家族葬の参列者の決め方は?招待する範囲や判断の基準・失礼のない断り方を解説
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- 【 葬儀・葬式の基礎知識 】
家族葬を行う際、多くの方が頭を悩ませるのが「誰に参列をお願いするか」という問題です。「親族の範囲をどこまでとするか」「友人や知人を招いてもよいか」「人数に上限はあるのか」──判断に迷う場面は少なくありません。
この記事では、家族葬における参列者の範囲の考え方や人数の目安、辞退方法など、家族葬の参列者を考えるときに役立つ情報を詳しく解説します。家族葬を控えている方や、家族葬に招く方の範囲に不安を感じている方は、ぜひ最後までお読みください。
【もくじ】
1.家族葬における参列者の範囲の考え方
まずは、家族葬の特徴と、参列者の範囲に関する基本的な考え方をご紹介します。
家族葬とはどんな葬儀か
家族葬とは、故人様のご家族やご親族を中心に、ごく親しい方々のみで執り行う葬儀のことです。家族葬と一般葬の違いは、社会的な義理などで参列者を招くのではなく、限られた方で静かに見送る点だといえます。通夜・告別式といった基本的な流れは、一般葬と変わりません。
家族葬の参列者の範囲に明確な決まりはない
家族葬にどこまでの方を招くかの範囲に関する規定はありません。誰を呼ぶかは、ご遺族の意向や故人様の希望により自由なかたちで決められます。そのため、ご家族やご親族だけで執り行う場合もあれば、故人様と親しい友人や知人などに声をかけるケースもあります。
2.家族葬の参列者人数の目安と決める際の重要な要因
家族葬の参列者数に、制限はあるのでしょうか。どの程度の人数を想定すべきか迷う方に向けて、参列者数の目安や考慮すべき点をご紹介します。
家族葬の参列者数の平均人数
家族葬の参列人数は、10名~30名程度であることが多いとされています。株式会社鎌倉新書が2024年に行った「第6回お葬式に関する全国調査」では、家族葬の平均参列者数は22.3人という結果でした。
なお、平均の数字はあくまで目安であるため、地域の慣習や会場の広さ、ご家族の意向によっても参列者の人数は異なります。
出典:第6回お葬式に関する全国調査(2024年)|株式会社鎌倉新書「いい葬儀」
URL:https://www.e-sogi.com/guide/55135/
参列者の人数を決める際に考慮すべき要素
家族葬の参列者数を決める際には、いくつかの現実的な条件を踏まえて判断することが必要です。
以下のような点から検討すると、適切な人数が見えてきます。
・故人様の生前の交流の広さ
・葬儀を執り行う会場の収容人数
・会食や送迎など葬儀当日の運営にかかる準備や負担
・ご家族の精神的・身体的な負担を抑えられる人数かどうか
たとえ「家族葬」という名称で執り行ったとしても、結果的に参列者が100名を超えるケースも実際にあります。平均的な数字ではなく、故人とご遺族にとって最適な規模を見極めることが大切です。
プランによって参列者数に上限があることも
一部の葬儀社では、家族葬の参列者数に上限を設けている場合があります。たとえば、葬儀社によっては20名までが家族葬の基本プランとなっているケースもあり、それ以上の人数になると追加費用が発生したり、別のプランを選択する必要が生じたりすることもあります。
参列者の人数を検討する際は、あらかじめ葬儀社に家族葬の人数制限があるかを確認しておくことが重要です。
3.家族葬で親族や友人を参列者として招く判断基準
家族葬では、参列者の範囲に決まりがないからこそ、誰を招くかに悩む方も多いでしょう。ここでは、参列をお願いするご親族や友人・知人を決める際の判断基準を解説します。
家族葬で呼ぶ親族の基準
ご親族に関しては、血縁の近さだけでなく、日頃のお付き合いや家族関係などを総合的に考慮して判断することが大切です。
判断の際は、以下のような点を参考に検討してください。
●故人様と生前に交流が深かったか
故人様と特に親しい関係を築いていたご親族であれば、遠縁であっても招くことを検討します。
●ご家族の意向
ご家族の意見を調整し、ご家族全体の意向に一致する形で参列者を検討します。
●地域やご家族の慣習に基づく判断
地域の習慣や家の方針に従い、どこまでのご親族を招くかを検討します。地域の慣習に合わせることも重要です。
家族葬で友人・知人を招くときの考え方
故人様の親しい友人や知人については、故人様との関係性やご遺族の考えに基づいて判断します。
以下のような基準から、招くかどうかを検討するとよいでしょう。
・故人様と生前に深い交流や長い付き合いがあったか
