納棺とは?意味・場所・流れ・服装・入れるもの・宗教での違いを解説
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- 【 葬儀・葬式の基礎知識 】

納棺とは、故人様のお身体を整え、棺にお納めする大切な工程のことです。どのような流れで進むのかわからず、不安を感じる方も多いのではないでしょうか。「いつ行うのか」「誰が立ち会うのか」「何を入れてよいのか」「宗教によって違いはあるのか」など、初めて納棺にかかわる方にとっては戸惑う点も少なくありません。
この記事では、納棺とは何かという基本から、行われる場所や出席者、納棺の流れや服装、副葬品の注意点、宗教ごとの違いまでをわかりやすく解説します。初めて納棺にかかわる方は、ぜひ参考にしてください。
【もくじ】
1.納棺とは?意味と行う目的
納棺とは、故人様のお体を整えて、棺にお納めする行為そのものを指します。
ここでは、仏式を前提に、納棺で行うことやその意味、納棺に深くかかわる納棺師について解説します。
納棺とはどのような行為か
納棺では、故人様のお身体をきれいにし、あの世への旅立ちに向けて服装を整えます。そして、故人様を、死後の世界で過ごすために必要となる品や故人様の愛用していた品とともに棺に納めます。これらはすべて、故人様を棺にお納めするための身支度として行われます。
納棺を行う目的と意味
納棺を行う意味は主に2つあります。ひとつは、「故人様が安らかにあの世へ旅立てるよう支度を整える」ことです。来世までの旅が無事に終えられるよう、仏衣、杖、足袋などを身につけますが、仏教の宗派のひとつである浄土真宗においては、この旅支度は行いません。
もうひとつの意味は、「故人様のあの世に行く旅支度のお世話をすることを通して、ご遺族が故人様と心おきなくお別れをする時間を持つ」ことです。納棺は、ご遺族が故人様のお体に直接触れられる最後の機会でもあり、心の整理につながる大切な時間といえるでしょう。
納棺の儀とは
納棺の際には、宗教や地域の慣習に沿って、故人様を棺にお納めするまでの一連の儀式が行われます。これを「納棺の儀」といい、ご家族やご親族が立ち会いながら故人様との最期のお別れをします。
納棺の儀の具体的な流れについては、後述する「納棺の儀の流れ|当日の手順と進め方」でご説明します。
納棺の儀について詳しく知りたい方は、「納棺の儀」の記事も参考になります。
納棺師とは
納棺師とは、納棺の儀を執り行い、故人様の旅立ちの準備を専門的に行う人のことです。
故人様のお身体をきれいにする、服を着替えさせるなどの身づくろいをし、生前の故人様が偲ばれるようなメイクなどを施します。
また、ドライアイスをあてるなど、故人様のお身体の保存処置も行います。
2.納棺を行う場所は?
納棺を行う場所に決まりはなく、基本的に故人様が安置されている場所で行います。ここでは、納棺を行う具体的な場所についてご説明します。
自宅
自宅で安置している場合は、自宅で行います。畳のある部屋、もしくは仏壇のある部屋などで行うのが一般的です。
斎場、または安置専用施設
斎場の安置所に故人様が安置されている場合は、斎場の安置所か斎場内の指定された場所で行います。
安置専用の施設では、納棺ができないことも少なくありません。そのようなケースでは、故人様を斎場に搬送した後に行います。
3.納棺の儀の出席者は?

納棺の儀は、故人様の死を受け入れるための貴重な時間であるといえるでしょう。このような大切な儀式に出席する対象者について解説します。
基本はご家族やご親族
出席するのは、基本的には故人様の両親や配偶者、子、孫など故人様に近しいご家族やご親族です。
ただし、出席者は、地域の慣習や故人様の家庭の事情などによって異なることがあります。
故人様と縁の深かった方
納棺の儀の出席者には、特別な決まりがあるわけではありません。故人様と縁の深かった方であれば、親友などでも出席は可能です。
故人様の訃報を受け納棺の儀に出席したい場合には、ご遺族にその旨をお願いしてもよいでしょう。
4.納棺を行う日程は?
納棺を行う日程には明確な決まりはなく、地域や葬儀の形態によって異なります。
ここでは、納棺をいつ行えばよいのか、納棺にかかる時間、日程の決め方もご説明します。
納棺を行うタイミングは?
納棺を行う日時に明確な決まりはなく、地域や葬儀の形態によっても異なりますが、通夜までに済ませるようにします。
ただし、通夜の用意があるので、通夜の始まる2時間~3時間前までには納棺を終了するようにします。
納棺にかかる時間は?
