香典返しの時期は?当日返し・忌明け返しのマナーも解説

香典返しの時期は?当日返し・忌明け返しのマナーも解説

お香典をいただいたら香典返しを贈るのがマナーです。そのため、ご遺族はその準備をしなければなりませんが、通夜・葬儀中はもちろん、葬儀後も時間に余裕がないのが実情です。このような状況の中で、香典返しを送るのにベストな時期はいつなのでしょうか?

今回は、香典返しの時期に最適なタイミングの他にも、香典返しを用意する際のマナーも解説しますので、ぜひお役立てください。

1.香典返しとは?

香典返しとは、通夜や葬儀で参列者からいただいたお香典に対して施主が贈る返礼品です。地域によって違いはありますが、基本的に香典返しはいただいたお香典の3分の1~半額(半返し)の商品を用意します。

もともとお香典は、葬儀を行うご遺族の負担が少しでも減るように、参列者がお線香を渡したことから始まったといわれています。その後、時代と共に線香だけではなく、食料品や衣料、そして金銭が贈られるようになり、現在の「お香典=現金」の形へと定着していきました。

どの時代でも、お香典は「故人様の冥福を祈り、ご遺族のことを慮(おもんぱか)った心の形」であることから、いただいた側は感謝の気持ちを込めて香典返しを用意します。

なお、お香典以外の「お花料」「お供え」といったご厚志をいただいた場合も、香典返しをするのがマナーです。

2.香典返しを渡す方法は?

香典返しを渡す方法は?

香典返しを渡す方法は、「当日返し(即返し)」と「忌明け返し」の2種類があります。
それぞれのタイミング、相場、メリット・デメリットについて詳しくご紹介します。

当日返し(即返し)

通夜や葬儀にて、お香典をいただいたその場で香典返しを渡すことを「当日返し(即返し)」といいます。

香典返しは、古くから直接参列者に会って渡すことが礼儀でした。しかし、時代の流れとともに葬儀に関するマナーが簡略化される中で、喪主側の負担を減らす目的として当日返しという慣習が生まれたようです。

なお、現在は、当日返し(即返し)が主流です。

当日返しの相場

香典返しの金額の考え方は基本的に「3分の1~半返し」ですが、葬儀の当日まで、参列者からいただくお香典の金額を把握することはできません。

家族・親戚以外の参列者の平均お香典金額が5千円~1万円ですから(以下の表を参照)、当日返しでは3千円~5千円相当の品物を用意しておくのがよいと考えられます。

ただし、香典返しの金額の考え方については、地域性や家族の慣習などによっても異なりますので、迷った際には周りの詳しい方に聞いてみることをおすすめします。

参列者の平均お香典金額 単位(万円)
  両親 兄弟・姉妹 祖父母 友人 知人 職場
20代 3~10 3~5 1 0.5 0.3~0.5 0.5
30代 5~10 5 1~3 0.5~1 0.3~1 0.5~1
40代~ 10~ 5 3~5 1 1 1~

※横の項目:お香典を包む人から見た故人様との関係

想定していた以上の額のお香典をいただいた場合は、葬儀会場で用意していた香典返しを渡し、葬儀後に改めて相応の品を送るようにしましょう。

※香典返しの金額の決め方についてもっと詳しく知りたい方は、こちらの記事が参考になります。

当日返しのメリット

当日返しのメリットには、「喪主側の負担が少ない」という点が挙げられます。

喪主側としては、香典返しを後日用意する手間を省くことができます。葬儀後に芳名帳を確認し、いただいたお香典にふさわしい品物を参列者ごとに選ぶことは、大切な人を失い茫然自失の最中にいるご遺族にとっては大きな負担です。また、郵送の手間が省けること、送料を削減できること、渡しそびれが防げることもメリットといえるでしょう。

