子どもの葬儀|迷いながら「あの子が喜ぶ空間」を家族で作るまで
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- 【 葬儀・葬式の基礎知識 】

子どもが親である自分より先に天国へ旅立つことは、世の中の悲しみにレベルがあるなら、間違いなく最大級とも言える悲しみでしょう。
我が子の葬儀について考えることはつらく、ご逝去されてから葬儀について調べ始める方も少なくありません。深い悲しみの中で判断を迫られるため、周囲の意見に流されてしまうこともあります。
また、「大人の葬儀と何が違うのか」「お友達も葬儀に呼ぶかどうか」など、子どもの葬儀ならではの悩みもあります。大人の葬儀であれば周囲に経験のある方がいても、子どもの葬儀については、なかなか聞けないものです。
今回は、お子様を見送ったご家族が、迷いながらも温かいお別れの空間を作りあげた道のりをお伝えします。
1.「お葬式、どうすればいいんだろう」子どもを亡くした後の戸惑い

今回お話を伺ったA様(40代女性)は、一人娘のHちゃん(8歳)が旅立ち途方に暮れる中、葬儀の準備に向き合うことになりました。
我が子が亡くなったという現実を受け入れきれないまま、次々と決断を迫られる状況に、強い戸惑いを感じられたといいます。
子どもの葬儀について調べようとするだけで、胸が苦しかった
2年にわたって懸命に病気と闘ってきたHちゃん。医師から余命を告げられたのは、お別れのわずか1か月前のことでした。しかし、A様はHちゃんが亡くなるまで、葬儀について調べなかったそうです。
HちゃんはICUで最期の時間を過ごしました。面会の合間など、スマートフォンを見る時間はありましたが、A様はどうしても葬儀について調べることはできませんでした。「葬儀」という言葉を見るだけで、愛する娘との別れを受け入れてしまうようで苦しかったそうです。
悲しいのに、決めなければならないことが次々に出てきた
祈るような日々の末、ある初夏の日の朝に、Hちゃんは病院で息を引き取りました。Hちゃんが息を引き取ってからは、医師や看護師も慌ただしく、ご家族だけで話をできる状況ではなかったそうです。
Hちゃんが亡くなって一時間もしないうちに、病院と提携している葬儀社のスタッフが病室へやってきました。病院からは搬送を求められていたため、そのまま自宅への手配をお願いしたそうです。
自宅へ戻った後、そのスタッフと少し話をすることになりましたが、提示されたのは、一般的なパッケージプランでした。会場の規模や日程、宗派などは選べるものの、その他の式の進め方については、ほとんど選択肢がないように感じられたといいます。
A様を含め、その場にいたご家族全員が疲れ果てていました。「ちょっと待ってください」と声を挟む余裕すらなく、話はどんどん進み、流されるように「翌日に本契約をする」という約束で打ち合わせが終わってしまったのです。
2.親戚にも友達にも聞けない~子どもの葬儀で迷ったこと~
疲労と悲しみの中、思考が止まりそうになったA様。しかし、心の奥底には「本当にこのまま葬儀を進めてもいいのだろうか」という迷いが生まれていました。
ネットで調べた。でも「子どもの葬儀」の情報は少なかった
葬儀社のスタッフが帰った後、A様はパンフレットや詳しく書かれた資料を見たそうです。しかし、その内容は、Hちゃんのイメージとかけ離れており、「これではHちゃんらしいお見送りができない」と感じ、搬送を依頼した葬儀社には、すぐに断りの電話を入れた、とのことでした。
その後、初めて「葬儀」「お葬式」などのワードでネットで検索をしたそうですが、表示されるのは葬儀プランや費用の目安、一般的な葬儀の流れに関する情報ばかり…。
「白い菊を中心とした祭壇や落ち着いた色合いの祭壇ばかりが出てきました。どうしても違和感があり、私自身が納得がいかず…。Hが葬儀の場にいても喜んでくれないんじゃないか、と不安な気持ちになりました」
