【体験談】赤ちゃんを連れて葬儀に参列|「行くべきか迷った」T.Sさんが参列を決めた理由
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- 【 葬儀・葬式の基礎知識 】

赤ちゃんのいるご家庭にとって、「葬儀に参列するべきか」は悩ましい問題のひとつではないでしょうか。赤ちゃんを連れて葬儀に参列するかどうかに、一律の正解があるわけではありません。
大切な方との最後のお別れだからこそ参列したいと思う一方で、「赤ちゃんが式の途中で泣いてしまったらどうしよう」「ご遺族や他の参列者から迷惑に思われないだろうか」と不安になる方も少なくありません。
今回は、生後6か月の赤ちゃんを、ご親族の葬儀に連れていくか迷ったT.Sさん(30代女性)の体験をご紹介します。T.Sさんが参列前にどのようなことで悩んだのか、また、葬儀当日の様子や、葬儀後にどんなことを感じたのかを見てみましょう。
1.突然届いた訃報。「赤ちゃんを連れていくべき?」

梅雨明け間近のある日、T.Sさんのもとに、父方の叔母様が亡くなったという知らせが届きました。葬儀は5日後、自宅から電車で1時間ほど離れた場所で行われます。長い間闘病生活を送ってきた大好きな叔母様に、「最後に一目会ってお別れしたい」とT.Sさんは思いましたが、同時にある大きな迷いを抱えました。
「赤ちゃんをどうしよう」
当時、T.Sさんには、生後6か月になったばかりの赤ちゃんがいました。ご主人は「俺が見てるから行ってきなよ」と言ってくれましたが、母乳中心で育てていたこともあり、長時間離れることに不安があったそうです。ご主人の提案はありがたかったものの、家を空ける決心はつかなかったとT.Sさんはいいます。
「葬儀に参列するなら、家族みんなで行くことになるんじゃないかな」
しかし、今度は別の不安が浮かびます。
そもそも葬儀に赤ちゃんを連れていってもよいのか。
ご遺族や参列者の迷惑にならないか。
式の途中で泣いてしまったらどうしたらよいのか……。
葬儀に参列したい気持ちと、赤ちゃんを連れていくことへの不安の間で、T.Sさんご夫婦はすぐに答えを出せずにいました。
2.家族に相談して見えてきた“本当に大切なこと”
T.Sさんは、亡くなった叔母様や、喪主である叔父様のお人柄を考えると、赤ちゃんを連れて参列しても気を悪くしないのではないかと考えました。しかしご主人は、「慎重に決めたほうがいい」と声を落としたそうです。
「〇〇さん(叔母様の夫)や、〇〇くん(叔母様の息子)にとっては大切なお別れの時間だから。絶対に失礼がないようにしないと」
さらに、ご主人は「赤ちゃんに負担がかからないかを考えることも大事」と続けました。葬儀は自宅とは異なる雰囲気の中で行われ、移動も含めると長時間になります。授乳やおむつ替え、ぐずったときの対応も考えておかなければなりません。
「赤ちゃん連れで利用できる設備があるかだけでも、先に確認しておく必要があるね」
T.Sさんはそう言って、予定している葬儀場へ電話をかけます。すると、授乳室やおむつ替えスペースがあること、式の途中で必要になれば親族控室を利用できることがわかりました。
設備への不安は少し和らいだものの、それでも「設備が整っているから参列してよい」とすぐに判断してよいのか、迷いは残りました。喪主である叔父様に確認する案も浮かびましたが、「葬儀の準備で忙しい時期に迷惑ではないだろうか」というためらいもあったそうです。そんなT.Sさんに、ご主人はこう声をかけました。
「きっと相談したことを失礼だとは思わないんじゃないかな。むしろ何も言わずに赤ちゃんを連れていって、当日になって慌てさせてしまうほうが迷惑かもしれないよ?」
たしかに、事前に伝えておけば、ご遺族側も心づもりができるかもしれません。T.Sさんは、緊張しながらも叔父様に連絡をすることにしました。
「叔母さんに最後のお別れをしたいのですが、生後6か月の赤ちゃんを連れて参列してもよいでしょうか?」
すると叔父様は「まったく問題ないよ」と返事をしてくれました。さらに、「そっちが大変じゃなければ、赤ちゃんと一緒に来てもらえたら嬉しい。〇〇(叔母様)もきっと喜ぶよ」とも言ってくれたそうです。
この言葉に背中を押され、T.Sさんはご主人と赤ちゃんと一緒に、葬儀に参列することを決めました。
3.当日は想像していたより安心して参列できた