・ご遺族とも長年にわたり親しくしていたか
・ご遺族が「ぜひ知らせたい」と強く感じるか
4.家族葬の参列者を選ぶときの注意点
参列者を選ぶ際、ご家族内で意見が分かれたり、調整が難しくなったりすることがあります。ここでは、参列者選びを円滑に進めるための方法を解説します。
最初に「どこまでの範囲を呼ぶか」という方針を統一する
参列者を決める際に最も重要なのは、ご家族全員で「どの範囲までの方をお呼びするのか」という方針を最初に共有しておくことです。「今回は近しい親族のみにする」「故人が特に親しくしていた友人までお声がけする」といった大枠を最初に決めておくことで、後々の意見の食い違いや不一致を防ぐことができます。
方針が決まったら、リストで参列をお願いする方を一人ひとり確認する
方針が固まったら、参列者の候補をリストとして書き出してみることをおすすめします。情報を目に見える形にすることで、「◯◯さんは呼ぶ?呼ばない?」といった個別の判断のズレや、連絡の抜け漏れを防ぐことができます。
リストを作成する際は、名前だけでなく「故人との関係性」や「連絡先」なども併記しておくと、判断基準がより明確になり、葬儀社との打ち合わせにも役立つでしょう。
第三者(葬儀社など)の客観的な視点を取り入れる
参列者を選ぶ際に迷いが生じた場合は、葬儀社などの第三者に相談することが非常に有効です。第三者は、客観的な視点から冷静にアドバイスを提供してくれるため、納得のいく判断を下しやすくなります。
たとえば、葬儀社に相談することで、過去の実例を元にしたアドバイスを受けられたり、地域の習慣や慣例に基づいた選定基準を教えてもらえたりする場合もあります
5.家族葬で参列をお断りする場合の伝え方と文例
故人様が特に親しくされていた方には、葬儀の前に訃報とあわせて参列をご遠慮いただく旨をお知らせするのが望ましいとされます。その際、失礼のないように伝えることが何よりも大切です。
ここでは、参列辞退を伝える際のポイントと文例をご紹介します。
参列のお断りを伝えるときに注意すべきこと
家族葬の参列を控えていただきたい旨を伝えるときに、押さえておきたいポイントは次のとおりです。
故人の遺志やご家族の想いを伝える
家族葬を選択したこととともに、選んだ背景を伝えることが大切です。たとえば、「故人が生前、静かに見送ってほしいと希望していた」「高齢の親族が多いことを考慮した」など、ご家族の状況や故人様の想いに沿った判断であることを伝えます。
参列を控えていただく理由を説明する
参列をご遠慮いただく理由も、丁寧に説明しましょう。「式場の規模の関係で、ごく限られた方のみのご案内となりました」など、やむを得ない理由を説明することで、一方的な印象を避け、配慮ある対応として受け取ってもらいやすくなります。
どこまで辞退するかを明確にする
家族葬に招かない場合、「どの範囲までを辞退とするか」を明確にしておくことも重要です。「葬儀のみ辞退する」「通夜・葬儀の両方を控えていただく」「弔問・香典・供花も含めて一切を辞退する」など、相手に混乱を与えないよう丁寧に伝えます。
情報の拡散を控えてもらうお願い
葬儀の日時などが意図せず広がってしまうと、参列をご遠慮いただく方が他の経路で情報を知り、不快に思うことがあります。そこで、「他の方に知らせないようご配慮ください」といったお願いをする一言を添えます。
誠実さを心がける
たとえ参列をご遠慮いただく場合でも、故人様とご縁があった方には誠意をもって連絡を行うことが大切です。電話や手紙など、相手との関係性に応じた手段を選び、「生前のご厚情への感謝」を心を込めて伝えましょう。
次項で、訃報とともに参列をご遠慮いただきたい旨を電話でお知らせする具体的な文例をご紹介します。
訃報と家族葬の参列辞退を電話で伝える文例
【文例】
◯◯(故人様の名前)の◯◯(例:長男/妻)でございます。
突然のお知らせとなり、たいへん恐縮ですが、
◯月○日、◯◯が永眠いたしました。
葬儀についてですが、故人の遺志により家族葬を執り行うこととなりました。
そのため、会場の都合もあり、誠に恐れ入りますが、
参列をお控えいただきたくお願い申し上げます。
通夜・告別式ともに参列をご遠慮いただくほか、
弔問やご香典、供花についても辞退させていただいております。
何卒ご理解いただけますようお願い申し上げます。
また、訃報や葬儀に関する情報につきましては、
他の方にお伝えにならないようご配慮いただければ幸いです。
生前のご厚情に心より感謝申し上げます。
今後とも変わらぬお付き合いをいただきますよう、何卒よろしくお願いいたします。