A様は当時を振り返り、こう話してくださいました。
学校の先生に連絡すべきか、友達を呼ぶべきか――正解がわからなかった
もう一つ、お母様が悩まれたのが、周囲の方への連絡のことでした。Hちゃんには仲の良いお友達や、入院中もずっと心配してくれていた担任の先生がいました。
「Hは体を十分に動かせなくなった後も、お友達がお見舞いに来てくれるのを楽しみにしていました。だから、お葬式にもお友達が来てくれたら喜ぶんじゃないか、と思ったんです。でも、お葬式という場に幼い子どもたちを呼んで、つらい思いをさせてしまわないかという心配もありました」
こうした「子どものお葬式ならではの悩み」を経験している人が、周囲にいることは稀です。誰にも相談できず、何が正解かも頼る先もわからず途方に暮れた、とA様は振り返ります。
「普通のお葬式」にしてしまうことへの違和感があった
大人と同じような葬儀に対する違和感と、小さな子どもたちを葬儀に呼ぶことへの不安。悩むうちに、A様は「Hちゃんをいわゆる普通のお葬式で見送ることはできない」という思いを強くしていったといいます。
読経やお焼香、黒い喪服といった一般的な葬儀の光景は、いずれも伝統的で大切な慣習かもしれませんが、まだ8歳だったHちゃんとは結び付かないように感じられたとのことでした。
「“普通のお葬式”にお友達を呼んだら、Hとの最後の思い出が暗くて怖いものになってしまうかもしれない。それだけは避けたいと思ったんです」
形式にこだわらずに「Hちゃんが喜んでくれるような子どもらしい葬儀にしたい」という想いをつのらせたAさんは、今度は『子どもの葬儀』で検索したそうです。その結果、たどり着いたのが花葬儀でした。
3.「この子らしいお別れにしたい」家族の想いが形になっていった

花葬儀のホームページに掲載されていたお子様の葬儀の花祭壇を見たとき、A様は「ここなら、あの子らしいお別れができるかもしれない」と初めて希望を感じたそうです。
「夜中の0時を過ぎていましたが、思い切って花葬儀の相談窓口に電話をしました。すぐにつながり、私の話を急かすことなく聞いてくださったことを、今でもよく覚えています」
その翌朝、メモリアルコンサルタントが、A様の元を訪れました。
打ち合わせで、この子のことを久しぶりにたくさん話した
打ち合わせでは、葬儀の日程や内容の説明から始まるのではなく、「Hちゃんは、どんなお子様でしたか?」「どんな遊びが好きでしたか?」と、Hちゃんについて尋ねられたそうです。
その問いをきっかけに、A様は言葉を探すように、闘病中の様子から、少しずつ話し始め、やがて元気だった頃の思い出を振り返るようになりました。
「葬儀の段取りを決める時間というより、Hのことを家族でたくさん話せる時間だったように思います」
そう振り返るA様。悲しみの中で慌ただしく準備を進める時間ではなく、Hちゃんの思い出を一つひとつ確かめるような時間になっていきました。
泣きながら話して、それでも言葉が続いた
「手が動かなくなる直前まで、毎日『ママ大好き』って伝えてくれていました。本当に優しくて明るい、かけがえのない子だったんです」
思い出を語るたびに涙があふれ、何度も言葉に詰まったといいます。それでも、急かされることなく話を聞いてもらえたことで、少しずつ心の内にある想いを言葉にすることができたそうです。
ディズニー映画が大好きで、毎年のようにご家族でディズニーシーへでかけていたこと。一緒にお庭の花へ水やりをしていたこと。
Hちゃんとの思い出を振り返る時間は、葬儀の内容を決めるためだけではなく、家族にとって改めてHちゃんと向き合う時間にもなっていったそうです。
一週間で、ぼんやりしていたイメージに輪郭ができていった
「Hちゃんらしい、お友達も招待できる明るい葬儀にしたい」との想いを固められていったA様。一方で、ご主人様のご実家には代々お世話になっている寺院があり、仏式の葬儀も大切にしたいという考えがありました。
