家族葬を巡って親族と揉めた日|「そんな葬式じゃかわいそうだ」と言われたあのとき
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- 【 葬儀・葬式 】

もしもご家族やご親族から葬儀の内容について強く反対されたら──
あなたなら、どう向き合いますか?
葬儀の内容をめぐって、親族間で揉めてしまうことは少なくありません。大切な人を送る一度きりの時間だからこそ、それぞれの想いが重なり、ときにぶつかってしまうこともあります。
今回は、花葬儀をご利用いただいたSさん(50代男性)の体験をもとに、ご親族との意見の違いに戸惑いながらも、喪主としてどのように葬儀の形を決めていったのかをご紹介します。
もし、自分が同じ立場になったら──。
そんな想像を重ねながら、読み進めてみてください。
1.親族に反対される前、Sさんが家族葬を選んだ理由

お父様が病院で亡くなったあと、Sさんは急いで葬儀について考えなければならなくなりました。その中で初めて「家族葬」という言葉を知り、「父にはその形が合っているかもしれない」と感じたそうです。まずは、Sさんが家族葬を考えるようになるまでの流れを見てみましょう。
父は「大勢を呼んでほしいタイプではない」と感じていた
Sさんのお父様は、小さな町工場で長く働いてきた職人でした。寡黙で、人付き合いは決して多いほうではなかったそうですが、毎日黙々と仕事を続け、ご家族を支えてきました。そのため、「大勢に囲まれてにぎやかに送られる姿」が、Sさんの中ではどうしても結びつかなかったといいます。
「親父なら、家族と親族だけで静かに見送ってほしいんじゃないかと思ったんです」
葬儀形式について調べる中で出会った「ごく親しい方のみでのお別れ」という家族葬の紹介文に、Sさんは惹かれます。
「家族葬なら費用を抑えられる」と考えていた
もうひとつ、Sさんの中には現実的な不安もありました。Sさんには、葬儀費用を分担できる兄弟姉妹はおらず、まだお金のかかる高校生のお子様もいらっしゃいます。そのため、これから必要になるお金のことを考えると、できるだけ無理のない形で父を送りたいという思いがあったそうです。
「一般葬は費用が高い、というイメージがありました。家族葬なら参列者も限られるし、自分たちにとって現実的なんじゃないかと思ったんです」
この時点では、Sさんは家族葬を「父らしく静かに見送れること」と「費用の負担を少しでも抑えられるかもしれないこと」の両方を満たす選択肢である、と感じていました。
家族葬の具体的な内容や費用について知りたい方は、「家族葬の基礎知識」をご覧ください。
2.「そんな葬式じゃかわいそうだ」と言われ、空気が変わった
家族葬にしようという考えは、Sさんの中では比較的自然なものでした。そのため、ご親族から強く反対されるとは思っていなかったそうです。しかし、葬儀の話を進め始めた頃、一本の電話をきっかけに、空気が大きく変わっていきます。
「無宗教での家族葬」と伝えた瞬間、叔母の声色が変わった
反対の声をあげたのは、お父様の妹にあたる叔母様でした。葬儀社とのやり取りを始めようとしていた頃、「葬儀はどうするの?」と電話がかかってきたそうです。
Sさんは、特に深く考えず、「無宗教での家族葬で考えている」と答えました。その直後、電話越しの空気が変わったといいます。
少し間が空き、それまでより低い声で、「そんな寂しい葬式じゃ、お兄さんがかわいそうだよ」と言われたそうです。
突然の言葉に、Sさんはうまく返事ができなかったといいます。家族と親族だけで静かに送ることが、なぜ「かわいそう」になるのか。その意味をすぐには理解できなかったそうです。
「昔ながらの形」を強く望む叔母様
Sさんが無宗教でのお見送りを考えたことには、理由がありました。
「親父がもし信心深かったら、迷わずお坊さんを呼んでいたでしょう。けれども、特定のお寺との付き合いはなかったようですし、今はいろいろな見送り方もあります。無理に昔ながらの形にこだわらなくてもいいのではないか」と…。
