葬儀で「白木祭壇」と「花祭壇」のいずれを選ぶか、迷う方は少なくありません。特に初めて喪主を務める方は、「それぞれの祭壇が持つ宗教的な意味とは何か？」「どちらが、故人や家族の宗教観にふさわしいのか」と悩むこともあるでしょう。

そこで今回は、伝統的な白木祭壇がどのような意味や役割を担ってきたのか、そして「花祭壇」がどのように想いを形にできるのかをわかりやすく解説します。この記事を読めば、ご自身やご家族の状況、そして故人様への想いを踏まえた上で、最適な祭壇を選ぶヒントが見つかるはずです。

1.宗教や価値観から見た白木祭壇と花祭壇

祭壇は、葬儀における宗教的な精神性を象徴する重要な要素です。白木祭壇と花祭壇が、それぞれどのような価値観と結びついているかを解説します。

仏教儀礼を支える白木祭壇

白木祭壇は、仏式葬儀で用いられる代表的な祭壇で、宗教儀礼を行うための重要な設えとされています。使用される白木は、加工や塗装を施さない素材で、仏教における「無垢」「清浄」といった概念を象徴的に表現しています。

祭壇の構成は宗派ごとの違いがあるものの、遺影やお棺、位牌や供物の配置を整えることで、僧侶の読経や焼香など一連の作法を滞りなく行えるよう設計されています。

白木祭壇が仏式葬儀に深く根づいている理由は、次のとおりです。

・仏教の教義や死生観に基づいた様式である
・宗派や地域の伝統に沿っている
・仏教の神聖な雰囲気を表現している

信仰を問わない自由な花祭壇

花祭壇の主流は生花を使った生花祭壇で、宗教の種類にかかわらず幅広く使用でき、葬儀における宗教的制約を受けにくい点が大きな特徴です。伝統にとらわれず、生花を中心とした花祭壇のデザインによって、故人様やご家族の想いを表すことも可能です。

宗教的な面から見た花祭壇と白木祭壇の違いとしては、次のような点が挙げられます。

・仏教・神道・キリスト教などさまざまな宗教・宗派で利用できる
・無宗教葬にも取り入れることができ、形式に縛られない柔軟な演出が可能
・宗教的な様式にとらわれず、自由にデザインできる

2.宗教観やご家族の想いをふまえた白木祭壇・花祭壇の選び方

白木祭壇と花祭壇には、それぞれ異なる宗教的背景や価値観があります。では、どのような視点から祭壇を選べばよいのかを解説します。

宗教的伝統や儀礼を重んじる場合

故人様やご家族にとって、長年受け継がれてきた仏教の儀礼や地域の慣習が大きな意味を持つ場合、白木祭壇がその役割をしっかりと果たします。

主に、以下のような考えに当てはまる場合は、白木祭壇が選択肢に挙がります。

・伝統的な様式に則り、厳粛に葬儀を執り行いたい
・菩提（ぼだい）寺の定める儀礼や慣習に則り、葬儀を進めたい
・地域の慣習やご親族の、伝統的な葬儀に対する想いを重視したい

故人様やご家族の想いを表したい場合

宗教よりも、故人様らしさやご家族の想いを優先したい場合には、花祭壇が選ばれる傾向にあります。演出の自由度が高く、花祭壇で故人様の人柄や、故人様との想い出をかたちにできる点で、多くの支持を集めています。

主に、以下のような意向を大切にするご家族には、花祭壇が向いています。

・故人様の好みを反映した自由な祭壇にしたい
・故人様の趣味や人柄を花祭壇で最大限表現したい
・ほかにはない、個性的で記憶に残る葬儀にしたい

仏教の伝統と個性を調和させる選択

仏教の伝統と個性のどちらも尊重したい場合には、それぞれの特長を取り入れた折衷祭壇を検討します。たとえば、白木祭壇に花を添えることで、格式と故人様らしさを両立することが可能です。

仏教の伝統と個性の両立を希望する場合には、次のような工夫が役立ちます。

・白木祭壇に花を加え、格式と演出の両面でバランスを取る
・僧侶と葬儀社に相談しながら、許容される範囲の装飾を施す

実際に弊社「花葬儀」でも、ご家族のご意向を丁寧に伺い、白木祭壇をベースにしながら花で彩りを添えた祭壇をお作りした事例がございます。

経験豊富な葬儀社の提案を受けることで、ご家族の意向を白木祭壇に反映させることが可能です。

3.【宗教・葬儀形式別】花祭壇デザイン実例

宗教によって、葬儀における祭壇の形式や使われ方は異なります。花葬儀では、白木祭壇を用いず花を主体とする場合であっても、それぞれの宗教が定める儀礼や慣習を尊重しつつ、ご家族の想いを花祭壇で最大限に表現できるよう、心を込めてお手伝いしております。

以下に、弊社がこれまでに手がけた花祭壇のデザインを、宗教・葬儀形式別にご紹介いたします。

仏式葬儀の花祭壇

仏式葬儀では、前述したとおり、白木祭壇が伝統的に使われてきました。しかし近年では、故人様らしさを大切にする価値観の変化から、花祭壇を選ぶケースも増えています。

上の写真は仏教の葬儀でおつくりした花祭壇です。伝統的な要素を大切にしながらも、これほどまでに故人様の個性やご家族の願いを映したデザインを実現することができます。

神式葬儀の花祭壇

神道の葬儀では、仏式同様、白木を用いた祭壇が用いられますが、近年では故人様の遺志やご家族の希望、そして斎場の様式に合わせて、生花を中心とした花祭壇も選ばれるようになりました。神道ならではの飾り方を尊重しつつ、厳粛な雰囲気と故人様らしさを調和させています。

キリスト教式の花祭壇

キリスト教式の葬儀では、仏式のような白木祭壇は基本的にあまり使われません。その代わりに、花祭壇が宗教形式に合わせた柔軟な対応を可能にする選択肢として、広く選ばれています。

無宗教葬に調和する花祭壇の自由性

無宗教葬では、宗教的な特定の形式がないため、祭壇も自由に構成できます。花祭壇は、宗教的な意味合いを持たない自由なデザインが可能で、宗教的な制約がない葬儀にも取り入れられています。

4.白木祭壇や花祭壇は宗教的背景や価値観をふまえて選びましょう

葬儀で使用する祭壇は、形式を整えるためだけのものではありません。白木祭壇と花祭壇は、それぞれにご家族の想いを表現するための価値観が込められており、どちらを選ぶかは故人様やご家族の意向、宗教との関係性によって異なります。

だからこそ、判断を急ぐのではなく、事前に情報を整理して自分たちらしい祭壇の選び方を考えておくことが大切です。

「白木祭壇と花祭壇のどちらを選ぶべきか」「2つを両立させられないか」などと迷われたら、花葬儀の事前相談までご連絡ください。花葬儀では、宗教や形式、ご家族のご希望に合わせた柔軟な祭壇のご提案を行っています。実際の祭壇事例を見ながらご相談いただくことも可能ですので、ぜひお気軽にご活用ください。