キリスト教の葬儀は一般葬とどう違う?特徴や種類について

キリスト教の葬儀は一般葬とどう違う?特徴や種類について

キリスト教の葬儀が初めてという場合、どのような葬儀を営めばよいのか、一般葬との違いが分からないという方も多いでしょう。キリスト教は主にカトリックとプロテスタントに分かれますが、死に対する考え方についてはそれぞれに特徴があるため、カトリックとプロテスタントでは葬儀の流れも異なります。この記事では一般葬との違いに触れながら、キリスト教の葬儀の流れから参列マナーまで解説していきます。

1.キリスト教の葬儀とは

キリスト教の葬儀とは

キリスト教の葬儀は主にカトリックプロテスタントに分かれます。仏教にも宗派があるのと同じように、キリスト教にも教えの異なる「教派(きょうは)」が存在します。そのため、キリスト教の葬儀はカトリックとプロテスタントという教派の違いによって、葬儀の流れや葬儀式の呼び方も異なります。

2.キリスト教の葬儀の特徴や種類

キリスト教の葬儀の特徴や種類

キリスト教において死とは神様の御許に召された日と考えます。そのため、キリスト教の葬儀には、ご遺族を慰め、故人様の魂が神のもとに召された祝福の儀式として行われるという特徴があります。仏教における一般葬は、仏教の教えである死者を供養するため「喪に服する」儀礼を重んじますが、キリスト教において命は永遠であり、肉体が滅んでも魂は天に上り生きるとされています。日本のキリスト教葬では通夜式を行う風習があり、葬儀や告別式、火葬の順で行うことが一般的ですが、カトリックとプロテスタントの教派によっても葬儀の特徴は異なります。

カトリック教葬

カトリック教とは、ローマ教皇率いるバチカン市国に総本山を構えるキリスト教派です。キリスト教のなかでも伝統儀礼を重んじる教派で、聖職者は司祭・神父と呼びます。カトリック教を信仰するには必ず教会で洗礼を受ける必要があります。死者は神に委ねられるとされ、ご葬儀は、イエス・キリストの降臨と死者の復活を願う儀式として行われます。式場は必ず教会というルールはなく、カトリック儀礼のご準備を整え、(神父様をお呼びし、クロス(布)とロザリオを持たせるなど)儀礼さえ守れば葬儀場やご自宅でもできます。葬儀と告別式は別で行いますが、必ず神父様より儀礼をしていただくのがカトリック教葬の特徴です。

プロテスタント教葬

プロテスタント教とは、宗教革命によりカトリック教から分離したキリスト教の教派です。キリスト教のなかでもプロテスタント教の葬儀はシンプルであり、伝統や厳格な儀礼をそれほど重んじません。プロテスタントにも宗派があり、葬儀のやり方も信仰する教会によって異なります。プロテスタントの教えは、死者の魂は神のもとで安らかになるとされ、葬儀は神の恵みに感謝し、神の国での再会をお祈りする儀式です。葬儀は所属する教会で行い、牧師様が司式を行います。教会で葬儀をする場合、洗礼を受けていない方でも葬儀が行えるなど、柔軟であるのも特徴です。

3.キリスト教葬における通夜・葬儀の流れ

キリスト教葬における通夜・葬儀の流れ

続いては、キリスト教葬の通夜・葬儀当日の流れを解説します。
カトリックとプロテスタントの教派によって葬儀の流れや用語は違いますので、どちらの教派なのか特徴をおさえておくと慌てずに済みます。キリスト教の葬儀はご臨終の段階で儀式が始まります。日本では火葬が原則ですので告別式から火葬の流れは一般葬と同じです。では具体的な流れを見ていきましょう。

カトリックの葬儀の流れ

キリスト教葬における通夜・葬儀の流れ

ご臨終
ご危篤になったら神父さまをお呼びし、神の許しを得るための儀式を行います。ご危篤の方の額に十字に油を塗り「病者の塗油の秘跡」を行います。その後、パンと葡萄酒を与える「聖体拝領」を行い、復活の保証を受けます。ご臨終後、神父様が罪の許しや神のご加護をお祈りします。

納棺式
カトリックの場合、ご遺体は一度ご自宅へ搬送されます。納棺式と通夜式はご自宅で神父様付き添いのもと行うのが一般的です。納棺式は十字架を故人様の手に持たせます。納棺式では聖書朗読、聖歌斉唱を行い、棺の中に花を添えてあげます。最後に神父様が聖水で棺を清めて納棺式は終わりとなります。

通夜式
カトリックの通夜式は教会や地域により呼び方が異なります。例えば「通夜式」や「通夜の祈り」と称すこともあります。カトリックの通夜式は聖歌の合唱、聖書の朗読、神父様のお言葉とお祈りの後、献花を行います。献花は仏葬の「お焼香」にあたる役割で、おひとりおひとりが花を故人様に手向けます。仏式のような通夜振る舞いはありませんが、茶菓子をご用意した談話会でもてなします。

