【お墓の費用】相場や内訳は?管理費・維持費、「墓石無し」タイプも解説

【お墓の費用】相場や内訳は?管理費・維持費、「墓石無し」タイプも解説

お墓の費用の相場や内訳を知っておくことは、お墓選びで後悔しないために大切です。お墓の購入は、一生に一度の大きな決断でもあります。自分のため、または高齢の両親のために、お墓の購入を考えている方もいらっしゃるでしょう。

今回は、お墓の費用相場やその内訳、購入後にかかる管理費・維持費を解説します。近年注目されている「墓石がないタイプ」のお墓に関しても触れていますので、お墓の購入を考えている方は、ぜひ参考になさってください。

1.お墓にかかる費用の相場

株式会社鎌倉新書が2023年に行った「第14回お墓の消費者全国実態調査」によると、墓石のある一般的なお墓(一般墓)を購入した場合の平均購入価格は、152.4万円でした。

一般墓の費用は、主に墓石代、土地利用料、管理費などで構成されます。それぞれの内訳について、次項より詳しく見ていきましょう。

なお、一般墓以外の「墓石を建てないお墓の費用」については、「4.墓石を建てないお墓」の費用は?で詳しく解説します。

調査名:【第14回】お墓の消費者全国実態調査(2023年)
調査期間:2023年1月13日(金)~1月29日(日)
調査対象:2022年1月~同年12月にお墓探しの総合情報サイト「いいお墓」経由でお墓を購入した方
引用元: 株式会社鎌倉新書 「いい葬儀」
https://guide.e-ohaka.com/research/survey_2023/

2.お墓にかかる費用の内訳・項目

ここでは、一般墓の購入にかかる具体的な費用の内訳・項目について解説します。

墓石代

前述した「第14回お墓の消費者全国実態調査」によると、墓石代の平均は107.6万円となっています。墓石代は、「墓石本体の費用」「墓石の設置費用」「墓石の彫刻・加工にかかる費用」の3つの費用によって決まります。それぞれについて、次項より詳しく解説します。

墓石本体の費用

墓石代の大部分を、この墓石本体の費用が占めています。お墓といえば多くの方がイメージする竿石(さおいし)に加え、以下のようなものも含みます。

・境界を示す外柵
・納骨用のカロート
・水鉢
・香皿など

選ぶ石材の種類や必要な量に応じて、墓石本体の価格は50万~数百万まで大きく変わります。また、墓石の硬さや色、石目、産出地、等級などによっても幅が出ます。

なお、花立てや香炉などは、墓石本体に含みセットで販売されることもありますが、付属品としてオプション販売されることもあるようです。

墓石の設置費用

お墓を建立する際の、墓石を設置する工事費用です。設置費用の相場は、5万円~数十万円程度であるとされています。

すでに墓石が設置されている場合や、据付型などでは、費用が抑えられるケースもありますが、立地的に設置や運搬がしにくい場所では、費用が高くなることもあります。

墓石の彫刻・加工にかかる費用

墓石に文字を刻む作業や、墓石の加工に関わる費用を指します。相場は、5万円程度であるようです。

この彫刻作業には、下記のようなものが含まれます。

・竿石へ「〇〇家」などの彫刻を施す作業
・墓誌(ぼし:墓石の横に設置される石版)への彫刻
・墓石本体に遺族の戒名(法名)や本名、命日などを彫り込む作業

墓地(霊園)代

墓地代とは、土地利用料を指します。お墓は、各自治体から許可を得た宗教法人や財団法人、地方自治体が管理する場所にしか建てられません。お墓を建立する際には、墓地や霊園の一部を使用することになりますが、その使用権を得るために必要なのが墓地代です。

「第14回お墓の消費者全国実態調査」では、土地利用料は平均約58.9万円でした。なお、墓地代は、墓地や霊園の使用権を得るためのものであるため、墓地を返還しても返金されることはありません。