家族葬を行ったあとに、訃報や葬儀の報告をする挨拶状については「家族葬の挨拶状」の記事で詳しく解説しております。ぜひご覧ください。
6.家族葬に招く参列者への伝え方と文例
親しい方々のみをお招きする家族葬の案内文は、必要な情報を簡潔に伝えつつ、丁寧な表現を心がけることが重要です。
家族葬に参列をお願いする方への伝え方と、実際に使える文例をご紹介します。
家族葬に参列いただく方への伝え方
家族葬の連絡では、以下のような点を意識して伝えるとよいでしょう。
・家族葬として執り行う旨と、参列の範囲が限られていることを明記する
・式場名・日時・お香典辞退の有無など、必要な情報を簡潔に記載する
・「ご参列いただける場合はご一報を」など、連絡をお願いする言葉を添える
・訃報や葬儀に関する情報の取り扱いに配慮いただくようお願いする
次項で、訃報と家族葬への参列のお願いをメールでする場合の具体的な文例をご紹介します。
訃報と家族葬への参列のお願いをメールで伝える文例
【文例】
〇〇〇〇〇様
平素より格別のご厚情を賜り、誠にありがとうございます。
急なお知らせとなり恐縮ですが、父 ◯◯◯◯が○月○日に永眠いたしました。
葬儀は故人の希望により家族葬にて、下記のとおり執り行います。
・通夜:〇月〇日(〇曜日)午後〇時より
・葬儀・告別式:〇月〇日(〇曜日)午前〇時より
・場所:〇〇会館
・住所:〇〇市〇〇町〇丁目〇番地
・電話番号:〇〇〇-〇〇〇-〇〇〇〇
・喪主:〇〇〇〇(続柄)
ご多忙のところ恐れ入りますが、ご都合がよろしければ
ご参列いただけますようお願い申し上げます。
ご参列いただける場合は、○月○日までにご一報いただけますと幸いです。
誠に勝手ながら、ご香典、ご供花、ご弔電などのお心遣いはご辞退申し上げます。
また、恐れ入りますが、本件につきましては
家族葬の趣旨をご理解いただき、ご内密にお願い申し上げます。
〇〇〇〇(差出人の名前)
住所:〇〇区〇丁目〇番地
電話番号:〇〇〇-〇〇〇-〇〇〇
メールアドレス:〇〇〇〇
弔事の正式な書面では、慣習として句読点を用いないのが一般的なマナーとされていますが、メールやLINEなどでは、文章の可読性を重視して句読点を使用しても失礼にはあたりません。
7.家族葬で参列者を制限するメリット
家族葬では、参列者を限定することで、一般葬とは異なる利点が生まれます。参列者が限られる家族葬特有のメリットを解説します。
故人様との時間をゆっくり過ごせる
一般葬では、参列者への挨拶や儀式の進行に追われ、ご家族が故人様と向き合う時間が限られることもあります。家族葬であれば、参列者が少ない分、ご家族同士で思い出を語り合うなど、心ゆくまでお別れのひとときを過ごすことが可能です。
精神的・身体的な負担が軽減できる
参列者が少ないため、受付や応対、挨拶まわりなどで多忙にならず、ご家族の体力的・精神的な負担を軽減できます。特に高齢のご家族の心身に配慮したい場合に、家族葬は有効な選択肢となります。
会葬返礼品や料理などの費用を抑えやすい
会葬返礼品の数や通夜振る舞いの料理の量などが抑えられるため、全体の葬儀費用をコンパクトにまとめやすくなります。予算に限りがある場合や、必要以上の準備を避けたいご家族にとっては、大きなメリットといえるでしょう。
プライバシーを守りやすい
ご家族やご親族など、限られた方々のみをお招きして行うため、周囲に大々的に知られることなく、静かに故人様のお見送りができます。特に、故人様が著名人や人付き合いの多かった方の場合、過度な詮索や予期せぬ弔問による混乱を避けられます。
8.家族葬で参列者を制限するデメリット
参列者を限定することによるメリットもありますが、デメリットも生じます。
こちらでは、家族葬を行うときの、代表的なデメリットをご紹介します。
参列できなかった方との関係に配慮が必要
ご家族の判断で参列者の範囲を絞るため、故人様と親しかった方であっても参列できない場合があります。最期の別れの機会がなかったことで、人間関係にわだかまりが生じる可能性もあるため、ご家族の意向を丁寧に伝えるなど、気持ちに寄り添った対応が必須です。
地域の習慣やご親族の考え、宗教と合わない場合がある
参列者を制限する家族葬のスタイルが、宗教儀礼や地域のしきたりにそぐわない場合があります。たとえば、広く弔問を受けることが慣例となっている地域では、参列できなかった方に不満や疑問を与えることもあります。
9.家族葬に参列できなかった方への対応と配慮
家族葬を行う際は、参列をお断りした方や訃報を伝えなかった方への適切な対応も重要です。参列を希望された場合や後日弔問があった場合、またお香典や供花をいただいた場合などでの対応方法を解説します。
