葬儀の祭壇と聞くと、まず「白木祭壇」を思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。白木祭壇は、長年にわたって伝統的な葬儀には欠かせない存在とされてきました。しかし最近、白木祭壇に代わって、さまざまな花をメインとして飾る「花祭壇」が注目を集めています。

そこで今回は、花祭壇が選ばれる理由・背景について、詳しく解説します。葬儀を控えている方や花祭壇を検討している方は、ぜひ、この記事を参考になさってください。

1.花祭壇が選ばれるようになった背景

どうして白木祭壇ではなく、花祭壇が選ばれる傾向が強まっているのでしょうか。主な背景を解説します。

葬儀に対する価値観の変化

従来の白木祭壇は、日本の伝統的な葬儀、主に仏式や神式の葬儀で用いられてきました。白木（無塗装の木材）を用いており、格式高いデザインが特徴です。厳粛な雰囲気を演出でき、宗教儀礼を重んじる方々にとっては慣れ親しんだ祭壇です。

一方で、近年では葬儀に対する価値観が変化し、葬儀をより個人的で、あたたかみのあるものにしたいと考える方々が増えてきました。そうしたご家族のニーズに応える形で、花祭壇が選ばれるケースが増加しているのです。

家族葬など、参列者を限定した葬儀の増加

高齢化で参列者の数が減少傾向にあることや、親しい人だけで落ち着いた時間を過ごしたいとの意向から、小規模葬や家族葬を選ぶご家族が増えています。家族葬とは、参列者の範囲を故人様と親しかった方々などに限定して行う葬儀形式です。

花祭壇は、あたたかみのある空間を作り出せるとともに、会場の広さに合わせて柔軟に大きさを調整できます。葬儀の規模を問わず美しく飾ることができるため、小規模葬や家族葬を希望する方々にとって、選択肢のひとつとなっているのです。

このように、葬儀に対する価値観の変化や形式の多様化といった背景から、花祭壇は注目されるようになりました。では、具体的にはどのような理由から、多くの人に選ばれているのでしょうか。次項から、詳しくご紹介していきます。

2.【花祭壇が選ばれる理由1】故人様らしさを表現できる

花祭壇はデザインの自由度が高く、使用する花の種類や色、デザインの工夫によって、故人様の人柄を表現したり、生前の歩みを反映したりすることが可能です。具体的な表現方法として、以下のような例が考えられます。

職業や生き方を象徴

たとえば、学校の先生だった故人様の祭壇であれば、黒板をイメージした緑の花々や、チョークを思わせる白い花を飾るといった方法があります。また、医療に尽くした故人様をしのぶ際には、白衣をイメージした白い花を基調に、青や緑の落ち着いた色合いでまとめることもできるでしょう。

趣味を反映

旅行好きだった故人様のために、海や空を連想させる青系の花を用い、飛行機や地球のモチーフを取り入れるのも、素敵な演出です。故人様が好んで育てていたユリやカスミソウを祭壇に取り入れ、愛した庭を思わせる装飾にすることも、心温まるお見送りにつながります。

色合いで故人様の雰囲気を演出

お人柄に合わせて、花祭壇の色合いを選ぶこともできます。温厚で穏やかな性格だった故人様の場合は、淡いピンクや白を中心とした優しい色合いの祭壇がふさわしいかもしれません。

明るく社交的だった故人様の場合は、ビビッドな黄色やオレンジを取り入れた元気な雰囲気の花祭壇を作っても、故人様の人柄を表現できるでしょう。

3.【花祭壇が選ばれる理由2】空間を優しく穏やかな雰囲気にできる

白木祭壇が格式を重視した厳かな雰囲気であるのに対し、花祭壇は以下のような特徴によって、柔らかくあたたかな空間を演出することができます。

花の色合いによる雰囲気づくり

使用する花の色味によって、空間の印象は大きく変わります。たとえば、淡いピンクや白などの優しい色合いの花を選べば、落ち着いた穏やかな雰囲気に、明るく鮮やかな色を取り入れると、明るさや希望を感じさせる空間に仕上がります。

自然の美しさを活かせる

生花を中心に用いた花祭壇を、生花祭壇と言います。生花にはみずみずしさや生命力があり、その自然な美しさが空間全体をあたたかく彩ります。新鮮な花が放つやわらかな質感や、花びら一枚一枚の繊細さが、参列者の心に安らぎを与えてくれるでしょう。

香りによる癒し効果も

生花を使用すると、花の香りが癒しの効果をもたらし、張り詰めた空気の中でも優しく包み込まれるような安心感を与えてくれます。香りは記憶と結びつきやすいため、故人様との思い出をふとよみがえさせるきっかけになることもあります。

4.【花祭壇が選ばれる理由3】白木祭壇と柔軟に組み合わせることも可能

伝統的な白木祭壇と花祭壇を組み合わせることで、格式とあたたかみを両立させることができます。白木祭壇と花祭壇を併用する方法には、以下のようなものがあります。

白木祭壇の周囲に花を配置

白木祭壇の周りに花を飾ることで、祭壇全体に優雅であたかみのある雰囲気が加わり、厳かな雰囲気を保ちながらも、参列者に穏やかな印象を与えます。

白木祭壇の一部に花のアレンジを加える

白木祭壇に、過剰にならない程度の花をさりげなく配置することで、空間全体の調和がとれ、花の選び方によっては故人様らしさも表現できます。

ここまでにご紹介したような、花祭壇ならではの多様なデザインにご関心をお持ちの方は、弊社「花葬儀」の花祭壇ギャラリーにて、豊富な実例をご覧いただけます。具体的なイメージを掴むための一助として、ぜひご参照ください。

5.花祭壇が選ばれる理由を知り、後悔のない葬儀の準備をしましょう

葬儀の在り方が多様になる中で、「どのようにして大切な人を送るべきか」「自分らしい最期とは何か」と真剣に考える方が増えています。そうした方々の想いに応える選択肢のひとつとして、花祭壇は今、注目を集めています。

花祭壇が選ばれる理由は、見た目の美しさだけではありません。故人様やご家族の想いを表現できる柔軟さとあたたかさがあるためです。「伝統にとらわれすぎることなく、その人らしい葬儀を実現したい」と考えるのは、決して特別なことではなく、ごく自然なことといえるでしょう。

花葬儀では、事前相談を通じて、花祭壇に関するあらゆるご質問に経験豊富なスタッフが丁寧にお応えしています。花祭壇に不安や疑問を感じている方は、どうぞお気軽に、事前相談をご利用ください。