参列者側においても、不在がちな人にとっては、当日返しの方が確実に受け取れるというメリットがあります。

当日返しのデメリット

当日返しのデメリットとしては、「香典返しと会葬御礼との区別がつきにくいこと」が挙げられます。

会葬御礼とは、「葬儀に参列してくれたことへの御礼に喪主側が参列者に渡す品」のことで、お香典を持参しなかった人にも用意します。

当日返しでは、香典返しと会葬御礼を一緒に渡すため、受け取った参列者は2つの区別がつかず、混乱してしまう恐れがあります。渡す際には丁寧な説明や、香典返しと分かるような見た目にするなどの配慮が必要です。

もうひとつのデメリットとしては、お香典の金額が想定よりも大きく上回るケースに対し、後日改めて香典返しの手配をしなければならないという点が挙げられます。

また、当日返しをする際は、品物が不足しないよう、余裕をもって用意しておくことが必要です。

花葬儀/当日返しの対応

・香典返しのメッセージカードをつけています
花葬儀では、「どちらの品が香典返しであるのか」が明確にわかるよう、メッセージカード(手紙)をつけています。会葬御礼と香典返しの区別がつくよう配慮しておりますので、ご安心ください。

・会葬御礼・香典返しは十分な数を用意いたします
友人・知人の数でおおよその個数を決めてしまうと、予想よりも多くの参列者が訪れ品数が不足することがあります。

花葬儀では、故人様の年齢、職業、現役か引退か、会社の規模などを事前にご遺族に確認し、これまでの経験をもとに数を想定しております。当日返しの品物が不足することのないよう、十分な数をご用意しますので、ご安心ください。

忌明け返し

忌明け返しとは、ご遺族の忌が明けてから用意する香典返しのことで、忌明けしてから1ヶ月以内を目安として贈ります。

忌明けとは、ご遺族が故人様を偲び喪に服す期間が終わったタイミングを指しており、当日返しの考え方が派生するまでは忌明け返しが主流でした。

この忌明け返しについて、相場、メリット・デメリットをご紹介します。

忌明け返しの相場

忌明け返しの相場も、「3分の1~半返し」が基本です。ただし、前述したように香典返しの相場は地域や親族間の考え方によっても変わるものですから、事前に確認しておくことをおすすめします。

忌明け返しのメリット

忌明け返しには、参列者ごとに応じた対応ができるというメリットがあります。いただいたお香典にふさわしい香典返しを個別に用意することで、内容に不公平が生まれにくくなります。

ごく親しい相手に対しては、一般的なお礼状(印刷したもの)の他に、手書きのお礼状を用意することも可能でしょう。また、お礼状にて、故人様の法要が滞りなく行なわれたことを報告することもできます。

このように、大切にしたい相手に対し、丁寧な対応ができるという点は忌明け返しの大きなメリットといえるでしょう。

忌明け返しのデメリット

忌明け返しのデメリットとしては、「肉体的負担」と「金銭的負担」の2つが挙げられます。

忌明け返しは葬儀を終えてからお香典金額を確認して用意するため、葬儀後も慌ただしさが続きます。また、直接会って渡せない相手には郵送しなければならず、その分送料がかかります。

忌明け返しの場合、葬儀後はゆっくりと悲しみに浸りたい方、なるべく出費を抑えたいと考えている方にとっては、負担となる可能性があるでしょう。

花葬儀/忌明け返しの対応

花葬儀では、適切な時期に香典返しを手配いたします。また、ご遺族のご希望をお伺いし、故人様の人となりが伝わる会葬礼状はもちろん、香典返しの手配も承ります。さまざまなご要望にお応えできるよう、お菓子など多くの商品、カタログギフトもご用意しておりますので、ご安心ください。

3.香典返しを忌明け返しする具体的な時期は?