お断りをしても参列を希望された場合
家族葬であるため参列をお断りしても、参列したいと申し出る方がいる場合もあります。
その際は、以下のような対応を心がけましょう。
・感謝の気持ちをまず伝えた上で、参列辞退の方針を改めて説明する
・「お気持ちはありがたく受け取っております」と誠意ある言葉を添える
一律の対応ではなく、関係性を考慮して個別に適切な姿勢を示すことで、今後のおつき合いを大切に維持できます。
後日弔問の申し出があった場合
家族葬に参列できなかった方から、後日弔問の申し出があるかもしれません。その際は、まずご遺族の心身の状態を第一に考え、弔問をお受けするかどうかを決めましょう。
弔問を受け入れる場合は、双方にとって都合の良い日時を調整した上で場所をご案内します。お茶やお菓子を用意するなど、弔問に来てくださる方をお迎えする準備もしておくと、より丁寧な対応になるでしょう。
たとえ故人様と親しい間柄にないと思っていた人だったとしても、故人様との関わり合いは当人同士でしかわからないこともあるため、丁寧に対応することが大切です。
香典・供花・弔電をいただいた場合
お香典や供花、弔電をいただいた際は、ありがたく受け取り、後日お礼のご挨拶や返礼を行うのが一般的です。香典返しの時期や方法は地域の習慣によって異なりますが、四十九日を目安に、挨拶状を添えて郵送するのがよいとされています。また、供花や弔電をいただいた際にも、感謝の気持ちを込めてお礼のご連絡を差し上げることが大切です。
10.家族葬における参列者への対応マナー
家族葬では、参列者一人ひとりへの丁寧な対応が大切になります。最後に、参列者への対応について解説します。
家族葬当日の接遇で心がけたいこと
家族葬は参列者の数を絞るため、ご遺族が参列者と直接接する機会が多くなります。受付がない場合でも、玄関先や式場入口での軽い挨拶や、簡単な声がけを行うだけでも丁寧な印象になります。
着席を促す、式の流れを説明するなど、参列者が戸惑わないような配慮も大切です。故人様との関係性が深かった方には、控室などで静かに思い出を語る場を設けてもよいでしょう。
参列後の感謝の伝え方
家族葬が終わった後も、参列してくださった方への感謝を伝えることで、より良い関係を築くことにつながります。
具体的には、以下のような方法があります。
・お香典や供花をいただいた方に、後日お礼状や返礼品を送る
・忙しい中参列してくれたご親族に、電z話やメッセージで感謝の言葉を伝える
・遠方から来てくださった方に、葬儀後の近況報告を兼ねて連絡をする
家族葬は「大げさなお礼は不要」と思われがちですが、こうしたひと手間によって、ご家族の感謝の気持ちを表現することができます。
11.家族葬の参列者に関するQ&A
A.故人様と親しかったご家族や近しいご親族までを参列者とするのが一般的です。
ただし、明確な決まりはなく、故人様との関係性やご家族の意向によって柔軟に判断されます。近年では、生前に親しかった友人や、ご家族が「ぜひお知らせしたい」と思う方を参列者に含めるケースも増えています。
A.会社関係者を参列者とするかどうかは、ご家族の判断に委ねられます。
「家族葬だから会社の人は呼ばない」と決めるご家庭もあれば、故人様が長く勤務された会社の親しかった方を招くケースもあります。故人様との関係性や、ご家族の気持ちを大切にして判断すればよいでしょう。
A.お香典をいただくか、それとも辞退するかは、ご家族の意向に委ねられます。
近年は、参列者の金銭的な負担を軽くし、返礼の準備などの手間を省くために辞退するケースも増えてきました。もしお香典を辞退する場合は、その旨を事前に明確にお知らせすることが大切です。
案内状や訃報連絡の際に「誠に勝手ながら、御香典のお心遣いは固くご辞退申し上げます」といった一文を必ず明記しましょう。事前にはっきりと意思表示をしておくことで、参列者の方々を迷わせず、当日の受付もスムーズになります。
12.家族葬の参列者を選ぶ際は後悔のない判断を心がけましょう
家族葬は、限られた方々だけで執り行うため、誰を参列者としてお呼びするかが、葬儀の雰囲気や意味合いに大きく影響します。呼ぶ人によって、故人様との最期の時間がどのようなものになるかが変わるため、ご家族で丁寧に話し合い、納得のいく判断をすることが大切です。
家族葬で参列の範囲に迷っている方や、参列の断り方・案内の仕方に不安を感じている方は、花葬儀の事前相談までご連絡ください。経験豊富なスタッフが、参列者の選定や伝え方を含め、ご希望に合わせた家族葬の形をご提案いたします。