納棺にかかる時間は、納棺の儀で行う内容によって変わります。簡略化すれば30分程度で終了しますが、通常は約1時間、さまざまな儀式を丁寧に行えば約2時間かかります。
納棺を行う日程の決め方
納棺を行う日程に明確な決まりはありませんが、通夜の前日、もしくは通夜当日の数時間前に行うことが多いといえます。
通夜の当日に行う場合は、納棺の儀で行う内容を決めた上で、通夜開始の時間から逆算して決めるとよいでしょう。
たとえば、通夜が18時から開始されるケースで納棺の儀を1時間ほど行う場合、通夜が始まる3時間ほど前には納棺が終了するよう、14時~15時から始められるように日程を組みます。
5.納棺の儀の流れ|当日の手順と進め方

納棺の儀の流れは、故人様が亡くなった状況や地域などによっても変わりますが、一例を挙げれば以下のような流れになります。
1.湯かんの儀式を行う
2.お着替えを行う
3.死化粧(ラストメイク)をする
4.「末期の水」という儀式を行う
5.故人様と副葬品を納める
次項から、それぞれの工程について詳しくご紹介します。
1.湯かんの儀式を行う
湯かんの儀式は、納棺に先立ち、故人様のお身体を洗い清める大切なしきたりです。
湯かんの儀式は、一般的に次の流れで行われます。
・故人様のお身体をきれいにする(湯かん、もしくは清拭)
・髭を剃る
・綿花をつめる
・爪を研ぐ
・枕飾りを整える
湯かんとは、故人様をお風呂に入れて体や髪を洗いきれいにすることをいいますが、単にお身体を清めるだけでなく、故人様の生前の痛みや苦しみ、この世の煩悩を洗い落とすという意味も持ちます。
また、湯かんの代わりに、温かい蒸しタオルなどで体を拭く「清拭(せいしき)」を行うこともあります。
2.お着替えを行う
湯かんの後、故人様を死装束に着替えさせます。必ず着替えなければならないということではないため、ご希望や状況によっては省略することもできます。
仏式の場合は、足袋を履かせ、上下白の着物タイプの衣装を着せ、脚絆(きゃはん)などをつけて死出の旅支度をします。
ただし、宗派によっては着せるものなどが異なるので注意しましょう。近年では、故人様のお好きだった洋服などを着せるケースも増えています。
3.死化粧(ラストメイク)をする
死化粧では、故人様が元気だったころの表情に近づけるために薄化粧を施します。女性の場合はファンデーションや口紅などで血色を整え、男性の場合は髭を剃り、髪を整えます。
死化粧は、ご親族が故人様の元気だったころを思い出し、心穏やかにお見送りするためにもとても大切なものです。
また、広い意味での死化粧として、ご遺体の処置全般を行う「エンゼルケア」があります。エンゼルケアは一般的に、病院で亡くなられた場合に、看護師が医療器具を外し、清拭などを行って故人様をきれいなお姿に整えることをいいます。
4.「末期の水」の儀式を行う
末期の水(まつごのみず)は、「死に水」とも呼ばれ、故人様がこの世で最後に口に含む水のことです。故人様に十分にのどを潤して安らかに旅立ってほしい、あの世で渇きに苦しまないでほしいと願い、この儀式を行います。
一般的には、脱脂綿を巻いた割り箸などを水で湿らせ、故人様の唇をそっとなぞるようにして行います。水の代わりに故人様が好きだった飲み物を用意することもあります。
末期の水は、喪主様や配偶者など、故人様との関係が近い方から順に行うのが一般的です。
ただし、浄土真宗では、故人様がすぐに極楽浄土へ向かうと考えられているため、末期の水は行いません。
5.故人様と副葬品を納める
最後に、納棺の儀に参加しているご親族の手で、故人様を棺に納めます。その後、副葬品も納め、棺のふたを閉めて、納棺の儀は終了となります。
副葬品とは、故人様との思い出の品や、故人様が生前に大切にされていたものなど、故人様とともに棺に納める品物のことです。一つひとつに思いを込めながら納めることで、故人様との最期のお別れの時間となります。
6.エンバーミングとは?
