弔い上げとは?タイミング、流れ、事前準備や服装も解説

弔い上げとは?タイミング、流れ、事前準備や服装も解説

「弔い上げをいつにするか」「弔い上げをするための準備」は、ご家族内で相談して決めるのが一般的です。弔い上げがどのようなものかをしっかりと理解していないと、最適なタイミングを逃したり、必要な手配が漏れたりというような失敗に繋がってしまうかもしれません。

そこで今回は、弔い上げのタイミングや一般的な流れ、事前準備などについて解説します。ぜひ最後までご一読ください。

1.弔い上げの意味

弔い上げとは、故人様のために行う最後の追悼儀式を指します。「問い切り」「問い上げ」などとも呼ばれます。弔い上げを行った後は、法要のような形式的な儀式は通常、行いません。

例えば、浄土真宗以外の仏教では、弔い上げによって、故人様の魂は「個人」としての供養を終え、仏様として信奉されるようになります。このため、個別の法要を執り行わなくなります。

なお弔い上げは、年忌法要(※)など、節目の年の追悼儀式で行うのが一般的です。弔い上げのタイミングは、宗教・宗派によっても異なります。詳しくは次の項をご覧ください。

※年忌法要:亡くなった日から一定の年数が経った祥月命日(しょうつきめいにち:命日の同月同日)に行われる仏教儀式。

2.弔い上げの宗教・宗派別のタイミング

こちらでは、宗教・宗派別による、一般的な弔い上げのタイミングをご紹介します。
以下の内容を参考に、ご家族内で弔い上げをいつ行うかを決めるとよいでしょう。

仏教(浄土真宗以外)の弔い上げのタイミング

仏教の年忌法要は、下記の表のように百回忌まであります。しかし、故人様の法要を没後99年目まで行うことは、一般的には難しいでしょう。

そのような事情もあり、多くの宗派において、三十三回忌、もしくは五十回忌をひとつの区切りとして弔い上げをするようです。この時期には、故人様の魂は浄化され極楽浄土に至り、仏様になると考えられています。

なお、浄土真宗では「死後の魂はすぐに極楽浄土に行く」という教えを持つため、法要は故人様の冥福を祈るものではなく、故人を偲ぶ儀式として行われます。そのため、弔い上げの概念自体がありません。

【法要の代表的な種類】

忌日法要 年忌法要
名称 時期 名称 時期
初七日法要
(しょなのかほうよう)
死後7日目 一周忌法要 死後1年目
二七日法要
(ふたなのかほうよう)
死後14日目 三回忌法要 死後3年目
三七日法要
(みなのかほうよう)
死後21日目 七回忌法要 死後6年目
四七日法要
(よなのかほうよう)
死後28日目 十三回忌法要 死後12年目
五七日法要
(いつなのかほうよう)
死後35日目 二十三回忌法要 死後22年目
六七日法要
(むなのかほうよう)
死後42日目 二十七回忌法要 死後26年目
四十九日法要
(しじゅうくにちほうよう)
死後49日目 三十三回忌法要 死後32年目
百箇日法要
(ひゃっかにちほうよう)
死後100日目 五十回忌法要 死後49年目
新盆
(にいぼん/はつぼん)
四十九日後の死後初めて迎えるお盆 百回忌法要 死後99年目

神道の弔い上げのタイミング

神道では、法要のことを「霊祭(れいさい)」「御霊祭り(みたままつり)」などと呼びます。亡くなった日の翌日以降から忌明けとなる五十日目の「五十日祭」まで霊祭を行った後、年忌法要にあたる「祖霊祭(それいさい)」へと続きます。

神道の弔い上げは「まつりあげ」と呼ばれ、タイミングは、命日から30年後、50年後にそれぞれあたる「三十年祭」「五十年祭」とするのが一般的です。まつりあげ以降、故人様の御霊は家の守り神として祀(まつ)られます。

キリスト教の弔い上げのタイミング

死後の魂は神のもとに召されると考えるキリスト教には、仏教や神道のような年単位の法要がないため、弔い上げという儀式もありません。

日本の慣習にならって弔い上げをする場合は、故人様を追悼する儀式である「追悼ミサ」や「記念式」に合わせるか、別の日程で調整するかを自由に決めることができます。

無宗教の弔い上げのタイミング

無宗教には法要などの決まった行事がないため、そもそも弔い上げをする必要がありません。

祥月命日や都合の良い日程で、故人様を偲ぶ会や食事会などの機会を設け、好きなタイミングで区切りをつけても差し支えないでしょう。

3.近年は弔い上げのタイミングを早める傾向に

近年は弔い上げのタイミングを早める傾向に

宗教・宗派ごとの一般的な弔い上げの時期をご紹介しましたが、最近では、より早いタイミングで弔い上げとする傾向にあります。

弔い上げを早める現代の事情

弔い上げを早める背景には、さまざまな事情があります。

【弔い上げを早める理由例】
・法要を続けるための金銭的余裕がない
・法要の参列者が高齢になり、集まるのが難しくなった
・故人様との関係が薄い身内だけになってしまった
・遠方に引っ越してしまい、日程の都合がつかなくなった
・災害によってお墓を失った
・身内の不幸が続き、法要の回数が増えた

