手元供養とは?方法や供養品の種類、相場をご紹介!

手元供養とは?方法や供養品の種類、相場をご紹介!

「大切な人のそばにいたい」

そのような気持ちを叶える方法のひとつに、身近に遺骨を置いて管理する「手元供養」があります。故人様をどのように供養するのかはご家族内でも慎重に検討しなければいけないため、なかなか決まらないこともあるでしょう。

そこで、今回は手元供養について詳しくご紹介します。方法や種類、費用などをご確認いただき、選択肢のひとつとして考えてみてはいかがでしょうか。

1.手元供養とは?

遺骨の全て、もしくは一部を身近に置くことを「手元供養」といいます。「自宅供養」という言葉もありますが、「手元供養」と意味は同じです。

お墓や納骨堂ではなく自宅で管理することによって、大切な人をいつでも身近に感じることができ、また、遺骨の一部をアクセサリーに収めて身に着けることにより、いつでもどこでも共に過ごすことができます。

「墓地、埋葬等に関する法律」によると、遺骨を好きな場所に埋葬することは禁じられていますが、埋葬せずに保管しておくことは問題無いとされています。

また、遺骨の一部を手元供養し、残りの遺骨をお墓などに納骨して分けて供養することを「分骨」といいます。これも法律上の問題はありません。

ちなみに、仏教の教えでは、死後49日を過ぎた後、魂は仏様の元へと行くといわれているため、魂が去ってしまった遺骨を別々に分けても、故人様が成仏できないということはないと考えられています。

2.手元供養の方法は?宗教によって異なるの?

手元供養の方法は大きく2種類に分けられます。宗教別に違うのかという点も併せて、こちらでご紹介します。

遺骨を自宅で保管する方法(全骨安置)

遺骨を全て自宅で保管する方法を全骨安置といいます。火葬後に収骨する時に使われる骨壺ではなく、それよりも小さい骨壺を用意して、中に遺骨や遺灰を収めて自宅に保管します。

デザインも多岐に渡り、自宅の雰囲気や故人様の好みに合わせて選ぶことができます。

一部のみ自宅で保管する方法(分骨安置)

遺骨の一部を自宅で保管し、残りの遺骨を墓地や納骨堂などに納骨する方法を、分骨安置といいます。手元供養では分骨安置が一般的です。どのくらいの量の遺骨を手元に保管するのかにもよりますが、ごく少量であればアクセサリーなどに収骨することも可能です。

また、お墓などに納骨した後で手元供養をする場合は、お墓から遺骨を取り出す作業が必要です。納骨前であれば、火葬直後の遺骨を骨壺に入れる際、もしくはお墓に遺骨を納める前までに、ご自身で取り分けるとよいでしょう。

宗教による手元供養の違いは?

手元供養は、宗教によってその方法に違いが生まれるものではありません。お墓への納骨の際は宗教ごとに儀式や進行などに違いがありますが、手元供養には決まりが無いのです。

とても自由な供養方法ですから、住環境や信仰の多様性が広まりつつある現代に適した供養のひとつといえるでしょう。

3.手元供養のメリット

手元供養を選ぶメリットには、以下のものがあります。

故人様をいつも身近に感じられる

大切な方との別れは誰にとってもつらく、悲しいものです。お墓に納骨してしまうと永遠に会えなくなってしまうような不安を感じたり、暗いところに閉じ込めてしまうようで気が進まなかったりする方もいるでしょう。

しかし、手元供養であれば、住み慣れた自宅に保管することが可能です。いつでも故人様を身近に感じることができるのが、手元供養の最大のメリットといえるでしょう。

悲しみを和らげることができる

故人様の存在を身近に感じられることで、深い悲しみを和らげることができるでしょう。また、アクセサリーに入れて常に持ち歩くことで、近くで見守ってくれているかのような安心感を得ることもできます。

納骨の費用を抑えることができる

お墓に納骨する場合には、お墓の建立費用が必要です。お墓を持っている場合でも納骨費用として最低10万円はかかるため、お墓を持たない手元供養(全骨安置)の方が費用を安く抑えることができます。

