社葬の対象者とは?選定基準や社葬の種類もわかりやすく解説
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- 【 葬儀の種類 】

企業内でご不幸があった際、「この方を社葬の対象とすべきかどうか」と判断に迷う場面は少なくありません。対象者の選定は非常にデリケートな問題で、判断を誤ると、ご家族や社内関係者との信頼関係に影響を及ぼす可能性もあります。
そこで本記事では、社葬の対象者をどのように考えるべきか、判断基準や確認事項、さらに社葬の代表的な形式も整理してご紹介します。
1.社葬とは何か?目的と意義
社葬の対象者についてご説明する前に、社葬の基本的な定義や企業として実施する目的・意義を確認しましょう。
社葬の基本的な定義
社葬とは、企業が主体となって執り行う葬儀の形式で、葬儀の企画・運営・費用の一部または全部を企業が担う点が特徴です。ご家族が主催する一般的な葬儀とは異なり、企業として故人様に敬意を表し、社内外の関係者とともにお別れをする場と位置づけられます。
社葬を行う目的と意義
企業が社葬を行う目的は、故人様の功績に対する敬意を表すとともに、その存在が企業にとっていかに大きかったかを社内外に伝えることにあります。葬儀という公の場を通じて、故人様の働きや人柄を広く共有し、企業全体としての感謝の気持ちを示します。
また、在籍する社員に対して「会社は人を大切にする組織である」という信頼感を与える効果もあります。社員の士気向上や組織への帰属意識の醸成にもつながる、大きな意義ある取り組みだといえるでしょう。
さらに、関係企業や取引先、社会に向けては、企業が誠実に人と向き合っていることを発信する機会ともなります。社会的信頼の構築や維持に寄与し、結果として企業の評価やブランドイメージの向上にもつながるのです。
2.社葬の対象者とは?どのような人が選ばれるのか
では、社葬は、どのような方を対象として行われるのでしょうか。社葬の対象となる代表的なケースをご紹介します。
社長・創業者・役員など
もっとも一般的なのが、企業の創業者や社長、会長といった経営のトップ層です。とくに現職で逝去された場合は、企業を代表する立場にあったことから、社葬を行うのが通例とされています。
また、取締役、監査役、顧問、相談役なども対象となる場合があります。役員クラスの場合、通常は現職の方が対象となります。元役員の場合は、会社への貢献度や、ご逝去時の状況などから判断されます。
特別な功績を挙げた社員
社葬の対象は役員に限らず、企業の成長や評価に大きく貢献した社員も含まれることがあります。たとえば、売上を飛躍的に伸ばすヒット商品を生み出した技術者や、ブランドイメージの向上に大きく寄与した広報・営業担当などが該当します。
業務中の殉職者
勤務中の事故や災害、出張先での不慮の出来事などによって社員が殉職した場合、企業はその責任の重さを受け止め、社葬を執り行うことがあります。
こうしたケースにおいて社葬を行う大きな目的は、以下2点にあります。
・殉職者を顕彰することで、ご家族に対し、会社として、事故や事件が防げなかったことへの謝意を示す
・残されたご家族への社会保障を行う
殉職という事態に対して、誠意ある対応を社会に示すことは、企業の信頼性を守るうえでも欠かせない対応といえるでしょう。
3.社葬の対象者を決める判断基準
社葬の対象とするか否かについて、判断が難しいこともあります。対象者の判断をするときに押さえるべきポイントを解説します。
社葬取扱規程に基づいて対象者を判断する
社葬の対象者を客観的に判断するには、社内で定めた「社葬取扱規程」が重要な基準となります。
社葬取扱規程には、対象となる役職の範囲や死亡時の在職状況など、判断に必要な条件が具体的に記載されているのが一般的です。たとえば、現職の経営陣は原則として対象とし、元職の場合は在任中の功績や社内外への影響をふまえて個別に検討するといった内容が盛り込まれます。