管理費

管理費は、下記のような墓地全体のメンテナンス・運営に使われる費用です。

・お墓のトイレや水汲み場、休憩室などの管理
・植栽
・参道の修繕などの
・墓地運営の電気代・水道代など

管理費には、墓石の個別洗浄や、お墓の周囲の清掃、雑草の除去などは含まれていません。そのため、お墓の所有者は定期的に墓参りを行い、自ら清掃をする必要があります。

管理費は、年ごと、または数年分を一括で支払う方法があり、墓地によって異なります。管理費の滞納が続くと、最終的には使用権が取り消される可能性があるため、注意が必要です。

3.お墓の費用が決まる要素

お墓にかかる費用の内訳についてご説明したところで、ここからは、お墓の費用が決まる要素について解説していきます。

墓石に関する項目

墓地にかかる費用の中で大きな割合を占めるのが墓石代です。ここからは、この墓石代に影響を及ぼす要素について説明します。

依頼する石材店

依頼する石材店によって、墓石の価格は変わってきます。したがって、墓石の費用を抑えたいならば、複数の石材店に見積もりを出してもらい、比較検討することをおすすめします。

価格だけでなく品質も重要ですので、「安いから」という理由だけで決定せず、見積もりを細かく比較し、疑問があれば石材店に理由を聞いてみましょう。また、石材店はお墓の設置や納骨にもかかわってくるので、総合的に価格に見合った優れた価値を提供する石材店を選ぶことも大切です。

ただし、墓地によっては専属の石材店しか利用できないケースもあります。自分で石材店を選びたい場合は、石材店の指定がない墓地を探しましょう。

石の種類・量

お墓の石材の種類は300種類以上もあり、かなりの価格差があるため、使う石の種類と量がお墓の費用を大きく左右します。

国産の石材は外国産の石材に比べ価格が高い傾向にありますが、産地によらず、産出量の少ない希少価値の高い石材は高額になりがちです。

また、墓石のサイズやデザインによって必要となる石材の量も変わってきます。使用する石材の量が増えるほど、墓石の価格も上昇します。

墓石の彫刻などの加工

墓石の彫刻をどうするかも値段を決めるポイントです。墓石の中央の竿石には、「〇〇家之墓」と文字を彫刻するケースが多いのですが、「愛」「夢」などの漢字や、四字熟語が彫られるケースもあります。

ただし、あまりにイレギュラーな依頼である場合には、追加の料金がかかることもあります。

また、墓石を購入せず、新たに亡くなった親族の名前を墓石に追加彫刻する際にも、数万円程度がかかります。

墓石のデザイン・形

墓石の主なデザインの種類は、和型墓石、洋型墓石、デザイン墓石です。

和型墓石
・日本でもっとも多く見られる形
・仏教・神道のお墓でよく用いられる
・土台に縦長の竿石がのっている
洋型墓石
・横長の竿石で重心が低い
・欧米でよく用いられているデザイン
・昨今日本でも人気で、よく見かけるようになっている
デザイン墓石
・自由なデザインの墓石
・故人様が好きだった趣味や物を模した形などにすることができる
・基本的にオーダーメイドとなるため、決まったデザインから選ぶものと比較して高額になる

特にこだわらずパターンのデザインを選択すれば安価に抑えられますが、オリジナルのデザインや複雑な装飾の場合には、費用は高くなります。

付属品

下記に、主な附属品をご紹介します。花立てや香炉などが、墓石とは別に付属品として販売されることもあります。

墓誌
・故人様の俗名や戒名、没年月日、業績などを書くための石板
・必須の附属品ではなく、あとからつけることも可能
灯ろう
・故人様の供養や、邪気を払うためとして、以前は設置する方が多かった
・墓地区画の縮小で設置できないお墓が増加し、現在ではそれほどポピュラーではない
卒塔婆立て
・卒塔婆を建てるためのステンレスや石の台
・卒塔婆は、故人様の戒名や経文を書き込んだ木の板
・法要や墓参りの際に卒塔婆を持参する参列者がいる場合に必要
砂利
・墓石の周囲に敷かれる小石
・砕石、玉砂利など種類があり、お墓の美観を高める役割がある

お墓を購入するのが初めての方は、つい「あれも、これも」と買ってしまって高額になるケースも少なくありません。本当に必要かどうかを慎重に考えて、購入を決めることをおすすめします。

墓地に関する項目

ここからは、墓地の値段にかかわる項目をご紹介します。

墓地の立地

都心から近い、または交通アクセスが良い場所にある墓地ほど、坪単価が高くなり、墓地代も高くなります。

区画の広さ

墓地の区画には、さまざまな大きさがあります。区画の面積が大きくなるにつれて、価格も高くなる傾向にあります。

4.「墓石を建てないお墓」の費用は?

