弔辞の例文や知っておきたいマナー、書き方も紹介

弔辞の例文や知っておきたいマナー、書き方も紹介

弔辞はマナーを守って読むことが大切ですが、その際、役に立つのが例文です。弔辞を依頼されることは、人生で何度もあることではありませんが、歳を重ねていけば、弔辞を頼まれる場面も出てくるでしょう。

そこで今回は、弔辞の具体的な例文や知っておきたいマナー、弔辞の書き方について詳しくご紹介します。

1.弔辞を依頼されたときのマナーは?

そもそも弔辞とは、何を意味するのでしょうか。また、弔辞を依頼されたときに断ってもよいのでしょうか。これらの疑問についてお答えします。

弔辞とは?

弔辞とは、故人様への最後のお別れの言葉のことで、葬儀や告別式で読まれます。

一般的には、故人様が亡くなったことに対する悲しみや悼む気持ち、故人様の人柄が偲ばれるようなエピソードなどが語られます。

弔辞を依頼されたら引き受けるのがマナー

弔辞は、故人様と特に親しかった方にご遺族が依頼するケースがほとんどです。「弔辞を読んでもらうなら、この人にお願いしたい」とご遺族が考えた末に依頼するものですから、その気持ちに応えるためにも、引き受けるのがマナーだといえます。

どうしても引き受けられない理由がない限りは、故人様のためだと思って快く引き受けましょう。

2.弔辞の目安となる時間は?

弔辞を依頼されて、原稿を書くときに気になるのが、弔辞を読むときの目安の時間でしょう。

弔辞の長さは、弔辞を読む人数によっても変わります。短すぎても長すぎてもマナーとしてはよくないため、事前に何人が弔辞を読むのかをご遺族に確認するようにしてください。

一般的に、弔辞は2~5人に依頼されるケースが多く、その場合の弔辞の長さは、時間にして約3分、原稿用紙ならば2~3枚程度(800~1200文字程度)が目安になります。

3.弔辞でマナー違反となる言葉は?

弔辞でマナー違反となる言葉は?

日常でよく使う言葉でも、弔事においては使わない方がよい言葉があります。

忌み言葉は使えない

弔辞では、縁起の悪さを連想させる「忌み言葉」は、マナー違反となるため使わないようにしましょう。以下に代表的な忌み言葉をご紹介します。

■不幸が重なることを連想させる重ね言葉
ますます、しばしば、いよいよ、またまた、次々、日々、重ね重ね、たびたび

■不幸が続くことを連想させる言葉
再び、繰り返す、再三再四、次々、追って

■縁起の悪い言葉
消える、落ちる、切る、離れる、4(死)、9(苦)

■生死に関する直接的な表現の言葉
死亡、死ぬ、死去、急死、生存

これらの言葉は使用しないよう別の言葉に言い換えて、弔辞を述べるようにしましょう。

宗教や宗派に配慮する

宗教や宗派によっては、使わない言葉があることも理解しておくことが大切です。以下に、宗教や宗派ごとの用語の違いをいくつかご紹介します。それぞれの違いを理解しておくと、思いやりのある対応ができるでしょう。

なお、故人様やご遺族に配慮し、その上でご自身が信仰する宗教・宗派の言葉を使うことは、マナー違反にはあたりません。

仏教(浄土真宗をのぞく)

仏教では死後仏様になると考えられているため、「成仏」「供養」「冥福」「往生」などの言葉が使われます。

仏教の浄土真宗

同じ仏教でも浄土真宗では死後すぐに浄土へ行って仏様になると考えられているため、「成仏」「冥福」「冥土」の言葉は使いません。浄土真宗では「浄土」「彼の土(かのど)」「西方浄土(さいほうじょうど)」「往生する」などの言葉が使われます。

神道

神道では、故人様は死後に守護神になると考えられているため「御魂(みたま)」「御安霊(ごあんれい)」「守護神(しゅごしん・しゅごじん)」「帰幽(きゆう)」「泉下(せんか)」などの言葉を弔辞に使用します。

キリスト教

キリスト教では故人様は神に召されて天国に行くと考えられているため、「昇天」「召天」「帰天」「神に召される」などをお悔やみの言葉として使います。

4.弔辞の基本的な構成は?