葬儀への参列が決まってから、T.Sさんとご主人は会場までのアクセス方法を調べたり、持ち物を確認したりと、念入りに準備を行いました。また、火葬にも立ち会うかどうかは、当日の赤ちゃんの様子を見ながら判断することを喪主様に伝え、了承を得ていたそうです。
そして葬儀当日、機嫌よく笑っている赤ちゃんに安心しつつも、どこか緊張した面持ちで会場へ向かいました。
会場に着いてまず安心したこと
葬儀会場に着いてすぐ、会場のスタッフがベビーカーの置き場所や、授乳スペース、親族控室を案内してくれました。
「何か困ったことがあれば、なんでもおっしゃってください」
そう言われて、緊張が少しほどけたと言います。式が始まる前に、T.Sさんは赤ちゃんに授乳をし、新しいおむつに替えました。抱っこ紐で抱っこしながらやさしく揺らすと、すぐに眠ってくれたそうです。ここまでは順調でした。
泣いてしまった瞬間
会場に入る時間になると、葬儀社のスタッフが出入口に最も近い席へ案内してくれたそうです。ここでも、「何かあればすぐサポートいたしますので、ご安心ください」と声をかけてもらい、こわばっていた肩の力が抜けたといいます。
しかし式が始まり、焼香をする直前、眠っていた赤ちゃんが目を覚ましぐずり始めました。背中をやさしく叩いてあやしても、泣き止みそうにありません。
「どうしよう、迷惑をかけてしまった」「このまま焼香もできずに終わってしまうのではないか」
そんな思いで頭がいっぱいになってしまったT.Sさんは、葬儀社のスタッフに誘導してもらう形で、いったん席を外すことにしました。
「お戻りになる際は、またこちらでご案内いたします。戻ってからでも焼香はできますので大丈夫ですよ」
葬儀社のスタッフから大丈夫と言ってもらえたことで、少し呼吸がしやすくなったと振り返るT.Sさん。赤ちゃんの機嫌が直った後、落ち着いて会場内に戻り、焼香をすることができたそうです。
思っていたほど周囲は気にしていなかった
葬儀後に案内された親族控室で、離席してしまったことや、赤ちゃんが泣いてしまったことを、T.Sさんとご主人は参列者に謝罪しました。しかし、どの方も「そんなことで謝らなくていいのに!」と言ってくれたそうです。
自分たち夫婦だけが気にしすぎていたのかもしれないとわかった瞬間、残っていた不安や戸惑いは消え去りました。そしてT.Sさんは、その後の火葬にも落ち着いた気持ちで参列し、叔母様との最後のお別れの時間に静かに向き合うことができたそうです。
このときのことをT.Sさんは「身内だけの集まりだったことや、子育て経験者が多くいたことが理由かもしれません。ほとんどの方が、赤ちゃんの参列をあたたかく受け止めてくれているようでした」と振り返ってくださいました。
4.参列してよかったと思えた理由
叔母様の葬儀に参列したT.Sさんは、周りがあたたかく受け入れてくれたこと以外にも「参列してよかった」と思えることがいくつかあったそうです。
「一番は、叔母さんに直接お別れを言えたことです。きれいなお顔を見て、棺に花を入れて、手にそっと触れて、『お疲れ様。ゆっくり休んでね』と伝えました」
叔母様とは、お互いに闘病と妊娠・出産が重なり、長い間会えずにいたそうです。「元気な赤ちゃんが生まれますように」と遠くから願ってくれていた叔母様に、赤ちゃんを見せてあげられたことも、心に残る出来事だったと振り返ります。
「それから、家族や親戚とゆっくり話せたことも嬉しかったですね。叔母さんの思い出話をしたり、近況を伝え合ったりして、自然と会話が弾みました。葬儀後は赤ちゃんも機嫌がよく、つられてみんなが笑う場面もあったんです。『来てくれてありがとうね』と、何度も赤ちゃんの頭を撫でてくれたのが印象に残っています。直前まで悩みましたが、参列して本当によかったです」
叔母様との最後の時間を心残りなく過ごせたことで、T.Sさんの迷いは「参列して本当によかった」という確かな実感へと変わりました。
5.無理に参列せず、別の形で弔意を伝えるという選択も