ここまで、主に墓石のある一般墓の費用について説明してきましたが、ここからは墓石を建てないお墓について解説していきます。

墓石を建てないお墓が増えている

前述した株式会社鎌倉新書の調査によると、一般墓を選んだ人が対象全体の19.1%であるのに対し、樹木葬を選んだ方は51.8%と過半数を超え、納骨堂を選んだ方も20.2%と一般墓を超える割合でした。

墓石を立てないタイプの費用相場

調査名:【第14回】お墓の消費者全国実態調査(2023年)
引用元: 株式会社鎌倉新書 「いい葬儀」
https://guide.e-ohaka.com/research/survey_2023/

近年では、墓石を建てないお墓を選択する方が増加しています。人気の背景には、「お墓の跡継ぎが不要」であることがあるようです。

墓石を立てないタイプの費用相場

墓石を建てないタイプのお墓には、さまざまな種類があります。以下に主な種類をピックアップし、費用相場とあわせてご紹介します。

納骨堂

納骨堂は、遺骨を納骨する室内施設を指します。以下に、代表的な6つのタイプの納骨堂の特徴と費用相場を表にしましたので、参考になさってください。

タイプ名 特徴 費用相場
仏壇型
・上段に仏壇、下段に納骨スペースを備えた納骨檀が横並びに配置されたタイプ
・装飾が華美なため、その分相場も高め
50万円~200万円程度
ロッカー型
・扉付きの納骨スペースがロッカーのように並んでいる
・ひとつのスペースに納骨できる数が限られており、他と比べ比較的安価
20~80万円程度
墓石型
・屋内に小さい墓石が並んでいる
・墓石が必要となるため、比較的高額
100万円~
自動搬送式
ICカードをかざしタッチパネルを操作すると、格納されていた位牌や骨壺が自動的に参拝スペースまで移動してくる
・少人数利用:70万円程度
・複数人利用:150万円程度
位牌型
・ひな壇上に位牌が並べられ、遺骨は別の場所に保管される
・占有スペースがとても狭いため、納骨堂の中でも安価に利用できる
10~30万円程度
合祀型・合葬型
骨壺から遺骨を取り出し、他人の遺骨と一緒に永代供養塔の中に納める
10~30万円程度

納骨堂についてより詳しく知りたい方は、「納骨堂の費用やメリット・デメリット」の記事もご覧ください。

自然葬

自然葬とは、故人様の遺骨を自然の中、例えば海や山などに帰す供養の方法を指します。

樹木葬

樹木葬は、墓石の代わりに樹木や草花を墓標として遺骨を埋葬する葬送方法です。植樹して埋葬する場所は、墓埋法にしたがって遺骨の埋葬が許可された霊園内に限られます。費用相場は、70万円程度とされています。

散骨

散骨とは、遺骨を粉骨してから遺灰を「まく」葬送の方法をいい、まく場所や方法によっていくつかの種類があります。主な散骨の種類や特徴、費用相場を表にまとめましたので、参考になさってください。

樹木葬や散骨については、「自然葬の種類・費用相場」でも解説しておりますので、詳しくはそちらをご覧ください。

散骨の種類 特徴 費用相場
海洋葬
(海洋散骨)

遺骨を海に散骨し故人様を供養する葬送方法
・ご遺族が船を貸し切って行う場合:10万〜50万円程度
・散骨業者が代行する場合:4万〜10万円程度
山葬
遺骨を山に散骨する
・自分で散骨をする場合:粉骨費用(1万〜5万円程度)+移動費
・専門業者に委託した場合:5万〜30万円程度
宇宙葬
遺骨や遺灰を専用カプセルに納め、ロケットや人工衛星で打ち上げる
・人工衛星に乗せて打ち上げのみ行う:30万円程度~
・ロケットを飛ばして月面に安置する:120万円程度~
バルーン葬
・バルーン(または気球)の中に遺灰の一部を入れて成層圏まで飛ばす
・気圧によりバルーンが膨張し、中の遺灰が宇宙に散骨される
25万円程度~

