無縁仏とは?意味・費用負担・避ける方法を解説
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- 【 お墓の基礎知識 】

「無縁仏」という言葉を聞いたことはあっても、実際に無縁仏がどのような状態を指すのか、詳しく知らない方も多いのではないでしょうか。そのため「もし自分が無縁仏になったらどうなるのか」「費用は誰が負担するのか」と不安を感じる方も少なくありません。
本記事では、無縁仏の基本的な意味やなった場合の流れ、費用負担、避けるための備えについて分かりやすく解説します。
【もくじ】
1.無縁仏とは?
一般に「無縁仏」とは、供養する人がいない故人様や、お墓を継ぐ人(承継者/墓地使用者)がいなくなって管理されなくなったお墓を指す言葉です。特に、お墓については「無縁墓(むえんぼ)」と表現されることもあります。
なお法令上は、縁故者が分からないお墓や納骨堂などを「無縁墳墓等(むえんふんぼとう)」と呼びます。
2.無縁仏になる2つのケースとは?
無縁仏になるのは大きく「故人様の引き取り手がいない場合」と「お墓の承継者がいなくなり管理が途絶えた場合」の2つです。どちらに該当するかで、火葬・納骨の流れや費用負担の考え方が変わります。
故人様の引き取り手がいないケース
引き取る方がいない故人様は無縁仏として扱われます。引き取り手のいないケースは、さらに4つに分けられます。
孤独死(無縁死)
親族や縁者がおらず、ひとり暮らしで亡くなったケースです。近年では少子高齢化や核家族化が進み、孤独死をする人が増えています。ご親族や縁者がおらず、ひとり暮らしで亡くなったケースです。近年では少子高齢化や核家族化が進み、孤独死をする人が増えています。
ご親族などがいなくても、生前に納骨先をご自身で手配していれば無縁仏になることは避けられますが、その手続きをしていないと死後に入るお墓がなく、無縁仏となってしまいます。
自然災害による身元不明者
大規模な自然災害の発生により、身元が識別できなくなってしまった故人様も無縁仏となることがあります。
その他の身元不明者
認知症による徘徊先や、家出先で死亡した際、ご家族が捜索願を出していない場合には、身元が分からずに無縁仏となるケースもあります。
ご家族等に引き取りを拒否された
家族や縁者がいても、故人様の引き取りを拒否されてしまった場合、無縁仏として扱われます。
お墓の承継者がいなくなったケース
家単位で代々受け継いでいくお墓ですが、「後継ぎがいない」「お墓を継ぐことを拒否された」などの理由で承継者がいなくなってしまったお墓は放置され、荒れ果ててしまいます。
かつての家制度が薄れてきた近年では、無縁墓の増加が課題になっています。
お墓の維持には、墓地管理者(寺院・霊園など)に対して管理料を納める必要がありますが、長期間未納が続いた場合、所定の手続きを経て、整理・改葬される場合があります。
3.無縁仏が増えている理由とは?

無縁仏が増えている背景には、社会構造の変化と、ご家族・ご親族とのつながりの薄れが関係していると考えられます。
ここでは、増加の実態と主な要因を整理します。
無縁仏の増加を示すデータ
厚生労働省の資料によると、令和5年度に「引き取り手がなく自治体が火葬等を行ったご遺体」は推計約4万2,000人で、令和5年の国内総死亡数の約2.7%に相当します(※)。無縁仏は一部の特別な事情に限らず、誰にとっても備えが必要なテーマといえるでしょう。
(※)出典:厚生労働省「行旅病人及行旅死亡人取扱法、墓地、埋葬等に関する法律及び生活保護法に基づく火葬等関連事務を行った場合等の遺骨・遺体の取扱いに関する調査研究事業 報告書」(令和7年3月)ノンブル(冊子)p.43/PDF表示p.46
出典:https://www.mhlw.go.jp/content/12000000/001463077.pdf
掲載URL:https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_56112.html
単身高齢者の増加
近年は、高齢者のひとり暮らしも増えています。その結果、逝去後に故人様の引き取りやご遺骨の供養・管理を担う人がいない状況が生まれやすくなっているといえます。
ご家族・ご親族関係の希薄化
ご家族・ご親族との関係が薄れていると、故人様の引き取りや、その後の納骨・供養を担う人が決まりにくくなります。身寄りがあっても支援が得られないケースが生じやすく、結果として無縁仏につながる可能性が高まります。
4.無縁仏になると故人様・ご遺骨はどうなる?
