墓守(はかもり)の決め方とは?役割、手続き、経費負担についても解説

墓守(はかもり)の決め方とは?役割、手続き、経費負担についても解説

「墓守(はかもり)」とはお墓を守って管理する人のことですが、具体的に「誰が」「どうやって」「どういうふうに」お墓を守っていくのかご存じでしょうか?

少子高齢化が進み、墓守という言葉もあまり耳にしなくなっている昨今ですが、将来墓守という立場になったときのために、墓守について詳しくご紹介します。この機会にぜひご一読ください。

1.墓守とは?

墓守とは読んで字のごとく、お墓を守る人のことを指します。古来では墓地の近くに住み、埋葬予定の遺体の処理をする人や、お墓を管理するお坊さんを指す「三枚聖(さんまいひじり)」や「隠坊(おんぼう)」と呼ばれていました。

現代で墓守を指す対象は、主に2つに分けられます。

墓地、霊園の管理者

一つ目は、墓地のあるお寺に住む住職や霊園の管理者のことです。
墓地全体の管理や共有部のメンテナンスを行なう他、諸事情でお墓に行くことができない承継者に代わり、管理や清掃に従事することもあります。

お墓の承継

二つ目は、お墓の承継者のことです。一般的には故人様の家族が承継し、お墓を管理・維持していきます。
この記事では、お墓の承継者としての墓守について説明していきます。

2.墓守としての5つの役割

墓守としての5つの役割

墓守になると、年に数回は墓地に行かなくてはなりません。
何かと忙しい現代人にはスケジュールの調整が難しいかもしれませんが、代々受け継がれてきたお墓を守っていくために欠かせない5つの役割をご紹介します。

お墓参りを行う

ただ単にお墓を承継しただけでは、墓守としての役目は果たせません。墓守の最も重要な役割は、お墓参りを行うことです。お盆・お彼岸、命日にはお墓に赴き、祖先を丁寧に供養します。

そのため、墓守になる人はその役割を果たすために、お墓に定期的に通える距離に住んでいる、体が不自由ではないなど問題なく通える人が理想といえます。

条件の詳細については、「民法が定める墓守の決め方とは?」の項でご紹介します。

お墓を管理する

自分が承継したお墓の周りや墓石をきれいに掃除し、メンテナンスをすることも、墓守の役割のひとつです。

お墓の耐用年数は一般的に30~50年といわれており、劣化が進むと補修や建て替えも必要になります。次の世代にきちんと承継するためにも、墓守はお墓を最適な状態に保つことが大切です。

なお、墓地・霊園全体の管理は、墓地で働いている墓守(管理人)などが対応し、おもに墓地全体の清掃、共有部のメンテナンスを行います。

お墓の管理費を支払う

お墓がある寺院や霊園には、管理費を支払わなくてはなりません。管理費は共有設備のメンテナンスや備品の補充などに充てられ、永代にわたって墓地を快適に利用するために使われます。この管理費を支払うのも、墓守の大切な役目です。

管理費の未納が続いてしまうと、お墓の所有者がいなくなったとみなされ、無縁仏としてお墓が撤去されてしまいます。

施主として法事を行う

一周忌や三周忌などの法要を、「施主(せしゅ)」として滞りなく取りまとめるのも墓守の仕事です。具体的には、お寺への連絡や斎場の手配、段取りの打ち合わせ、親族への連絡、当日の進行などを行います。

うっかり忘れてしまうことのないよう、墓守になったら年間のスケジュールを確認し、余裕をもって計画を練らなければなりません。

お寺の行事に参加する

お寺にあるお墓の墓守になると、お盆、お彼岸、年末年始など、お寺が年に数回主催する行事に出席することもあります。お寺にお墓を建てる際にその寺院の檀家に入った場合は、こうした行事への案内が届くことがあります。

遠方に引っ越してしまった、健康上の理由などから行事への参加が難しくなってしまった場合は、一度お世話になっている寺院へ相談してみましょう。

3.民法が定める墓守の決め方とは?

民法が定める墓守の決め方とは?

大切な役目を任される墓守は、どのように決めたらよいのでしょうか?
民法897条では、以下のように記されています。

第八百九十七条  系譜、祭具及び墳墓の所有権は、前条の規定にかかわらず、慣習に従って祖先の祭祀を主宰すべき者が承継する。ただし、被相続人の指定に従って祖先の祭祀を主宰すべき者があるときは、その者が承継する。

2 前項本文の場合において慣習が明らかでないときは、同項の権利を承継すべき者は、家庭裁判所が定める。

出展: 明治二十九年法律第八十九号 民法
URL:https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=129AC0000000089(閲覧日2024年3月26日)

これを簡単にまとめると、墓守は以下の順位で決定されるということが書いてあります。

  1. 1.故人から遺言で指定された人
  2. 2.慣習によって決められた人
  3. 3.家庭裁判所で決められた人

2番の「慣習によって決められた人」というのは、地域性や親族間の事情を考慮した上でその都度決めましょうという意味です。1番、2番でも決まらなかった場合は、家庭裁判所にて決めます。

戦前の古い民法では、お墓や家などの財産を受け継ぐのは長男とされてきましたが、現代の民法ではそのような決まりはありません。結婚して姓が変わった女性もお墓を承継し、墓守となることが可能です。

4.墓守になれる人は?