樹木葬や散骨については、「自然葬の種類・費用相場」でも解説しておりますので、詳しくはそちらをご覧ください。

手元供養

手元供養とはその名のとおり、遺骨を手元に置いて供養する方法です。手元供養用のための品の種類はさまざまありますが、今回は代表的な3つとその相場を表にまとめました。いずれも、素材によって費用が大きく変わるため、詳細は専門店にご確認ください。

種類 特徴 費用相場
ミニ骨壺
・遺灰や遺骨の一部をミニサイズの骨壺に納めて保管する
・遺影や花とともに置いて仏壇の代わりにもなる
5千~数万円
ミニ仏壇
・遺骨を収納するスペースのある小さな仏壇
・ミニ骨壺の安置にも利用できる
2万~10万円
遺骨アクセサリー
少量の遺骨をペンダントトップや指輪、ブレスレットなどの一部分に納めて身につける
1万~数十万円

供養塔

供養塔とは、亡くなった方を供養するための石造りの建造物です。

供養塔は主に、天災や戦争などで亡くなった方々、特に引き取り手がいない、または身元が確認できない方々を一同に供養する目的で建てられます。しかし近年では、お寺などで合祀を目的に建てられる場合が増え、さらには個人でも、各地にあるご先祖様のお墓をまとめるために供養塔を建てる方もいます。

供養塔にはさまざまな種類があり、用途も多岐にわたるため、費用の相場を示すことは困難です。あくまでも目安となりますが、取り扱いが多い五輪塔は、おおよそ20万円程度からであるようです。多宝塔(たほうとう)や宝篋印塔(ほうきょういんとう)のように装飾が豊富で製作が複雑なものは、100万円を超えることもあります。

供養塔の種類や価格に関しては、「供養塔」の記事でさらに詳しく解説しておりますので、そちらを参考になさってください。

5.お墓選びで気をつけるポイント

お墓選びで気をつけるポイント

ここまで、さまざまな種類のお墓や、それぞれの費用の相場について解説いたしましたが、最後に、お墓を選ぶ際に見落としがちなポイントを見ていきます。お墓を購入する際には、以下の点を忘れずに確認するようにしてください。

維持費・管理費の確認も大切

お墓の費用は初期費用が高額であるため、ついそちらに注目しがちです。しかし、お墓の維持費・管理費は、お墓を保有している間は継続して払い続けなければなりません。したがって、維持管理費についてもしっかりと確認しておくことが大切です。

お墓参りがしやすい立地か

自分がお参りしやすい立地であることはもちろん、お墓を継ぐことになる子どもたちも楽にお参りできる場所かどうかを考慮しましょう。子どもたちがお参りしづらい場所にお墓を建ててしまうと、お墓の管理が負担となってしまう恐れがあります。

生前にお墓を買うと相続税の節税ができる

お墓の購入費は、相続税控除の対象外であるため、購入費も相続したものとして申告しなければなりません。お墓を生前に現金で購入しておけば、墓地や墓石などは祭祀(さいし)財産として非課税になります。課税対象となる現金も減るため、結果として相続税を節税でき、ご遺族の負担も軽減できるため、一石二鳥といえます。

ただし、ローンでお墓を購入し、完済前に亡くなった場合は、ローンの残高分を相続財産から差し引くことはできません。そのため、生前に現金でお墓を購入することが重要となります。

6.お墓は将来かかる費用も見据えご家族と相談で選びましょう

お墓は将来かかる費用も見据えご家族と相談で選びましょう

お墓を選ぶ際にはさまざま考慮すべきことがありますが、最も大切なのは、ご家族と意見を出し合いながら決めることです。

特に墓石のある一般墓の場合には、お墓が引き継がれていくものであることを念頭に置き、ご家族も納得できる選択をすることをおすすめします。

花葬儀では、自然葬なども含めた葬儀全般の疑問のほか、お墓選びについての事前相談(生前相談)も承っています。お墓選びでお悩みの方は、ぜひご連絡ください。

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