仏教では、当日返しのほかに、忌明け後(四十九日法要後)に送る方法があります。その具体的な時期や、他の宗教での対応方法、特例についてもご紹介します。

仏式の場合

仏式は、故人様の命日から49日目に行われる四十九日法要で忌明けを迎えます。無事に四十九日を迎えたことを報告する意味もあり、四十九日法要後(当日を含む)に香典返しを送ります。一般的に「四十九日法要からおおよそ1カ月以内に」と言われていますが、早めに送るケースが多いでしょう。

なお、「浄土真宗」の場合、四十九日という考えがないため、初七日が終わってから一カ月以内に送るという情報が多く見られます。しかし、「49日目ごろに送ってはいけない」という決まりはなく、他の宗派と同時期に送っても差し支えないでしょう。

他の宗教の場合

忌明け返しをする時期は、「宗教・宗派によって厳密に異なる」という情報が多く見受けられますが、他の宗教(神式、キリスト教式など)も、浄土真宗と同様に四十九日という考えがないため、いつまでに送らなければならない、という厳密なルールはありません。

実際のところ、どの宗教・宗派においても、おおよそ49日目ごろを目安に送っているのが実情です。

忌明けを避けた方がよいケース

四十九日が年末、もしくは年始にかかってしまう場合

年始に香典返しを送ってしまうと、故人様の死を新年早々に相手に思い起こさせてしまうため、四十九日ではなく三十五日を忌明けとして年内に送る、もしくは松の内(正月飾りを片付ける日。2024年は1月7日)以降に届くよう配慮するとよいでしょう。

命日から忌明けまでに3カ月わたってしまう場合

(例)命日が6月29日の場合、8月17日が四十九日にあたり、6月、7月、8月をまたぐ

香典返しに3カ月をまたぐことを「三月またぎ(みつきまたぎ)」といい、三月という響きが「身付き=身に付く=苦しみが続く」と連想されることから縁起の悪いタイミングと考えられています。

おもに、関西において重視されている「しきたり」で、三月またぎを避けるために、三十五日忌として香典返しを送るケースもあります。

ご紹介したように、香典返しは四十九日法要が終わったころに送るケースが一般的ですが、地域によって考え方が異なるケースもあるため、葬儀社に相談しながら送る時期を検討しましょう。

4.会社への香典返しの時期は?

会社への香典返しの時期は?

故人様の職場や、ご遺族の会社関係者からお香典をいただくこともあります。会社への香典返しは、いつまでに渡すのがよいのでしょうか?

詳しく解説します。

忌引き休暇後の出社時

ひとつめのタイミングは、忌引き休暇明けの出社時です。始業前に上司をはじめ同僚に対し、以下の内容を含めた挨拶をしてから渡すようにします。

・葬儀を無事終えたことの報告
・葬儀への参列、ならびにお香典の御礼
・休暇中のフォローに対するお詫びと感謝
・本日より復帰する報告

始業前に渡すことが難しかった場合は、昼休みや勤務終了時刻以降など、なるべく業務時間外に渡せるようにしましょう。

忌明け後に自宅に送る

会社関係者からのお香典が、組織ではなく、個人名義によるものであった場合、香典返しを忌明け後にそれぞれの自宅に郵送することも可能です。

郵送することで、渡すタイミングを計る心配や、相手が持ち帰る負担がなくなるというメリットがあります。

香典返しを忌明け後に自宅に郵送する場合は、忌引き休暇明けの出社時に、先ほどの挨拶のほかに「お返しは忌明け後に自宅に送りたい旨」を伝えておきましょう。相手が会社での受け取りを希望した場合は、なるべく沿うようにします。

5.香典返しの時期が遅くなったときは?

香典返しは基本的に忌明け後から1ヶ月以内に送ることがマナーとされていますが、やむを得ない事情で遅れてしまうことがあるかもしれません。そういった場合の対処法やマナー、お詫びの仕方などについて詳しくご紹介します。

遅くなってもお返しはする

どんなに遅くなっても、必ず香典返しは渡すようにします。香典返しを送らないことによって非常識と思われるほか、「なにかあったのではないか」と相手を心配させることになりかねないからです。

やむを得ない事情で香典返しの手配が遅れてしまい、なおかつ手配に長時間を要する場合は、あらかじめ相手に遅くなってしまう旨と、それに対する謝罪を伝えておくとトラブルを避けることができるでしょう。

