葬儀で互助会を利用するメリットは?デメリット・対応策もご紹介

葬儀で互助会を利用するメリットは?デメリット・対応策もご紹介

葬儀について考えたとき、「互助会」というシステムを聞いたことはないでしょうか。突然やってくる葬儀の費用を準備するために、互助会への加入を検討する方もいらっしゃいます。

今回は、互助会の基本的な仕組みや、葬儀で利用するメリット、デメリットを詳しく解説します。互助会の利用で、「想定と違った」とならないための対応策にも触れていますので、加入を検討している方は、ぜひ参考になさってください。

1.互助会は今や葬儀費用を積み立てる組織

互助会とは「冠婚葬祭互助会」の略で、冠婚葬祭の儀式の費用に備えるために設立された組織(システム)です。

ただし、昨今は結婚式のためにお金を積み立てる方が少なくなり、特に葬儀費用の積み立てに焦点を当てているようです。

互助会は、経済産業大臣から審査を受け許可された企業のみが運営できます。また、互助会の8割が、業界団体である一般社団法人全日本冠婚葬祭互助協会(全互協)に加盟しています。

互助会の歴史は長く、終戦後に物資が不足して人々が貧しい生活を送る昭和23年、「相互扶助(そうごふじょ)」の精神の元に初めての互助会が設立しました。儀式で使用する衣装や祭壇などを皆が少しずつお金を出し合って購入し、全員で大切に使ったことが始まりです。

ただし、互助会は公的組織ではなく、あくまで営利目的の民間企業が運営する組織だということを理解しておきましょう。

2.互助会の仕組み

互助会の仕組み

互助会の仕組みとは、どのようなものなのでしょうか。
ここでは、互助会を葬儀に利用したい場合を例に挙げ、解説していきます。

掛け金を毎月一定額積み立てる

互助会の一般的な仕組みは、会員が、葬儀に必要な基本的なものがセットになったプラン(契約金額)を選択し、一定額の掛け金を定期的に積み立てるというものです。

通常、掛け金は月々1,000円~5,000円ほどで、積立期間は60回(5年)~120回(10年)ほどです。

たとえば、360,000円を120回(10年間)で積み立てるプランを一口選んだ場合、毎月の掛け金は3,000円になります。

プランに含まれるサービスには、以下のようなものがあります。

・通夜料理
・式場使用料
・寝台車
・霊柩車
・納棺など

ただし、互助会やプランによってサービスが異なるため、事前に内容を比較し、検討することが大切です。

積み立てた金額はサービスの一部に充てられる

「月々に一定金額を積み立てる」というと、保険や共済を思い浮かべる方もいるかもしれません。しかし、保険などは特定の条件下で積み立てた金額を現金で受け取るのに対し、互助会では契約額に応じたサービスで受け取ります。

互助会で積み立てた金額は、葬儀のサービスの一部に充てられます。ただし、式場のランクアップやオプション費用、参列者の人数で変動する食事や返礼品などにかかる費用は、別途用意しなければなりません。

互助会の積立期間は5~10年ほどと長いため、契約者が積み立ての途中で亡くなってしまう場合もあります。その際は、契約したプランの未入金額を一括で支払えば、サービスを受けることができます。

なお、銀行の預貯金とは異なり、互助会の積立金額には利息が付かないことにも留意しておきましょう。

家族全員がサービスの対象になる

多くの互助会では、会員と同居のご家族全員が、契約されていたプランのサービスを受けることが可能です。

たとえば、夫が互助会に加入した場合、妻の葬儀においても、積み立てていた葬儀プランのサービスを利用することができるのです。

また、同居していないご家族でも、申請を行うことで、サービスの利用対象にできることがあります。

互助会の権利は家族や友人に譲渡可能

互助会の会員が積み立てたサービスの権利は、名義変更の手続きを行うことで、家族や友人に譲渡できます。たとえば、互助会に加入している兄が、家族のいない弟に葬儀のサービスを受け取る権利を譲ることも可能です。

ただし、互助会によっては、名義変更で権利を譲渡できる家族や友人の範囲を決めているところもあるので、気になる方は事前に問い合わせて確認しましょう。

3.互助会の葬儀のメリット

互助会の仕組みについてご説明したところで、ここからは、互助会の葬儀のメリットについて解説していきます。

掛け金を葬儀費用の足しにできる

葬儀は予期せぬタイミングで行わなければならないことが多く、高額な費用がかかることもあります。そのため、準備をしておかなければ、費用を工面が困難になるケースもあるでしょう。互助会に加入しておくと、掛け金を葬儀費用の足しにすることができます。