無縁仏になると、引き取り手のいない故人様は、自治体が火葬等を行い、ご遺骨は一定期間保管されたのち合祀等で扱われることがあります。お墓の場合も、所定の公告・掲示などの手続きを経て改葬・整理される可能性があります。以下で、詳しく解説します。
故人様の引き取り手がない場合
身元が不明で引き取り手のいない故人様は、法律上「行旅死亡人(こうりょしぼうにん)」と呼ばれ、法律により、死亡した場所の自治体が葬儀・埋葬をすることが定められています。その他の引き取り手のいない故人様も、同様です。
葬儀の内容はとても簡素なもので、火葬をし、ご遺骨を無縁墓地に埋葬するのみです。お墓の中には、無縁仏となった他のご遺骨も一緒に収められており、行政から委託された霊園や寺院によって管理されます。
お墓の承継者がいなくなった場合
埋葬された後、お墓の承継者などがいなくなってしまった場合は、墓地、埋葬等に関する法律(墓地埋葬法)および施行規則に基づく手続きを経て対応します。具体的には、墓地管理者はご遺骨を改葬(合祀墓などへ移す)できることがあります。
施行規則では、たとえば次の流れで進みます。
1. 墓地管理者が、無縁墳墓等に関する権利を有する者に対し1年以内に申し出るよう官報で公告し、あわせて現地の立札などで1年間掲示する
2. 期間中に申し出がない場合、ご遺骨を取り出して改葬先へ移す
3. その後、お墓が整理(撤去)されることがある
お墓から取り出されたご遺骨は、合祀(ごうし)されることが一般的です。合祀とは、骨壺から取り出したご遺骨を、血縁関係のない他人のご遺骨と共に合祀墓に埋葬することです。
合祀墓の詳細は、合祀墓の埋葬方法や費用の目安を解説した「合祀墓の埋葬方法・費用」の記事を参考にしてください。
合祀したご遺骨はあとで引き取れる?
無縁仏となり合祀した方のご遺骨は、後に管理者やご親族が名乗り出ても引き取ることはできません。一度納骨すると、他の方のご遺骨と見分けがつかなくなってしまうからです。
また、近年では無縁仏の増加により、合祀をするスペースが少なくなってきているため、ご遺骨の一部のみを合祀したり、粉砕して埋葬したりすることもあるようです。
5.無縁仏の費用は誰が払う?自治体・ご家族の負担

無縁仏の費用負担は、「身寄りのない人が亡くなった場合」か「お墓の承継者がいなくなった場合」かで扱いが異なります。
ここでは、2つのケース別に費用の確認ポイントを整理します。
身寄りのない人が亡くなった場合
身寄りのない人が亡くなった場合、行政が管理する霊園、もしくは提携している寺院などに埋葬され、供養やご遺骨の管理にかかる費用は行政が負担するケースがあります。
負担する内容は主に以下の2つです。
1. 故人様の火葬代(搬送・読経など最低限の供養を含む)
2. 遺骨の管理費
火葬にかかる費用は自治体や火葬場の利用区分(市内/市外)などで差があり、金額には幅があります。ご遺骨の管理費も、委託先(霊園・寺院など)の規程によって異なります。
あくまで目安ですが、行政から連絡を受けた遠縁のご親族が引き取ったり、故人様の遺留金から清算されたりする場合、費用は数万円〜十数万円程度になることがあります。
なお、状況によっては公的制度の「葬祭扶助」が関わることもあるため、必要に応じて役所へ確認しておくと安心です。
お墓の承継者がいなくなった場合
お墓の承継者がいなくなった場合、墓地管理者の手続きによりお墓が整理(撤去)され、ご遺骨は合祀墓などへ移されることがあります。撤去費用などが発生する場合もありますが、負担の扱いは状況によって異なるため、墓地管理者や自治体に確認しましょう。
6.無縁仏にならないための生前の準備は?

