【一日葬】メリット・デメリットや葬儀の流れ、家族葬や一般葬との違いは?

【一日葬】メリット・デメリットや葬儀の流れ、家族葬や一般葬との違いは?

「一日葬」という葬儀形式について、最近耳にする機会が増えました。一日葬について「デメリットは何か」「一般葬とはどこが違うだろう?」といった疑問や、「一日葬にしたら、親戚から何か言われないか?」と不安を感じる方もいらっしゃるのではないでしょうか。

そこで今回は、一日葬の特徴や、一般葬や家族葬との違いについて、メリット・デメリットも含めてわかりやすく解説します。一日葬を検討している方は、ぜひ参考になさってください。

1.一日葬の特徴

一日葬の特徴

一日葬とは、通夜を省略し、葬儀・告別式から火葬までを1日の中で行うお葬式を指します。

通常のお葬式では、1日目に通夜を行い、翌日に葬儀・告別式と火葬を実施するのが一般的です。そのため一日葬の最大の特徴は、「通夜を行わない」点にあります。

一日葬が、家族葬や一般葬とどう違うのかについては、次項より詳しく解説します。

2.コロナ禍より後の葬儀・一日葬の傾向

一日葬が広まった背景には、新型コロナウイルス感染症が拡大したことが大きく影響しています。

感染リスクを抑えるため、多くの人が集まって長時間過ごす通夜を含む従来の2日間葬儀から、通夜を省略し1日で終わらせる一日葬へと移行するケースが増えました。花葬儀でもコロナ禍以降、一日葬を選ぶ方が増えました。

しかし、今後もこの傾向が続くかは不確かです。ここで、株式会社鎌倉新書が2022年に調査した「もしコロナ禍ではなかったとしたら行いたかった葬儀の種類」をご紹介します。

第5回お葬式に関する全国調査(2022年)

出典:第5回お葬式に関する全国調査(2022年)
調査主体:株式会社鎌倉新書
調査期間:2022年3月11日(金)~3月13日(日)
調査対象:2020年3月~2022年3月に喪主(または喪主に準ずる立場)を経験したことのある、日本全国の40歳以上の男女
有効回答数:1,955件
https://www.e-sogi.com/guide/46028/

上記のグラフから、「コロナ禍でなければ、一般葬や家族葬を行いたかった」とする方が多いことがわかります。そのため、コロナが落ち着いてきた今後は、一日葬が減少するかもしれません。

3.一日葬と家族葬・一般葬・火葬式の違い

一日葬の特徴について説明したところで、ここからは一日葬と他の葬儀形式との違いについて、詳しく解説します。

一日葬とその他の葬儀形式で行うことの違い

一日葬と家族葬・一般葬・火葬式で行うことと、行わないことを下の表にまとめました。

記号の意味は以下の通りです。
・「〇」行うこと
・「×」行わないこと
・「△」ご遺族の意向によって行うか行わないかを決める

一日葬 家族葬 一般葬 火葬式
搬送・安置
納棺
通夜 × ×
通夜振る舞い × ×
葬儀・告別式 ×
出棺
火葬
精進落とし ×

なお、「家族葬」「一般葬」などの形式には、厳格な定義はありません。それぞれの葬儀形式の意味や、一日葬との違いについて、次項より詳しく説明いたします。

家族葬との違い

家族葬は、ご家族や故人様の親しい友人・知人による比較的小規模な葬儀の総称です。通常、家族葬では、通夜を1日目に行い、葬儀・告別式、火葬を2日目に行います。

一日葬と家族葬の主な違いは、一日葬では通夜や通夜振る舞い(通夜における食事の席)を行わない点にあります。ただし、家族葬を1日で完結させた場合は、一日葬とも呼ばれます。

家族葬については、「家族葬の参列者の範囲や人数、流れ」についての記事をご覧ください。

一般葬との違い

ご親族や近い友人に加え、より招く範囲が広い葬儀形式を一般葬と呼びます。一日葬が一般葬と違う点は、やはり通夜、通夜振る舞いを行わないことです。

一般葬も家族葬と同様に、通常、通夜を1日目に行い、葬儀・告別式、火葬を2日目に行います。

火葬式との違い

火葬式は直葬とも呼ばれ、火葬のみを行う葬儀形式です。一日葬では、通夜や通夜振る舞いを実施しない点は火葬式と共通していますが、葬儀・告別式を行うことが大きな違いです。