社葬取扱規程が整備されていれば、社葬実施の可否を迅速かつ公平に決定することが可能です。
規程がない場合は、役員会の合意を得て作成することになります。作成にあたっては、社葬執行の対象者や大まかな費用(予算)、式場、規模、宗教形式、実行委員の選び方など、具体的な方針を決めておきましょう。社葬の経験が豊富な葬儀社に相談し、助言を得るのもおすすめです。
社葬の対象者選定ではご家族の意向も重視する
社葬の実施にあたっては、企業の判断だけでなく、ご家族の意向を丁寧に確認することが欠かせません。たとえ社内での功績が大きく、規程上は対象と判断される場合でも、ご家族が形式的な儀礼を望まない場合もあります。企業としては、ご家族との対話を通じてその思いに寄り添い、形式や対応方法を柔軟に検討することが求められます。
4.社葬の形式には何がある?代表的な3つの種類
社葬には、企業の方針やご家族の意向に応じて選べるいくつかの種類があります。主な3つの形式をご紹介します。
企業が主体となって行う一般的な「社葬」
もっとも正式な形式とされているのが、企業が主体となって執り行う伝統的な「社葬」です。通常、ご家族による密葬を終えた後に、本葬として企業が主催するもので、宗教儀礼に則って厳粛に進行されます。
参列者には、取引先や関係各所のほか、社内関係者も含まれ、故人様の功績を広くたたえる場となります。葬儀費用は企業が全額もしくは一部を負担するのが一般的です。準備や運営は、企業側が担います。四十九日の法要を行う前の、ご逝去から40日前後に執り行われることが多いようです。
儀式色を抑えた「お別れの会」
「お別れの会」は、宗教的儀礼にとらわれず、自由な形式で行われる追悼の場です。読経やお焼香などの儀式を行わないケースも多く、献花や思い出の映像上映などを通じて、故人様をしのぶ内容が中心となります。
カジュアルな雰囲気での開催が可能であり、ご家族の意向や企業の文化に応じた演出がしやすい点が特徴です。
会社と家族が共同で行う「合同葬」
「合同葬」は、企業とご遺族が共同でお通夜と葬儀・告別式を営む形式です。密葬と本葬を分けることなく、企業関係者とご家族の参列者が同じ場で故人様を見送ります。葬儀の運営や費用については、企業とご家族が分担しながら進めるケースが多く、両者の意思疎通と事前調整が重要となります。
5.社葬の中心となる責任者
社葬の最高責任者は、「葬儀委員長」です。葬儀委員長は、式の準備や進行を指示するとともに、会社や団体の代表として対外的に挨拶を述べる役割を担います。会社や団体の代表が務めるのが一般的ですが、故人様が社長以外の場合は社長が、社長の場合は新社長や会長が選ばれることが多いようです。
一方、準備から当日の運営まで、社葬の実務を取り仕切るのが「葬儀実行委員長」です。通常は総務部長などがこの役を務め、その下に各部署から選任されたメンバーで「葬儀実行委員会」を組織します。
実行委員会は、実行委員長を中心に、受付、進行、会計、会場案内といった細かな役割分担を決めます。総務や人事、秘書課の担当者は、緊急時や不測の事態にも柔軟に対応できるよう、葬儀実行委員の各担当や葬儀社と連絡を取りあい、準備を進めます。
6.社葬の対象者選定で迷わないよう基準と手順を整えましょう
社葬は、企業にとって重要な社会的儀式であり、その対象者の選定には慎重な判断が求められます。とくに、誰を社葬の対象とするかによって、社内外に与える印象が大きく左右されることもあります。
判断に迷わないためには、平時から社葬の位置づけを明確にし、対象者を決定するための基準や手順を整えておくことが重要です。
社葬の対象者の選定や形式の選び方など、ご不安な点がございましたら、花葬儀の事前相談まで、どうぞお気軽にご相談ください。企業ごとのご事情やご意向に寄り添いながら、社葬の進め方や形式について丁寧にご案内させていただきます。