そのようなご家族の想いを踏まえ、お友達を招く無宗教形式のお別れ会と、ご親族のみの仏式葬儀を2日間に分けて行う形が提案されたそうです。
「お友達が怖がらずに参列できる明るい時間と、ご親族がしっかり供養する時間の両方が持てる。たその話を聞いたとき、『そんな方法があったんだ』と気持ちが軽くなりました」
さらに、同席していた空間デザイナーが、Hちゃんの好きだったテーマパークの「海」の世界観をもとにデザイン画を描きおこします。
会場にベンチを配置し、写真やぬいぐるみを飾るスペースを設ける。お棺の周りには水色や青の風船を浮かべ、海の中をイメージした空間にする。
そんなデッサンを見たA様ご家族は、「これなら、お友達も怖がらずに会いに来てくれそうです」と感じ、花葬儀に依頼することを決めたそうです。
そこから葬儀までの一週間、ご自宅で何度も打ち合わせを重ねる中で、「このぬいぐるみは、いつも一緒に寝ていたんです」「このバッグも、お出かけのときによく持っていっていました」と、Hちゃんの好きだったものを振り返る時間が続きました。そうして少しずつ、「こんな空間にしてあげたい」という想いが言葉になっていったといいます。
A様はその一週間を、「悲しいだけではなく、Hちゃんのために何をしてあげられるか」を家族みんなで考えることができた、あたたかな時間でした」と振り返りました。
4.小さな棺のまわりに「好きだったもの」が並んだ日

そして迎えたお別れ会の日。会場はHちゃんの好きだった「海の世界」をモチーフにしたお花と風船、そして思い出の品々で彩られました。
「あの子の部屋がそのまま来たみたい」好きだったもので会場が彩られた
空間デザイナーの手によって、デッサンに描かれた世界が形になっていきます。入院中も一緒だったぬいぐるみや、お友達が折ってくれた千羽鶴。さらに、A様がHちゃんへの想いを込めて作られた、手作りの写真ボードも飾られました。
「Hの好きなものばかりで、見ていると懐かしい気持ちになります。あの子の部屋が、そのままここに来たみたいで、胸がいっぱいです」
完成した空間を愛おしそうに見つめながら、A様はそう話してくださいました。「葬儀の場」でありながらも、そこにはいつものHちゃんらしい、あたたかな時間が流れていました。
「お葬式みたいじゃない」と、小さな声がした
お友達や保護者の方々が、次々と会場に到着しました。
入口には、Hちゃんが好きだったキャラクターのぬいぐるみや本、アルバムを並べたコーナーが設けられていました。会場の一角では、Hちゃんとお友達が一緒に写ったメモリアルビデオも上映されています。
「お葬式みたいじゃないね」
「Hちゃんの好きなものばっかりだね」
そんな小さな声が聞こえてきたそうです。A様は、お友達が怖がることなくHちゃんを囲みながら思い出を語り合っている姿に、ほっと胸をなでおろしたといいます。
お友達からのメッセージが、棺の中に重なっていった
会場にはHちゃんへのお手紙を書くメッセージコーナーも用意されていました。訪れたお友達は、一人ひとりが足を止め、思い思いの言葉をカードにつづっていきます。
「ずっと大好きだよ」
「また遊ぼうね」
想いのこもったカードが、お友達の手で次々と棺の中へ納められていき、和やかだった会場の空気が、いっそう柔らかく温かいものへと変わっていきました。その様子を見つめながら、A様は「Hは本当にたくさんのお友達に愛されていたんだ」と改めて感じたそうです。
帰りには、ご家族からのメッセージを添えた、Hちゃんが好きだった駄菓子の詰め合わせがお友達に手渡されました。
親族だけで過ごした2日目、全員でお花を手向けた
お別れ会の翌日は、菩提寺の僧侶を迎え、ご親族だけで静かにお別れをする時間となりました。
前日会場中央に配置されていた棺は、2日目は祭壇前へ移され、ご本尊や焼香台が設けられた仏式の葬儀が執り行われました。
読経の響く厳かな空気の中にも、前日のお別れ会で生まれた温かな余韻が会場に残っているようだったとA様は振り返ります。