また、現代的な事情として、「少子化社会ならびに平均寿命の高齢化」も挙げられます。故人様も、見送るご家族も高齢の場合、そこから三十三回忌まで法要を続けることは現実的とは言えません。こうしたことから、弔い上げを早めるケースが増えているのです。

弔い上げは早めてもよい

前の項でも触れたように、弔い上げの時期に決まりはありません。そのため、一般的とされる三十三回忌や五十回忌よりも、早いタイミングで弔い上げをすることも可能です。

早めの弔い上げとしては、十三回忌が目安とされることもありますが、三回忌や七回忌を選ぶ方もいらっしゃいます。

ただし法要は、故人様の供養だけではなく、ご親族が集まるよい機会でもありますので、ご家族内でよく話し合ってから弔い上げをするか決めるようにしましょう。

4.弔い上げで事前に準備すべきこと

弔い上げで事前に準備すべきこと

弔い上げは故人様に対する最後の法要となるため、盛大に営むこともあります。通常の法要と比べて準備も大がかりになることが予想されますから、遅くとも弔い上げとなる法要の2~3か月程前から動き始めるのが理想です。

こちらでは、弔い上げを行う施主様が行う事前準備について、ご紹介します。

場所の確保

弔い上げを行う法要の日程、参列者の範囲、法要全体の規模をご家族内で相談し決めてから、法要を行う場所を確定させます。

法要を行う場所には、以下のような選択肢があります。
・菩提(ぼだい)寺などお付き合いのある寺院
・法要を執り行うことのできる斎場
・ご自宅など

会場選びのポイントは、「広さ」「交通の便」「予算」を考慮することが重要です。また、遠方からの参列者やご高齢の方、体の不自由な方がいる場合は、バリアフリー設備や必要とするサービスの有無も視野に入れます。時期によっては会場に空きがない可能性もあるため、複数の候補を挙げておくと安心です。

また、法要の後に会食を開催する場合は、法要の会場とは別に確保する必要があるかの確認も忘れずに行ってください。

読経供養の依頼

読経供養の依頼を僧侶に行います。菩提寺があれば菩提寺に、なければ近隣の寺院や、葬祭業者、またはインターネットから依頼することも可能です。年末年始やお盆、お彼岸は依頼が立て込み、僧侶の都合がつかないこともあります。会場の確保と同様、遅くとも弔い上げの2~3か月前までには依頼しておきましょう。

参列者への案内

弔い上げとなる法要の日程と会場が確定したら、参列者へ連絡をします。案内状の送付が正式な作法となりますが、近親者のみの小規模な法要では、電話やメールなどで連絡を済ませることもあります。

参列者への案内では、以下の内容を伝えましょう。
・法要の日程、場所
・参列時の服装
・法要後の会食の有無
・施主様の連絡先

必要に応じて駐車場の有無や、会場までの地図があるとより丁寧です。また、ご香典を辞退する場合は、その旨の記載も忘れずに行いましょう。

花葬儀では、案内状のリスト作成も承っております。ぜひお気軽にご相談ください。

会食の手配

法要後の会食で出される食事は「お斎(おとき)」と呼ばれ、一派的には懐石料理や弁当が主流です。ただし、宗派や地域によっては食事の内容に決まりがあることもあるため、不安な場合は、年長者に確認することをおすすめします。

会食を手配する際は必ず「法要のため」であることを伝えます。参列者の中に食事アレルギーを持つ方がいる場合は、必ずその旨も伝えましょう。

引き出物の用意

法要の参列者へは、引き出物を渡すのが通例です。

引き出物の相場は「いただいたお香典の金額の約半分」、会食がある場合は「会食にかかる費用も含めて約半分」を用意するのが基本とされています。会食を振る舞い、その場で引き出物を渡す場合は、受け取ったお香典の金額をその場で確認することはできないため、おおよそ2千円~5千円相当の品物を準備するところが多いようです。