互助会の積立金は、月額1,000円~と比較的少額であるため、少ない負担で葬儀にかかる費用を積み立てることが可能です。ご自身が亡くなったときに、ご遺族の負担を少しでも軽くしたいとの思いから、加入する人もいるようです。

互助会が提携する斎場などを会員価格で利用可能

互助会が提供する葬儀サービスでは、会員は互助会直営、または提携する斎場などを特別価格で利用できます。

互助会の提供する斎場は、広い地域をカバーしており、公営斎場や寺院斎場など、さまざまな種類があります。また、比較的設備も充実しているようです。

会員は、これらの斎場から葬儀を行う場所を選ぶことが可能です。ただし、あくまで互助会から提示された選択肢から選ばなければなりません。

4.互助会の葬儀のデメリット

互助会の葬儀にはメリットだけでなくデメリットもあるため、注意が必要です。
こちらでは、互助会を通じて葬儀を行うデメリットを解説します。

積立金だけでは葬儀費用のすべてをまかなえない

互助会の葬儀プランを契約する際は、「ほとんどの場合で、積立金だけでは葬儀費用のすべてをまかなえない」ことを理解しておかなければなりません。

互助会のメリットは、月々の積立金が低額である点ですが、それゆえに最低限の葬儀サービスしか含まれておらず、追加料金が必要になることが一般的です。

さらに、プラン総額が低い場合はサービスのグレードが低いケースが多いようです。そのため、希望通りの葬儀を行うために、追加料金を支払わなければならないこともあります。

会員特典である「特別割引価格」にも、注意が必要です。互助会の斎場を半額などで使用できると宣伝されていても、通常料金が他の斎場と比較し、高額に設定されていることもあります。そのような場合、互助会の割引後料金が他の斎場の通常料金と同程度になってしまうこともあるのです。

利用できる口数やプラン変更が制限される場合がある

互助会では、一度に利用できる口数に制限があることがあります。一度に多くの口数を利用すると、互助会が一度に大きな費用を負担することになり、互助会の財務状況に影響を及ぼす可能性があるなどの理由が推察されます。

また、契約時のプランのサービスは、物価変動などがあった場合にも内容の保証がされていますが、あとでプラン変更をすることは基本的にできません。

そのため、契約者が亡くなったときに、遺族が必要としないサービスが含まれている場合でも、使用しなかった分のサービスは返金されません。

このように、互助会の葬儀プランには一定の制約があるため、その制約を理解した上で加入することが重要です。

解約手数料が高額になることがある

互助会の解約には、手数料が発生します。解約手数料は互助会によって異なりますが、10%~20%程度であることが多いようです。この解約手数料が高額過ぎるという不満から、訴訟になったケースもあります。

消費者契約法では、冠婚葬祭事業者の定める高額な解約手数料が「平均的な損害の額」を超える場合、その解約返戻金条項は無効になるとされています。しかし、この「平均的な損害の額」の基準は明確なものではありません。

2015年の大阪高等裁判所の判決では、事業者の解約返戻金条項が適用停止された一方、2016年の福岡高等裁判所の判決では事業者側の主張が認められました。

このことからも、互助会入会にあたっては、実際に葬儀を行う場面を想定し、しっかりと検討することが重要であると言えるでしょう。

互助会そのものが倒産するリスクもある

互助会は公的なシステムではないため、経営破綻に陥る可能性があります。もし入会した互助会が破綻した場合、経済産業大臣が指定する受託機関が積立金の半額を保障し、現金で返金します。

しかし、これは言い換えると「積立金の半分しか保証されない」ということです。そのため、破綻のリスクも考慮して互助会を選ばなければなりません。

5.互助会の葬儀でトラブルを避ける事前策は?

