葬儀のスライドショーは必要?迷ったご家族が考えたことと当日の感想
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- 【 葬儀・葬式の基礎知識 】

葬儀の打ち合わせの席で、葬儀社スタッフから「スライドショーはどうされますか?」と聞かれ、迷われる方は少なくありません。
大切な方を亡くされたばかりの悲しさと慌ただしさの中、「映像まで作る必要があるのか」を冷静に判断するのは難しいものです。「仏式の葬儀で流しても失礼にならないか」「スライドショーに使う写真を選ぶ余裕はあるだろうか」と、不安に思う方もいらっしゃるでしょう。
この記事では、高齢のお父様を亡くされ、実際にスライドショーを流すかどうか迷われたM様(50代女性・東京都在住)の体験談をご紹介します。今まさに悩まれているご家族にとって、判断するためのヒントになれば幸いです。
1.葬儀のスライドショーは必要?ためらわれたM様のお話

数年にわたる介護の日々を終え、お父様を見送られたM様。悲しみに浸る間もなく迎えた葬儀の打ち合わせで、選択肢の一つとして「スライドショー」を提案されます。
「お父様の思い出を、スライドショーにして流すこともできますよ」
葬儀をプランニングするメモリアルコンサルタントから声を掛けられたものの、M様はすぐに決めることができませんでした。「『父のためにできることはなるべくしたい』と思いつつも、本当に必要なのか、今の自分にそこまでできるのか・・・」と様々な思いが巡り、戸惑いが先に立ったそうです。
2.葬儀でスライドショーを流すか迷った理由
M様がすぐに返事をできなかったのは、いくつか気がかりなことがあったからです。当時の心境を、メモリアルコンサルタントがお伺いした内容から振り返ります。
仏式の葬儀で流して、問題はないだろうか?
まずM様が気にされたのは、宗教儀式との兼ね合いでした。今回の葬儀は仏式で執り行う予定であったため、読経や焼香のある場にスライドショーを流すことに、不安を感じられたそうです。
「ご住職や参列される方々に『不謹慎ではないか』と思われないかどうかが、ちょっと心配でした。大切な父の旅立ちですから、誰にとっても失礼のない形で送り出したいと思いました」
M様はそのようにお話ししてくださいました。
父の人柄や葬儀の規模に対して、大げさすぎないか
お父様の控えめな性格も、M様がためらった理由の一つです。
「父は生前、あまり派手なことを好む人ではありませんでした。自分のためにわざわざ映像を流すのは、本意ではないかもしれないと思いました」と当時の心境を語ります。
さらに、親しい人だけで見送る場にスライドショーがふさわしいのかどうかも、気がかりな点でした。葬儀に参列するのは、ご親族20名ほどと、お父様と親しかったご友人や、かつての同僚・教え子など5名程度です。
「そこまで多くの方が来るわけではないので、スライドショーを流すと大げさになってしまうのではないか」と、M様は悩んだそうです。
写真を選ぶ余裕があるか不安だった
気持ちの面だけではなく、実際に写真を探す「時間や手間」への不安もありました。お父様の写真はスマホの写真アプリやアルバムにあるものの、選ぶとなるとどこから手をつけたらよいか戸惑ってしまったといいます。
「限られた時間の中で、遺影のほかの写真選びまでできるのだろうか、というのも心配でした。やるならちゃんとしたものにしたいけれど、大変だったり、費用が増えるのではないかと考えると、すぐには決められませんでした」
3.気がかり以上に勝った「父を理想の形で送りたい」という想い

様々な不安を抱えていたM様でしたが、打ち合わせを重ねるうちに、少しずつ気持ちに変化が生まれます。M様を動かしたのは、「お父様を理想の形で送り出してあげたい」との想いでした。
しんみりしたお別れは、父らしくないと思った