弔辞の原稿を書く際には、次に挙げる4つの要素を大きな柱として構成するとよいでしょう。

故人様への哀悼の意

故人様の訃報を聞いてどれほど驚いたか、亡くなったことに対する悲しみの気持ちを率直に伝えます。

故人様と自分との関係

故人様と自分との関係を紹介します。参列者の全員が自分を知っているとは限りません。また、故人様との関係を明らかにすることで、次に続く故人様との具体的なエピソードにスムーズにつながります。

故人様の人柄がうかがえる具体的なエピソード

自分だからこそ知っている「故人様の人柄がうかがえる具体的なエピソード」を盛り込むことにより、参列者はそれぞれに故人様を思い浮かべ、故人様への思いを皆で共有できます。

現在の心境や感謝と別れの言葉

故人様を失った今の気持ち、故人様への敬意や感謝を語ったあとに、最後のお別れを告げます。

5. 弔辞の一般的な例文

【例文】
○○○○さんのご霊前に お別れの言葉を申し上げます
これを最後に○○さんとお目にかかることができないと思うと
悲しみで胸が張り裂けそうです
私たちがこのようなお別れをして 二度と会えないことが
本当に信じられません

私は○○さんと大学時代に同じテニスサークルで活動していました
○○さんは私の2年先輩で サークルでは部長を務めていました
実は 私は ○○さんに声をかけられサークルに入部したのです
テニス経験がなかった私を なぜ誘ってくれたのか
○○さんに尋ねたことがあるのですが
「直感だよ」と笑って答えてくれました

それまでテニスをしたことがなかった私に
○○さんは根気よくラケットの持ち方から教えてくれました
テニスの腕前があがったのは ひとえに
○○さんの指導があったお陰です

初めての試合のときに緊張してサーブが決まらなかった私を呼んで
○○さんから「落ち着け お前なら大丈夫 俺が教えたんだから」と
言ってもらってからは 不思議とサーブも決まり
初めての試合で 勝ち星をあげられました
我がことのように喜んでくださった
〇〇さんのあのときの笑顔を 私は一生忘れることはないでしょう

大学卒業後も 良き先輩後輩として親交はつづき
社会人としての心得や仕事に向かう姿勢も教えていただきました
気がつけば ○○さんと出会って20年が経とうとしています
私にとって○○さんは今でも大きな存在であり 頼れる先輩です

○○さん 多くの忘れ難い思い出をありがとうございました
○○んは 私の青春になくてはならない人です
○○さんがいなければ 社会人としてもここまで成長できていなかったでしょう
○○さんからいただいた教えを胸に これからもしっかり歩んでいきます
本当にありがとうございました 心から感謝申し上げます
○○さん 安らかにお眠りください ご冥福をお祈りいたします

6.弔辞の書き方は?

弔辞の書き方は?

弔辞の書き方には、正式なものと略式なものがあります。弔辞は奉読して祭壇に備えた後、ご遺族が長く保管されるものですから、ていねいに楷書で書くことが大切です。

正式な弔辞は奉書紙に薄墨で書く

正式な弔辞は、奉書紙(ほうしょがみ)と呼ばれる大判の和紙や巻紙に、薄墨で書くのが基本です。上下左右、余白を十分にあけて、縦書きで書きましょう。

右端から10センチほどのところに弔辞と書き、1行分のスペースを空けてから、本文を書き始めます。本文を書き終わったら行を変えて一段下げたところに年月日を書き、氏名も同様に行を変え、低い位置に書きます。

なお、会社関係の人を招いて行う社葬は、正式な方法で書くことがマナーといえます。一般葬の場合も正式で書くことが望ましいですが、ルールとして決まっているわけではなく、葬儀の規模にもよります。そのため、迷った場合は喪主や葬儀社に相談するとよいでしょう。

また、地域などによっては薄墨を使用しない場合もあるため、弔辞を用意する際は事前に確認しておきましょう。

略式の場合は便箋に書いても大丈夫?