しかし、叔母様の口からは続けて、「親戚にどう説明するの」「体裁が悪いでしょう」といった言葉が出てきました。叔母様は、昔ながらの形で送りたいという思いが強かったそうです。
「ちゃんと人を呼ばないとだめ」
「昔からお世話になった人もいるでしょう」
「お坊さんも呼ばないなんて考えられない」
そう強く言われてしまい、Sさんは戸惑ってしまいます。
説得を試みるも、話は平行線に──
Sさんは「家族葬もちゃんとした葬儀であること」「無宗教葬でも、父らしい形で見送ることはできること」、そして「親父はきっとこの形を望むはず」といったことをなるべく穏やかに伝え、叔母様を説得しようとしました。
しかし叔母様の気持ちは変わりません。だんだんと感情が昂っていくのを電話越しに感じたそうです。
そして、叔母様はとうとう怒りを静かに吐き出すように言いました。
「どうしてそう頑固なの」
Sさんはそのとき、頭から血の気が引いたような感覚を覚えたといいます。
喪主を務めるのは自分。
費用を負担するのも自分。
父の近くで長く暮らしてきたのも自分。
(……頑固なのはどっちだよ)
けれど、その言葉を口に出してしまえば、関係が悪化してしまう気がして、何度も飲み込んだそうです。
家族葬ではなく、一般葬がよかったのだろうかと迷い始めた
叔母様との電話を終えた後、Sさんは叔母様に対するいらだちと同時に、「そこまで言われるほど、自分の考えはおかしいのだろうか」という迷いが、少しずつ生まれていきます。
そのときちょうど、葬儀をお願いする花葬儀のスタッフから打ち合わせの日程連絡が来たそうです。スタッフには当初、無宗教の家族葬を希望していることを伝えていました。Sさんはそこで思い切って、叔母様から「僧侶を呼ばない家族葬」を反対されていることを打ち明けたそうです。
「もしよろしければ、次のお打ち合わせの際に叔母様もお越しいただくことは可能でしょうか?みなさまが納得できるお式はなにか、一緒に考えましょう」
スタッフからそう提案され、Sさんはまた戸惑いましたが、揉めたままの状態を放置するわけにもいきません。
「大丈夫ですよ。私がお二人の間に立って、落ち着いてお話ができるようにサポートいたします」
その言葉に背中を押され、後日Sさんは叔母様と一緒に、葬儀社の打ち合わせに参加することにしました。
3.葬儀社スタッフを交えた、当日の話し合いの流れ
打ち合わせ当日、自宅に来てくれた叔母様は、まだピリピリとしていたそうです。葬儀社が間に入ることで解決できるのだろうかと不安になりながら、話し合いが始まりました。
スタッフは、喪主であるSさんの希望を尊重しながらも、叔母様がなぜ家族葬に反対しているのか、その理由も一つずつ聞いていきました。どちらかの意見を否定するのではなく、二人が納得できる形を探しながら話し合いを進めていったそうです。
話し合いは「故人様の話」から始まった
Sさんが意外だったのは、葬儀社のスタッフが、いきなり葬儀形式の話を始めなかったことでした。
「お父様はどんな方でしたか?」
そう聞かれ、Sさんや叔母様は、それぞれが知っている故人様の姿を次のように話しました。
| Sさん | 叔母様 |
|---|---|
| ・寡黙で目立つことが嫌い ・不器用な性格 ・家族のことを大切にしてくれた。 ・仕事一筋だったが、家では仕事の話をほとんどしなかった ・人づきあいはほとんどない ・静寂を好む ・趣味は競馬 |
・物静かで、目立つことが嫌い ・不器用な性格 ・手先が器用 ・昔はよく駄菓子屋さんに連れて行ってくれたりと、面倒見はよかった ・陶芸家になりたかったけれど、両親から強く反対され、実家の工場を継いだ ・特に仲の良かった友達が3人いて、今でも時々会う ・工場でお世話になった人との付き合いを大切にしていた ・静寂が好き |
叔母様が語るお父様のお人柄を聞き、Sさんは大変驚いたといいます。