葬儀について詳細を決めていく中で、メモリアルコンサルタントは「故人様はどのような方でしたか?」「何か大切にされていたものはございますか?」と、お父様の人柄を丁寧に伺っていきます。
ご病気になられてからの姿だけでなく、またお元気だった頃のお父様の姿を思い出すうちに、M様の中で「お父様をどのように見送りたいか」のイメージが湧いてきたそうです。
「父は普段は寡黙でしたが、実はお酒やカラオケが好きな陽気なところもありました。だから、しんみりとした葬儀は好きではないかもしれない、と。『父に似合う空間で見送ってあげたい』と思うようになりました」
もともとM様は、葬儀のスライドショーといえば「式の最中に全員で鑑賞するもの」と考えていましたが、メモリアルコンサルタントはスライドショーの演出方法は一つではないことをお伝えしました。
式中に上映するだけでなく、開式前の待ち時間に無音で流したり、ロビーのモニターに映し出したりと、参列者がそれぞれのペースで鑑賞する方法も提案したのです。
さらに「最近は仏式の葬儀でも、スライドショーを選ばれるご家族はとても多いですよ」と聞き、心理的なハードルが下がったと言います。
元気だった頃の父を皆と共有したい
お父さんっ子だったM様には、今回の葬儀でお父様の「生きた証」を何よりも大切にしたいという願いがありました。
「ここ何年かは伏せがちだったので、まだ幼い孫たちの記憶には、ベッドで少しずつ弱っていく姿ばかりが残っていたと思うんです。だからこそ、若い頃のハツラツとした姿を見せてあげたいなという気持ちが強くありました。
父は昔、航空機パイロットの養成学校で講師をしていたんですよ。親戚や、お忙しいなか来てくださる参列者の方々にも、『元気な頃はこんなに輝いていたんだよ』っていうのを知ってもらえたらなと思ったんです」
スライドショーであれば、写真を数枚プリントして飾るよりも、たくさんの思い出をご参列の皆様と分かち合えると考えたのです。M様は、皆がリラックスしてお父様の思い出を語り合えるよう、式場内にモニターを設置し、開式前の待ち時間にスライドショーを流すことに決めました。
4.写真を探す「手間」が、いつの間にか父を振り返る「愛おしい時間」に

スライドショーの実施を決めたM様でしたが、「写真集めは相当な手間がかかるはずだ」と身構えていたといいます。
しかしいざ手をつけてみると、思いがけない発見があったといいます。
最近の写真を集めるのは、思ったほど大変ではなかった
ご逝去後の手続きや葬儀の準備で忙しない中でしたが、晩年のお父様の写真は思ったよりスムーズに集まりました。お父様とは普段から頻繁に会っており、お孫様たちと写っている姿が、写真アプリにたくさん残っていたからです。
写真の準備とスライドショーの作成には、花葬儀が提供するWebアプリ「つなごう」を利用しました。つなごうには、アカウントを作り、そこに知人を招待するだけで、各々が持っている画像を手軽にアップロードしてもらえる仕組みがあります。
他県に住むご兄弟にも声をかけると、さまざまな場面で撮られた懐かしい写真が次々と寄せられました。画像を選ぶと自動的にスライドショーが完成するため、心配していた準備の負担はほとんどなかったといいます。
「つなごう」は月額1200円から利用でき、会場で映像を流すための音響セットもM様が選んだ葬儀プランに含まれていたため、気がかりであった費用の心配もせずに済んだそうです。
古いアルバムを開いたら、元気だったころの父に出会えた
一方で、お父様が若かりし頃の古い写真は、ご実家にある昔ながらの紙のアルバムを開く必要がありました。アルバムの中から数枚の写真を選び、データ化する作業もあり、手間がかかるだろうと身構えていたそうです。
しかし、いざアルバムを開いてみると、そこには長く忘れていた、元気だった頃のお父様の姿がありました。まだ幼かった自分たちを抱いている写真や、家族旅行での一コマには「ああ、こんな顔をしていたな」とあたたかい懐かしさが込み上げます。
