病院で紹介された葬儀社にお願いした夜|父を亡くした後に残った後悔
- 作成日:
- 【 葬儀・葬式の基礎知識 】

「病院で家族が亡くなった際、病院から葬儀社を紹介してもらった」という話を耳にしたことはないでしょうか。大切な人の喪失にショックを受ける中、「紹介してもらうことで助かった」と感じる方もいる反面、「もっとよく考えてから決めるべきだった」と後悔する方もいます。
今回ご紹介するのは、前回の記事「失敗しない葬儀社の選び方」に登場したS.Hさん(50代女性)のお話です。
突然お父様を亡くした夜、病院から紹介された葬儀社へ依頼したS.Hさん。その後、ご親族の葬儀をきっかけに花葬儀を利用されたS.Hさんに、当時の経験と、葬儀の後に感じた後悔を、もう少し詳しく語っていただきます。
さまざまな選択肢がある中で、納得のいく見送り方をするためには何を知っておけばよいのか、S.Hさんの体験を通して考えてみましょう。
1.父が亡くなった夜、私は何も理解できていなかった

大切な方の逝去後、残されたご家族は気持ちが追いつかないまま、多くの判断を迫られます。東京近郊に住むS.Hさんも、お父様が亡くなった夜、「悲しむ前に決めなければならないことが次々に出てきた」と振り返ります。
突然の連絡で病院へ向かった
S.Hさんがお父様の訃報を受けたのは、夜の11時ごろだったそうです。突然の別れだったため、病院へ向かう道中も現実感がなく、「まだ状況を理解できていなかった」と話します。
病院へ到着すると、お母様はすでに大きく動揺されており、S.Hさん自身も、お父様が亡くなった事実をうまく受け止められなかったそうです。しかし同時に、病院の中では必要な手続きが進んでいきます。医師から説明を受け、必要書類の案内があり、家族への連絡もしなければなりません。
S.Hさんは、「頭の中が整理できていないまま、次々にやることだけが増えていった感覚だった」と振り返ります。
「搬送先を決めてください」と言われても意味がわからなかった
さまざまな手続きが進む中、病院スタッフから、「この後の搬送先についてですが……」と説明があったそうです。しかしS.Hさんは、その時点では「搬送」という言葉の意味をきちんと理解できていませんでした。
「どこへ搬送するのか」
「なぜ病院にいられないのか」
「何を決めればいいのか」
戸惑いながら質問すると、亡くなった後は病院で長時間安置することが難しく、ご自宅や安置施設へ移動する必要があると説明されたそうです。
「おつらい中で申し訳ありませんが、搬送先についてご家族でご検討いただけますか」と促され、S.Hさんは「今、すぐに決めなければならないのだ」と実感し、急に焦りを覚えたといいます。
病院や施設で亡くなった場合、基本的に故人様を長時間そのまま安置することは難しいとされています。病室や霊安室の利用状況などの理由から、ご逝去後はご自宅や安置施設へ搬送する流れが一般的です。なお、搬送は病院が手配するものではなく、ご遺族が葬儀社へ連絡し、依頼する必要があります。
安置をする必要性や安置する場所については「安置とは?」を参考になさってください。
2.病院紹介の葬儀社に「救われた」と感じた
S.Hさんには、自分で葬儀社を探す余裕はほとんどありませんでした。葬儀社の名前も、選び方も、費用の目安もわからず、お母様もまた、どこへ連絡すればよいのか見当がつかない状態だったそうです。
その様子を見て、搬送について説明してくれた病院スタッフが、提案をしてくれました。
「紹介できますよ」という言葉に安堵
S.Hさんは、病院スタッフから「もし葬儀社でお困りでしたら、ご紹介できますよ」と声をかけられた瞬間、「自分たちだけで探さなくてもいいんだ」と、少し不安が和らいだそうです。
深夜という時間帯でもあり、自分で一から調べる余裕はありませんでした。スマートフォンを開いても、何を基準に調べればよいのかわからず、「誰かに頼りたい」という気持ちの方が強かったといいます。
その場で紹介された葬儀社へ連絡すると、「10分ほどでお迎えにうかがえますので、ご安心ください」と言われたそうです。S.Hさんは、その「ご安心ください」という言葉で、気持ちが落ち着いたと振り返ります。
病院とのやり取りもスムーズで、「任せて大丈夫なんだ」と思った
葬儀社のスタッフが病院へ到着してからは、手続きや搬送準備がスムーズに進んでいきました。
「こちらで引き受けますので大丈夫ですよ」
「この後は安置先へご案内しますね」
そのようにひとつずつ丁寧に説明しながら対応してくれたため、S.Hさんは「その時は、本当に頼れてよかったと思っていた」と話します。もしあのとき、自分たちだけで探さなければならなかったら、こんなに早くは進められなかっただろうとも振り返っていました。
3.病院に葬儀社を紹介してもらってから、一気に進む話