いつでも供養ができる

自宅内で手を合わせることができるので、日程を決め、遠出をしてお墓参りをする必要がありません。時間や距離を気にせず供養ができるというのも手元供養のメリットです。

保管スペースに困らない

手元供養のための用品はコンパクトなものが多いため、自宅であっても保管スペースに困りません。移動もスムーズに行えるため、引っ越しの際にも負担になりづらいでしょう。

4.手元供養に必要な手続きや手順

手元供養では、故人様の遺骨の一部を管理する「分骨安置」が一般的です。また、分骨を行うタイミングは全部で4つあります。その時に必要なことも併せて、こちらで詳しくご紹介します。

火葬の際に分骨するとき

手元供養を早い段階から決めている場合、火葬後に分骨を行うことができます。

手続き

必要な申請手続きや、提出する書類はありません。

手順

分骨に必要な入れ物(ミニ骨壺)を用意しましょう。火葬場管理者に分骨の意思を伝え、火葬執行証明済の火葬許可証(埋葬許可証)と一緒に、「分骨証明書」もしくは「火葬証明書(分骨用)」を発行してもらいます。枚数は、分骨する数だけ必要です。

この「分骨証明書」もしくは「火葬証明書(分骨用)」は、手元供養をしていた遺骨を将来納骨する時に必要となるため、必ず保管しておきましょう。費用は1通300円ほどです。

葬儀後の各種申請、届出などについては、こちらのページが参考になります。

既に埋葬されている遺骨から分骨するとき

埋葬後に手元供養を決めた場合は、埋葬先から分骨しなければなりません。

手続き

必要な申請手続きや、提出する書類はありません。

手順

お墓に埋葬済みの場合は、お墓を管理している寺院に分骨を希望する旨を連絡しておきましょう。火葬場での分骨と同様に、お墓の管理者から「分骨証明書」を発行してもらいます。

この「分骨証明書」も、再び納骨する時に必要となるため、大切に保管しておいてください。費用は1通100円ほどです。

分骨日程を寺院と相談後、お墓の中から骨壺を取り出します。この作業は石材店に依頼しましょう。お墓を動かす前には閉眼供養を執り行い、分骨後、骨壺を再びお墓の中へと戻す時は開眼供養を行ないます。

閉眼・開眼供養と墓石の移動には、合わせて3~6万円ほどがかかります。金額はお寺や石材店によっても変わるので事前に確認しておきましょう。

◆閉眼供養について
お墓をもとの状態から動かす際に必要な儀式のことを、「閉眼供養」といいます。お墓の墓石や仏具から故人様の魂を抜く儀式ですので、「魂抜き」「御霊抜き(しょうぬき)」「性根抜き(しょうこんぬき)」などとも呼ばれます。

それとは反対に、魂を入れる儀式を「開眼供養」といい、お墓の中の遺骨を分骨する際には両方の儀式が必要です。

どちらの供養も僧侶による読経とお焼香が行われますが、葬儀ではないので平服での参加が可能です。

既に手元にある遺骨から分骨するとき

手元に保管している遺骨を分骨し、別の場所で供養することも可能です。

手続き

手元供養から手元供養への移動については、必要な申請手続きや提出する書類はありません。

しかし、手元供養をしている遺骨を墓地や納骨堂などに埋葬する場合には、「分骨証明書」が必要です。「分骨証明書」は故人様のお名前、没日、火葬日が分かれば再発行が可能ですが、手元にない場合は自治体に相談しましょう。

手順

分骨に必要な入れ物を用意しましょう。手元供養品については、このあとご紹介します。

5.手元供養品の種類と相場

手元供養品などによる自宅での手元供養の形は、大きく2つに分けられます。ひとつは骨壺やアクセサリー類に遺骨や遺灰を収納する方法、もうひとつは遺骨そのものを加工する方法です。

こちらで詳しくご紹介します。

手元供養品に遺骨を加工する方法

手元供養用の品は色や形、バリエーションに富んでおり、好きなものを自由に選べる良さがあります。

遺骨収納ジュエリー

ごくわずかな遺骨や遺灰を収納し、いつでも身に着けられるのがアクセサリーです。材質も安価なステンレス製やチタン、ガラス製のものから、ゴールドやプラチナなど高価なものまで種類に富んでいます。相場はデザインや大きさ、使用する装飾によって数千円~数十万円と大きく変動します。