釣り仲間と笑っている写真や、航空学校の同僚・教え子と撮った写真もあり、「お父さん、外ではこんな表情もしていたんだ」と、ご家族の知らない一面に出会う新鮮さもあったそうです。
スキャンする多少の手間はかかりましたが、懐かしいお父様の姿に再会できた喜びのほうが大きかったそうです。
娘と写真を選びながら、父の思い出を話した
娘様と一緒に写真を選ぶことも、M様にとって心強く、悲しみを和らげる時間になったそうです。
「もし自分一人だけで作業をしていたら、あれもこれもと迷いすぎて、途方に暮れていたかもしれません。でも、娘も一緒に写真選びを手伝ってくれたので、すごく助かりました」
娘様と写真をピックアップしながら、「これはあの時に撮ったのよ」「おじいちゃんは昔、こういう趣味があったんだよ」と、お父様の思い出話に花が咲いたそうです。
最初は「手間がかかって大変だろう」と考えていた写真探しですが、ご家族でお父様の生涯を振り返る、かけがえのない時間になりました。
5.葬儀当日、スライドショーが会場にもたらしたもの

そして迎えた葬儀当日。M様は、「出来上がった映像が参列者に受け入れられるだろうか」と、一抹の不安を抱えながら会場入りしました。しかし、その不安はすぐに払拭されることとなります。
開式前、映像がもたらした穏やかな時間
葬儀特有の張り詰めた空気が漂う、開式前の式場。ご親族やご友人たちが式場に入ると、色鮮やかな生花で彩られた祭壇そばのモニターに、お父様の思い出の映像が流れていました。
映し出されていたのは、お孫様たちと遊ぶ晩年の穏やかな笑顔や、ご家族と過ごした懐かしい日々です。
お父様が好きだった海にちなんだ曲が、会場内に響きます。映像が流れる空間には、緊張を解きほぐす温かさがありました。参列された方々は席に着き、じっと前方を眺めます。
友人や親族の胸に蘇った、故人様との思い出
スライドショーには、ご家族との写真だけでなく、お父様が現役で活躍されていた頃の様子も映し出されていました。
パイロットの養成学校で講師として輝いていた頃の写真。釣り仲間と満面の笑みで、釣った魚を掲げている写真。
画面が切り替わるたびに、参列者の方々からは「そうそう、こんなふうによく笑う人だった」「本当に素敵な人だったね」と、懐かしむ声が漏れます。中には、映像を見つめながらお父様に話しかけ、ハンカチで目頭を押さえるご友人の姿もありました。
お孫様やひ孫様たちにとっても、初めて見る「かっこいいおじいちゃん」は新鮮だったに違いありません。目を丸くしながらも、お父様の凛々しい姿をしっかりと見つめていました。
「お悔やみの場」が、全員で故人様を愛おしむ時間に変わった
M様のもとへ、開式までの間に何人もの方が声をかけに来てくれました。
「本当に良いものを見せてもらった」
「お父さんは仕事のできる人で、本当にかっこよかったんだよ」
お父様との思い出を伝えてくれる方々の言葉に、M様の胸は熱くなりました。
「父の生きた証がみなさんにも伝わった気がして、ほっとしました。悲しいだけじゃなくて、『こんな人だったよね』って、改めて確かめられた感じがしました。温かい気持ちで見送れて、本当に良かったです」
迷いながらもお父様を想い、納得して選んだからこそ、満足のいくお見送りにつながったのでしょう。
6.「スライドショーをするかどうか」迷ったら?3つの判断基準
M様ご家族のエピソードから分かるように、スライドショーにはご遺族や参列者の心を震わせる力があります。とはいえ、すべてのご家族にとって必須というわけではありません。
ご家族の状況に照らし合わせて、必要かどうかを考えることが大切です。
ご家族が叶えたいお別れの形と合っているか
葬儀を行ううえで一番大切なのは、「どのような形でお別れをしたいか」というご家族の意向です。
事実を受け止めるのが辛く、写真を見返すことも難しい場合は、無理にスライドショーをする必要はありません。あるいは、ご親族の意向として、宗教儀式のみを厳格に行いたい場合もあります。
