葬祭プランナーとは?仕事内容からやりがい・大変さまで【葬儀社が解説】
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- 【 葬儀・葬式の基礎知識 】

浜辺美波さん・目黒蓮さん主演で話題の映画『ほどなく、お別れです』をきっかけに、「葬祭プランナー」という仕事に興味を持った方も多いのではないでしょうか。作品で描かれるご遺族に寄り添う姿は、実はプロとしての冷静な判断力と専門知識に裏打ちされています。
この記事では、葬祭プランナーの仕事の流れや求められる資質、そしてキャリアを積んだ先の未来まで、丁寧に解説します。これから葬祭プランナーを目指そうとする方や、葬儀業界に興味がある方は、ぜひ最後までご覧ください。
1.葬祭プランナーとは

葬祭プランナーとは、故人様との最期のお別れを形にする「葬儀の総監督」です。葬儀の進行だけでなく、ご遺族の想いやご予算などを丁寧にヒアリングし、そのご家族にとって最適なプランを企画・提案します。
よく似た言葉に「葬祭ディレクター」がありますが、葬祭プランナーは職務上の「役割」であり、「葬祭ディレクター」は厚生労働省が認定する「資格」の名称です。
多くの現場では、まず「葬祭プランナー」として実務経験を積み、専門性を客観的に証明するために「葬祭ディレクター」の資格取得を目指します。資格は必須ではありませんが、信頼性を高めたり、昇進・手当の対象となったりすることがあります。
2.葬祭プランナーの仕事内容

葬祭プランナーの仕事は、葬儀前の相談から葬儀後まで多岐にわたります。ここでは、一般的な仕事内容を一連の流れに沿ってご紹介しましょう。
1.故人様の搬送・安置
病院やご自宅などから故人様を搬送し、斎場やご自宅などの安置場所へお連れします。ご遺族のご意向を伺いながら、通夜までの段取りを整えるなど、細やかな配慮が求められます。
2.打ち合わせとプランの提案
ご遺族から宗教・宗派、式の規模や予算などを丁寧に聞き取り、最適な葬儀プランを提案します。葬祭プランナーにとって最も重要な業務の一つです。ご遺族が納得して故人様をお見送りできるよう、選択肢と見積もりを示します。
3.各種手配と準備
プランが決まると、会場設営や僧侶・司会者の手配、祭壇や生花、返礼品の準備など、関係各所との調整を一手に引き受けます。このほか、資料の印刷や会葬者数の予測といった事務作業も並行して進めていく必要があります。
4.式当日の進行管理
通夜や葬儀当日は、全体の進行を管理する司令塔の役割を担います。司会や参列者のご案内、時間管理はもちろん、天候の急変といった不測の事態にも臨機応変に対応しなくてはなりません。
5.出棺から収骨までの付き添い
出棺から火葬場への移動、収骨に至るまで、ご遺族に寄り添い、サポートすることも重要な役目です。
6.葬儀後のアフターケア
葬儀が終わった後も、四十九日法要のご案内や、相続・法的手続きに関する相談窓口の紹介など、ご遺族の不安を解消するためのフォローを続けます。
こうした一連の業務は、プランナーが一人で完結させるわけではなく、実際には、搬送や設営などを担当する各分野の専門スタッフと連携して進めます。また、葬儀社によって、一人のプランナーが最初から最後まで担当する場合と、相談、手配、当日の進行などを分業する場合があり、働き方が異なります。
3.葬祭プランナーに求められる資質