引き出物は、日持ちがよく軽い「消えもの」が良いとされます。タオルや焼き菓子、カタログギフトなどを渡すことが一般的です。品物には黒白または双銀の水引がついた「のし」をかけ、表書きは「志」などとします。

5.弔い上げの一般的な流れと注意点

こちらでは、弔い上げの流れと注意点についてご紹介します。
なお、こちらで取り上げる内容はあくまでも一般的なものであり、宗派や地域の慣習よって異なる場合もある点にご留意ください。

弔い上げの一般的な流れ

弔い上げは、通常の法要と同じように以下の流れで進行します。

1.僧侶入場
2.施主様による始まりの挨拶
3.僧侶の読経
4.ご参列者の焼香
5.僧侶の法話
6.施主様による終わりの挨拶
7.会食(お斎)

※菩提寺で行う場合は、このほかに「お墓参り」が組み込まれることがあります。

施主挨拶では、これが最後の年忌法要であることをしっかりと伝えましょう。通常の法要では会食(お斎)が省略されることもありますが、弔い上げでは用意されるケースがほとんどです。

用事があるからと会食を欠席するのはマナー違反となりますから、やむを得ない事情によって最後まで参加が難しい場合は、飲み物や食べ物を一口いただいてから退席するようにします。

【注意】魂抜きの必要がないか確認

仏教(浄土真宗以外)の教えでは、弔い上げを終えた後、故人様の魂は位牌から離れ、ご先祖が祀られる位牌へと移ります。この過程で、故人様の位牌を処分するのが通例です。

位牌の処分前には、位牌から故人様の魂を抜くために「魂抜き(閉眼供養とも呼ぶ)」を行います。

魂抜きには、僧侶による読経が必要となるため、弔い上げの時に魂抜きもまとめて行うケースが増えています。どのタイミングで行うにしても、寺院側へ依頼をしなくてはなりませんから、事前に魂抜きを行うか、弔い上げで行うかは前もって決めておきましょう。

6.弔い上げに参列する服装

弔い上げに参列する服装

最後の法要である弔い上げは、供養の大きな節目となるため、身だしなみには特に気を遣わなければなりません。
弔い上げに参列する際の服装について解説します。

弔い上げを行うご遺族の服装

弔い上げを行うご遺族は、喪服もしくは準喪服を着用しましょう。それまでの法要が平服だったとしても、最後の年忌法要では喪服で赴くのがマナーです。

準喪服の場合、男性はブラックフォーマルスーツ、女性はブラックフォーマルのワンピースやアンサンブルを着用します。靴や鞄、髪型、化粧などは、葬儀に参列する時と同様のマナーを心がけてください。

法要における服装や身だしなみについては、「法要のマナー」で確認できますので、参考になさってください。

弔い上げに招かれたご参列者の服装

弔い上げに招かれた参列者も、服装はご遺族と同様、喪服を着用します。参列者がご遺族よりも格式の高い喪服を着てしまうことはマナー違反となるため、案内状に平服が指定されていた場合はその指示に従います。カジュアルな装いにならないよう注意してください。

参列者の服装に関しては、それぞれの家や宗派によって考え方が異なることもあります。案内状に服装の指定がなく、不安な方は、施主様に確認をとりましょう。

7.弔い上げのお布施の相場

弔い上げでは、来てくれた僧侶にお布施を渡します。弔い上げでお包みする一般的なお布施の相場は、以下を参考になさってください。

【弔い上げのお布施の相場】

名目 金額 補足
お布施 3万円程度
お車代 5,000円~1万円 会場までの往復の交通費を参考にしましょう。
御膳料 5,000円~1万円 法要後の会食を僧侶が辞退した時に渡します。

お布施の金額は、法要の規模や宗派、お寺の格式によって異なります。「いくら包んだらよいか悩む」という方は、「【最新】葬儀のお布施の相場」でも詳しく解説しておりますので、参考になさってください。

8.弔い上げのあとにすること

弔い上げが済んだ後に行うことについて、ここから詳しくご紹介します。

位牌の片付け

魂抜きをした位牌を片付けます。弔い上げ後の位牌は、寺院でお焚き上げをしてもらうのが一般的です。

最近は弔い上げの時に魂抜きも合わせて行うケースが増えていますから、その場で僧侶にお焚き上げを依頼してもよいでしょう。

仏壇の整理

位牌の片付けが終わったら、仏壇の整理をします。供養する他の仏様がいない場合は、仏壇を処分することもあるでしょう。仏壇を片付ける前に、位牌と同じように魂抜きの儀式を行うこともあります。

