臨済宗では、お仏壇の正面が南向きになるように置くことを推奨しています。
信仰の対象としているお釈迦様が、説法をするときに南を向いていたことからきている考え方です。
浄土真宗・浄土宗・天台宗のお仏壇の向き(東向き)
浄土真宗、浄土宗、天台宗では、正面が東向きになるようお仏壇を置くことを推奨しています。
3つの宗派では阿弥陀如来を祀っており、この阿弥陀如来は西の方角にいるとされています。お仏壇を東向きに置くことで、阿弥陀如来のいる西の方角に手を合わせることができます。
日蓮宗のお仏壇の向き(特に決まりはない)
日蓮宗では、特に推奨している方角はありません。どの向きでも、自由にお仏壇を置いてよいとされています。
無宗教の場合のお仏壇の向き
無宗教の場合は、お仏壇の向きに決まりはありません。先にご紹介した「十方浄土」や「春夏秋冬説」を参考に、ご自身の都合で自由に決めてよいでしょう。
3.家相や風水から見たお仏壇の向きと置き場所

お仏壇の向きや置き場所については、仏教的な考え方とは別に、家相や風水といった生活文化の視点から考えられることもあります。
ここでは、あくまで参考として、家相や風水から見たお仏壇を置く方角や場所をご紹介します。
家相から見たお仏壇の向きと置き場所
家相とは、土地や家の間取り・方位などから吉凶を判断する環境学の一種で、住人の運勢がわかるとされています。
この家相の視点から見たお仏壇を置く方角のおすすめは、南向き、東向き、東南向きです。家の間取り図を用意し、家の四隅の対角線が交わったところに方位盤を置いてみると方角がわかります。
また、家相では、お仏壇は明るい雰囲気のところ、家族が集まるにぎやかなところに置くとよいとされています。
風水から見るお仏壇の向きと置き場所
風水は中国から伝来したもので、住居、建物などの位置や地理、地勢などから吉凶を判断する環境学の一種です。
この風水の視点では、お仏壇を置く向きは、南東向き、南向き、東向き、西向きが吉とされています。
また、風水では風通しのよいところが運気の強い場所と考えられているため、自宅内の風の通りでお仏壇を置く場所を考えてもよいでしょう。
4.家相や風水で注意したい方角と置き場所

家相や風水では、よいとされる方角がある一方で、避けたほうがよいとされる方角や置き場所も存在します。
なお、家相は家の間取りや方位を重視する考え方、風水は気の流れや生活環境を重視する考え方であり、同じ方角でも捉え方が異なる場合があります。
家相から見て避けたほうがよい方角や場所
家相の視点からお仏壇を置く際に避けたほうがよい方角や場所は、以下のとおりです。
鬼門・裏鬼門の方角にある部屋
家相では、「鬼門(北東の方角)」は鬼(邪気)が出入りする不吉な方角と考えられているため、鬼門にある部屋はお仏壇の置き場所には適さないとされています。
また、鬼門と反対の方角(南西)を「裏鬼門」といいますが、この裏鬼門にある部屋にもお仏壇を置くことは避けましょう。裏鬼門は鬼門から入った鬼が出ていく方角であり、鬼門と同様に不吉な方角とされているからです。
どうしても鬼門や裏鬼門の部屋にお仏壇を置かなくてはならない場合は、西方浄土の考えに従い、西向きに置くようにします。
正中線(せいちゅうせん)・四隅線(しぐうせん)の上の部屋
東西と南北に引いた十字の線を「正中線(せいちゅうせん)」といい、北東と南西、北西と南東を引いたX字の線を「四隅線(しぐうせん)」といいます。
正中線、四隅線上に物を置くのは家相上よくないとされているため、この線上にお仏壇を置かないようにしたほうがよいといわれています。
神棚の向かい
神棚が設置されている向かいにお仏壇を置いてしまうと、礼拝の際にどちらかにお尻を向けてしまうことになります。
家相では、このような祀り方を「対立祀り」と呼び、好ましくないとされています。
風水から見て避けたほうがよい方角や場所
風水の視点からお仏壇の置き場所として避けたほうがよい方角や場所は、以下のとおりです。
鬼門・裏鬼門の方角にある部屋
家相と同様に、風水においても、鬼門や裏鬼門の方角にある部屋はお仏壇の置き場所には適さないとされています。
お仏壇の真上が動線の場所
お仏壇を1階に置いた際、その真上に人が移動する動線がこないようにします。たとえば、階段の下のスペースにお仏壇を置くことは避けます。
クローゼットや押し入れがお仏壇の真上にある場合は、問題ありません。
トイレの近く、またはお仏壇の背面にトイレがある場所
風水において、トイレは家の中で最も邪気を発する場所であるため、トイレの近くにお仏壇を置くことは、できるだけ避けたほうがよいとされています。また、お仏壇の背面に接する壁の反対側にトイレがある場所も避けましょう。
寝るときにお仏壇に足を向ける場所
お仏壇に足を向けて寝ると、仏様を踏む形となってしまいます。寝室に置く場合などは、寝転んだときの足がお仏壇に向かないよう配慮が必要です。
5.お仏壇の置き場所で押さえたい注意点
お仏壇を置く場所を決めるときには、宗派や家相、風水から考えるほかにも、注意すべきポイントがあります。お仏壇の向きと合わせて、最適な置き場所を決めましょう。
直射日光と湿気を避ける
お仏壇は木製のため、環境によっては傷みやすくなります。変色や劣化をしないように直射日光と湿気を避け、冷暖房の風が直接当たらない場所を選びます。
最近では、湿気に強い素材でできたお仏壇もありますが、湿度の高い梅雨時期はメンテナンスをするとより安心です。
【メンテナンス一例】
・扇風機やエアコンを使って可能な限り室内の湿気を取り除く
・カビの原因となるホコリを拭き取る
・引き出しの中をタオルで丁寧に空拭きする
放熱タイプの電化製品や、振動するオーディオなどの近くにお仏壇を置くことも、熱や振動から劣化を招くため避けましょう。
お仏壇のスペースに気をつける
お仏壇を置く場所の寸法を前もって測っておきます。運搬時に玄関や廊下、扉の間を通り抜けられるかどうかも確認しておきましょう。
お仏壇の多くは観音開きのため、お仏壇のサイズだけではなく、扉を開けた状態も含めた寸法を知っておくことが重要です。わからないときは、販売店に確認するとよいでしょう。
なお、大きな仏壇を置けない場合は、コンパクトサイズのお仏壇がおすすめです。場所を取らず、デザインもインテリアになじみやすいものが多く販売されています。
傾いた場所には置かない
傾いた場所にお仏壇を置くと、お仏壇の中の位牌やお供え物が転倒したり、観音扉が勝手に開閉したりするだけでなく、地震などの災害時にお仏壇そのものが倒れる可能性もあるので危険です。
拝む際の目の高さに注意する
お仏壇に向かって手を合わせるときに、お仏壇の中にあるご本尊を見下ろす形にならないように気をつけます。
座ってお参りをする際はご本尊が目の高さよりも少し上に、立ってお参りをする際はご本尊が胸よりも少し上にくるように調整します。
向かい合わせに気をつける
前述しましたが、お仏壇を置く部屋に神棚がある場合は、向かい合わせにならないように気をつけます。神様が仏様を踏む配置になってしまうため、お仏壇の真上に神棚がくるような配置も避けます。
また、床の間のある部屋にお仏壇を置く際は、床の間とお仏壇が向かい合わないようにします。部屋の中でも最高位の上座である床の間に対し、お仏壇の位置が下座になってしまわないよう気をつけましょう。
潮風が当たるところ
お仏壇の金具部分が錆びる原因となるため、潮風に当たる場所は避けましょう。
6.お仏壇を置く部屋の選び方