ご遺族に寄り添うプロとして、葬祭プランナーには「知識」「対話力」「実務能力」という、異なる資質が求められます。
宗教・地域文化への深い理解
葬儀は、宗教的な背景や地域の慣習が深く関わる儀礼です。形式や順序を間違えるとご遺族に不安を与えかねません。
日本の葬儀は仏教や神道、キリスト教など多岐にわたるため、それぞれの教えに沿った式の流れや作法を理解している必要があります。さらに、友引に対する考え方や、火葬場の慣習といった地域ごとの風習にも精通していなくてはなりません。
近年は家族葬や直葬が増えるなど、葬儀の形も変化しています。ご遺族の想いと伝統的な作法、そしてご予算との間で最善の選択肢を提案するためにも、常に知識を更新し続ける姿勢が不可欠です。
信頼関係を築くコミュニケーション能力
葬祭プランナーの仕事は、ご遺族との信頼関係を基盤に進行するため、対話と調整の技術が不可欠です。
まず基本となるのが、悲しみの中にいるご遺族の話に深く耳を傾ける力です。また、聞き取った内容に基づいて、具体的なプランや見積もりを示す提案力も不可欠です。さらに、プランを実行に移すため、僧侶や式場、生花店といった多くの関係者と折衝し、段取りを組む調整力も試されます。
式を支える実務能力
葬儀は準備期間が限られているため、会場や関係者の手配、物品の納期などのスケジュール管理が欠かせません。同時に、ご予算内で最善の式を実現するためのコスト管理も重要な役割です。
一方で、どれだけ準備をしても、天候の急変や参列者数の変動といった予期せぬ事態は起こります。トラブルに直面した際に、冷静かつ速やかに代わりの手段を講じる対応力も、プランナーに不可欠な資質と言えるでしょう。
4.葬祭プランナーになるには?未経験から目指す方法とキャリアパス

ここでは、未経験から目指す場合や資格取得、そして将来のキャリアについて解説します。
未経験から葬祭プランナーになる方法
高齢化と死亡者数の増加、そして人材不足を背景に、葬儀業界は安定した需要が見込まれており、今後も一定の採用ニーズが続く予想です。
業界未経験者を歓迎する求人も多く、異業種からの転職も珍しくありません。特に、ホテルや介護などで培った接客経験や礼儀作法は大きな強みになります。女性で葬儀プランナーとして活躍する方も多く、気配りや傾聴力を生かしてキャリアを築いています。
多くの場合、まず葬儀会場の設営や片付け、受付などのサポートから始め、少しずつ実務を覚えていくのが一般的です。入社後の研修や資格取得の支援制度が整っている会社を選ぶことが、成長の鍵となるでしょう。
専門性の証明となる「葬祭ディレクター」資格
前述のように、葬祭プランナーを務めるうえで、資格は必須ではありません。しかし、厚生労働省認定の「葬祭ディレクター」の資格があると、専門知識の証明となり、お客様からの信頼性が高まります。会社によっては資格手当の対象になるなど、キャリアアップに役立つでしょう。
試験には2級と1級があり、原則として2級で2年以上、1級では5年以上の実務経験が求められます。ただし、資格はあくまで実務能力を補助するものです。日々の運営能力やお客様への対応力があってこそ、資格が評価されることを心にとめておきましょう。
出典:葬祭ディレクター技能審査協会
https://www.sousai-director.jp/
将来的なキャリアパス
葬祭プランナーとして一定の経験を積んだ先には、多様なキャリアが広がっています。現場のリーダーや、経営上の管理職を目指す道もあれば、祭壇の企画や「お別れの会」のプロデュースといった専門職としてキャリアを深める道もあります。
5.葬祭プランナーのやりがいと厳しさ

葬祭プランナーの仕事は、ご遺族の悲しみに寄り添いながら「人生の最期のセレモニー」を支える責任の大きい仕事です。ここでは、葬祭プランナーのやりがいと大変さの両面をご紹介します。
ご遺族からの感謝が大きな喜び
葬祭プランナーの最大のやりがいは、ご遺族が「安心して故人様を送り出せた」と感じてくださる瞬間にあります。悲しみや混乱の中にあるご家族を支え、「あなたにお願いして本当によかった」「落ち着いて送り出せました」と感謝の言葉をいただけたときの達成感は、何ものにも代えがたいものです。
また、葬儀社の方針にもよりますが、「その人らしいお別れ」をプロデュースできる点も、この仕事の大きな魅力です。故人様が生前に好まれた花などを通して、ご遺族と共に唯一無二の式を創り上げるのです。こうした創造性を発揮できるかどうかは、就職先を選ぶ上でのポイントにもなるでしょう。
弊社「花葬儀」に実際に寄せられたお客様からの感謝の声を「お客様インタビュー」に掲載しておりますので、こちらも参考にご覧ください。
不規則な勤務やトラブル対応も
葬祭プランナーの仕事には、厳しい一面もあります。葬儀は故人様のご逝去に合わせて行われるため、夜間や土日の勤務が伴います。天候や設備の不具合、参列者の急増など、予期せぬ出来事にも冷静に対応しなければなりません。決して楽な仕事ではありませんが、一つひとつの場面を乗り越えるたびに、対応力や人間的な成長を実感できる仕事です。
6.葬祭プランナーの働き方と給与