「人づきあいなんてほとんどないと思っていたのですが、今でも会うほど仲の良い友人がいたなんて、正直知らなかったです」
子どもから見えている姿と、きょうだいから見えている姿は、少し違っていたのかもしれません。その後、スタッフは、Sさんと叔母様が話した内容を整理するように、「お二人とも、“物静かで、目立つことが嫌い”“静かな時間を好む”という部分は共通してお話されていますね」と声をかけました。
「そうね。お兄さん、前に出るタイプじゃなかったの」
叔母様の言葉を聞いたスタッフは、続けて、Sさんのお父様が生前どのような人たちと付き合い、どんな時間を過ごしていたのかを尋ねました。
「お父様が、生前お付き合いのあった方で、特に印象に残っている方はいらっしゃいますか?」
叔母様は少し考えたあと、お父様の昔の友人や、工場でお世話になった人たちのことを話し始めたそうです。
それを聞いて、Sさんは少し驚きました。家では人付き合いがほとんどないように見えていた父に、自分の知らない交友関係があったことを初めて知ったからです。
対立していた二人でしたが、父親について知らなかったことを知るうちに、少しずつ話しやすい空気に変わっていったとSさんは振り返ります。
お互いが抱えている「不安」を正直に伝え合った
お父様の話をしたあと、スタッフは、「まずは気になっていることを整理してみましょう」と声をかけたそうです。そこで初めて、Sさんも叔母様も、それぞれが抱えていた不安を率直に話せるようになりました。
参列者の範囲について
「普通は近所の人やお世話になった人を広くお招きするでしょう?家族葬で身内だけで送るのって、まるでお兄さんの人生がさみしかったみたいで悲しいじゃない」
叔母様が最初に気にしていたのは、さみしい葬儀にならないかという点でした。そこで、スタッフが家族葬について説明しました。
「家族葬というのは、必ずしもご家族やご親族だけに限定されるものではないんです。お父様がお世話になった方や、ご友人をお呼びすることもできます」
「じゃあ、一般葬とは何が違うの?」
叔母様が尋ねると、スタッフは「参列者の範囲をあらかじめ限定して行うのが家族葬で、どなたにお声がけするかは、ご家族で決めていただけます。一般葬は、招く範囲を限定せずに、仕事関係の方など幅広くお声がけすることが多い葬儀形式なんです」と説明しました。
「じゃあ、お兄さんのお友達やお世話になった人たちを呼ぶことはできるのね?」
「はい。お呼びいただけます」
このやりとりを通じて、Sさんの気持ちにも変化が生まれました。
「自分が知らなかった親父の一面を、叔母から聞くことができました。そういう人たちなら、親父を見送る場に来てもらうのもいいのかなと思うようになりました」
こうしてSさんも、最初に考えていた「家族だけ」という形にこだわらず、お父様と関わりのあった方にも参列してもらうことを考えるようになったそうです。
周囲からどう思われるかについて
叔母様がもう一つ気にしていたのは、「周囲からどう思われるか」でした。
「葬儀に呼ぶ人を限定したら、冷たいと思われない?」
「あとからトラブルになったりしない?」
そうした不安が、強く反対していた理由の一つだったそうです。
するとスタッフは、叔母様が心配している点を一つずつ確認しながら、周囲への伝え方や、葬儀にお呼びしない方への対応について、具体的に説明したそうです。
特に、「葬儀にはお呼びしないけれど、後日お線香をあげていただく場を設ける」という提案には、叔母様も納得した様子だったといいます。
「しっかりやれば、大丈夫そうね」
その言葉を聞いて、Sさんも少しホッとしたそうです。
宗教儀式について
宗教儀式についても、話し合いが行われました。叔母様としては「読経やお焼香がない葬儀で、本当に成仏できるのかしら」という不安があったそうです。
Sさんは当初、無宗教を考えていましたが、「ご親族によっては“区切り”として物足りなさを感じるケースもあります」とスタッフから説明を受け、迷ったといいます。