アクセサリーの種類には以下のものがあります。

・遺骨ペンダント
・リング
・ブレスレット
・ブローチ
・ピアスなど

ミニ骨壺

大人ひとり分の遺骨を全て収める場合、おおむね6寸~7寸サイズの骨壺を使用します。直径・高さともに20cmほどになるため、これを自宅に置く際には一定のスペースが必要です。

しかし、分骨した上で手元供養を行う場合には、おおむね2寸~3寸サイズの「ミニ骨壺」がおすすめです。ちょうど手のひらに収まるサイズですので、好きな場所に置くことができます。

また、デザインも一見して骨壺と分からないような、インテリア性の高いものが多く、材質も磁器や陶器に限らず様々なものがあります。

こちらも材質やデザインによって大きく変わりますが、一般的には5千円~数万円が相場だといわれています。

ミニ仏壇

家族構成や住宅環境の変化によって、新たに大きな仏壇を置く家が少なくなりました。そこで代わりとなるのが「ミニ仏壇」です。

従来の仏壇を小さくしたようなものから、一見すると仏壇と分からないモダンなデザイン性の高いものまで、さまざまな形態のものがあり、家のインテリアになじみやすく圧迫感もありません。2万円~10万円ほどを相場とみておきましょう。

また、ミニ仏壇には故人様のお写真やお供え物、ミニ骨壺やお線香立ても一緒に置けます。まずは何から用意すればよいのか分からない場合は、ミニ仏壇を検討してみてはいかがでしょうか。

インテリア用品

置き型タイプの中で、遺骨らしさを極限まで分からないようにするための手段として、インテリア用品に収骨するという方法もあります。

生前故人様のお好きだったぬいぐるみや花器に遺骨をおさめたり、遺骨の一部を金属と混ぜ、プレート型に加工して飾ったりすることができます。後者を「遺骨プレート」または「エターナルプレート」と呼びます。

プレートに加工する費用は高額で、10~30万円が目安だといわれています。遺骨のイメージが全く無くなり、家のどこにでも飾ることができる新しい自宅での供養方法として、注目されています。

遺骨を加工する方法

プレート以外にも、遺骨を加工し、手元供養として保管することができます。代表的なものは宝石への加工で、遺骨から必要な成分を抽出し、宝石を作ることができます。

遺骨加工ジュエリーは最近では「メモリアルジュエリー」と呼ばれ、家で大切に保管したり、アクセサリーに加工して身に着けたりする方も増えてきています。

費用は、作る宝石によって変わります。真珠や麗石などへと姿を変えることができますが、こちらでは代表的な2つをご紹介します。

ダイヤモンド

製作方法によっても異なりますが、150グラムの遺骨から、0.25カラットほどのダイヤモンドが出来上がります。着色しない場合、色味は遺骨によって少しずつ異なるので、完成を待つ楽しみが悲しみを癒す手伝いをしてくれるでしょう。

費用は30万円ほどからですが、詳しくは専門店にご相談ください。

サファイヤ

サファイヤはダイヤモンドに続く硬度の高い宝石ですので、普段の持ち運びにも安心です。1粒を作るのに必要な遺骨の量も5グラム(業者により異なる)と、ダイヤモンドに比べて少ない量から作ることが可能です。費用は0.2カラットからで25万円ほどが相場です。

ダイヤモンドもサファイヤも加工終了までに半年近くかかるため、費用と同様、詳細は専門店にご相談ください。

6.手元供養の注意点

多くのメリットがある手元供養ですが、もちろん注意すべき点もあります。

カビに気をつける

火葬後の焼骨は滅菌状態となっているため、そのまま納骨する分には心配ありません。しかし、自宅などで管理する際、まれにカビが生えてしまうことがあります。

手元供養用の容器は小さいため、家の好きなところに置けるメリットはありますが、大切な遺骨にカビが生えてしまうのは避けたいところです。湿度の高いところを避け、直射日光の当たらない風通しの良い場所を選ぶようにしましょう。

外気温が大きく変わる季節には、容器の中と外の温度差にも注意が必要です。温度差によって結露が発生しやすくなり、これもカビが発生する原因となります。

容器は密閉性の高いものを選び、エアコンなどで室温調整をしたり、容器の中に乾燥剤を入れたりするなどして対策しましょう。

紛失しないように管理が必要

アクセサリーなど身につけるタイプのものは、紛失しないよう管理することが必要です。金具が取れかけていないかを時々確認し、身につけたまま激しい運動をしない、取り外しの際の保管場所をきちんと決めておくなどして対策しましょう。