「たくさんの故人様の写真を流したい」「ご参列の方々と思い出を共有したい」とお考えであれば、スライドショーがきっかけを作ってくれることでしょう。
会場にいる全員で、温かい思い出を共有できそうか
「スライドショーを流しても、内輪うけになって、場が白けてしまわないだろうか」と心配される方もいらっしゃいます。
もし、ご親族以外の一般会葬者も多くいらっしゃる予定であれば、ご親戚やご友人など幅広い方々から写真を集めてみるのもひとつの方法です。職場の同僚と写っているもの、同窓会で笑い合うもの、趣味を楽しんでいるものなど、さまざまな時期や場面の写真を織り交ぜてみてください。
多角的な視点で選ぶことで、参列された方々も思い出を振り返りやすくなります。「皆様が故人様のお話をするきっかけになりそうか」という視点で考えてみると、写真を選びやすくなるでしょう。
写真を集める時間と心の余裕があるか
近年は高齢化の影響で火葬場が混み合っており、亡くなられてから葬儀まで1週間以上空くことも珍しくありません。そのため、時間的な意味では「写真を選ぶ猶予」がある場合も増えていますが、実際に用意ができるかどうかは、ご家族の状況によって異なります。
「手続きが忙しくて映像の準備まで手が回らない」「写真はあるけれど、今はまだ選ぶ気持ちになれない」、あるいは「やスライドショーに使える写真が手元にない」というケースもあります。そうした場合は無理に映像にこだわらず、故人様の愛用品などを「メモリアルコーナー」に飾るなど、無理なく故人様を偲ぶ方法を選んでもよいでしょう。
とはいえ、実際にスライドショーを作成された方からは「やってよかった」「記憶に残る葬儀になった」という声が多く寄せられているのも事実です。もし、写真を見返すことが気持ちを整理する時間になりそうだと感じられるのであれば、準備そのものに意味が生まれるはずです。ご自身の体調や心境を第一に考え、納得のいく形を考えてみてください。
ご家族、もしくは葬儀社のサポートは受けられるか
スライドショーの作成にあたっては、身近に頼れる人がいるかどうかも、確認しておきたいポイントです。
写真選びや曲選び、動画編集にこだわりすぎて、なかなか作業が終わらない…というのは、動画を自作する際によくある悩みです。限られた時間の中で無理なく準備を進めるためにも、いざというときに頼れるご親族がいるか、あるいは葬儀社が作成サービスを提供しているかをあらかじめ確認しておきましょう。
例えば花葬儀では、スマートフォンで写真を選ぶだけで自動的にスライドショーが出来上がるWebアプリ「つなごう」を提供しています。周囲の方と協力し、便利なツールを使うことで、葬儀までの時間をより穏やかに過ごせるようになるはずです。
7.大切なのは、遺族も参列者も「心地よく故人を偲べること」

「スライドショーは本当に必要だろうか」「参列される方にどう思われるだろうか」と、迷われるご家族は多くいらっしゃいます。
しかしM様のエピソードからもわかるように、スライドショーは参列された方にとって、「自分の知らなかった故人様の一面」に触れる貴重な機会になります。映像を通して皆様で思い出を共有することで、参列者からご遺族へも自然と言葉をかけやすくなります。
葬儀をするうえで大切なのは、皆様で温かく故人様を偲ぶことです。「家族としてどう見送りたいか」という気持ちと、「来てくれた方々にどう過ごしてほしいか」という気遣い。その二つを大切にして選んだお別れが、ご家族にとっての最良の形だといえるでしょう。
なお、思い出を分かち合う方法は、スライドショーだけではありません。たとえば、故人様の愛用品やお気に入りの写真を飾る「メモリアルコーナー」を設ければ、参列された方がそれぞれのペースで立ち寄り、故人様に思いを馳せることができます。あわせて、選択肢の一つとして考えてみてください。