エンバーミングとは、ご遺体を長期間良好な状態で保つために行われる、防腐・消毒を目的とした専門的な処置です。必要に応じて、納棺の前に行われます。
エンバーミングは、専用の設備が整った施設で行うもので、自宅や斎場などで行うことはできません。ご遺体の血液を薬剤に入れ替えることで防腐処置を施し、ドライアイスを使用せず腐敗を遅らせることができます。その他、感染症からご遺族、医療スタッフを守るための消毒・殺菌、ご遺体の修復なども行います。
ラストメイクだけでも、生前に近い穏やかな表情に近づけられることは少なくありませんが、長期のご安置や損傷が大きい場合には、エンバーミングのほうが、より安定した状態を維持することが可能です。
7.納棺での服装は?

納棺には、どのような服装で参加したらよいのか迷うところではないでしょうか。一般的に納棺が行われる自宅と斎場の2つの場所に分けて、服装のマナーについてご説明します。
自宅で納棺の場合
ほとんどの参加者がご親族の方たちなので、平服で参加しても差し支えありません。ただし、平服といってもダークカラーのスーツやワンピースなど弔事にふさわしい服装を心がけましょう。
納棺から通夜までに時間的余裕がない場合には、納棺のときから喪服を着ておくと慌てずに済みます。
斎場で納棺の場合
斎場で納棺を行う場合は、喪服で参加することをおすすめします。
平服で参加すると、納棺のあとに同じ斎場内で通夜となるため着替える場所を探すのに手間取ってしまいます。また、着替えた平服が荷物になってしまうでしょう。
悩む場合は、喪服またはダークカラーの落ち着いた服装を選べば、失礼にあたることはありません。
8.納棺で入れてよいもの・いけないものは?

副葬品とは、故人様と一緒に棺に納める品のことをいいます。副葬品はどのようなものでもよいというわけではなく、ご遺骨を損傷させるものや火葬炉に悪影響を与えるものは納められません。
ここでは、副葬品として入れてよいものと、いけないものについて詳しく解説します。
納棺の際に入れてよいもの
副葬品として納棺の際に入れてよいものは基本的に燃えるものです。代表例をいくつかご紹介します。
●故人様への想いを伝えるもの
故人様への想いを書いた手紙、寄せ書きなど
●故人様が愛用していたもの
洋服、ハンカチ、帽子など
●故人様が好きだったもの
飲み物、料理、お菓子、お花、故人様が趣味で集めた絵葉書や映画のパンフレットなど
●故人様が棺に入れてほしいと希望したもの
故人様が生前に棺に入れるものを用意している場合もあります。
●故人様が写った写真
故人様が写った思い出の写真、故人様の成人式のときの写真など
ただし、生きているほかの人が写っている写真を入れる際は、注意が必要です。「生きている人もあの世に行ってしまう」という言い伝えがあるため、縁起を気にする人もいるからです。
納棺の際に入れてはいけないもの
副葬品として棺に入れられないものがあります。燃えないものや火葬時の事故につながる危険物はもちろん、燃えるものの中にも入れてはいけないものがあります。
納棺の際に入れてはいけないものの代表例を、理由とともにご紹介します。
ご遺骨を傷つける恐れのあるもの
金属やガラスなど燃えない素材が使われているものは、ご遺骨を損傷する原因となる場合があるので入れてはいけません。
【代表例】
眼鏡、ネクタイピン、指輪、腕時計、ネックレス、ガラス製の食器、缶など
火葬炉の故障につながるもの
カーボン製品は、火葬炉の故障につながるのでNGです。
【代表例】
釣り竿、ゴルフクラブ、テニスラケット、バット、杖など
不完全燃焼の可能性のあるもの
大きなものは、燃えにくいので燃えずに残ってしまったり、燃えたとしても大量の灰が発生したりして処理が大変になるため、副葬品として適しません。
水分の多い大きな食べ物は燃焼の妨げになるだけでなく、爆発する恐れもあります。
【代表例】
スイカなどの水分の多い大きな食べ物、布団、分厚い本、大きなぬいぐるみなど
燃やしたときに有害なガスが出るもの
革やビニールを使ったもののほかにプラスチック製品、ゴム製品、発泡スチロール製品は、燃やしたときに二酸化炭素やダイオキシンなど有害なガスが発生します。
このようなものは自治体の決まりで入れられないもののリストに入っている場合がほとんどです。
【代表例】
革やビニール製のバッグや靴、CD、ボールなど
紙幣
紙幣を燃やすことは法律で禁止されているので、棺にも入れられません。
事前に届け出が必要なもの
副葬品として事前に火葬場に届け出が必要なものがあります。その代表例をご紹介します。
ペースメーカー
ペースメーカーなどの医療器具がご遺体の中にある場合、火葬中に爆発し、火葬炉が損傷したり火葬場職員が受傷したりする危険性があります。
そのため、事前に火葬場へ相談してください。火葬の際、ペースメーカーの破裂を想定した対策を行うことで、事故を防ぐことにつながります。
入れ歯
入れ歯には金属やプラスチックが使われており燃え残ってしまう可能性があります。そのため、基本的には火葬の前に外すよう促されますが、棺に入れてもよいかどうかの判断は火葬場によって異なります。
判断に迷う場合は、「燃える素材で小さなもの」を基準に考え、必ず事前に葬儀社へ確認しましょう。
9.納棺の方法は宗教によって異なるの?