互助会を利用して葬儀を行いたいと思った場合には、契約前に、互助会の仕組み・規約を十分に理解することが大切です。こちらでは、思わぬトラブルを防ぐための予防策をご紹介しますので、参考になさってください。

積立金額に見合ったサービスかどうか検討する

互助会の葬儀に対する不満として多いのが、「積立金額に見合ったサービスが受けられなかった」というものです。

互助会の葬儀プランの値段は、提供されるサービスのトータル金額で提示されているため、どのサービスがプランに含まれるかを確認しておく必要があります。プラン外のサービスを利用する場合は、追加で費用がかかります。

プランに含まれるサービスの具体的な内容を把握し、積立金額に相応する葬儀ができるかをしっかりと確認しましょう。

解約手数料・解約手続きを契約時によく確認する

互助会を契約する際に注意すべきは、解約手数料です。互助会の葬儀のプランを契約した場合、通常は、掛け金が全額現金で戻ってくることはありません。そのため契約時には、解約手数料や解約手続きの方法について、約款などでよく確認しておくことが重要です。

プラン解約時には、積立金から約款に定められた計算方法で解約手数料が差し引かれます。満期を迎えていても、解約すると解約手数料が発生するのが一般的です。

万が一解約した場合の払い戻し金額を、あらかじめシミュレーションしておくとよいでしょう。

なお、互助会解約の流れについては、「互助会解約の手続き」でも解説しておりますので、ぜひご一読ください。

互助会、葬儀社も含めて複数サービスを検討し納得して決める

葬儀をどこに依頼するのかは、互助会だけでなく、葬儀社も含めて複数のサービスを検討し、納得したうえで決めることが大切です。

互助会では、契約の際にプランを決めておくため、実際のサービスの選択肢が限られることが多いです。一方、葬儀社には互助会のような積立制度はありませんが、より柔軟にニーズに応じたサービスを提供できる場合があります。

なお、葬儀の依頼先の選び方については、「家族葬を任せる葬儀社の選び方は?比較検討すべきポイント」でも解説しております。互助会も含めた複数サービスを比較しておりますので、参考になさってください。

また花葬儀では、葬儀全般の疑問にお答えする事前相談を行っておりますので、葬儀への理解を深めたい方は、こちらもぜひご活用ください。

6.互助会の葬儀に関するQ&A

ここでは、互助会の葬儀に関するよくある質問と、それに関する回答をご紹介します。

A.互助会の葬儀のプランは比較的安価なものが多くありますが、最低限必要なサービスしか含まれていない場合がほとんどです。実際にはオプションのサービスを追加しなければならないこともあるため、葬儀費用全体で見たときに、葬儀社とくらべて費用が安くすむかどうかはケースバイケースだといえます。
A.各互助会の契約者本人が亡くなった場合は、葬儀のプランの権利者は、その互助会の規約や契約内容に基づいて移行します。同居のご家族や、2親等以内のご親族に権利が移行することが多いようです。

また、契約者名義の変更申請をすることで、指定した人に権利を移行できる場合もあります。

なお、契約名義人が亡くなった場合、互助会の積立金は相続財産と見なされます。そのため、葬儀社に葬儀費用を払う場合とは異なり、相続財産の控除対象とならない点に注意が必要です。

A.互助会の解約手数料は、最大で積立金額全体の約2割ほどとされています。

解約手数料は、互助会の加入の時期や加入期間、あるいは解約時の積み立て回数などによっても異なります。解約手数料の計算方法や解約の手続き方法については、契約前にしっかりと確認しておきましょう。

7.互助会の葬儀は葬儀社とも比較して慎重に決めましょう

互助会の葬儀プランは、月々の積立金額が低く手軽に始めやすいです。その一方、積立金額だけでは葬儀の全額はまかなえず、オプション追加により最終的に葬儀社のサービスと費用が変わらなくなったり、むしろ高額になってしまったりする可能性もあります。

そのため、実際の利用シーンを想定して、双方をしっかりと比較して決めることをおすすめします。自分たちに寄り添い、不安を取り除いてくれる依頼先を選ぶことで、葬儀を行うご家族全員にとって悔いの無いお別れが実現できることでしょう。

互助会は「斎場利用などを会員特別価格で提供する」と打ち出しているところがありますが、葬儀社においても、会員制度による割引プランを用意しているところは多くあります。

花葬儀でも、葬儀費用の割引や、枕花のプレゼントなどの特典があるメンバーシップクラブ「リベントファミリー」をご用意しております。互助会にご入会されている方には、無料でご案内しておりますので、ぜひ一度ご検討ください。

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