「親の葬儀の準備、元気なうちに始めてよかった」後悔なく母を見送れた理由
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- 【 葬儀・葬式の基礎知識 】

親御様の葬儀の準備について情報を検索してみても、出てくるのは亡くなった後の手続きや、葬儀に掛かるお金の相場ばかり。「知りたいのは、親が元気なうちに家族でどう話し合い、何から手をつければいいのかということなのに…」そんな戸惑いを抱えている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
今回お話を伺ったS.T様(50代)は、数年前からお母様と葬儀についてお話され、先日お母様を看取られました。「母が元気なうちから葬儀について考えておいて、本当に良かったです」と語るS様の体験から、後悔なく大切な人を見送るためのヒントを探ります。
1.親の葬儀について考えるきっかけとなった”友人の話”

今回お話を伺ったS様がお母様の葬儀について考え始めたのは、ご友人との会話がきっかけでした。
友人から聞いた葬儀の話で「うちは大丈夫か?」と不安に
あるときS様は、親しいご友人がお父様を亡くし、家族葬を行ったという話を聞きました。
「父がノートに、葬儀についての希望をいろいろ書き残してくれていたから、お葬式で迷わずに済んだのよ」ご友人の言葉を聞いたとき、S様はハッとしたそうです。
「うちは大丈夫だろうか。母からは、葬儀の希望を何も聞いていない」
S様は一人娘であり、お父様は20年以上前に他界されています。そのときはお母様が中心となって葬儀を行われたこともあり、S様には喪主の経験はありません。
「もしものときは、自分が中心になって動くしかない」
お母様の葬儀について考えることは、死や別れを現実のものとして受け止めるようで怖く、無意識のうちに考えないようにしていたといいます。しかし、ご友人の言葉を聞き、「母との別れで後悔するのは避けたい。事前に希望を知っておくことで、後悔なく母を見送れるようになるのではないか」と気づいたと言います。
また、S様はお母さまがどのような形で見送られたいのか、誰を呼べばいいのか、把握していないことにも思い至ったと言います。「このまま目を背けていては、いざというときに後悔することになるかもしれない。急な葬儀になったら絶対慌ててしまう」と、当時の強い焦りと 不安を振り返ります。
「親と葬儀の話ができない」のはSさんだけではない
「葬儀の話なんて、どうしても親に切り出しにくい」と悩むのは、S様だけではありません。
花葬儀を運営するLIVENTが行った調査では、葬儀やお墓といった「もしもの話」をご家族としたことがある人は、回答者の8割以上でした。しかし、その半分以上は「なんとなく触れたことがある」程度であり、多くの人が踏み込んだ対話ができていないのが実情です。
話ができない理由としては「どう伝えればいいかわからない」が最も多く、次いで「タイミングがわからない」「相手が嫌がりそう」が続きます。
親を不安にさせたくない、機嫌を損ねたくないといった気遣いから、もしもの話は、避けられがちです。結果として、話し合いのタイミングがご家族が健康を損ねられてから、もしくはご逝去後になってしまうことも、珍しくありません。
出典:年末年始は73%が家族と過ごすも、6割が避ける「もしもの話」。最も“話しにくい家族の話題”はエンディングとお金
https://livent.co.jp/2025/12/09/1209researchpress/
2.不安から始めた葬儀の準備|まだ親が元気なうちに始めたこと
「このままではいけない」と焦りを感じたS様でしたが、いざとなると、どのようにお母様に話を切り出せばいいのかわからなかったと言います。
そして、「そもそも自分自身が、葬儀についてあまり知らない」ということに気づきました。
母親に話す前に、まず自分自身で終活を体験してみた
「母に聞く前に、まずは自分が葬儀についてよく知っておかないといけない」
そう感じたS様は、まずご自身で市販のエンディングノートを購入し、自分で記入してみることから始めました。
エンディングノートの項目を参考にしながら、どのようなことをお母様と話しておくべきかを整理し、さらには葬儀社のホームページを見たり、近くの霊園に足を運んでみたりと、少しずつ知識を深めていったと言います。
「母が元気だったため今まで考えてこなかったのですが、思えば、私自身、もう終活を始めていてもいい年齢でした。夫は終活や葬儀といった話題にあまり関心がありません。私は自分の終活にもなると思い、興味を持って積極的に情報を集めていました」
そうして少しずつ知識が増えるにつれ、お母様に聞くべきことも見えてきたといいます。
Sさんは、“もしもの話”を母親になかなか切り出せなかった
ご自分の終活を通じ葬儀のイメージを探っていったS様ですが、最初にお母様に葬儀の話を持ちかけるまでは、大きな葛藤があったと言います。
「急に葬儀の話をして、お母様を不快にしてしまわないか」「一人暮らしのお母様を不安にさせたくない」といった想いはもちろんありましたが、それ以上に強かったのは、「母の死を、まだ現実のものとして考えたくない」という恐れだったと言います。