葬儀
カトリックの葬儀は、入堂式、ミサ聖祭式、赦祈式の順で行います。

カトリック教葬における通夜・葬儀の流れ

告別式
故人様の略歴紹介の後弔辞・弔電披露が行われます。遺族の挨拶の後、献花を神父、遺族代表、遺族の順に行います。

火葬
告別式の後、火葬場へ移動します。聖歌斉唱、神父様の祈りの後、火葬し収骨します。

プロテスタントの葬儀の流れ

プロテスタント教葬における通夜・葬儀の流れ

ご危篤・ご臨終
ご危篤時に牧師様を招き、パンと葡萄酒を与える「聖餐式」を行います。ご臨終後、「末期の水」で唇を湿らせ、ご遺族で納棺を行います。身支度は生前お好きだったお洋服を備え、手を胸の上で組ませます。白のカーネーションなどを棺に入れ、蓋を閉じて黒い布を被せます。棺の枕元に白や黒の布で覆った小机を置き、十字架、ろうそく、遺影と生花を飾ります。聖書朗読の後、牧師様より納棺の辞を述べて納棺式が終了し、通夜式に移ります。

前夜式
プロテスタントの前夜式は、納棺式と共に牧師様が司式を行います。聖歌斉唱や聖書朗読はカトリック教式と同じ流れですが、プロテスタントの葬儀では、牧師様による「感話(かんわ)」があります。故人様がどんなお人柄や人生を歩まれたのかを語ります。式の最後に牧師・喪主・遺族・親類・参列者の順に献花を行います。

葬儀・告別式
プロテスタントの葬儀は、聖書朗読と祈祷・賛美歌斉唱、牧師による説教と感話、弔辞・弔電紹介、祈祷・オルガン奏楽、告別の祈りと献花の順で行います。

プロテスタント教葬における通夜・葬儀の流れ

遺族の挨拶
喪主の挨拶となります。参列者、ならびに神父様への感謝のお言葉を述べていきます。

出棺・火葬
出棺の儀では故人様との最期のお別れとなります。お棺にお花を手向け、火葬場へ移動します。牧師様の祈りの後、火葬し収骨します。

4.キリスト教の葬儀にかかる費用の目安

キリスト教の葬儀にかかる費用の目安

キリスト教の葬儀費用の目安は70万円から80万円ほど。キリスト教の葬儀は教会が一般的ですが、葬儀場や自宅葬、家族葬、直葬を選ぶケースもあります。葬儀の規模や場所によって費用は変わるのはどの葬儀でも同じです。覚えておくべきは教会への寄付があることです。一般葬では僧侶にお布施を渡しますが、キリスト教式は神父様や牧師様に渡すのではなく、教会への謝礼という形でご用意します。金額は所属の教会や葬儀社に相談しましょう。また、お心づけを3000円ほどご用意し、葬儀を手伝ってくれた方へ渡すこともあります。

5.キリスト教葬参列者のマナーとは

キリスト教葬参列者のマナーとは

キリスト教の葬儀で心得ておくマナーをご紹介します。一般葬と同じで良いものと、注意しておくべきことを見ていきましょう。

服装は礼服で

キリスト教の葬儀に参列するときも一般葬と同じく喪服を着ます。
男性であれば黒ネクタイにダークスーツを。女性であればワンピースやアンサンブルなどのセットアップの喪服を着用しましょう。靴やかばんなど小物類は黒や紺を選び、派手な色は避けます。アクセサリーもパール等礼装に見合うものを身に着けましょう。学生は制服が正装となります。お子様をお連れする場合は子供用の礼服を量販店やフリマなどで調べてみると良いでしょう。乳幼児をお連れする場合は青いパステルカラーやベージュ、紺などの装いにしましょう。

数珠は不要

キリスト教の葬儀に数珠は持参しなくて大丈夫です。数珠は仏具です。

お香典は御花料でご用意を

キリスト教の葬儀には「御花料」もしくは「献花料」をお渡します。カトリックもプロテスタントでも通じる呼び方です。もし、教派別でご用意する場合は次の用語を使います。

カトリック:「御霊前」または「御ミサ料」
プロテスタント:「忌慰料(きいりょう)」

御花料の相場は一般葬と同じ

御花料の平均相場は一般的なお香典の相場と変わりません。

3親等内の親族の場合: 5万円〜10万円
3親等以上の親族(親戚)の場合: 1万円〜3万円
知人: 5千円〜1万円

弔電はお悔み言葉を使わない

キリスト教の弔電は死を悔やむ言葉を避けることがマナーです。
例えば、「ご冥福をお祈り申し上げます。」や「お悔み申し上げます。」などは仏教用語なので避けましょう。キリスト教の弔電の例文をご紹介します。

「永遠の父なる神様の御許に召された○○様が天国にて安らかなときを得られますことを心よりお祈り申し上げます」

「○○様と出会い、共にたくさんの思い出を分かち合えたことに感謝するとともに、○○様にとって希望に満ちた旅立ちであることをお祈り申し上げます」

また、弔電で「しょうてん」を用いた場合、カトリック教は「昇天」、プロテスタント教は「召天」になりますので気を付けましょう。

6.カトリックとプロテスタントそれぞれの儀式マナーに従いましょう

キリスト教の葬儀はカトリックとプロテスタントによって葬儀の流れや使われる用語が異なります。教派がどちらなのかを確認し、それぞれの儀式マナーに従うことを心がけましょう。

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