また、ミニ骨壺やミニ仏壇など、自宅に保管しているものにも紛失リスクはあります。洪水や台風、地震などの突然の災害が起こることを想定し、普段から出来る対策を心がけておきましょう。

十分な話し合いが必要

手元供養は比較的新しい供養の形です。そのため、遺骨の一部を自宅で保管する、身に着けるという行為に難色を示す方も少なくありません。

そのため、全員が気持ちよく理解を示しあい、穏やかな気持ちで供養へと進めるよう、しっかりと話し合いをすることが大切です。

7.残りの遺骨を納骨する際の供養方法

基本的に、手元供養で必要な遺骨はほんのわずかです。分骨安置で手元に残さなかった残りの遺骨については、別の方法で供養します。

お墓に納骨する

すでにお墓をお持ちの場合は、そちらへ納骨することが可能です。納骨の際は上記で取り上げた「分骨証明書」もしくは「火葬証明書(分骨用)」が必要となるため、書類を揃えておきましょう。

また、納骨するにあたって、僧侶に読経してもらったり、墓石を石材店に動かしてもらったりする必要があります。事前に相談して日程などを調整しましょう。

散骨する

海や川、山など自然の中でパウダー状にした遺骨を撒いて供養することを「散骨」といいます。散骨自体は法律上問題ありませんが、多くの人が行き交う公共の場や、住宅街などで撒くのはマナー違反です。また、散骨に使う遺骨を2mm以下のパウダー状にせずに撒いてしまうと、法律に抵触する可能性があります。

自治体によっては散骨自体を禁止としているところもあるため、検討の際は必ず確認するようにしましょう。

永代供養する

お墓を持っていない、自分たちで管理することが難しい、お墓の継承者がいないなどの場合には「永代供養」という方法があります。寺院の管理者に遺骨を管理・供養してもらうという方法で、これは寺院が存続する限り続きます。

費用もお墓に埋葬するよりも安く、宗派も問いません。「合祀(ごうし)・集合安置」をする寺院の場合は遺骨が他の遺骨と一緒に埋葬されるため、故人様だけの場所を用意したい方は「個別安置」のできる寺院を探してみましょう。

樹木葬

霊園が所有する樹木の下に遺骨を埋葬する方法が「樹木葬」です。墓石を立てるよりも安価であり、管理の必要が無く、また、宗派を問いません。景観が華やかであり、伸びゆく樹木が新たな命へと繋がっている希望を感じさせるなどの点から、樹木葬を選ぶ人も近年増えつつあります。

樹木葬もほとんどの場合は永代供養ですので、種類によっては他の遺骨と一緒に埋葬される場合があります。

8.手元供養を管理できなくなった場合の対処方法

大切に遺骨を保管していても、なんらかの理由で遺骨を管理できなくなることも起こり得ます。

例えば、管理者が亡くなった場合、手元供養で保管していた遺骨を管理者の遺骨と一緒に埋葬する方法がありますが、その他にも分骨した遺骨を納めているお墓があればそちらに埋葬したり、永代供養墓のある寺院に埋葬と管理をお願いしたりするなどの選択肢があります。

ただし、デザイン性が高い容器を使っていると、遺骨の入っている手元供養品と気づかれずに処分されてしまうかもしれません。

そのため、遺骨を手元供養として管理する方は、ご自身に万が一のことが起こった時に、遺骨がどこにあって、どのように供養してほしいかということを、信頼できるご家族などに伝えておくと安心です。

9.新しい供養の形「手元供養」で納得のいく選択を!

遺骨の一部を身近に保管して、大切な人といつも共にありたいと願う手元供養は、仏教徒の多い日本人にとってはまだ新しい感覚です。しかし、供養の形に「こうでなくてはならない」という決まりはなく、また、供養とは必ずしも故人様だけのものとも限りません。

そのため、手元供養はご遺族の悲しみを癒やしてくれる供養方法として、今後、より多くの方に選択されることでしょう。

手元供養をご検討の方は、花葬儀にお気軽にご相談ください。事前相談はもちろん、葬儀後のアフターサービスとして手元供養に関するアドバイス、手配などもさせていただきます。

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