また火葬式では、通常は精進落とし(忌明けに振る舞う食事)は行いませんが、一日葬ではご遺族の意向によって、行うか行わないかを決めます。

4.一日葬のメリット

ここからは、一日葬を行うことのメリットについてご説明します。

時間・費用を抑えられる

通夜を省略することで、ご遺族は通夜や通夜振る舞いの心配が不要となります。葬儀が1日で完結するため、時間的な負担も軽くなります。通夜振る舞いに必要な費用がかからないほか、参列者が少なめになることで返礼品にかかる費用も節約できます。

家族葬における「通夜をした場合」「しない場合」の費用の違い」については、家族葬のお通夜の記事でも解説していますので、参考になさってください。

ご遺族・参列者の体力的・精神的負担を減らせる

一日葬は葬儀から火葬までが1日で終わるため、ご遺族や参列者の体力的・精神的負担が軽減されます。特に高齢の方にとっては、葬儀の期間が短縮されることで体力的な負担が少なくなるため、大きなメリットになるでしょう。

また、遠方からの参列者にとっても、日帰りが可能となったり、宿泊の必要日数を減らしたりできるため、精神的・体力的な負担軽減になります。

5.一日葬のデメリット・注意

一日葬のデメリット・注意

一日葬にはさまざまなメリットがある一方で、デメリット・注意点もあります。

寺院に反対されることがある

一日葬は、本来あるはずの通夜を省略する葬儀形式であるため、檀家(だんか)として所属する菩提寺がある場合、寺院から反対されることがあります。菩提寺の許可なしに一日葬を行った場合には、菩提寺との間で大きなトラブルに発展する可能性もあります。

参列できない方が増える可能性がある

一日葬の葬儀・告別式は、日中に行われます。夕方の弔問しやすい時間帯に通夜を行わないため、故人様との最後の別れの機会を逃す方が出る可能性があります。葬儀に参加したいと思っていたが、都合で参加できなかった方々が多い場合は、後日、弔問を希望される方への対応が必要になることがあります。

なお、家族葬は主に親族や近い縁者だけで行われるため、参列できない方に対する懸念が比較的少ないものです。この点から、一日葬は家族葬に適した形式であるといえるでしょう。

1日で火葬まで終えても費用は半減しない

一日葬を行っても、多くの場合、会場費は通常の葬儀と同じく2日分が必要となります。通夜を省略したとしても、故人様は葬儀の前日から式場に安置されることが一般的であるため、式場使用料が2日分発生するからです。通夜に関わるおもてなしの費用を除く「葬儀全体の費用」は、大きく変わりません。

従って、通夜を含む葬儀と比較して、一般葬の費用が大幅に安くなるとは限らないことを理解しておく必要があります。

故人様とゆっくりとお別れができないことも

通夜を実施する場合、故人様とじっくりとお別れの時間を持つことができます。夜を共に過ごしながら、故人様への思いを静かに馳せることが可能です。

しかし、通夜を省略した一日葬では、葬儀・告別式から火葬までを1日で完結させるため、進行が慌ただしく感じることがあります。そのため、「故人様とお別れをする時間が十分に取れなかった」と感じる可能性もあるでしょう。

ご親族の了承を得られないことがある

「通夜・葬儀を2日かけて行うのが一般的」だと思っているご親族の中には、通夜を省略した葬儀に対して、納得していただけないことがあります。

また、一日葬は比較的新しい葬儀のスタイルであることから、葬儀・告別式を行わずに火葬のみを行う火葬式と混同されることもあるかもしれません。

6. 一日葬のデメリット対応策

一日葬にはデメリットもありますが、適切な対応策を講じることで、滞りなく実施することができるようになります。
以下に、一日葬のデメリットへの対応策をご紹介します。

菩提寺がある場合は事前に相談

菩提寺があって檀家になっている場合には、一日葬を行いたい旨を菩提寺に相談しましょう。最近では、一日葬に対して寛容な寺院も増えているため、賛同を得られることもあります。

避けるべきは、相談をせずに一日葬に決めてしまうことです。このような場合には、菩提寺との間で大きな問題が生じかねませんので、必ず事前に相談することをおすすめします。

見積もりを取り、葬儀全体でかかる費用を確認

一日葬を計画する際は、相場を理解し、適切な費用感を持つことが大切です。そのためにも、葬儀社から見積もりを取り、葬儀全体でかかる費用を確認しましょう。

葬儀社ごとに様々な一日葬のプランがありますが、見積もりではプラン内の費用だけでなく、追加料金が発生する可能性も考慮することが大切です。返礼品などの変動費は幅がありますし、戒名料や僧侶へのお礼(お布施)など、別途必要となる費用もあります。これらの費用も含めて葬儀社に相談し、葬儀にかかる総費用を把握しましょう。