仏壇を処分する方法には、以下のような方法があります。

・菩提寺もしくは仏具店に処分を依頼する
・粗大ゴミに出す
・不用品回収に出す

なお、浄土真宗には「弔い上げ」の考えはありませんが、仏壇を処分する際にはご本尊(仏様)に対し、遷座法要(せんざほうよう)を行います。

永代供養などの手続き

弔い上げ後も、故人様のお墓に参ることはできますが、「後継ぎがいない」「高齢でお墓の管理が難しい」などの事情によっては、永代供養などに切り替えることもあります。

永代供養墓とは、故人様の身内に代わり、寺院などがご遺骨の供養・管理を行うことを指します。既存のお墓を永代供養にすることも、お墓からご遺骨を取り出し、合祀墓(ごうしぼ:複数のご遺骨をまとめて埋葬するお墓)に埋葬し供養してもらうことも可能です。

ただし、永代供養には費用が発生し、金額も寺院ごとに異なります。合祀墓に移した場合、ご遺骨は一切取り出すことができなくなる点に注意してください。お墓の管理をどのようにしていくかも含め、ご家族内でしっかりと話し合ってから決定しましょう。

合祀墓についてさらに詳しく知りたい方は、「合祀墓の埋葬方法・費用は?メリット・デメリットも解説します」をご覧ください。

9.弔い上げに関するQ&A

ここでは、弔い上げに関するよくある質問と、それに関する回答をご紹介します。

A.弔い上げのない宗教宗派であれば、必ずしも必要ではありません。また、弔い上げを早めに行うこともできます。

弔い上げは故人の魂が極楽浄土へ行き、仏様となる大切な儀式ですが、これは仏教の一部の宗派による考えです。弔い上げの慣習のないキリスト教や無宗教では、弔い上げをする必要はありません。

また、一般的に弔い上げを行う三十三回忌や五十回忌まで法要を行うことが難しい場合は、それより早い段階で弔い上げをすることもあります。

A.可能ですが、家族内でよく話し合ってから決めましょう。

これまでご紹介してきたように、一般的なタイミングよりも早く弔い上げをするケースは増えており、早めること自体は問題ありません。中には忌明けとなる四十九日法要をもって弔い上げとするご家族もいらっしゃるでしょう。

ただし弔い上げをすると、位牌や仏壇を片付けたり、永代供養を選択し合祀墓にご遺骨を移したりなどの流れへと移行します。全てを手配した後に「やっぱりやめておけばよかった」とならないよう、早めに弔い上げをすることついてはご家族内でしっかりと話し合うことをおすすめします。

A.できるだけ魂抜きをすることをおすすめします。

弔い上げをした後の位牌は、故人様の魂が安心して仏様になれるよう、魂抜きをするのが一般的です。位牌のみの処分を受け付けている専門業者にも、魂抜きをしたかどうかを聞かれることが多いです。もし迷われる場合は、お付き合いのある寺院や葬儀社に相談することをおすすめします。

A.可能です。

「母の三十三回忌と父の五十回忌のタイミングがほとんど同じだった」「後継ぎがおらず、両親の法要をこれ以上続けることができない」などの理由がある場合、ほかの故人様の法要と一緒に弔い上げをしても問題ありません。

施主様が法要を続けられない事情がある場合は、弔い上げをまとめて行う選択肢も加えましょう。

A.可能ですが、弔い上げ済みなら自分たちでの法事・法要は不要と考えましょう。

永代供養になったお墓へは、寺院や霊園が回忌供養や月命日などの節目に供養をする他、別途ご家族の要望に応じて法事・法要を執り行うこともあります。

ただし、弔い上げをしている場合は、以降の追善供養を不要とするのが一般的な考えです。永代供養後もなるべく自分たちで法事・法要を手掛けたいと思う場合は、弔い上げはせず永代供養の手続きをしたほうがよいでしょう。

10.弔い上げをする前に、ご家族内でよく相談を

弔い上げは、それまでの法要と比べて盛大に行うのが一般的です。弔い上げ以降は追善供養がなくなり、仏壇の片付けや永代供養の手続きへと移ることもあります。

弔い上げを考えた際には、「このタイミングでよいのか」「どのように準備を進めたらよいのか」を必ずご家族内で話し合い、それぞれの事情や慣習を考慮して、柔軟に対応しましょう。

花葬儀では、もしもの時のサポートや安心のためのサービスを兼ね備えた会員制度「リベントファミリー」をご用意しております。法要やご位牌、お墓についてのお悩みも承っておりますので、まずはお気軽にお問合せください。

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