挨拶状の中にお詫びの言葉を入れる

香典返しが遅くなってしまった際は、品物に同封する挨拶状の中にお詫びの言葉を必ず入れましょう。通常通りの挨拶状では、相手が不快になる可能性もありますから、心を込めた対応が求められます。

以下に、お詫びの言葉を入れた挨拶状の文例をご紹介します。
(挨拶状は原則として句読点無し・縦書きですが、コラムの仕様上、横書きでご紹介しています)

(1)

〇〇様

亡母〇〇儀の葬儀におきましては ご参列と鄭重なるご厚志を賜り 心から感謝申し上げます

おかげさまで四十九日法要を終えることができましたことを ご報告いたします

心ばかりではありますが お返しの品をご用意いたしましたので みなさまでお召し上がりください

諸般の事情により 御礼が遅くなってしまったことを深くお詫びいたします

令和〇年〇月〇日 喪主氏名(または〇〇家)

(2)

〇〇様

故〇〇儀の葬儀におきまして ご多用中にもかかわらず参列いただき ありがとうございました

また お心遣いにつきましても深く感謝申し上げます

おかげさまで四十九日法要を終えることができ 私たち家族も少しずつ前を向き力強く進んでいく所存でございますので 今後ともご指導ご鞭撻を賜れましたら幸いに存じます

本来ならばもっと早くにご挨拶すべきところ 諸般の事情によりこのような時期になってしまったことを 心からお詫びいたします

供養のしるしに 心ばかりの品を送らせていただきましたので何卒お納めくださいますようお願い申し上げます

令和〇年〇月〇日 喪主氏名(または〇〇家)

6.「忌明け後の香典」に対するお返しの時期は?

スケジュールの問題で葬儀に参列できなかった、または葬儀後に訃報を知ったなどの理由で、忌明け後にお香典を包んでくださる方もいます。特に、家族や特別親しい友人のみで執り行う家族葬では、忌明け後にお香典をいただく傾向が強くなります。

忌明け後にお香典をいただいた場合は、遅くとも受け取り後1ヶ月以内に香典返しを送るようにしましょう。その際はまとめて手配するのではなく、ひとりひとりの「お香典を渡してくれたタイミング」で送るのがベストです。

忌明け後の弔問時にお香典をいただき、かつ、お返しの品が用意してある場合は、「即日返し」が可能です。金額が想定より高額だった場合は、後日改めてふさわしい額の香典返しを送るとよいでしょう。

7.香典返しを辞退された場合は?

お香典を差し出す人の中には、「お悔やみの気持ちを伝えたいけれど、ご遺族側に気を遣わせるのは避けたい」という考えなどから、香典返しを辞退したいと申し出る方もいます。

そういった方に無理やり香典返しを送るのは、相手の気持ちに配慮しているとは言えません。

お香典をいただいた方が香典返しを辞退された場合は、その気持ちを尊重して香典返しは控え、お礼状を送るだけに留めます。そして、お中元やお歳暮、暑中見舞いや寒中見舞いなどといった別の機会に、礼状を添えて感謝の気持ちを表した品物を贈るとよいでしょう。

8.香典返しの時期は即日返しと忌明け返し。忙しくても心を込めて対応を

香典返しの時期は即日返しと忌明け返し。忙しくても心を込めて対応を

通夜や葬儀などで参列者からお香典をいただいたら、その場で渡す「即日返し」と忌明け後に渡す「忌明け返し」のいずれかの時期で、香典返しを送ります。

香典返しの時期については、即日返しと忌明け返しそれぞれが持つメリット・デメリットや地域、周囲の考え方などに応じて決めましょう。

香典返しの手配が遅くなってしまった場合は、必ずお礼状にお詫びの言葉も添えるようにします。お香典は、故人様の冥福やご遺族の心痛を思っての気持ちの表れですから、どんなに忙しく、また、悲しみに暮れていたとしても心を込めて対応するようにしましょう。

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