なお、ご家族が亡くなってから慌てて葬儀社を探すと、冷静な判断ができないものです。ご不安な場合は、葬儀社による事前相談を利用し、見積もりを出してもらうのもよい方法です。

ご親族の了承も大切

事前に了承を得ずに一日葬を実施すると、「通夜を省略するのは故人に対して不敬だ」といった不満が親族間で生じ、トラブルの原因となることもあります。

一日葬を選択する際には、例えば「高齢者の参列者にかかる負担を軽減したい」など、その理由をご親族にしっかり説明し、了承を得ておくとよいでしょう。

7.メリット・デメリットを踏まえ、一日葬に向いているケースは?

一日葬は、以下のような場合に向いています。

・体力的な負担が心配な高齢のご遺族・参列者が多い場合
・遠方から来る参列者が多い場合

伝統的な2日間のお葬式と比較して、それぞれの方の体力的・時間的な制約を考えなくてもよくなる点が、大きなメリットです。

通夜を行わない一日葬でも、葬儀の儀式そのものはきちんと執り行うことができるため、故人様とのお別れを無理なく、かつ尊重した形で行いたい場合の選択肢のひとつとなるのではないでしょうか。

8.一日葬の流れ

一日葬の流れ

こちらでは、一日葬の流れを簡単にご紹介しますので、一日葬を行うかどうかの検討材料としていただければ幸いです。

1.納棺
安置している場所で、故人様を棺に納める。この時、納棺の儀を行う場合もある。

2.葬儀・告別式
通常の葬儀と同様に、僧侶による読経や、ご遺族による焼香などを行う。

3.出棺
喪主様とご遺族は、霊柩車とともに火葬場へ移動。

4.火葬
火葬に立ち会い、火葬後、遺骨を骨壺に納める。

5.精進落とし
喪主様が、故人様を供養しつつ参列してくださった方々に食事を振る舞う。
※精進落としが行われない場合は、火葬場で解散となる。

一日葬の流れをより詳しく知りたい方は、「一日葬の流れは?」で詳細に解説しておりますので、参考になさってください。

9.一日葬のデメリットに関するQ&A

A.一概には言えませんが、一日葬の場合、参列者が少なく、結果として香典の額も少なくなることが多いため、葬儀全体での支出は、大きく変わらないこともあります。

一日葬では、通夜にかかる食事や返礼品に関する費用は節約できますが、式場使用料は通常の葬儀と同様に2日分かかります。棺や祭壇などの基本的な費用も、通夜を含む葬儀と変わらないため、費用が大幅に削減されるわけではありません。

そのため、一日葬を選択しても、一般葬や家族葬に比べて費用が大きく減るとは限りません。

A.決して親不孝ではありませんので、ご安心ください。

一日葬には、高齢のご遺族や遠方から参加する方の負担を軽減したり、通夜の費用がかからなくしたりするメリットがあります。

一日葬を選ぶ理由を丁寧に説明することで、理解を得やすくなるはずです。一日葬についてご不安のある方は、どうぞ花葬儀へご相談ください。

A.一日葬の葬儀を行いたいときには、次にご紹介するポイントで葬儀社を選ぶとよいでしょう。

・すぐにプランの話をするのではなく、一日葬のデメリットもしっかりと説明してくれる
・菩提寺とのやりとりなど、不安点について詳細にアドバイスをしてくれる
・内訳も明記した葬儀費用の見積もりを提出してくれる(追加になる可能性のある費用も含めて)

亡くなった後に慌てて葬儀社を探すと、選択肢が限られるなど、悔いの残る葬儀になる可能性があります。事前に情報収集を行い、面談などを行うことで、信頼できる葬儀社を見つけることができるはずです。

10.一日葬はデメリットとメリットを知り、納得した上で行いましょう

一日葬はデメリットとメリットを知り、納得した上で行いましょう

葬儀の形式が多様化する中で、一日葬を選ぶ方が増えています。しかし、単に「1日の葬儀だから安くすみそう」「お通夜が無いから楽かもしれない」などの理由から安易に決めてしまうと、後悔する可能性があります。

一日葬には、デメリットもあればメリットもあります。大切な故人様とのお別れの儀式ですから、それらを十分に理解し、納得した上で選択すれば、悔い無く心に残る葬儀となるのではないでしょうか。

花葬儀では、葬儀に関する事前相談を承っております。一日葬に関しても、経験豊富なプランナーがお話をお伺いし、メリット・デメリットも含めてご説明いたしますので、どうぞお気軽にご相談ください。

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