前述した民法を踏まえた上で、墓守になる人を決める際、最もふさわしいのはどの立場の人なのでしょうか?また、墓守になれる人に制限はあるのでしょうか?
こちらで詳しく解説します。

両親の晩年に一緒に暮らした人

昔の考え方に倣って、墓守はお墓を継ぐ長男の役目だと考える人も多いですが、法律上ではそういった決まりはありません。長男でなくとも、両親の晩年を一緒に暮らした人がなるのが一般的といえます。

墓守は、お墓の他に仏壇や位牌、墓地なども承継して所有するため、寺院や霊園とのやりとりが必要になってきます。先代の付き合いを引き継ぐという意味でも、遠方で暮らしている家族よりも、両親の近くで暮らしている人が墓守になる方が円滑に進むでしょう。

家庭裁判所に持ち込んだ時も、故人様との生活における密接度がポイントとなるといわれています。

親族や血縁関係にない他人

民法上では、故人と墓守の関係についての記述はありません。つまり、親族や血縁関係にない他人であっても、墓守になることが可能です。

しかし、他の親族がいるにも関わらず、血縁関係の無い人がお墓を承継して墓守になった場合、トラブルに発展してしまうかもしれません。

そのため、故人の血縁関係者が、何らかの事情で辞退しない限り、赤の他人が墓守になるということは起きにくいようです。

5.墓守となった場合に必要な手続きとは?

墓守となった場合に必要な手続きとは?

お墓を承継して墓守になると、墓地の使用者の名義変更をしなければなりません。手続きはそれぞれの墓地管理者宛てに行います。

墓地や霊園によって多少異なりますが、共通の書類としては以下のものを用意します。

  • ・承継使用申請書(管理側からもらえます)
  • ・申請者の実印と印鑑登録証明書
  • ・申請者の戸籍謄本
  • ・旧名義人と新名義人の戸籍上の繋がりが確認できるもの(戸籍謄本など)
  • ・霊園の使用許可証(手続きの際に霊園側から交付されます)

このほかに、遺言によって承継者が指定された場合は「遺言書」、親族内の話し合いなどで決めた場合は「協議成立確認書」と「協議者全員の印鑑証明」が必要になります。

6.お墓(祭祀財産)は分割できる?

故人様が遺した土地や金品などの財産は「相続財産」と呼ばれます。一方、墓守が相続するお墓は「祭祀財産(さいしざいさん)」にあたります。相続財産を受け取った人が自動的に祭祀財産も受け取るわけではありません。

「相続財産」は法律で定められた範囲で分割して相続することが可能ですが、お墓を含めた祭祀財産も同じように分割して相続することができるのでしょうか?

こちらで詳しくご紹介します。

祭祀財産とは?

祭祀財産には以下の3つが該当します。

1.系譜
先祖から子孫へと続く血縁関係の繋がりを記録したものです。家系図や家系譜といった、絵図になっているものが一般的です。

2.祭具
仏像、位牌、十字架、仏壇、神棚など、宗教に関係なく、祭祀に使われる道具の総称です。

3.墳墓(ふんぼ)
お墓のことです。厳密には、死者を埋葬するために土を盛った場所のことを指しますが、現代ではお墓を建てることが主流となっているため、お墓そのものを墳墓と呼んでいます。お墓が設置されている部分の土地も墳墓に含まれます。

祭祀財産は分割できない

系譜や仏壇、お墓などを分けることは物理的に困難です。また、金銭に換えることもできません。よって、祭祀財産は分割して相続することができないため、1人が全てを受け継ぐことになります。

7.墓守に生じる経費負担とは?

墓守に生じる経費負担とは?

墓守になると負担しなくてはならない経費が発生します。
いつ、どのような目的で発生し、相場はどれくらいなのかをご紹介します。

墓地・霊園の年間管理料

墓地や霊園にお墓を置くためには、年間管理料を支払わなくてはなりません。管理料は墓地・霊園全体のメンテナンスに充てられることから「護持会費(ごじかいひ)」とも呼ばれます。

金額は場所によって差があり、年間3,000円~15,000円程度が相場です。年間管理料を滞納し続けると、墓地の使用許可が取り消されてしまい、最終的にお墓が撤去されてしまいます。そのため、支払い忘れに注意が必要です。

墓石・墓標にかかる費用

納骨までに、墓石や墓標に名前や没年日を彫刻しなくてはなりません。石材店に依頼し、その費用も墓守が負担します。
相場は3~7万円程度といえるでしょう。

納骨時に必要なお布施

納骨時に墓前供養をしてもらうため、お布施が必要になります。
1~5万円が相場ですが、不安な方は事前に寺院に相談しておくとよいでしょう。

8.お墓を維持する際に税金はかかるの?