「母は当時は健康そのものに見えましたから、年齢的には考えておいた方がいい時期でしたが、『まだまだ先だと思いたい』という願いのほうが勝っていたのだと思います」
どのようにお母様と話せばいいかわからず、時間だけが過ぎていきました。しかしある日、お母様とお茶をしている最中に、「真正面からは聞きづらいから、世間話のついでなら切り出せるかもしれない」とふとした流れで、ご友人の体験談を話してみたのです。
「友達のお父さんがね、前に亡くなって、お葬式をしたそうなんだけど。お葬式の希望をノートに書いてくれていて、希望の通りにできたんだって。その話を聞いて、私もいいな、と思って、『私に万が一のことがあったら、お葬式はどうしてほしいか』というのを、今エンディングノートに書いていってるのよ」
そのような会話の流れから、S様はお母様と世間話がてら、終活の話をしたそうです。
「お母さんは、お葬式はどうしてほしいとかの希望はあるの?」
そう尋ねると、お母様は「まだよくわからないけれど、大げさなのは嫌かな」と、ぽつりとこぼしました。具体的な内容までは決まっていなくとも、お母様の中には何らかの希望があるようでした。
母親と一緒に、少しずつエンディングノートに書いていった
具体的な話はできなかったものの、その後S様は、お母様に葬儀の話をすることに、前ほどの抵抗は感じなくなりました。
「話題が話題ですから、いつでも話せる内容ではないと思います。ただ、空気も読みつつ、母の機嫌のいいときに、『私の葬儀はこういう風にしようと思うんだ』という話をしてみました。実際、自分の終活として葬儀やお墓に興味が出てきたので、世間話の一環みたいな感じです。母も特に、嫌な顔をするようなことはありませんでした」
このように、折りに触れ、食事や雑談の流れで少しずつ葬儀の話題に触れていったS様。お母様の希望を書き留めるためのノートを用意し、お母様から聞いた話をそこに書き留めていったそうです。
お母様のほうから積極的にご自分の死後の話をされることは多くなかったものの、「暗い感じの葬儀は嫌かも」「見送ってくれるのは家族だけで十分かな」といったお母様の言葉を、その都度ノートに書き記していきました。
またS様は、葬儀のことだけでなく、いざという時にご家族が判断に迷いそうな事柄も、話せる機会に少しずつ確認していったそうです。お墓の希望や、加入している保険についても、お母様がお元気なうちだったからこそ、深刻になりすぎずに話すことができたと振り返ります。
母親の希望は、その都度ノートに書き残しておいた
「始めは私が持っているのと同じ市販のエンディングノートに書いていこうとしたのですが、記入する項目がきっちり決まっていたため、とりとめのない話を書き留めるにはあまり合いませんでした。それで、ルーズリーフに母から聞いた話をいろいろ、エンディングノートの項目にもないようなこともまとめて書き留めておきました」
そう語るS様。お母様ご自身の葬儀について話すことに抵抗はなかったのか伺うと、次のように答えてくださいました。
「『本人が質問されて、嫌な思いをしないか』を一番に考えていました。エンディングノートを埋めるよう、根掘り葉掘り聞き出すようなことはしませんでした。母の言葉を書き留めておいたのは、自分が困らないようにしたかったというのもありますが、『母の言葉をできるだけ残しておきたい』という気持ちもあったからです」
S様は、お母様との会話そのものを大切にされていました。葬儀の準備として話を聞くのではなく、日常の延長として耳を傾けていたからこそ、お母様も身構えることなく、ご自身の希望を自然に話してくださったのかもしれません。
3.母親の体調変化で「残された時間」に直面

お茶を飲みながら和やかに交わしていた”もしもの話”が、現実味を帯びる日が訪れました。お母様にがんが見つかったのです。
「治ってほしい」と祈りながらも、少しずつ「最期」を考えざるを得なかった
がんと診断された当初、お母様は「孫の結婚式は見届けたい」と気丈に振る舞われていました。S様も頻繁に会いに行かれては、「治療を頑張れば、きっとまた元気になるはず」と信じていたそうです。
しかし、やがてお母様は入退院を繰り返すようになり、目に見えて体力が落ちていきました。横になる時間が増え、痩せていくお母様を前に不安を募らせていたある日。主治医から病状について厳しい説明を受け、S様はいよいよ“もしもの時”に向き合うことになります。
「『まだ大丈夫だ』と思いたい反面、『万が一の覚悟をしなければ』とも思い、気持ちが整理できませんでした」と、S様は当時のつらい胸の内を明かしてくれました。
母親自身も、“自分らしい葬儀”を考え、準備し始めた
お母様もまた、病室で「残された時間」と向き合いながら、ご自身の見送られ方を考え始めていました。元気なころ、ノートへ書き留めていた「大げさなのは嫌」「暗い感じは嫌」という想いが、明確な形になり始めたのです。
「見送ってくれるのは家族だけでいい」
「菊ばかりじゃなくて、うちの庭にあるような明るい花がいいかな」
と、より具体的な希望を口にされるようになったそうです。