また、読経や焼香には、「故人様を送り出すための時間として、気持ちを整理しやすい」という側面もあることを聞き、Sさんの中でも考え方が変わったそうです。
「完全に宗教をなくすことだけが、“父らしさ”ではないのかもしれない」
そう思うようになり、「最低限の宗教儀式は入れてもいいかもしれない」と感じ始めたといいます。
費用について
Sさんが気にしていた費用面についても、スタッフが具体的に説明してくれたそうです。
「仮にお坊さんを呼ぶとなると、謝礼が必要になりますよね?あまり予算をあげたくはないのですが……」
「お布施の金額は、どこまでの儀式をお願いするかによっても変わってくるため、ご要望とご予算に合った範囲を考えていきましょう。また、会場費用を抑える案もございます。お調べしたところ、現在公営斎場に空きがあります。民営の斎場よりも、安く利用することができますよ。火葬場も併設しているところが多いです」
それを聞いて、Sさんは迷わず「公営斎場でお願いします」と答えたそうです。気づけば、叔母様の表情もかなり柔らかくなっていました。
4.親族と揉めてから、最終的に決まった葬儀の形
最終的にSさんが選んだのは、「宗教者をお呼びする家族葬」でした。
参列者は、ご遺族、ご親族、そしてお父様と特に親しかったご友人3名、そして工場でお世話になった親しい方々。さみしい印象にならないようにしたいという叔母様のご要望があったため、祭壇に飾る花のボリュームを少し増やしました。
さらに、葬儀へお招きしない方々についても、「訃報連絡を丁寧に行う」「後日弔問を受ける」「お断りの気持ちだけで終わらせない」という形を取ることになったそうです。
Sさんは、「最初に自分がイメージしていた“家族だけで静かに”とは少し違ったけれど、親父らしく、みんなが納得できる形になったと思います」と振り返りました。
5.どちらが「正解か」ではなく、故人様をどう見送るかを一緒に考える
Sさんが今でも印象に残っているのは、葬儀社のスタッフが、最初から「家族葬が正しい」「一般葬のほうがいい」と決めつけなかったことだったそうです。
Sさんが希望していた家族葬を軸にしながらも、叔母様が気にしていた参列者の範囲や、周囲への伝え方、宗教儀式についても一つずつ話を聞き、二人が納得できる形を一緒に考えてくれたといいます。
「自分は家族葬でいいと思っていたので、最初は叔母を説得してもらえたらと思っていたんです。でも、スタッフさんは叔母の話もちゃんと聞いてくれて。自分が知らなかった親父のことまで聞き出してくれたのが、本当にありがたかったです」
話し合いの中では、Sさんが知らなかったお父様の昔の交友関係について、叔母様から聞く場面もありました。最初は意見がぶつかっていた二人でしたが、父親について話すうちに、少しずつ落ち着いて話せるようになったそうです。
「最初は、“揉めたまま父を送ることになるのかな”と思ってたんです。でも、ちゃんと話せてよかったです」
そう語るSさんの表情は、スッキリしていたように見えました。
6.家族葬で親族と揉めた場合は、第三者を挟む選択肢も
葬儀の内容をめぐって、ご親族間で意見がぶつかってしまうことは、決して珍しいことではありません。今回のSさんのように、喪主が希望する葬儀の形と、ご親族が考える「故人らしい送り方」が異なることもあります。
揉めてしまったときは、葬儀社のスタッフに相談し、間に入ってもらうのも一つの方法です。葬儀に詳しいスタッフがそれぞれの想いを整理しながら、故人様をどう見送るかを一緒に考えてくれるでしょう。
いままさに「親族と揉めるのでは」と不安を感じている方は、花葬儀にご相談ください。専門スタッフが丁寧にお話をうかがいながら、納得のいくお見送りの形を一緒に考えてまいります。また、経験者の声を参考にしたい方は、「家族葬にして後悔した人、しなかった人」をご覧になってください。











