無宗教の法要|準備から内容・お墓・納骨の考え方まで
- 作成日: 更新日:
- 【 法事・法要の基礎知識 】
無宗教で法要を行いたいと考えるご遺族にとって、「どのような形で供養すればよいのか」「形式やマナーはあるのか」といった悩みは尽きません。
このコラムでは、宗教的な形式にとらわれず、故人様をしのぶ気持ちを大切にしたい方に向けて、無宗教の法要における基本的な考え方や準備のポイントをわかりやすく解説します。宗教宗派を問わないお墓や納骨についてもご紹介しますので、ぜひ参考になさってください。
1.無宗教の法要とは?基本的な考え方と特徴
まずは、無宗教の法要について、基本的な考え方と特徴を解説します。
なお、法要とは本来仏教用語ですが、このコラムでは「故人様をしのぶ追悼の集まり」という広い意味合いでご紹介します。
無宗教の法要とは
無宗教の法要とは、仏教や神道など、特定の宗教・宗派にとらわれない形で執り行う法要です。具体的には「宗教者を呼ばない」「読経や焼香をしない」などが挙げられます。
無宗教の法要の形式は非常に多様で、ごく近しい方々のみで集まるシンプルなものから、大勢を招いてさまざまな演出を行うものまで幅広い選択肢があり、自由度の高さが特徴です。
葬儀後に法要を行う時期にも決まりはありませんが、仏式の四十九日法要の時期に、その代替として「しのぶ会(お別れの会)」のような形式で集まるケースもあります。無宗教法要のタイミングについては、後述する「法要の時期」をご覧ください。
無宗教の法要が向いている人
法要を宗教的儀式として捉えている方にとって、無宗教の法要は馴染みがないかもしれません。どのような方が、この供養の形を選ばれているのでしょうか。無宗教の法要が向いているケースとしては、以下が挙げられます。
・葬儀も無宗教(無宗教葬)だった場合
・特定の信仰を持っていない場合
・自分たちで自由に創り上げる法要を希望する場合
これらのケースに当てはまらない場合であっても、無宗教の法要には様々な利点があります。次項より、無宗教で法要を行うメリットとデメリットについて、詳しく見ていきましょう。
2.無宗教で法要を行うメリットとデメリット
無宗教の法要にはメリットとデメリットがあります。両方を把握することで、納得のいく決断ができるようになるでしょう。
こちらで詳しくご紹介します。
メリット
無宗教の法要における最大のメリットは、自由に内容を決められる点にあります。「故人様が好きだった音楽を演奏する」「大切なペットと一緒に参列する」「思い出の場所で供養を行う」など、オリジナル性の高い法要が可能です。宗教上の作法や慣習にとらわれることなく、故人様やご遺族の想いが反映された供養ができるのは大きな魅力と言えるでしょう。
もうひとつのメリットは、宗教者にお渡しするお布施などの費用が不要となる点です。ただし、必ずしも無宗教法要の費用がその他の法要より安価になるとは限りません。法要の内容によっては、それ以上に大きな費用がかかることもあるため、事前にしっかりと計画を立てることが大切です。
デメリット
無宗教で供養を行う人は昔と比べて増えているものの、まだ一般的とは言えません。そのため、読経や焼香がないことに違和感を覚える方もいらっしゃるでしょう。法要を無宗教で行うことに対して、周りからの同意が得られないこともある点がデメリットとして挙げられます。
また、宗教的儀式は故人様への供養の他に、ご遺族の悲しみに区切りをつける機会としての役目も担っています。宗教的儀式を行わないことで、心の整理がつきにくい方もいらっしゃるかもしれません。
3.無宗教の法要では何をする?内容・進行の例
無宗教の法要で何をするかは自由に決めることができるとご説明しましたが、アイディアがない状態で考えるのは難しいかもしれません。
内容に関してお悩みの場合は、こちらでご紹介する一例をぜひ参考になさってください。
法要で行うことの一例
無宗教の法要で行うことの例として、以下が挙げられます。
・故人様の好きだった音楽を演奏する
・故人様の写真を囲んで会食する
・故人様へあてた手紙を朗読する
・黙祷する