無縁仏を避けるためには、生前からいくつかの備えをしておくことが大切です。
ここでは、事前にできる主な準備をご紹介します。
お墓・納骨先を生前に決める
無縁仏にならないためには、逝去後の納骨先を生前に決めておくことが重要です。現在のお墓の状況や希望する供養方法に合わせて、無理のない選択肢を検討しておきましょう。
墓じまいをして納骨先(供養方法)を決めておく
「代々継いできたお墓があるけれど、次の承継者がいない」という方には、墓じまいをして納骨先を決めておくという方法があります。
墓じまいとは、今あるお墓を解体・撤去し、墓地の使用権を返還することで、墓地管理者と自治体に申請して行います。墓じまいでご遺骨を別の供養先へ移す場合は「改葬(かいそう)」にあたり、自治体の改葬許可が必要になることがあります。
墓じまいをした後のご遺骨は、永代供養墓や合祀墓に埋葬したり、散骨したりするなどの方法が選択でき、墓じまいをすればご自身自分の死後にお墓が放置されることがないため、誰にも迷惑をかけずに済みます。
墓じまいにかかる費用相場や注意点については、「墓じまいの費用相場」の記事で詳しく解説しています。
永代供養墓の単独墓、もしくは集合墓に入れるよう生前契約をしておく
永代供養墓とは、ご家族に代わって寺院や霊園などが永代にわたり管理してくれるお墓のことを指し、単独墓(個人墓)、集合墓(墓石などはひとつだが、納骨スペースは個々に管理)、合祀墓(共同墓)の3種類があります。なお、永代供養の受け皿はお墓だけでなく、屋内で管理される納骨堂を選べる場合もあります。
現在お墓がない方において個人で供養をしてもらいたい場合は、単独墓、もしくは集合墓で生前契約のできる永代供養墓を探すとよいでしょう。なお、「永代」とは永遠という意味ではなく、寺院・霊園が存続するまでの間という意味です。
また、永代供養料の相場は場所と内容によって大きく異なりますが、最初に永代供養料の支払いを済ませておけば、その後の管理費用はかからないケースが多く、縁故者がいない方でも安心して利用できます。
永代供養墓の合祀墓への納骨を申し込んでおく
費用を抑えたい方には、永代供養をしてくれる合祀墓への納骨を生前に申し込んでおくという選択肢もあります。ただし、合祀墓の場合は他の遺骨と同じ場所に埋葬されます。
生前契約ができる場所が限られており、競争率が高い傾向にあるため、検討の際は合祀墓以外の永代供養墓の候補も同時に探しておくとよいでしょう。
死後の手続きを任せる準備をする
逝去後の手続きは、葬儀や埋葬だけでなく、行政手続きや各種支払いなど多岐にわたります。あらかじめ「誰に、どこまで任せるか」を決めておくと安心です。
友人・知人や弁護士などの専門家と死後事務委任契約を交わしておく
生前に「死後事務委任契約」を交わしておくという手段もあります。これは、死後に必要となる事柄(葬儀・埋葬・行政手続き、各種支払いなど)を、第三者に委任することです。委任する相手は友人や知人、弁護士など血縁関係のあるなしに関わらず、どなたでもかまいません。
【死後事務委任契約でできる内容例】
・葬儀や埋葬の手配(墓石建立や永代供養などの選定も含む)
・死亡届提出、関係者への連絡
・賃貸退去や各種支払い、遺品整理 など
死後誰かが必ずやらなければならないことを、ひと通り委任することができますが、生前のうちに委任相手と委任する内容を綿密に話し合っておく必要があります。
【契約における注意点】
契約はトラブル防止のため、公正証書で作成することをおすすめしますします。また、死後事務委任契約は遺言とは異なり、財産分与は決められません。相続人がいる場合は、別途遺言書も準備しておきましょう。
遺言書作成方法の詳細は、遺言書の作成方法と注意点を解説した「遺言書の作成方法」の記事が参考になります。
公的制度と周囲の支えを活用する
ひとりで準備を進めるのが難しい場合は、自治体の支援や周囲の協力を得ることも重要です。利用できる制度や、頼れる人とのつながりを持っておきましょう。
自治体のサポート制度を活用する
無縁仏を増やさないために、サポート制度を設けている自治体があります。たとえば次のようなものです。
・緊急連絡先やお墓の所在地などを登録するサービス
・エンディングノートの配布
・自治体が提携する葬儀社との生前契約における仲介や費用の管理
・自治体と葬儀会社とが連携して定期的に独居高齢者の安否確認を行うサービス
自治体によって内容は異なりますが、無料で利用できるものもあるため、確認してみるとよいでしょう。
日頃から周囲とのコミュニケーションを取っておく
周りの人と頻繁にコミュニケーションをとっておくことも大切です。無縁仏にならないためには、ご親族がいる場合でも、いざというときに供養などをお願いできるよう、日頃から交流を深め、意思を共有しておくと安心です。親しい友人がいる場合は、死後の希望について相談してみるのもよいでしょう。
7.無縁仏を避け希望通りの納骨を実現する方法は?
死後、どのような方法で埋葬されたいかは、人によってさまざまです。代々受け継がれているお墓に入りたい方もいれば、海に散骨(海洋散骨)してほしいと願う方もいます。
ご自身のご遺骨を希望どおりの方法で納骨してもらうためには、どのようにすればよいのかをご紹介します。
ご遺骨や納骨の決定権は誰にある
そもそも、ご遺骨の決定権は誰にあるのでしょうか?
