友引に葬儀を行うことを避ける理由~六曜の文化と日本の冠婚葬祭~

葬儀で友引を避ける理由は
カレンダーに書かれている「友引」の日に葬儀を執り行うことが、世間では「縁起が悪い」と言われることもあります。これは、「友を引く」という意味合いが、弔事にふさわしくないからと言われているためで、葬儀でのマナーのひとつとして取り上げられることも多いようです。しかし現在は、時代と社会の変化とともに葬儀のあり方も多様化し、友引に葬儀を行うことは選択肢のひとつにもなっています。
今回は、「友引に葬儀を執り行うことは縁起が悪い」という考え方がどのように生まれ、社会に広まっていったのかをご説明します。

もくじ

  • ・友引とは?―その起源と意味
  • ・宗教上の教えと友引の関係
  • ・友引に葬儀をする場合に気を付けること
  • ・葬儀の多様化と友引
  • ・まとめ

友引とは何か?六曜の伝来と日本の六曜の文化

友引は「六曜(ろくよう)」という6つの曜(先勝・友引・先負・仏滅・大安・赤口)のひとつであり、中国から伝わった暦注です。カレンダーや手帳に書かれていることも多く、一度は目にしたことがあるのではないでしょうか。これは、勝負事をするときの日の吉凶占いとして使われていたとされます。日本においてはこれに加えて「縁起をかつぐためのもの」として大衆に広まり、人生における重要な節目や決め事の日取りに数多く使われるようになりました。このため、冠婚葬祭などの儀式や開業届け、宝くじを買うときなど、六曜を意識する方もいらっしゃるようです。 

友引に葬儀が避けるべきとされる理由―その1 「友引の捉え方」

友引とは「友に引く」「共に引く」が本来の意味とされ、勝負をしない日とされています。これが日本において、その捉え方は「友を引く」に変わり、特に「引く」の意味合いが「一緒に引っ張られる」という解釈になったそうです。そのため、お祝い事における暦注のなかでは、大安に次ぐ2番目に良い暦とされています。しかし、お葬式はその逆で、「あの世に旅立つ人に引っ張られてしまう」というニュアンスになり、この日の葬儀は縁起が悪いと世に広まりました。
一般的に、友引をもっとも気にされるのは、告別式(火葬)です。なかには、お通夜も気にされる方もいらっしゃいますが、そのボーダーラインはさまざまです。この習わしは、わたしたちの意識と生活に深くはたらきかけ、お葬式のマナーとして浸透していったのでしょう。

友引が葬儀に避けるべきとされる理由―その2「火葬場がお休み」

友引は火葬場が休みのことがある

友引は火葬場がお休みであることが多いのも、避けるべき理由のひとつです。 
葬儀をすることに決まったら、葬儀社は火葬場の予約を取ることから日程を調整していきます。これは、友引が火葬場の定休日と重なっていることが多く、その前後の日に利用が集中して予約が取りづらくなるからです。友引がお葬式の日に適さないとなると、その日の需要も供給も少なくなります。葬儀を滞りなく行うことは、大切な故人様をきちんとお見送りすることにつながります。こうしたことから、葬儀の予定を組む上でも、「友引」を把握することは重要であるといえます。

友引のお葬式は宗教的に問題がある?

ただ、仏教上の教えと六曜はまったく関係ないため、友引のお葬式は宗教上やってはいけないわけではありません。実際、六曜と仏教を切り離す地域もあります。
例えば、国内における仏教系の寺院数を地方別に見てみると(注1.2)、中部がトップで、近畿地方を合わせれば関西エリアの寺院が関東より大多数をしめています。大阪、京都は仏教寺院の本山が数多くありますが、友引でも葬儀を行っています。また大阪の火葬場は友引の日でも通常通り稼働しています。

*参考:文部科学省統計データ 宗教統計調査より(2019年12月13日付)
 仏教系の寺院数:近畿18,678、関東 13,524)

(注1)
地方別仏教系の寺院数

(注2)
関東、近畿の県別寺院数

また、「友引でお葬儀をしてはいけない」という風習は、「仏教の教えではない」と、きっちり否定しているお寺様もあります。もちろん、否定していなくても、友引の日でも基本的に葬儀はできます。ご家庭とお付き合いのあるお寺(菩提寺)がある場合、念のためそちらに確認をとってみてもよいでしょう。

友引に葬儀をする場合に気をつけること

葬儀社にかならず相談する

花葬儀の事前相談
友引での葬儀が避けられなくなった場合、かならず葬儀のプロに相談しましょう。実際に友引に執り行われた葬儀モデルも説明してくれ、ご依頼者さまに応じた適切な葬儀を提案してくれます。

檀家に入っている場合はお寺にも確認する

お寺への葬儀日程確認

友引に葬儀ができるかは、お寺様の考え方によっても変わります。忘れずに確認しましょう。

親戚親族、参列者への配慮を怠らないようにする

葬儀の日取りは、周囲の人への配慮を忘れずに

友引に葬儀を執り行う場合、また、やむをえない事情があったとしても「なんでそんな日にしたのか」と言われてしまうことは、実際によくあります。これは、お葬式が社会的メッセージを発信する儀式であるとともに、さまざまな宗教上の教えや風習が介入することがあるためです。そのため、そうしても身内トラブルなどに発展しやすいのです。
たしかに、「友引にお葬式は縁起が悪いから避けるべきだ」という考え方に、宗教上の問題はありません。しかし、語り継がれ習慣化したものは、すぐには変わらないものです。喪主や家族、親戚の方たちへあらかじめ説明をして、信用できる葬儀社を選ぶことで、親族や参列者への説明もしっかりフォローしてくれるでしょう。

葬儀の多様化

時代とニーズの変化とともに、葬儀の在り方も多様化してきています。
近年は働き方改革により、幅広い働き方が浸透したことで人々の生活様式が多様化しています。いわゆる「一般葬」だけでなく、「家族葬」や「一日葬」など、さまざまな形式の葬儀が生まれ、ご自身に合ったものを選べる時代になったのです。
一般葬の場合、故人様の生前お付き合いのあった職場、友人、知人、地域の方も集まります。一方、家族葬は身内のみ、一日葬は告別式のみであることから、ご参列者の数が減り、限定された人での葬儀となります。これは、友引を気にするといった風習や習わしを気にする方の数が少なくなるため、フォローをしやすくなることを意味します。そして、さまざまな考え方が認められるいま、友引での葬儀は今後、選択肢のひとつになるかもしれません。

まとめ

友引に葬儀をすることを避ける理由は、日本における六曜の文化がわたしたちの生活と考え方に浸透し、それが冠婚葬祭にとるべきマナーとして広がったためといえます。
今も受け継がれる風習というものは、人々の幸せを願うがゆえの配慮でもあります。「悲しみの連鎖」を断つといった人々の思いやりが、友引に葬儀を行わないという風習を広めたといってもよいでしょう。引き継いでいくべきものと、変化していくこと、その両者を尊重し、順応することが求められる時代になったといえます。
葬儀をする上で大切なことは、故人様の遺志を敬い、生前への感謝とともにお別れをすることにあります。そして、ご遺族に負担のない納得のいく葬儀をすることで、新たな再出発への後押しとなるのです。

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