社葬を行う意味と目的|準備から執り行うまでの重要なポイント
- 作成日: 更新日:
- 【 葬儀の種類 】

社葬は、会社の発展や業績に貢献した方を哀悼し、惜別する儀式です。長年勤めた方を社として送り出す重要な場ですから、社葬を準備する立場となった方にとっては緊張や不安が尽きないかもしれません。
この記事では、社葬の意味と目的を丁寧に解説し、準備段階から当日、そして事後対応までを流れに沿ってご案内します。読み終えるころには、社葬でやるべきことが明確になり、自信をもって一歩踏み出せるはずです。どうぞ最後までお付き合いください。
1.社葬の意味とは?一般葬との違い

会社が主体となって執り行う葬儀を「社葬」といい、一般葬とはいくつかの面で大きく異なります。
たとえば、一般葬では喪主(葬儀を執り行う責任者)をご遺族が務め、費用もご遺族でまかなうのが一般的です。一方、社葬では、ご遺族が喪主を務める点は同じですが、会社が施主(費用を負担する立場)となり、葬儀の費用を一部または全額負担するケースが多く見られます。
また、葬儀の準備や運営は会社の社長や役員などを始めとした「葬儀委員」が担うのも特徴です。まとめると、以下のような違いが見られます。
【社葬】
・役割:喪主をご遺族が務め、施主・葬儀準備・当日の進行は会社が務める
・故人様:会社の創業者や役員、会社に貢献した方や、業務中に亡くなった方など
・参列者:故人様のご遺族と会社関係者が中心
【一般葬】
・役割:喪主、施主、準備から当日の進行までをご遺族が務める
・故人様:喪主や施主のご遺族
・参列者:葬儀には身内の他、故人様と親交のあった方などを中心に広く招く
一般葬について詳しく知りたい方は、「一般葬とは?」をご覧ください。
2.社葬が持つ3つの目的と意義
社葬には、「追悼」という目的以外にも、重要な側面があります。ここでは、社葬が果たす主な3つの役割と、それぞれの目的について見ていきましょう。
【社葬を行う目的1】故人様の功績を称え、弔意を表す
社葬は、長年にわたり会社の発展に尽力してきた故人の功績を称えるために行われます。とくに、企業の創業者や経営トップ、あるいは長年にわたって要職を担ってきた方の場合、その存在は社内外にとって大きなものであり、訃報は強い衝撃を与えるものです。
このようなときに、会社が主体となって社葬を執り行うことで、社員や関係者が一堂に会し、共に追悼する機会が生まれます。会社が自ら故人様の生前の功績を称え、その死を悼むことで、故人様本人やそのご遺族にとっても大きな栄誉となるでしょう。
【社葬を行う目的2】社外に向けた安定性と承継姿勢のアピール
社葬は、取引先や株主、地域社会に対して、企業が安定していることを示す意味合いも持っています。とくに、経営者や主要な役職者が急逝した場合、「今後の経営はどうなるのか」という不安を抱かれることも少なくありません。
本来、新体制について関係各所全てに説明と挨拶をしに回るべきではありますが、現実的には不可能です。そこで、関係者を招いて社葬を執り行うことで、顧客や株主、取引先などに向けて、故人様の意志を承継し、安定した事業を進めていく姿勢を示すことができます。
【社葬を行う目的3】会社のBCPの一環と、社内の団結を強める
社葬は、企業にとってBCP(事業継続計画)の一環とも言えます。予期せぬ喪失が生じた際に、会社としてどのように対応し、誰が指揮をとり、どのように意思決定を進めるのか。こうした体制が事前に整っていることは、企業の信頼性や危機管理力を証明する材料となるのです。
また、社葬は、社内における組織力や団結を固める場でもあります。とくに、突然の訃報で動揺が広がりやすいときに、社員全体で儀式の準備や運営に関わることで、「会社を支えていこう」という意識が芽生えるきっかけになるのです。
3.社葬・お別れ会・合同葬のそれぞれの意味
企業が主体となって故人様をお見送りする形にはいくつかの形態があり、企業の考え方やご遺族の意向、そして故人様の立場によって適切なスタイルが異なります。それぞれの意味を知っておくことで、より納得感のある形を選ぶことができるでしょう。
社葬(企業主催)
狭義の意味での社葬は、会社が葬儀の費用を負担し運営するもので、葬儀を「企業として行う」ことを重視します。ご遺族(ご親族)により密葬を執り行い、その後本葬として、この社葬が執り行わることが一般的です。
合同葬(ご遺族と会社の共同開催)