民法897条には、「祭祀財産(さいしざいさん)」に関する記述があります。祭祀財産とは、祖先を祀るために必要な財産の総称のことで、以下の3つを指します。
1. 系譜 :血縁関係を記載した家系図など
2. 祭具 :仏壇、仏像、十字架など、祭祀を行う際に使う道具
3. 墳墓 :ご遺体やご遺骨を埋葬する際に必要な土地や物品
ご遺骨は祭祀財産に準ずる扱いを受けるため、決定権は祭祀承継者が持っています。祭祀承継者となる人は、血縁関係のあるなしに関わらず、逝去前の故人様が指定することができます。故人様が祭祀承継者を指定していた場合、基本的に祭祀承継者が葬儀や法要に関しても対応することになるため、その点も踏まえて決定することが重要です。
なお、納骨に関する希望は、遺言書に書くことが可能です。しかし法的効力はないため、最終決定は祭祀承継者の判断にゆだねられます。
納骨の希望は生前に伝えておく
遺言書が法的効力を持つのは財産に関すること、身分関係に関することなどに限られます。前述したように、ご遺骨についての決定権は祭祀承継者が持っていますが、死後、祭祀承継者を含むご家族やご親族などでもめることがないように、「ご自身のご遺骨をどうしてほしいのか」を日頃からご家族やご親族、信頼できる友人などに伝えておきましょう。
お互いの意思と希望をすり合わせておくことで、後々のトラブルを回避することができます。
8.自分から無縁仏を希望することは可能?

さまざまな事情があり、無縁仏になりたいと考える場合、実現は可能なのでしょうか?
自分から無縁仏を選択することは難しい
前述したように、故人様の引き取りを拒否された方や、身元不明の方、供養・管理してくれる人がいなくなった方が無縁仏と呼ばれます。そのため、ご自身の死後、誰かが供養してくれた場合は無縁仏とは呼ばれません。
死後の供養がどのようになるのかは分からないため、現在無縁ではない方が無縁仏を自ら選択することは難しいでしょう。ただし、「現在あるお墓に入らない」という選択を生前に行うことは可能です。
本家やご親族の墓に入りたくない場合は?
さまざまな事情により、本家やご親族のお墓に入りたくない場合は、以下の方法があります。
・合祀を選択する
・ご自身だけの永代供養墓に入る
・海洋散骨や樹木葬などの自然葬を選択する
これらは生前に手続きを行うことができます。祭祀承継者に希望を伝えておくと、希望通りの供養方法を実現できる可能性が高くなるでしょう。
もしも、ご家族の中に反対する方がいらっしゃる場合は、意見を聞きつつご自身の希望を伝え、理解を得られるようコミュニケーションを図ることをおすすめします。
9.無縁仏に関するQ&A
A.自治体が火葬を行った場合、ご遺骨は一定期間、自治体や委託先(霊園・寺院など)で保管されることがあります。
ただし保管期間や、その後に合祀されるまでの運用は自治体によって異なります。後から引き取りたい可能性がある場合は、早めに役所へ「保管先」と「引き取り期限」を確認しましょう。
A.無縁仏の火葬・埋葬は自治体が対応することがありますが、後にご家族や相続人等が判明した場合、状況によって費用負担が求められる可能性があります。
対応の根拠(行旅死亡人としての扱い、葬祭扶助の適用など)で取り扱いが変わるため、心当たりがあるときは自治体窓口で確認すると安心です。
A.最優先は「納骨先を生前に決めること」と「死後の手続きを託せる相手・仕組みを用意すること」です。
永代供養墓の生前契約や、死後事務委任契約などを組み合わせると、無縁仏になるリスクを下げられます。あわせて、希望を書面に残し、信頼できる人へ共有しておくとよいでしょう。
10.無縁仏を避けるために今できることから始めましょう
本記事でお伝えしたように、無縁仏を避けるために今日からできることには、「納骨先の候補を決める」「託す相手を決める」「希望を残す」の3つがあります。納骨先を決めることに加え、死後の手続きや希望を託せる相手・仕組みを整えておくことが大切です。周囲とのコミュニケーションや必要書類の準備など、できることから始めると安心につながります。
「何から手をつければいいか分からない」「自分に合った生前準備を知りたい」という方は、ぜひ花葬儀の事前相談をご利用ください。
適切なアドバイスをいたしますので、お気軽にご相談ください。