お金や土地などの財産を相続すると相続税がかかりますが、お墓を受け継いだ際にも税金はかかるのでしょうか?こちらで解説します。

固定資産税は?

土地や家屋などを所有すると固定資産税を支払わなければなりませんが、お墓を建てるための土地(墓地)やお墓そのものに固定資産税はかかりません。

なぜなら、寺院や霊園から購入しているのは墓地の永代使用権であり、墓地という土地を買っているわけではないからです。

相続税は?

墓石、墓地を含む祭祀財産は全て非課税の対象であるため、相続税もかかりません。

そのほかの費用

唯一かかるのは消費税です。墓地の永代使用料に消費税はかかりませんが、管理費およびお墓を立て直したり墓石に彫刻したりする墓石工事費用には、基本的に消費税が課税されます。

9.墓守がいないときはどうすればいい?

墓守がいないときはどうすればいい?

継ぐ人がいない、参拝や管理のために定期的にお墓に通える距離に住んでいない、身体的にお墓に赴けなくなったなど、様々な事情からお墓を承継することができないケースもあります。

そこで、墓守になれる人がいない、墓守を続けられなくなった場合の対処法をご紹介します。

墓じまいをする

墓守がいない場合には、墓じまいをする方法があります。墓じまいとは、お墓を撤去して、墓地の使用権を寺院・霊園に返却することですが、その流れをご紹介します。

1.改葬手続き

役所から許可をもらい、お世話になっている寺院・霊園に対し、墓じまいをしたい旨を相談します。

2.改葬先の決定

お墓に入っているご遺骨の移動先を決めなくてはなりません。
主に2つの方法があります。

  1. 1)永代供養墓などに埋葬する
  2. 2)散骨する

まず、永代供養墓などに埋葬する方法について解説します。
永代供養墓とは、一定期間、身内の代わりに寺院・霊園などに遺骨を供養してもらえるお墓のことです。永遠に供養してもらえるわけではなく、その期間は33回忌までなど寺院・霊園ごとに異なるため、詳細を確認した上で依頼しましょう。

なお、永代供養墓(納骨堂タイプを含む)には以下の3種類がありますが、個別型や集合型の場合、一定期間を過ぎたあとは基本的に合祀型(合祀墓)に埋葬されます。

・個別型
墓石のあるお墓、もしくは個別の区画があるお墓において、個別で埋葬することができます。

・集合型
遺骨を個人の骨壺に納めた状態で、他の方と一緒に埋葬されます。

・合祀型(合祀墓)
他の方の遺骨と一緒に埋葬されます。詳細は「合祀墓の埋葬方法・費用は?メリット・デメリットも解説します」が参考になります。

また、海や山などに散骨する方法もあります。詳細については「自然葬の種類は?それぞれの費用相場やメリット・デメリットをご紹介します」の記事をご覧になってください。

3.寺院の手配

墓石を撤去する際に、お墓の中にある魂を抜く「閉眼供養」というものを行います。僧侶による読経が必要になりますので、日程などを相談し手配します。

4.石材店の手配

墓石の撤去は石材店が行いますので、解体撤去工事を手配します。

5.遺骨の移動

事前に決めていた場所へ、ご遺骨を移動させ供養します。

既存のお墓に永代供養を依頼する

お墓を撤去せずに墓守をやめたい場合は、既存のお墓に対して永代供養を依頼するという方法があります。永代供養を依頼しておくと、墓守がいなくなっても供養をしてもらうことができますが、一定期間を過ぎると合祀墓に埋葬されます。

10.墓守とは「お墓を承継し主体となってお墓を管理していく人」のこと

墓守は代々受け継がれてきたお墓を承継し、管理していく重要な役割を持つ人のことです。大切な人が眠るお墓を守っていく墓守は、人と人の繋がりの尊さを思い起こさせてくれる大切な役目も担っているといえるでしょう。

しかし、現代では少子化が進み、墓守という役目を果たせる人がいない、もしくは近い将来そのような状況になるというお悩みを抱えている方が増えています。

花葬儀では、このような葬儀後のお墓に関するご相談についても承っております。会員サービス「リベントファミリー」にご入会いただくと、お墓のご相談はもちろん、相続や遺品整理などさまざまなサポートをうけることが可能です。ぜひ、検討ください。

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