「法要で何をするか」は、場所によっても変わってくるでしょう。例えば故人様の自宅であれば、大切にされていた趣味の道具や写真を飾る、花を使った演出(美しい祭壇や献花など)を取り入れたりすることが考えられます。
屋外であれば、環境に配慮した風船を飛ばしたり、故人様が生前通っていたお気に入りのレストランで、故人様が好きだった食事をいただいたりする法要も検討できます。このように、場所や参列者の規模などから内容を決めるのもひとつの方法です。
プログラムの一例
無宗教の法要のプログラム例をご紹介します。なお、当日の司会進行や式のサポートには、経験豊富な葬儀社に依頼するとスムーズです。オリジナル性の高い法要を希望する場合は、オーダーメイドの演出が得意な葬儀社に相談するとよいでしょう。
【無宗教法要の流れの一例】
1.参列者来場
受付や記帳を行う
2.会場にご遺族、参列者が入場
BGMとして思い出の曲を流す
3.開会の挨拶
ご遺族代表が挨拶を行う
4.献花
順番に、故人様にちなんだ花を手向ける
5.会食
故人様との思い出を語り合いながら会食を行う
思い出の曲やムービーを流す
6.解散
ご遺族代表による挨拶の後、解散
4.無宗教法要はいつ、どのくらいの頻度で行う?時期・回数の考え方
仏教の法要は「初七日」「四十九日」「三回忌」など、行う時期と頻度の目安がありますが、無宗教の法要にはなく、自由に決めることができます。では、どのような基準で考えたらよいのでしょうか。
こちらで詳しく解説します。
法要の時期
無宗教の法要は、仏式の四十九日法要や、納骨式を行う時期に併せて行うことが多い傾向にあります。納骨ではなく散骨を選んだ場合は、散骨のタイミングで集まるご家族もいらっしゃいます。
葬儀後初めての法要は、これらの時期を目安とし、参列者が集まれるタイミングで調整するとよいでしょう。以降も法要を行う場合は、故人様の命日や誕生日など、ご遺族にとって特別だと思える時期を選ぶのがおすすめです。
法要の回数
仏式では「忌日法要」と「年忌法要」があり、命日から数えて100日目以降は99年後まで法要があるとされています(※1)。
一方、無宗教法要には回数の決まりはないため、「一度切り」「年忌法要にならう」「毎年行う」など、ご家庭ごとの考えに沿う形で差し支えありません。よく話し合って決めましょう。
(※1)三十三回忌をもって弔い上げとすることが多い傾向にありますが、近年は長寿高齢化の影響もあり、三十三回忌を待たずに法要を終えるケースも多いようです。
5.無宗教の法要の準備の進め方・ポイント
宗教的儀式の有無に関係なく、法要は故人様をしのび、思いを寄せる大切な機会ですから、つつがなく執り行いたいものです。
こちらでは、無宗教の法要の準備について、進め方やポイントをご紹介します。
準備の基本的な流れ
無宗教法要の基本的な準備の流れは、一般的な法要と同じです。葬儀社と相談しながら、以下のように進めましょう。なお、順番は前後することもあります。
【無宗教法要の準備の流れ】
1.参列者の範囲を決め、連絡をする
・案内状を送ると丁寧だが、親しい間柄のみであれば電話で連絡をすることもある
2.日程を決める
・参列者が無理なく集まれる日程を組む
・極端に暑い・寒い時期や、天候が荒れやすい時期を避けると良い
・法要の日取りに六曜(※2)は本来関係ないが、気にする人がいる場合は、配慮して決めるとよい
3.場所を選定する
・会場内のルールや到着までの経路などを確認しておく
4.法要の内容を決める
・故人様の希望や、参列者の要望などを踏まえる
・内容についての具体的な決定は、ご家族・葬儀社でよく話し合う
(※2)六曜:「先勝」「友引」「仏滅」などの6つの日を指し、日にちごとの吉凶を占うための指標。六曜に関する考え方は「法事をやってはいけない日はある?」でも解説しておりますので、そちらもご参照ください。
特に配慮したい3つのこと
宗教的儀式がないという特徴から、無宗教の法要を準備する際には注意すべきポイントがいくつかあります。
その中でも特に配慮したい3つを、こちらでご紹介します。
事前の説明で理解を得る
ご家族やご親族、参列者の中には、宗教的儀式を省略した形で行う法要に、疑問を抱く人がいるかもしれません。事前に「法要は無宗教で行う」旨を必ず説明し、理解を得られるように努めましょう。