病院で葬儀社を紹介してもらったあと、S.Hさんは「ようやく少し落ち着ける」と感じていたそうです。しかし実際には、そのまま葬儀に向けた準備も動き始めていました。
深夜の搬送が終わり、翌朝には打ち合わせが始まった
病院で搬送の準備が始まり、安置所へ到着した頃には、すでに深夜12時を大きく回っていたそうです。
その時のS.Hさんには、「この後はどうなるのだろう」「葬儀については、いつ、どうやって決めるのだろう」という疑問が浮かんでいたといいます。
そこで葬儀社の担当者へ尋ねると、「今夜はかなりお疲れでしょうから、一度ご自宅でお休みください。明日の朝、改めて打ち合わせをしましょう」と案内されたそうです。
翌朝9時。まだ気持ちの整理はついていなかったものの、S.Hさんはお母様と一緒に安置所へ向かい、葬儀社との打ち合わせが始まりました。
打ち合わせが終わるころには疲れ切っていた
打ち合わせでは、葬儀に必要な内容について、次々と説明を受けていったそうです。棺や祭壇の種類。式場の使用時間。参列予定人数。返礼品や料理の数。会葬礼状に入れる文言など、さまざまな項目について淡々と説明が進み、その場でひとつずつ決めていきました。
S.Hさんは、「父が亡くなった実感もまだ薄い中で、現実的な話をどんどん決めていかなければならなかったのは大変だった」と振り返ります。最終的な見積もりが提示され、打ち合わせが終わったころには、すでに午前11時近くになっていました。
「とにかく疲れていて、少し休みたい気持ちでした。でも、親戚や父の友人にも連絡しなければならなくて、休む暇はほとんどありませんでした」
そう話すS.Hさんにとって、搬送から葬儀の打ち合わせまでは、葬儀社の案内に沿って、次々と話が進んでいった時間だったそうです。
4.葬儀後に知った「別の選択肢」
数日後にお父様の葬儀を執り行いました。直後のS.Hさんには、「無事に終えられてよかった」という気持ちが大きく、不満らしい不満はなかったそうです。しかし、少し時間が経ち、気持ちが落ち着いてきた頃、ご友人との会話の中でその想いが揺らぎます。
「搬送と葬儀の契約は、別で考えることもできるって知ってた?」
「そうだったの?」
病院で紹介してもらった葬儀社に搬送をお願いした時点で、「そのまま最後までお願いするもの」だと思っていたS.Hさんは、大変驚いたそうです。
S.Hさんは、友人から「搬送だけお願いして、葬儀は別の葬儀社に頼むこともできる」と聞き、初めてその方法を知ったそうです。病院から安置先までの搬送をお願いしたあと、葬儀については改めて別の葬儀社を検討することもできたと知り、「最初から最後まで同じ葬儀社にお願いしなければならないと思い込んでいた」と振り返りました。
5.「もっとできることがあったのでは?」心に残る小さな後悔