ご遺族が執り行う葬儀と会社が執り行う葬儀を分けず、両者がともにお通夜、告別式を行う形式です。広い意味では社葬の一種ですが、密葬と本葬を別日に行わず、火葬までを一連の儀式として執り行います。ご遺族の意思を尊重しながら進められ、費用の一部は会社が負担します。詳しくは「合同葬の特徴と流れ」の記事をご覧ください。
お別れ会・しのぶ会
故人様との別れをより重視し、自由な形式で故人様を追悼する会です。宗教色や儀式性は強くなく、スピーチやスライド上映などを交えながら、故人様の人柄や功績をしのびます。
式典やおもてなしの会食をメインとする場合もあり、社外に向けて新体制や今後の会社の方針をアピールする広報的な役割を果たします。密葬後に日をあらためて執り行うことが多いようです。
4.滞りなく社葬を行うための事前の段取り

葬儀の場所(式場)や担当者など、細かいことも規則化して決めておくことが、社葬を滞りなく執り行ううえで重要になります。
ここでは会社が主体となって葬儀を執り行う場合の主な流れを、ポイントごとに整理してご紹介します。故人様を心からお見送りし、円滑な社葬を実施するためにも、ぜひ押さえておきましょう。
ご遺族の意向確認
社葬を執り行うにあたって不可欠なのが、ご遺族の意向確認です。ご遺族が謙遜や遠慮から社葬を辞退することもあるため、必ず「社葬を行いたい旨」を申し出て、同意を得ましょう。
ご遺族が社葬に同意したら、次に「社葬取扱規程」を確認します。これは、会社として社葬をどのように執り行うのかを明確化した指針であり、主に以下のようなことが書かれています。
・社葬対象者の規準
・費用負担の区分
・責任者や葬儀実行委員の編成方法
・社葬の基本形式 など
社葬取扱規程がある場合は、その内容に従って社葬を執り行いますが、ない場合は、ご遺族の意向を尊重した準備が必要です。「どのようにお見送りしたいか」をうかがった上で、社として葬儀の方針を決めましょう。
実行委員会・責任者の選定
社葬を進めるためには、組織的な運営体制が必要です。社内にて「葬儀委員会」や「実行委員会」などと呼ばれる組織を立ち上げ、各担当者を明確にします。その中でも中心となるのが、「葬儀実行委員長」および「葬儀委員長」のポジションです。
「葬儀実行委員長」は、式場の手配や備品の準備、当日の進行管理など、実務面で全体を統括する役割を担います。「葬儀委員長」は、会社の代表として式辞を述べたり、社外関係者への対応を行ったりする立場で、会社の最高責任者が務めるのが一般的です。
故人様が社長であれば新社長が、部長職であれば担当役員が務めるなど、企業の規模や体制に応じて柔軟に決めるとよいでしょう。責任の所在が明確になることで、準備も格段に進めやすくなります。
日程や会場の決定
社葬を執り行うのに必要な、以下の項目を決定します。
・社葬の日程
・場所
・形式(宗教など)
・タイムスケジュール
・席次
・参列者の規模
・社葬を依頼する葬儀社
・予算
・香典や供花、供物の選定 など
社内へ通達後、社外に通知
訃報や社葬に関する情報を、社内に伝達します。社外へは、社内に通達後、案内状や新聞の訃報記事、会社ホームページなどを使って報せます。この順番はとても重要で、詳しくは「緊急時に慌てない|企業としての対応と事前の備え」で後述しますのでご覧ください。
リハーサル
社葬前日にはリハーサルを行い、事前に決めた社葬進行要領に従って、動線や時間配分を確認します。社葬には多くの方が参列するため、しっかりとリハーサルを行うことで当日の混乱や不手際を避けることができるでしょう。
5.社葬当日の流れと留意すべきポイント
準備が整ったあとは、いよいよ社葬当日の本番を迎えます。多くの参列者が集うなかで、滞りなく式を進行させるには、事前の段取りをもとに細部まで確認しておくことが大切です。当日の実務的な対応一つ一つが、故人様への深い敬意を表し、企業の品格を示すという重要な意味を持つためです。
こちらでは、社葬当日の主な流れと、注意すべき実務上のポイントを解説します。
式次第のタイムライン
社葬の流れは以下の通りです。なお、こちらは一例であり、内容が前後・変更することがあります。
1.開式の辞
司会者もしくは葬儀委員長による、社葬開式の挨拶
2.黙祷
参列者全員による黙祷
3.故人様の経歴紹介
故人様の人生と業績を紹介
4.弔辞
複数名によるお別れの言葉
5.弔電紹介
社葬に参列できなかった取引先や関係者からの弔電の読み上げ
6.葬儀委員長謝辞