ここまでご説明してきた納棺の方法は主に仏式の場合です。宗教によって納棺の方法は、どのように違うのでしょうか。宗教ごとの納棺の方法についてご説明します。
キリスト教の場合
キリスト教の場合はカトリックとプロテスタントで若干の差があります。それぞれのケースでの納棺の一例をご紹介します。
カトリックの場合
キリスト教のカトリックの場合は、神父を招いて次のような流れで納棺を行います。
1.故人様をきれいにして死化粧をし、故人様が好んでいた衣類を着せる
2.故人様の手を胸の上で組ませ、ロザリオや十字架を持たせる
3.神父による祈りのあと聖書朗読や聖歌斉唱を行う
4.神父が故人様に聖水をふりかけ、お身体を清める
5.ご親族で故人様を納棺し、まわりを白い花で埋める
6.棺にふたをして黒い布をかけ、棺の上に十字架をのせる
プロテスタントの場合
キリスト教のプロテスタントの場合は納棺を納棺式と呼び、牧師が立ち会って次のような流れで納棺式を行います。
1.故人様をきれいにして死化粧をし、故人様が好んでいた衣類を着せる
2.故人様の手を胸の上で組ませ、ロザリオや十字架を持たせる
3.牧師が祈りを捧げたあと聖書朗読などを行い、故人様を棺に納める
4.故人様に白い布をかけ、まわりを白い花で埋めてからふたをする
なお、キリスト教の場合、末期の水にあたる儀式は納棺の前に行われます。プロテスタントにおいては、死者を清める儀式として故人様の口にぶどう酒とパンを含ませる「聖餐式(せいさんしき)」が行われます。カトリックにおいては、信者の額に聖油を塗る「病者の塗油」、パンとぶどう酒を食する「聖体拝領(せいたいはいりょう)」が行われます。
神式の場合
神式の場合も仏教と同様に、納棺の儀を行います。流れは仏教と同じですが、神式の場合、死装束ではなく神衣(かんみそ)を着せます。ご親族で故人様を棺に納めたら、花を入れ棺にふたをし、白い布で覆ったあとに参加者全員で拝礼をします。
なお、神式においては、納棺の儀の前に「枕直しの儀」と呼ばれる儀式を行います。枕直しの儀では、北枕にして故人様を寝かせ、枕飾りなどを施して安置します。
無宗教の場合
無宗教の場合には、納棺に際して特別な決まりはありません。ご親族で話し合い、好きなスタイルで納棺を行ってよいでしょう。
10.納棺に関するQ&A
A.必ずしもご家族全員が立ち会わなければならないわけではありません。
体調や事情により立ち会えない場合や、精神的な負担を考慮して立ち会いを控える選択も可能です。立ち会いの有無はご家族の判断に委ねられており、無理をする必要はありません。
A.納棺とは行為そのものを指し、納棺の儀は宗教や地域の慣習に基づいて行われる儀式です。
そのため、宗教的な理由やご家族の意向によって、納棺の儀を簡略化したり、省略したりすること自体に問題はありません。
A.納棺とは突然行われることも多く、事前に十分な準備ができないケースも少なくありません。その場合でも、基本的な流れは葬儀社が案内してくれるため、大きな心配はいりません。
ただし、立ち会いの可否や副葬品として入れたいもの、服装の希望などを事前に少しでも考えておくと、当日の判断に迷いにくくなります。
11.納棺の儀は故人様と最後のお別れをする大切な時間です
ここまで、納棺の意味や流れ、服装や副葬品の注意点、宗教や地域による違いまでご説明してきました。納棺の儀の中で、故人様のお身体をきれいにしたり、薄化粧をしたり、あるいは死に装束に着替えさせたり、思い出の品を棺に入れたりする過程を通して、ご親族は故人様の死を受け入れ、気持ちの整理をすることができます。
このように、納棺の儀は故人様と最後のお別れをする大切な時間ですから、後悔のないお別れとなるよう、事前に流れや選択肢を知っておくことが重要です。
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