T.Sさんは、叔母様との関係が深かったことや、喪主である叔父様から「赤ちゃんと一緒に来てもらえたら嬉しい」と言ってもらえたことから、赤ちゃんを連れて参列することを決めました。
一方で、赤ちゃんを連れての葬儀参列は、必ずしも「行く」ことだけが正解ではありません。ここでは、参列するかどうかを考える際のポイントや、参列しない場合の対応についてご紹介します。
親族でも、無理に参列しないという選択も
T.Sさんは、叔母様との関係が深く、「最後に一目会ってお別れしたい」という気持ちが強かったため、赤ちゃんを連れて参列することを決めました。一方で、親族の葬儀だからといって、必ずしも赤ちゃんを連れて参列しなければならないわけではありません。
赤ちゃんの体調や月齢、授乳の状況、会場までの移動時間などを考え、赤ちゃんへの負担が大きいと感じる場合は、参列を控えるという選択もできます。特に、産後間もない時期や、赤ちゃんの体調がすぐれない場合などは、無理をしないことも大切です。
会社関係や知人の葬儀なら欠席も珍しくない
T.Sさんのように、ご親族や特に親しい方の葬儀であれば参列を前向きに考える方もいるでしょう。
一方、会社関係の方や知人の葬儀であれば、無理に参列しないという選択も珍しくありません。
また、葬儀そのものは1〜2時間程度であっても、移動時間や待ち時間、火葬までを含めると長時間にわたることがあります。授乳やおむつ替えのタイミング、泣いてしまったときの対応などを考え、不安が大きい場合は、「赤ちゃんがいるため、今回は参列を控えさせていただきます」と丁寧に事情を伝えます。
参列しない場合も、別の形で弔意を伝えられる
参列を控える場合でも、お香典や弔電をお送りする、後日改めてお悔やみを伝えるなど、別の形で弔意を示すことができます。「赤ちゃんがいるから参列できない」と悩みすぎず、そのときのご家庭の状況に合わせて、無理のない方法を選ぶことも大切です。
お香典を後日お渡しする場合は、「葬儀後のお香典の渡し方・マナー」の解説記事を参考になさってください。
6.赤ちゃんを連れて参列するときに準備してよかったもの
T.Sさんが赤ちゃんを連れて葬儀に参列した際、持ち物にはかなり注意を払ったそうです。
「必須だと思ったのは、ベビーカー、抱っこ紐、着替え、ベビーフード、ドリンクボトル、おむつ、おしり拭き、ビニール袋、音の出ないお気に入りのおもちゃ、赤ちゃん用のお菓子です。自宅から会場までの移動や、万が一のときに備えて、普段外出するときとほぼ同じものを持っていきました。母乳ではなくミルクを飲んでいる赤ちゃんなら、哺乳びんやミルク、お湯なども必要でしょうし、月齢に合わせて必要なものを準備していくと安心だと思います」
さらに準備していてよかったと感じたものは、「授乳ケープ」だったそうです。授乳ケープは授乳時だけでなく、葬儀中、赤ちゃんの体を包むのに使いました。葬儀会場は空調がきいているものの、人によっては調整が必要になります。T.Sさんは少し肌寒いと感じたため、赤ちゃんにかけてあげたそうです。
T.Sさんは、これらの荷物を大きなマザーズバッグに入れ、式が始まる際に、「おむつ1枚、おしり拭き、授乳ケープ、おもちゃとお菓子」を、葬儀用のサブバッグに移して会場に持っていったそうです。用意した荷物はほとんど使わなかったものの、お守りのような感覚で安心できたといいます。
7.これから赤ちゃんを連れて葬儀に参列する方へ~迷ったら、ご遺族へ確認を~
最後に、これから赤ちゃんを連れて葬儀に参列しようとしている方に向けて、T.Sさんからのメッセージをご紹介します。
「赤ちゃんを連れて葬儀に参列してもよいかという迷いは、誰にでもあると思います。ご家庭によって考え方や事情は異なるため、すぐに答えを出すのは難しいものです。私自身の経験から感じたのは、まずは正直に相談してみることの大切さでした。そうすれば、早めに判断できますし、準備もしっかり進められます。一人で、あるいはご夫婦だけで抱え込まず、無理のない範囲で話をしてみることから始めてみてはいかがでしょうか」
T.Sさんは、まずはご家族で話し合い、その上でご遺族に相談しました。「赤ちゃんを連れて伺ってもよろしいでしょうか」「途中で席を外す可能性がありますが、参列しても差し支えないでしょうか」など、事前に伝えておくことで、ご遺族側も状況を把握しやすくなります。
また、赤ちゃんの状態やその他の状況が許せば、ご家族に赤ちゃんを預けて、自分だけ参列するという方法もあります。
ご遺族に直接確認しにくい場合は、近しいご家族、もしくは葬儀社に相談するのもひとつです。特に葬儀社であれば、会場の設備や当日の動線、赤ちゃん連れで参列する際の注意点について、アドバイスをもらえるでしょう。
赤ちゃんよりもう少し年齢が上の、小さなお子様を対象とした記事「子どもを葬儀に参列させるか判断するまで」でも、判断の基準をご紹介しております。併せて参考になさってください。
ご不明な点がある方は、お気軽にお問い合わせください
お葬式のはてな?を解決もしもの時に役立つ情報がたくさん!
8.赤ちゃんと葬儀に参列するかは、周囲にも相談を

赤ちゃんを連れての葬儀参列に、決まった正解があるわけではありません。「参列する」「赤ちゃんを預けて自分だけ参列する」「今回は参列を控える」など、そのときの状況に合わせて選ぶことができます。
大切なのは、故人様やご遺族との関係性を踏まえたうえで、赤ちゃんにも、ご自身にも無理のない方法を考えることです。
今回ご紹介したT.Sさんも、喪主様に確認したことで不安が和らぎ、「参列してよかった」と感じられる葬儀となりました。
今、赤ちゃん連れでの参列に悩んでいる方も、一人で抱え込まず、まずはご家族やご遺族、必要に応じて葬儀社にも相談しながら、無理のない方法を考えてみてください。
花葬儀では、小さなお子様からご高齢の方まで、どなたも安心して故人様との最後の時間を過ごせるよう、ご家族のご希望に寄り添ったお見送りを大切にしています。赤ちゃん連れのご親族が参列される場合の配慮や、ご家族にとって無理のない葬儀の進め方についてお悩みの方は、花葬儀の事前相談をご利用ください。