故人様と参列者に対する謝辞
7.喪主様挨拶
ご遺族の代表による挨拶
8.読経、参列者による献花・焼香
僧侶による読経
葬儀委員長、喪主様の順で献花または焼香(その後ご遺族、ご親族、来賓と続く)
9.閉式の辞
司会者もしくは葬儀委員長による、社葬閉式の挨拶
滞りなく進行するための重要ポイント
社葬当日は、多くの参列者が集う中で、準備段階で定めた計画を確実に実行し、予期せぬ事態にも冷静に対応することが求められます。ここでは、式を滞りなく進行させ、成功に導くための運営上の重要ポイントを解説します。
会場設営・最終確認を徹底する
葬儀実行委員は式が始まる2~3時間前に集合し、最終の打ち合わせを行い、自分の持ち場に着きます。ご遺族が会場に到着したら控室にご案内し、葬儀委員長・喪主・遺族で式の流れを共有し確認しましょう。
開式15分前には、参列者全員があらかじめ決められた席順で着席している状態が理想です。時間に余裕を持った案内を心がけることが大切です。
各担当者が責任を持って対応する
葬儀実行委員が社葬当日に行う主な仕事は以下の通りです。
【葬儀委員長】
・ご遺族が来場した際の案内
・出棺時の葬列の先導
・代表としての焼香
・故人様の経歴紹介または謝辞
【葬儀実行委員長】
・社葬全体を見守り、不測の事態に備える
【葬儀実行委員】
・受付(お香典や供物などの受け取り、返礼品のお渡し)
・案内係
・クローク
・来賓接待
・式場設営
・駐車場案内
・社葬の記録 など
各自が責任を持って職務にあたるのはもちろん、状況を共有し、協力し合う姿勢が、社葬の成功につながります。
6.社葬後に必要な対応
社葬に関する業務は当日の式典終了後にも続きます。お世話になった方々への感謝を伝えることや、記録・会計処理を適切に行うことも、社葬の一環として大切な仕事です。この章では、社葬終了後に行うべき具体的なフォローアップについてご紹介します。
来賓・弔電へのお礼と挨拶
社葬にご参列いただいた方々や、弔電・供花をお寄せくださった方へお礼を伝えます。とくに弔辞をいただいた来賓の方には、会社の代表者が直接挨拶にうかがうとよいでしょう。
その他の参列者や関係者に対しては、礼状を速やかに発送します。内容は、式への参列への感謝と、故人様の思い出を簡潔に盛り込み、企業として誠意を込めた文面が一般的です。
また、お礼状の発送は可能な限り社葬後1週間以内を目安に行うのが望ましく、社内の担当者を決めて、迅速に対応できるよう事前準備を整えておくと安心です。基本的なマナーは「弔電のお礼」を参考になさってください。
費用精算
社葬にかかった費用を社内の規程に沿って適切に精算します。この費用の一部は、企業の広報活動や福利厚生の一環とみなされ、経費として処理することが可能です。これを「損金処理」といいます。
損金処理が可能なのは「通常要すると認められる部分の費用」に限られ、主なものは以下の通りです。しかし、損金処理が可能な項目はケースによって異なる場合もあるため、必ず専門家に相談することをおすすめします。
・葬儀会場の利用料
・祭壇料
・宗教者へのお布施
・訃報通知のための新聞広告料
・案内状の作成・発送費用
・会葬者用の車両運搬費用
・会葬者への礼状および返礼品費
・社葬実行委員に対する簡単な慰労会費用 など
記録整備と次回への備え
社葬を経験した企業では、その記録を社内に蓄積しておくことが非常に重要です。葬儀の実施報告書や、参列者名簿、スケジュール、予算・実績の一覧などをまとめておくことで、将来同様の場面が生じた際の貴重な参考資料となります。
さらに、社葬を通じて感じた課題や反省点を共有し、社内のマニュアルに反映しておくと、次回以降の社葬準備において迷いなく対応できるようになるでしょう。大切なのは「一度きりの対応で終わらせない」ことです。
その他の事務処理
その他にやるべきことは以下の通りです。
・弔辞、弔電、お香典、供物などの整理
・会計報告書の作成
・社葬報告書の作成
・退職金支払いを始めとした、故人様に必要な手続き全般
7.緊急時に慌てない|企業としての対応と事前の備え

社葬では、一般的な葬儀とは異なる「気を付けるべき点」がいくつかあります。
こちらでは、社葬を成功させるために押さえておきたい3つのポイントをご紹介します。
訃報は情報管理とタイミングに気を付ける