また、ある日には「遺影はこの写真がいいかな」と、ベッドの上でご自身のスマホを眺めながら、保存されている写真の中からお気に入りの一枚を選び、話してくださったそうです。
写真を見返しているうちに、ご自身の見送られる際の姿にも思いが至ったのでしょう。「棺に入るときは洋服を着たい」と、お気に入りの何着かを選び出されていました。お出かけやお洒落が好きだったお母様ならではの願いでした。
母親らしい見送りができる葬儀社を探した
いよいよお母さまは余命宣告を受け、S様は4,5社の葬儀社へ事前相談を申し込みました。どこの葬儀社も同じように見え、何を基準に選べばいいかわからず途方に暮れていたS様でしたが、役に立ったのが、お母様の希望を書き溜めてきたノートでした。
S様は費用だけでなく、「ノートに書かれた内容を実現できるか」を何よりも大切にしたいと考え、「菊だけでなく、明るい花に囲まれたい」というお母様の願いを叶えてくれそうな葬儀社を探す中で、最終的に「花葬儀」にたどり着いたと言います。
「事前の打ち合わせでは、メモリアルコンサルタントがS様の希望や不安に寄り添い、一緒に整理しながらプランを提案してくれました」
ノートに書かれた内容をもとに、費用や当日の流れ、そしてお母様の願いをどう形にするかをしっかりと確認できたと言います。
「親身になってくれた花葬儀さんなら、母が望むことを叶えてくれるはずだと、親族にも相談して決めました」
事前の準備で葬儀への不安を手放すことができたS様は、お母様との残された時間を大切に過ごすことに専念できました。
4.母親を見送る準備が、後悔しない選択につながった
そして訪れた、お別れの日。深い悲しみの中でも、S様は慌てることなく、お母様を送り出すことができました。
エンディングノートが、そのまま葬儀の道しるべになった
お母様が亡くなられた後の葬儀の打ち合わせでは、S様はノートをあらためてメモリアルコンサルタントに見せながら、葬儀の内容を決めていきました。ノートには、元気なころに交わした会話から、病気になってからの切実な想いまで、お母様の数々の言葉が残されていました。
「せっかく前々から書き留めていたことでしたので、母が残してくれた希望は全てかなえてあげたいと思っていました。ノートに書いてあった希望をスタッフの方に伝えたら、『すべて叶えられます』と言ってくださいました」
メモリアルコンサルタントの言葉に背中を押され、S様は安心して葬儀の準備を行うことができたと振り返ります。
葬儀当日、「これでよかった」と初めて思えた
葬儀の当日、葬儀会場に足を踏み入れたS様は、思わず「すごい」と声を漏らしたそうです。
祭壇はお母様が好きだった紫をベースに、ひまわりなど明るく華やかな花々で彩られ、まるでご自宅の庭の景色がそのまま再現されたような空間が広がっていました。
希望通り、ご自身で選んだお気に入りの洋服を身にまとって眠るお母様。さらにその周りには、季節ごとに愛用していた洋服・アクセサリーが、思い出の品として華やかに飾られていました。
「お母さんらしいね」「この服、よく着てたわね」
ご親族の方々が、式場内を歩き回りながら穏やかな表情でお母様の思い出を語り合ってくれたそうです。
S様は当時の様子をこう振り返ります。
「一般的なお葬式だと、どうしても厳かで静かな雰囲気になりがちですよね 。でも母のときは、みんながいろいろなものを見ながら、母の話をしてくれていました。みんなの心がひとつになったような、とてもあたたかい時間でした」
希望通りに見送れたことが、最後の親孝行になった
葬儀を終えた後、S様の心に残ったのは、「母の願いを叶えられた」という安堵の気持ちだったと言います。
「あらためて、母が元気なうちから葬儀の話ができて、本当に良かったと思います。体調が悪くなってからでは、とても言い出せなかったでしょう。母の思い通りの形で送ってあげられたので、最後の親孝行になったと思っています」S様はそのように話してくださいました。
葬儀当日の祭壇やご親族の様子を収めた写真は、S様にとって大切な宝物になっています。
「お葬式の写真と聞くと寂しい印象を持たれるかもしれませんが、これを見返すたびに、穏やかな気持ちで母のことを思い出せるんです」
お母様を亡くされた悲しみが消えるわけではありませんが、「母はきっと喜んでくれているはずだ」という安心感が、残されたS様の心の支えになっているそうです。
5.親の葬儀の準備として、今日できる最初の一歩を踏み出してみませんか

親御様の葬儀について考えることは、決して「縁起が悪いこと」ではありません。S様の体験から見えてくるのは、「まだ先のこと」と思えるうちに少しずつ向き合っておくことで、いざというときの迷いや後悔を減らせるということです。
もちろん、「親の死を想像するのはやはり辛い」というお気持ちもあるかと思いますが、少しでも不安を感じているのなら、まずは無理のない範囲で、情報を集めるところから始めてみませんか。「どんな選択肢があるのか」「費用はどれくらいかかるのか」を知っておくだけでも、心に大きなゆとりが生まれるはずです。
親御様らしい葬儀をかなえるためのご相談や、葬儀の準備に関する疑問がございましたら、まずはお気軽に花葬儀の事前相談窓口までお問い合わせください。