「葬祭プランナーの待遇や勤務環境はどうなのか?」という点は、気になる方も多いでしょう。ここでは、勤務体系や給与から、働き方のイメージをつかんでいきましょう。
勤務体系・休日
ご遺族に24時間対応するため、多くの葬儀社ではシフト制勤務を採用しています。日勤と夜勤を交代で担当し、夜間の搬送や通夜の対応が入ることもあります。
葬儀の日程は突然決まるため、固定の週休制ではなく「月○日間の公休」を設けるケースが主流です。近年は、業界全体で働きやすさを重視する動きも進んでおり、デジタル化などを通じて負担を減らす取り組みを行う葬儀社が増えています。
給与水準・各種手当
給与は、経験や地域、会社の規模によって差が出ますが、ここでは厚生労働省が運営する「職業情報提供サイト(job tag)を参考に見ていきましょう。同サイトによると、葬祭ディレクターの年収は全国平均で約396万円です。これはあくまで平均であり、経験を積んだリーダー層では500万円~600万円となることもあります。
また会社によっては、実績に応じた賞与やインセンティブ(成果報酬)制度を設けているところもあります。給与体系は企業によって大きく異なるため、求人情報を見る際は、基本給だけでなく手当や評価制度、研修制度等も確認し、納得して働ける環境かどうかを見極めましょう。
出典:葬祭ディレクター – 職業詳細 | 職業情報提供サイト(job tag)
(閲覧日:2025年10月10日)
https://shigoto.mhlw.go.jp/User/Occupation/Detail/422
7.花葬儀プランナーに聞いた、葬祭プランナーに関するQ&A

A.ご遺族の話を深くお聴きすることと、適切な距離感を保つことです。
まず、悲しみの中にあるご遺族の話に、時間をかけてじっくりと耳を傾けるようにしています。ご要望だけでなく、言葉にならない不安や想いを汲み取ることで、信頼関係が生まれます。
あわせて、頼りたいときにはすぐに頼れる存在としてそばにいつつも、ご家族だけの時間が必要なときは、あえて席を離れるといった配慮も大切です。葬儀社によって、お客様への接し方の細かい方針は異なりますので、ご自身の考える「寄り添い方」を考えることも、指針となるでしょう。
A.日々の学習に加えて、チームで知識を共有しやすい環境に身を置くことをおすすめします。
葬儀は宗教や宗派、地域によって答えが明確にない場面も多いため、知識の不足を補い、最良の判断をするには、先輩プランナーたちに意見をもらうことが非常に大切です。
たとえば弊社「花葬儀」では、お客様との打ち合わせ内容をもとに、複数のプランナーで意見を出し合う「五感ミーティング」を行っています。自身の考えた葬儀内容について複数のプランナーで話し合うことで、葬儀内容をブラッシュアップするのです。知識やアイデアを共有できる環境を選ぶことが、成長するための鍵となるでしょう。
A.プランナーも、ご遺族とご一緒に涙することはありますが、「プロとしての意識」を持って仕事を行っています。
ご遺族に共感はしますが、悲しみに飲み込まれることはありません。なぜなら、プランナーの役割は、悲しみの中にいるご遺族を、最後までしっかりと支えることだからです。
プランナーが冷静さを失ってしまっては、ご遺族が安心して故人様とお別れする時間を作ることができません。「悲しみに寄り添うからこそ、プロとして務めを果たす」――そのような責任感を大切にしています。
8.業界への理解を深めるため、まずは情報収集から

葬祭プランナーは、人生の最期を「その人らしく」見送るために寄り添う、意義のある仕事です。
今後、社会の高齢化や葬儀の多様化により、葬祭プランナーの役割はますます広がっていくでしょう。もしこの記事を読んで「誰かの最期を支える仕事をしてみたい」と感じたなら、求人サイトを見たり、説明会に参加したりして、業界への理解を深めることから始めてみてはいかがでしょうか。
弊社「花葬儀」でも、経験豊富なプランナーが日々ご家族に寄り添っています。サイトでは、実際に働くプランナーのインタビューも掲載しておりますので、ぜひスタッフ情報ページをご覧ください。