訃報を受けたら、まずは緊急連絡体制に基づき、関係部署や担当者に迅速に連絡します。特に深夜などの時間帯は連絡の優先順位を明確にしておくことが大切です。社外に情報が拡散すると、ご遺族への配慮を欠く事態にもなりかねないため、初動対応の範囲や伝達内容は社葬マニュアルとして社内で共有しておきましょう。
また、経営幹部や創業者の訃報は会社に与える影響が大きいため、社内周知と社外公表のタイミングを整理し、誰が何を伝えるかを事前に決めておくことが重要です。情報が不確かな段階では、個別の発信を控えるよう周知し、正式な公表は社葬の方針が整った段階で行います。
社葬の施行経験が豊富な葬儀社に依頼する
社葬は大規模で失敗の許されない場であるため、信頼できる葬儀社の存在が欠かせません。社葬を依頼する葬儀社は、以下を参考に決めるとよいでしょう。
・社葬や合同葬の経験が豊富であるか
・企業対応に慣れており、社内との調整に理解があるか
・式場や備品、受付体制まで一括でサポートできるか
・税務処理や社葬規程の策定にもアドバイス可能か
事前に候補をリストアップしておけば、いざというときに慌てず依頼できます。準備段階から寄り添ってサポートしてくれる葬儀社であれば、任された側の負担も大きく軽減されるでしょう。
【平時の準備】社葬マニュアルの整備
社葬は「突然に発生する非日常」です。そのため、どれほど社葬の重要性を理解していても、準備や手配がうまく進まないケースは少なくありません。こうした事態に備えるために、社内であらかじめ「社葬取扱規程」を作成しておくことが大切です。
さらに、可能であれば年に1度程度、社葬取扱い規程の見直しと共有を行うことで、万が一の際にも落ち着いて行動できる体制が整います。この積み重ねが、災害や不祥事など、想定外の事態が発生した際にも役立つでしょう。
8.社葬の意味や目的に関するQ&A
A.基本的には「社葬取扱規程」に沿って決まりますが、会社内で話し合って規程にない方をお見送りすることもあります。
多くの企業では社葬の対象者を「社葬取扱規程」によって定めています。たとえば、代表取締役・会長・創業者といった企業の中枢に関わる人物や、長年の功労が認められた役員・幹部社員などが対象となることが一般的です。
ただし、対象者に該当しない場合でも、社内外からの希望が強ければ小規模な「しのぶ会」を開催するなど、個別の対応も選択肢となります。社内で判断に迷う場合は、役員会やご遺族とよく話し合い、最もふさわしい形を探ることが大切です。
A.決まりはないため、ご遺族の意向を優先しましょう。
社葬における宗教的要素の有無や程度について、決まりはありません。仏式での読経や焼香を取り入れる会社もあれば、無宗教形式で黙祷や献花を中心に進行する例もあります。
近年では、宗教色を控えめにして、誰でも参加しやすい場にする傾向が強まっています。特定の宗教儀礼が参列者にとって負担になる場合は、挨拶やスライド上映など、形式にとらわれない演出で想いを伝える工夫が有効です。
いずれにしても、最も大切なのはご遺族のご意向です。宗教的要素は、ご遺族の考えを優先しましょう。
A.撮影の意味や目的をご遺族に説明し、了承を得られたのであれば問題ないといえます。
社葬中の写真や動画の撮影は、故人様をしのぶ記録としてだけでなく、今後の社葬をよりよい形で行うための参考にもなる、大切な意味があります。しかし、まずはご遺族の了承を得ることが何よりも大切です。
撮影の意味と目的を伝えた上で了承を得られたら、以下に注意しましょう。
・撮影中は葬儀進行の妨げにならないようにする
・参列者に疑問や不安を抱かせないよう、事前に案内する
・撮影したデータを社内で共有する際は、プライバシーに十分配慮する
葬儀中の撮影に関する不安や疑問は、葬儀社にも必ず相談しましょう。「葬儀で写真撮影はしても良い?」の記事もぜひ参考になさってください。
9.社葬の意味と目的を理解し、敬意や感謝を示すお見送りを
社葬は、企業にとって故人様への敬意を示す大切な儀式であると同時に、社内外へ会社の姿勢を伝える機会でもあります。社葬の意味と目的を正しく理解し、必要な準備を整えることが大切です。
判断に迷う場合は、実績のある葬儀社へ事前に相談することで、準備段階から安心して進めることができるでしょう。花葬儀では、初めて社葬を執り行う立場の方でも迷うことのないよう、経験豊富なスタッフが丁寧にサポートいたします。ご遺族と会社の双方が心から納得できる、特別なお見送りのかたちもご提案できますので、まずは無料の事前相談でお話をお聞かせください。