「せめて読経だけは行ってほしい」などの要望に対しては、柔軟に対応する姿勢も大切です。判断に迷った時は、葬儀社にご相談ください。
寺院への確認を忘れない
「葬儀を仏式や神式で行った場合」「菩提寺(※3)がある場合」「納骨先が仏式のお墓である場合」なども注意が必要です。お世話になっていた寺院に対して、事前の相談なしに無宗教法要を執り行ってしまうと、築いてきた関係が悪化してしまうかもしれません。
無宗教法要を執り行いたい場合は、必ず寺院に確認をしましょう。了承が得られない場合は、法要の内容や納骨先を考え直す必要もあります。
(※3)ぼだいじ:先祖代々がお世話になっている、つながりの深い寺院のこと
わかりやすい案内を心がける
自由度が高い内容であるほど、参列する人は「どのようなスタンスで赴けばよいのか」と戸惑いやすくなります。無宗教の法要の案内は、わかりやすさを心がけましょう。以下は、案内の際に伝えておくべき内容です。
・無宗教の法要であること
・法要の簡単な内容(会食がメイン など)
・会場の場所、アクセス方法
・服装について(喪服、平服、私服 など)
・お香典の扱いについて(お香典を辞退する場合は記載する)
・代表者の連絡先
6.法要以外の供養はどうする?仏壇やお墓の考え方
無宗教で供養を行う場合、仏壇やお墓はどのようにしたらよいのでしょうか。
こちらでは、無宗教法要を行う際の、法要以外の供養に対する考え方をご紹介します。
仏壇・位牌
仏壇は本来、仏教におけるご本尊を祀(まつ)るものであり、位牌は故人様の魂のよりどころです。しかし無宗教の立場であっても、「故人様を自宅で供養する場所や対象」として用意することに問題はありません。
位牌には故人様のお名前や戒名、没年月日などを刻むため、仏具店や葬儀社への依頼が必要です。戒名とは仏門に入ったことの証として僧侶からいただく「あの世での名前」ですが、戒名がなくても位牌を作成することはできます。
新しく用意する場合は、ご自宅の雰囲気に合わせることができ、かつ、無宗教の方でも抵抗なく設置できるモダンなデザインがおすすめです。
お墓・納骨
無宗教の方を供養する先として、主に以下が挙げられます。
【宗教宗派を問わない墓地】
・故人様の信仰の種類や有無に関わらず、埋葬することができる墓地。
・公営墓地や霊園などがある。
【永代供養】
・ご遺族に代わり、墓地管理者が永代に渡ってご遺骨の管理・供養を行ってくれる方法。寺院や霊園などがある。「永代=永遠」という意味ではない点に注意。
・永代供養ができるお墓の種類には、合祀(ごうし)墓や納骨堂などがある。
【手元供養】
・ご遺骨の一部または全てを、自宅で保管・供養する方法。
・ミニ骨壺やアクセサリーに収納するなど、さまざまな種類がある。
【樹木葬】
・墓石の代わりに樹木を墓標とし、その下にご遺骨を埋葬する方法。
・無宗教を希望する方が選択する埋葬方法として、近年注目を集めている。
散骨
「散骨」とは、パウダー状にしたご遺骨を、海や山といった自然にまく供養方法です。ご遺骨の一部だけを散骨し、残りを手元供養することもできます。散骨後は、故人様のご遺骨をまいた場所で法要を行ってもよいでしょう。
ただしどの場所でも自由に散骨をしてもよいわけではなく、周囲の環境に配慮する必要があります。自治体によっては散骨を禁止しているところもあるため、実績の豊富な葬儀社に依頼をすると安心です。
7.無宗教の法要は周囲の理解を得て、心に残る時間をつくりましょう
宗教的儀式を伴わない無宗教での法要は、形式にとらわれない自由な内容が可能となり、故人様やご遺族の想いを反映した多様な供養を実現できます。その一方で、宗教的な形式に馴染みのある方への配慮も大切です。ご家族内でよく話し合うとともに、無宗教法要に詳しい葬儀社に依頼することで、円滑に進められるようになるでしょう。
無宗教の法要は、花葬儀にお任せください。花葬儀は、故人様のお人柄や思い出を大切にした「オリジナル花祭壇のデザイン」を得意としており、無宗教葬儀や法要の実績も豊富です。ご相談は24時間365日対応のお電話、または事前相談のご利用がおすすめです。この機会にぜひご検討ください。