葬儀後のお花入れでは、ご参列の皆様がお一人ずつ花を手向けました。Hちゃんが好きだったバラや季節の花々で棺がいっぱいになっていく様子を見ながら、ご家族は最後の時間を静かに過ごされたそうです。
そしてご出棺の直前には、スタッフからA様へ、Hちゃんが大好きだったディズニーのキャラクターたちからのサインがサプライズとして贈られました。
「こんなことまでしてくださるなんて…」
思いがけない贈り物に、A様は涙を流しながら受け取られたそうです。
「悲しいだけじゃなく、ちゃんとお別れができた気がします。みんながHのことを思ってくれているのがわかって、本当にありがたく思いました」と、後日、A様は話してくださいました。
5.葬儀が終わった後、家族の中に残ったこと
2日にわたるあたたかなお別れの時間が過ぎ、半年が経ちました。
葬儀までの日々や当日を振り返り、今もA様の中に残っている想いを、ここからはA様ご自身の言葉でお伝えします。
最後まで、家族で話せた時間が残った
葬儀までの1週間は、Hのために家族でたくさん話し合えた時間でもありました。どんな空間ならあの子が喜んでくれるだろうかと、Hとの思い出を振り返りながら準備を進めることができたんです。
完璧なお見送りができたのかはわかりません。でも、スタッフの皆さんが私たちの心に寄り添い、丁寧に対応してくださったおかげで、あわただしく見送るのではなく、最後までHとしっかり向き合う時間を持てました。
そんな素敵な時間を持てたことは、今でも私たちの支えになっています。
式が終わって日が経っても、あの日のことを思い出す
お葬式が終わって日常が戻っても、ふとしたときにお葬式の日のことを思い出します。生前Hがお世話になったお友達や先生方とも、「Hちゃんってこんな遊びが好きだったよね」と、Hが元気だった頃の話がたくさんできて、とても嬉しかったです。
Hの好きなものばかりの会場や、お友達が一生懸命書いてくれたメッセージカードは、写真にたくさんとって今でもよく見返しています。
後悔はゼロではないが、「ちゃんとお別れできた」と思えた
安置していた自宅から葬儀会場へ移動するときには、Hが通っていた学校の前を通っていただきました。メモリアルコンサルタントの方にアドバイスいただき、棺に大好きなキャラクターのシールをたくさん貼って、世界で一つだけの棺にしてあげられたことも、本当に良かったです。
親として、「もっと早く、病気に気づいてあげていればよかった」「できれば代わってあげたかった」という後悔が消えることは、きっとこの先もありません。それでも、何か月も病室で過ごしていたあの子のために、最後に大切なお友達や先生方と再会できる場を用意してあげられて、母親としての大きな役目を一つ果たせたように感じています。
6.お子様の葬儀、何から決めればいいかわからないときは、お話を聞かせてください

お子様が旅立たれた直後は、深い悲しみで気持ちが追いつかないことと思います。そのような状況でも、葬儀の準備はどうしても進めていかなければならず、戸惑われるのは当然のことです。
具体的なご希望がなくても、うまくお話しできなくても大丈夫ですので、ご家族の今の状況や胸の内にある迷いを、私たちにお聞かせください。ゆっくりとお話を伺いながら、ご家族のペースに合わせて、ひとつずつ準備を進めてまいります。
なお、花葬儀のお客様インタビューでは、このほかにもお子様らしい温かなお見送りを選ばれたご家族の葬儀事例をご紹介しています。ご家族ごとにお見送りの形は異なりますが、実際の事例をご覧いただくことで、ご自身に合った形を考えるヒントになるかもしれません。
お子様の葬儀について、どのように進めればいいか迷われたときは、どうかご家族だけで抱え込まず、花葬儀の相談窓口までご連絡ください。
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