略式の場合も縦書きにしますが、便箋や普通紙に薄墨の筆ペンや万年筆で書いても差し支えありません。パソコンの場合は毛筆のフォントで入力し、印刷しても問題ないでしょう。

略式の弔辞は白い封筒に入れますが、その際、二重になっている封筒は不幸が繰り返すことを連想させてしまうため、一重の封筒を使うようにします。

形式が重視されない小規模な葬儀では、略式の弔辞でも問題ありません。家族葬の場合は規模によって異なりますが、一般的には略式で書いても失礼にあたらないことが多いでしょう。

7.弔辞の紙の折り方と包み方は?

正式な奉書に書かれた弔辞の折り方や包み方について解説します。

弔辞の紙の折り方

横長で大判の奉書紙の場合は、まず、左右を合わせて半分に折ります。次に同じ方向へ3つ折りにし、最後に上下を合わせるように2つに折ります。

奉書紙

巻紙タイプの奉書紙の場合は、徐々に開きながら読めるように、文章の最後のほうから頭の方向に向けて、蛇腹にしてたたみながら折ったり、内側に巻いたりして整えます。

巻紙

弔辞の紙の包み方

弔辞の紙の包み方

弔辞を包まずに裸で持ち歩くのはマナー違反です。弔辞は、奉書紙で包むようにしましょう。

弔辞を包み紙の真ん中より少し右に置いて、まず右から折り、次に左を折って、左側が前に来るようにします。ひっくり返して上と下を中央に向けて折れば完成です。

表面には、「弔辞」と記載します。

8.弔辞を読む流れは?

弔辞を読む流れは

弔辞を読む流れは、一般的に次のようになります。

(1)司会者に名前を呼ばれたら席を立って、ご遺族に一礼します。

(2)弔事は上包みに入れて左手に持つ、あるいは、洋装の場合は上着のポケット、和装の場合は懐に入れておき、祭壇の前に進みます。

(3)祭壇に向かって一礼した後、左手に持った弔辞の包みをいったん両手で持ちます。右手で上包みを開け、弔辞を取り出します。

(4)上包みをもとどおりにたたんで、弔事の下に重ねて持ちます。

(5)右手で弔辞を開いたら胸の高さまで持って行き、読み始めます。

(6)読み終わったら、弔辞を折りたたんで上包みにしまいます。

(7)上包みの表書きが祭壇のほうに向くようにして卓上に供えます。

(8)祭壇に向かって一礼し、ご遺族にも一礼してから席に戻ります。

9.弔辞の読み方の注意点

●弔辞は、故人様に語りかけるように、言葉をかみしめるようにして読みます。ただし、あまり感情を込めすぎるのは禁物です。

●大勢の人の前で読む弔事は誰もが緊張するものです。緊張すると早口になりがちなため、ゆっくり読むように心がけます。

●弔事を目で追いながら読むと、視線がどうしても下がってしまうため、できるだけ下を向かずに顔を上げて読むようにします。

●故人様に語りかけながらも、参列者にもしっかり聞こえるように、一語一語の発音をはっきりと読み上げます。マイクを使うときは、事前に音量を確認しておくことを忘れないようにしましょう。

10.弔辞ではマナーを守りつつ故人様に自分の思いを伝えましょう

弔辞ではマナーを守りつつ故人様に自分の思いを伝えましょう

弔辞は故人様に自分の思いを伝えられる最後の機会です。ですから、気負わず、自分の言葉で話してよいでしょう。

ただし、弔辞にもマナーがあるため、それを守れなかった場合には、ご遺族や参列者を不快にさせてしまう場合もあるので十分な配慮が必要です。

弔辞が素晴らしく、ご遺族や参列者の心に残るものになれば、忘れられない葬儀になるお手伝いをすることにもなります。

弔辞を依頼されたならば、ぜひこの記事を参考に、十分な準備をして臨んでください。

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