ご友人との会話をきっかけに、S.Hさんはお父様の葬儀について、「あれでよかったのだろうか」と改めて考えるようになったそうです。
S.Hさんにとって、お父様は何かと気にかけてくれる存在でした。亡くなる前も、折に触れて一緒に食事をしたり、近況を話したりしていたといいます。
「あのときは大きなショックの中で、搬送先を決め、葬儀社と連絡を取り、葬儀の内容を詰めていかなければなりませんでした。何かを落ち着いて比較したり、家族でゆっくり話し合ったりする余裕はほとんどなかったと思います。
病院で紹介された葬儀社に大きな問題があったわけではありません。搬送も打ち合わせも滞りなく進み、無事に父を見送ることができました。
葬儀社の方に案内されるまま、一つひとつ決めていったように思いますが、父が亡くなったばかりで、何が正解なのかもわかりませんでしたし、ほかの葬儀社と比べるという考えもありませんでした。
今振り返ると、父のためにどんな葬儀にしたいのか、家族にとってどんな見送り方がいいのかを、もっと考えてから決めてもよかったのかなと思います。費用についても、何にどれくらいかけるのか、ほかの葬儀社と比較したうえで決めてみたかったという気持ちはあります」
「無事に終わったから、それでよかった」と思う一方で、あまりにも淡々と決まっていったため、自分たちで選んだという実感が残らなかった。それが、S.Hさんにとっての後悔だったそうです。
お父様との関係が近かったからこそ、葬儀を終えて時間が経ったあとも、「本当に父にとってよい見送り方ができたのだろうか」と、ふと考えるようになったのかもしれません。
6.病院紹介の葬儀社で後悔を減らすには?
お父様を亡くした直後を振り返りながら、S.Hさんは「病院で葬儀社を紹介された時、“ああすればよかったな”と思うことがあるんです」と話します。どのようなことを意識しておくと後悔が減らせるかもしれないのか、詳しく聞いてみましょう。
まずは「搬送だけお願いしたい」と相談してみる
S.Hさんは、「まずは紹介された葬儀社に、『搬送だけお願いすることはできますか?』と聞いてみるべきだった」と振り返ります。
「私の場合はそもそも搬送と葬儀の契約が別だということを知らなかったのですが……でももし、『搬送だけお願いしたい』と伝えていたら、もう少し落ち着いて葬儀について考える時間を持てたのかもしれません。
あのときは、紹介された葬儀社にそのままお願いするものだと思っていました。だから、一度立ち止まって、自分たちで考えるという発想がなかったんです。今思えば、少し時間を置いてから決めてもよかったのだと思います」
結果的に別の葬儀社へ依頼しなかったとしても、「自分たちで考えて決める時間を持つことが大切だった」とS.Hさんは感じています。
親族の協力を借りてもよかった
S.Hさんは、お父様が亡くなった直後、お母様と自分だけで葬儀社を探さなければならないと思い込んでいたそうです。しかし今振り返ると、「搬送してもらっている間、周りに助けを求めてもよかったのかもしれない」と感じるといいます。
「深夜だったため、連絡することはためらわれたかもしれませんが、“よい葬儀社を知らない?”と聞いていたら、紹介してもらえていたかもしれません。
あのときは、自分たちだけで何とかしなければと思っていました。でも、全部を自分たちだけで決めなくてもよかったんですよね。誰かに相談して、少しでも考える時間を作ればよかったと思います」
家族が元気なうちから、少しでも話しておけばよかった
S.Hさんが最後に強く感じたのは、「元気なうちに、少しだけでも家族で話しておけばよかった」ということでした。どのような葬儀を希望するのか。どんな雰囲気で見送ってほしいのか──。普段は他愛のない話をすることが多かった一方で、終活や葬儀についての話を、お父様としたことはなかったそうです。
また、事前に葬儀社について調べたり、気になる会社をいくつか見ておいたりすることも、当時は考えたことがなかったといいます。
「少しでも準備ができていたら、父が亡くなった時、もっと“父を失った悲しみ”に向き合えていたのかもしれません」
そう話すSさんにとって、事前にご家族で話しておかなかったことも、今回の経験を振り返ったときに残った後悔の一つだったそうです。
ご家族で終活について話すきっかけや、切り出し方については、「親の終活」にてご紹介しています。
7.後悔を減らし、心から納得のいくお見送りのために

病院から葬儀社を紹介されるケースは、決して珍しいことではありません。焦って決めてしまうのではなく、「立ち止まって考える時間を作る」「葬儀の希望をもとに考える」を意識することが、納得のいくお見送りに繋がります。
また、元気なうちから、葬儀についてご家族で話したり、情報に触れてみたりすることも大切な備えになります。
自分で調べるのは大変だと感じる方は、花葬儀の無料の事前相談窓口をご利用ください。葬儀の基本や、もしものときのご家族の対応について、専門スタッフが丁寧にご説明いたします。まずは情報を知るための場として、どうぞお気軽にご相談ください。