お仏壇の置き場所としておすすめの部屋は、仏間や床の間のある和室、リビング、寝室です。それぞれについてご紹介します。
仏間や床の間のある和室
仏間、もしくは床の間がある和室があれば、お仏壇はその部屋に置くのが最適です。
仏間はお仏壇を安置する部屋のことで、仏教において仏様と向かい合うための場所とされています。一方、床の間は、装飾品などを飾ったり置いたりすることのできる「和室の一部のスペース」のことです。家の中でも格式の高い場所ですから、お仏壇を設置しても問題はありません。
床の間がある和室に設置する際は、先にご紹介したとおり、床の間と向かい合わせにならないよう気をつけましょう。
リビング
住環境の変化により、洋風の建築物が増え、和室の無い家も珍しくなくなりました。そのような家では、フローリングなどのリビングにお仏壇を置いても差し支えありません。
リビングは、ご家族が集まる生活の中心スペースですから、お参りもしやすく、お仏壇の置き場所に適しているといえるでしょう。
お仏壇を目立たせたくないという方には、「上置き仏壇」がおすすめです。通常のお仏壇よりも小さいため、棚やタンスの上に置くことが可能です。モダンなデザインも多く、来客時に扉を閉めればインテリアとなじみ、より目立たなくなります。
寝室
大切な方の近くで静かに過ごすことができる寝室も、お仏壇の置き場所としておすすめです。1日の終わりに、お仏壇に手を合わせることもできるでしょう。
その際は、前述したとおり、お仏壇に足を向けて寝ないよう注意します。
7.お仏壇の向きに関するQ&A
それよりも、ご家族が無理なく手を合わせられる場所に置くことが大切とされています。どうしても気になる場合は、宗派ごとの考え方や菩提寺の意見を参考にすると安心です。
ただし、年齢を重ねた際の移動の負担を考えると、手を合わせやすい1階を選ぶご家庭が多い傾向にあります。置き場所については、生活動線も考慮して決めるとよいでしょう。
その際は、ご本尊を見下ろす形にならない高さに調整し、転倒防止シートなどで安定させることが大切です。置き場所の向きよりも、安心してお参りできる環境を整えましょう。
8.お仏壇の向きに決まりはない|ご家族が手を合わせやすい場所に置きましょう
お仏壇を置く向き(方角)については、さまざまな考え方があり悩まれるかもしれませんが、お仏壇の向きに絶対的な正解はありません。
お仏壇を置く場所に迷った場合は、まずは、ご家族の皆さんが集まり、手を合わせやすい場所がどこかを考えてみることをおすすめします。そこは、きっと故人様にとっても居心地のよい場所でしょう。
それでも方角が気になる場合や、宗派としての考え方を大切にしたい場合は、菩提寺に確認してみると安心です。
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